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2008/12/28

【有馬記念】低レベル?4歳牡馬の逆襲に注目

Screen_hero_at_jc週刊競馬ブックの「有馬記念この10年」の頁を眺めていて、ふと気がついたことがある。クラシック戦線を賑わしてきた素質馬たちが、軒並み苦戦を強いられているという事実だ。三冠馬ディープインパクトの存在をひとまず例外扱いするなら、師走のグランプリは、皐月賞やダービーとの関連性を殆ど見い出すことができないレースである。近5年では、皐月賞馬ダイワメジャーが2年連続(06年・07年)で3着を記録したのが最高の成績。メイショウサムソンも、ウオッカも、ダービー馬の看板を背負って出走した3歳当時は、古馬の壁に跳ね返されるという無念な結果に終わっている。
それとは対照的に活躍が目覚ましいのは、4歳を迎えてからようやく本格化の様相を示してきた遅咲きの実力馬たちである。ハーツクライゼンノロブロイマツリダゴッホ。4歳の冬に有馬記念を制したこれら各馬は、いずれも3歳クラシック当時に主役の座を射止めることが叶わなかったイマイチ君たちばかり。だが、そんな各馬が、クラシック制覇の勢いに乗って参戦してきた3歳トップクラスの挑戦を退ける。そのような光景が、近年の有馬記念で繰り返されている。5歳馬まで検索の対象を広げてみれば、3歳時点で一介の条件馬に過ぎなかったポップロックの好走例(06年2着)もあった。
折り合いに不安のあるタイプでは苦戦を免れない二千五百という距離と、瞬発力より息の長い脚が問われる展開。そんなレースの特質が、早熟なスピード適性や才能の高さとは、別の経験値を要求しているのかもしれない。

さて、今年の出走馬に目を転じてみると、混戦と評されたクラシック戦線で主役を張った馬たちはエントリーを回避。替わって主役を務めるのが、4歳牝馬ダイワスカーレットという、例年とは少々様相を異にする勢力図になっている。過去10年で7回優勝している4歳馬が中心という見方に異議はないが、ヒシアマゾンが2着、エアグルーヴでも3着と、牝馬苦戦が定説となっている年末の大一番で、単勝2倍台の牝馬優勝を前提に予想を展開するというのもいかがなものか?大駒2頭を輩出した牝馬勢との比較で、低レベルと評された昨年の牡馬クラシック戦線だが、1年も経てば、だいぶ事情も異なってきていると考えるべきではないか?
ヒントになったのは、4歳牡馬スクリーンヒーローによるJC制覇である。道中スローペースとはいえ、3歳王者ディープスカイの追撃をゴールまで凌ぎきったレース内容には、思わず目を見張るものがあった。そのスクリーンヒーローと秋の府中開催(オクトーバーS、アルゼンチン共和国杯)でほぼ互角のパフォーマンスを示していたのが、同世代の好敵手ジャガーメイル。この馬が初海外遠征となった香港ヴァーズ(G1)で僅差の3着と健闘した事実には、改めて注意を払うべきだろう。中長距離路線で世界レベルに達したこれら2頭の活躍は、4歳にして本格化という有馬記念のトレンドと見事に合致している。歴史的名勝負と評された天皇賞は、淀みないラップが連続するマイル寄りの一戦。それよりも、敢えて有馬記念と同距離のアルゼンチン共和国杯組を上位に見立て、年末の大一番を占ってみるのも、ちょっと面白いと思うが、どうだろう。

<結論>
◎スクリーンヒーロー
○アルナスライン
▲マツリダゴッホ
△ダイワスカーレット
注メイショウサムソン
注カワカミプリンセス
注エアシェイディ
注アサクサキングス

3歳の強豪不在なら、充実の季節を迎えた4歳馬がやはり中心。しかも、狙いは牝馬よりも牡馬ということなら、4歳勢が上位を独占したアルゼンチン共和国杯組を重視すべきだろう。一戦また一戦と経験を重ねるたびに驚異的な成長軌道を描き続けるスクリーンヒーローはともかく、この馬と5キロ差の重量を背負わされ3着に泣いたアルナスラインも、有馬記念男のオリビエ騎乗なら、断然面白い存在になる。
昨年の覇者・マツリダゴッホは、JC当時の仕上がり具合が素晴らしかっただけに、得意の中山でむしろ反動の懸念がゼロとはいえない。以下では、1番人気の牝馬と歴戦のベテラン、今回逃げ宣言を公にした4歳馬アサクサキングスをマークしてみよう。
キルトクールは、3歳馬の代表フローテーション。超長距離線・ステイヤーズステークスは悪くない内容だったが、勝ちを拾いにいった積極策の反動が少しあるかも?折り合い不安が心配だ。

