【有馬記念】低レベル?4歳牡馬の逆襲に注目
週刊競馬ブックの「有馬記念この10年」の頁を眺めていて、ふと気がついたことがある。クラシック戦線を賑わしてきた素質馬たちが、軒並み苦戦を強いられているという事実だ。三冠馬ディープインパクトの存在をひとまず例外扱いするなら、師走のグランプリは、皐月賞やダービーとの関連性を殆ど見い出すことができないレースである。近5年では、皐月賞馬ダイワメジャーが2年連続(06年・07年)で3着を記録したのが最高の成績。メイショウサムソンも、ウオッカも、ダービー馬の看板を背負って出走した3歳当時は、古馬の壁に跳ね返されるという無念な結果に終わっている。
それとは対照的に活躍が目覚ましいのは、4歳を迎えてからようやく本格化の様相を示してきた遅咲きの実力馬たちである。ハーツクライ、ゼンノロブロイ、マツリダゴッホ。4歳の冬に有馬記念を制したこれら各馬は、いずれも3歳クラシック当時に主役の座を射止めることが叶わなかったイマイチ君たちばかり。だが、そんな各馬が、クラシック制覇の勢いに乗って参戦してきた3歳トップクラスの挑戦を退ける。そのような光景が、近年の有馬記念で繰り返されている。5歳馬まで検索の対象を広げてみれば、3歳時点で一介の条件馬に過ぎなかったポップロックの好走例(06年2着)もあった。
折り合いに不安のあるタイプでは苦戦を免れない二千五百という距離と、瞬発力より息の長い脚が問われる展開。そんなレースの特質が、早熟なスピード適性や才能の高さとは、別の経験値を要求しているのかもしれない。
さて、今年の出走馬に目を転じてみると、混戦と評されたクラシック戦線で主役を張った馬たちはエントリーを回避。替わって主役を務めるのが、4歳牝馬ダイワスカーレットという、例年とは少々様相を異にする勢力図になっている。過去10年で7回優勝している4歳馬が中心という見方に異議はないが、ヒシアマゾンが2着、エアグルーヴでも3着と、牝馬苦戦が定説となっている年末の大一番で、単勝2倍台の牝馬優勝を前提に予想を展開するというのもいかがなものか?大駒2頭を輩出した牝馬勢との比較で、低レベルと評された昨年の牡馬クラシック戦線だが、1年も経てば、だいぶ事情も異なってきていると考えるべきではないか?
ヒントになったのは、4歳牡馬スクリーンヒーローによるJC制覇である。道中スローペースとはいえ、3歳王者ディープスカイの追撃をゴールまで凌ぎきったレース内容には、思わず目を見張るものがあった。そのスクリーンヒーローと秋の府中開催(オクトーバーS、アルゼンチン共和国杯)でほぼ互角のパフォーマンスを示していたのが、同世代の好敵手ジャガーメイル。この馬が初海外遠征となった香港ヴァーズ(G1)で僅差の3着と健闘した事実には、改めて注意を払うべきだろう。中長距離路線で世界レベルに達したこれら2頭の活躍は、4歳にして本格化という有馬記念のトレンドと見事に合致している。歴史的名勝負と評された天皇賞は、淀みないラップが連続するマイル寄りの一戦。それよりも、敢えて有馬記念と同距離のアルゼンチン共和国杯組を上位に見立て、年末の大一番を占ってみるのも、ちょっと面白いと思うが、どうだろう。
<結論>
◎スクリーンヒーロー
○アルナスライン
▲マツリダゴッホ
△ダイワスカーレット
注メイショウサムソン
注カワカミプリンセス
注エアシェイディ
注アサクサキングス
3歳の強豪不在なら、充実の季節を迎えた4歳馬がやはり中心。しかも、狙いは牝馬よりも牡馬ということなら、4歳勢が上位を独占したアルゼンチン共和国杯組を重視すべきだろう。一戦また一戦と経験を重ねるたびに驚異的な成長軌道を描き続けるスクリーンヒーローはともかく、この馬と5キロ差の重量を背負わされ3着に泣いたアルナスラインも、有馬記念男のオリビエ騎乗なら、断然面白い存在になる。
昨年の覇者・マツリダゴッホは、JC当時の仕上がり具合が素晴らしかっただけに、得意の中山でむしろ反動の懸念がゼロとはいえない。以下では、1番人気の牝馬と歴戦のベテラン、今回逃げ宣言を公にした4歳馬アサクサキングスをマークしてみよう。
キルトクールは、3歳馬の代表フローテーション。超長距離線・ステイヤーズステークスは悪くない内容だったが、勝ちを拾いにいった積極策の反動が少しあるかも?折り合い不安が心配だ。
12月 28, 2008 08年競馬予想・回顧 | Permalink | コメント (0) | トラックバック (4)
中山芝マイルのコース設定を語るうえで欠かせないのが、内枠絶対有利という神話。このコース、とにかく内・外の走路の違いによる距離ロスをバカにできず、内枠を引いた逃げ・先行馬のアドバンテージは無限大という定説が、競馬に関わる誰も彼もにすっかり知れ渡ってしまった感がある。例えば、昨年のレースリプレイ。繰り返し映し出されるのは、1枠1番という幸運に恵まれたゴスホークケンによる一人旅の映像である。そんな記憶がまだ鮮やかすぎるせいか?今年も、枠番抽選の結果を巡って各馬の陣営からは悲喜交々のコメントが公にされている。ファンの注目も、内枠の有力どころに集中していることは、前日売り単勝オッズの売れ行きをみても明らかだろう。
結論から先に言ってしまえば、このレースは「見」。馬券を買わずに、高みの見物を決め込んでしまおうと考えている。
府中の左回り二千百から阪神右回り千八へ。開催場所が関西圏へと移されただけでなく、コースの回り・距離条件もが同時に変更され、何やら新設G1レースの雰囲気さえ漂う今年のJCダートだが、レース時期が1週間繰り下げされたことに伴い、もう一つ見過ごせない変更点が生じている。3歳馬の負担重量設定の問題である。