12月 28, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (4)

2008/12/21

【朝日杯FS】枠が走るんじゃない。馬が走るのだ

Break_run_out_at_tohspohai中山芝マイルのコース設定を語るうえで欠かせないのが、内枠絶対有利という神話。このコース、とにかく内・外の走路の違いによる距離ロスをバカにできず、内枠を引いた逃げ・先行馬のアドバンテージは無限大という定説が、競馬に関わる誰も彼もにすっかり知れ渡ってしまった感がある。例えば、昨年のレースリプレイ。繰り返し映し出されるのは、1枠1番という幸運に恵まれたゴスホークケンによる一人旅の映像である。そんな記憶がまだ鮮やかすぎるせいか?今年も、枠番抽選の結果を巡って各馬の陣営からは悲喜交々のコメントが公にされている。ファンの注目も、内枠の有力どころに集中していることは、前日売り単勝オッズの売れ行きをみても明らかだろう。
さて今年、1枠1番の当たり枠を引き当てたのが、2戦2勝のキャリアを誇る逃げ馬ミッキーパンプキンである。鞍上には、中山コースのすべてを知り尽くしたオリビエ・ペリエ。そんな事情も手伝ってか?この馬が、前日深夜の時点で2番人気の支持を集めるという、ちょっと意外な下馬評が形成されている。ここで敢えて「意外な」という表現を使ったことには理由がある。同馬が前走で勝利を飾った萩Sのレース結果が、朝日杯に直結するとは到底思えないからだ。

この一戦は僅か6頭の小頭数で、道中は5ハロン目に12秒9というラップも出現するスローペース。二の脚でハナを奪ったミッキーパンプキンにとっては、まさにおあつらえ向きの展開だった。これでは、前に行きたい先行タイプがズラリと顔を揃えるJpnⅠの流れとは全く異質な競馬と理解せざるを得ない。さらにはメンバーの顔ぶれも平凡。出走各馬の次走成績を確認してみると、京都2歳S5着が最高の着順なのだから、2歳オープン特別とはいえ、実質500万下レベルの争いだったと判定を下すべきだろう。

来春のクラシックを見据える有力どころの多くが次週のラジオNIKKEI杯に駒を進めるといっても、朝日杯はJpnⅠの金看板が与えられた重賞。メンバーの質も、レースの格に相応しいレベルが揃っていると考えるべきであり、枠順であるとか展開などより、出走各馬の実績やポテンシャルを重視するのが予想のセオリーというべきではないか?実際のところ、中山・芝マイルの馬番別成績を過去4年(05年1月以降)に遡って検索してみると、大外15番・16番枠の連対率が14%台、これに対して当たり枠と思われた1枠1番の連対率も14.8%。意外なほど、戦績の格差がみられない。コースの形状から、ある程度外枠各馬のパフォーマンスを割り引いて考える必要はあるかもしれないが、目をつむって1枠の先行馬を買うのが得策かどうかは微妙と言わざるを得ない。レースで走るのは、枠番ではなくサラブレッドたち。当たり前といえば当たり前の話なのが、そのことをもう一度肝に銘じてレースの行方を考えてみる必要がありそうだ。

<結論>
◎ブレイクランアウト
○シェーンヴァルト
▲ツルマルジャパン
△フィフスペトル
×セイウンワンダー
×ホッコータキオン
×エイシンタイガー

枠順よりも能力優先といいながら、結果的に上位候補に選定したのは内枠の各馬(汗)
実績を評価するなら、京都コースの同距離で1分33秒台前半の時計を叩きだしたシェーンヴァルトを最上位に評価すべきなのだろうが、この馬のレースは「強い」というよりも「器用」という印象ばかりが残る。若い鞍上の中山コースでの経験値にも不安が残り、絶対的な本命といえるほどの評価までは与えられない。
そこで、ブレイクランアウト。小柄な馬体と不器用な脚質で取りこぼしが多そうなタイプではあるが、馬込みを気にしない気性と強い闘争心は、この大一番でも強調材料になる。怪我から復帰した武豊騎手の手綱捌き込みで、この馬のレースぶりを注目してみたい。
以下では、重賞戦線で確かな実績を残してきた各馬を上位に評価する。
面白いのは、ブリンカー装着でここに参戦してきたツルマルジャパン。マイラーというよりも明らかにスプリンター寄りの適性に秀でたこの馬がハナを奪い、ラチ沿いにへばり付く展開になれば、惰性で粘り込みが効く可能性がある。前走の淡泊なレースぶりがファンの失望を買い人気を落としている今回こそ、あえて注目してみたい。
キルトクールは、最内枠のミッキーパンプキン。指名の理由は、前述したとおりである。

12月 21, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (2) | トラックバック (2)

2008/12/14

【阪神JF】桜前線の行方はまだ霧のなか

Okera_soba結論から先に言ってしまえば、このレースは「」。馬券を買わずに、高みの見物を決め込んでしまおうと考えている。
何せG1とはいっても、デビューしてまだ間もない2歳牝馬同士の争いだ。出走馬のなかには将来のクラシック候補もいれば、下級条件でくすぶり続けたまま現役生活を終えるB級ホースもいることだろう。だが、現時点でそれを識別するのが至難の業。僅か1~2戦のキャリアや各種媒体で報じられる評判だけを頼りに、力関係を断じてしまうことは危険にすぎる。また、コース改装後、過去2年のレース結果を振り返ってみても、確たる傾向と対策のようなものは、まだ浮かび上がってこない。
出走メンバーに目を転じてみると、大物の呼び声高い西のブエナビスタ東のダノンベルベールあたりが有力に思えるが、この両馬には抜群の決め手と表裏をなすように出遅れのリスクがつきまとっている。大一番での単勝人気に見合うほどの信頼性を備えているか?と問われれば、やはり半信半疑と言わざるを得ない。角居厩舎のミクロコスモスは武豊の負傷欠場による乗り替わりでケチがついてしまったし、ファンタジーS組はレースのレベル自体に疑問符が残る。2年連続で優勝馬を輩出した黄菊賞組のジェルミナルも外枠を引いて、内の各馬との比較で強調しづらくなってしまった。
このように有力各馬の減点材料を数えていくと、本命不在の大混戦という気もするが、さりとて無理やり波乱を期待するのもどうだろう?蓋をあけてみると、一昨年のウオッカのように力が一枚抜けている存在がいて、アッサリと勝利をものにしてしまう可能性も否定できないからだ。
予想の決め手になる材料が乏しければ、何も無理をする必要はない。来年の牝馬クラシック戦線を占う一里塚というべき一戦だが、その行方はまだ霧のなか。ここは馬券を度外視して、各馬の戦いぶりをじっくり展望してみるのも、競馬の楽しみ方と割り切ってみたい。
ちなみにエントリの写真と本文には、全く関係がありません(汗) あしからず。

12月 14, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/12/07

【JCダート】3歳馬の負担重賞問題を考える

Success_brocken_at_the_derby_2008府中の左回り二千百から阪神右回り千八へ。開催場所が関西圏へと移されただけでなく、コースの回り・距離条件もが同時に変更され、何やら新設G1レースの雰囲気さえ漂う今年のJCダートだが、レース時期が1週間繰り下げされたことに伴い、もう一つ見過ごせない変更点が生じている。3歳馬の負担重量設定の問題である。

そもそもJRA競馬の定量戦とは、時期と距離により年齢によるアローワンスを設け、3歳馬の負担重量を決定する仕組み。距離千六メートル超のレースに関していうと、9月までなら3歳馬は古馬に対して3キロのアローワンスが与えられ54キロで出走できるが、10月からは55キロ、12月以降は56キロと段階的にアローワンスが減じられ、負担重量が加増されるシステムとなっている。すなわち、11月開催だった昨年までのJCダートなら55キロで出走できた3歳馬が、今年からは56キロの目方を課せられることになった。
俗に「1キロ1馬身」と言われるように、負担重量の変更は少なからずレース結果に影響を及ぼすもの。成長著しい若駒たちにとっても、わずか1キロとはいえ、この違いはやはり気になるところだろう。古馬の壁を打ち破るために、克服すべき課題がもうひとつ余計に課された感がある。
だが、12月当初の古馬混合定量戦では3歳馬不利という結論が導き出せるのかというと、事はそれほど単純ではないというのが興味深いところ。以下、データによる分析結果を見ていこう。

05年以降のJRAダート・距離千七以上定量戦に出走していた3歳牡馬(せん馬を含む)の戦績を紐解いてみると、10~11月に55キロを背負っていた馬の成績は「68-49-42-421」(勝率11.7%・連対率20.2%)。これに対し12月に56キロを背負っていた3歳牡馬の成績は「34-29-24-249」(勝率10.1%・連対率18.8%)。両者の成績にほとんど有意差は見られない。同じデータを1~3番人気の実力上位馬に限定してみると、10~11月の連対率が約46%であるのに対し、重量が上積みされる12月には約38%と若干のパフォーマンス低下は認められるが、これだけをもって3歳馬=消しと断じることは危険だろう。
そもそも昨年までのJRA競馬では、12月開催のダート・定量・距離千七以上の高額条件レースが極端に少なく、過去3年間で準オープン競走が僅かに4鞍組まれていたに過ぎない。そのうちの3鞍で3歳馬が優勝を飾っているという事実(06年北総S・シルククルセイダー、07年ゴールデンスパーT・ダイナミックグロウ、同年北総Sマイネルアワグラス)を踏まえれば、ここはむしろ3歳の勢いを買うという馬券作戦も成立しうるかもしれない。
園田のJBCクラシックで、古馬の大将ヴァーミリアンが3歳王者サクセスブロッケンにつけた着差はわずかにクビの差。当時から負担重量差が1キロ縮小することのみにとらわれ、その差が拡大すると判断するのは少し早計ではないか?遠来の外国馬も含め、伸び盛りの3歳馬の可能性にも十分目配りをしておきたい1戦だ。

<結論>
◎カジノドライヴ
○メイショウトウコン
▲サクセスブロッケン
△ヴァーミリアン
注ワイルドワンダー
注サンライズバッカス
注ティンカップチャリス

例年になくハイレベルと称される、今年の国内3歳世代の頂点に君臨するサクセスブロッケン。だが、さらにその上を行く可能性を秘めた器として、敢えてカジノドライヴを本命に推す。距離千八のダートの持ち時計に着目してみると、実はこの馬が出走馬中のトップ。デビュー2戦目。初の海外遠征となったベルモント競馬場(良馬場)で、この水準の時計を難なく叩きだしたポテンシャルは、やはりタダ者ではない。実際にその走りっぷりを動画でチェックしてみると、ゴール前でケント・デザーモが完全に手綱を抑えていることがわかるだろう。

当時の斤量は52.5キロ。条件に恵まれたことは間違いのだが、56キロの重量と右回りコースはデビュー初戦の京都で既に経験済み。前走のBCクラシックの失速も、千メートル1秒を切る激流ペースだった以上、情状酌量できるだろう。武豊騎手が「もし菊花賞に出走していれば圧勝していた」とコメントするほどの逸材。ならば、ここは先物買いで狙ってみるのが面白い。
以下では、古馬・3歳馬を問わず、秋のダート路線のハイライト・JBCクラシック上位勢に当然注目。だが、仮にカジノドライヴの能力がクロフネ級だとして直線独走態勢に入った場合、これを負かしに行くヴァーミリアンやサクセスブロッケンはゴール前で苦しく、漁夫の利をさらう伏兵の台頭にも注意が必要だろう。前走のスタートで出遅れながら、差のないところまで追い上げていたメイショウトウコンが2着に浮上する可能性まで考慮しておきたい。

キルトクールは、かつてのダート王者カネヒキリ。内で包まれ不完全燃焼に終わった復帰戦・武蔵野Sのレースぶりを評して「悪くなかった」という見解もあるが、当ブログ管理人はそれに与しない。根拠は、前走時点でパドックで目撃したその姿。堂々たる歩様は休養前と変わっていなかったが、その馬体から全盛時のオーラが失われていた。かの無敵の雷神も、2年前の帝王賞で燃え尽きてしまったのか?ルメール・マジックをもってしても、完全復活への青写真はまだ描けない。

12月 7, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (4)