【ジャパンカップ】世代間闘争の行方は意外と明白
歴史的激闘を演じた天皇賞の上位3頭のうち、ダイワスカーレットの参戦が見送られたのは残念だが、ウオッカ・ディープスカイが再び府中コースに登場。今年のジャパンカップは、これら2強に仏国遠征帰りのメイショウサムソンを加えた、3世代のダービー馬対決に注目が集中する構図となった。
それ以外にも4頭のG1ホースを加えた日本馬の陣容は、例年になく層が厚い。ここまで日本勢が強力だと、おそらく遠来の外国馬に出番が回る余地は殆ど残されてはいまい。海外競馬通で知られる合田直弘氏の本命・対抗も、今年は弱気に日本馬を指名しているようだ。念のため、そんな事情にも目配りを惜しまなければ、外国馬のレベルは「推して知るべし」とジャッジできる。国別対抗戦というより、日本のトップレベルによる世代間闘争の山場。それが、JCで最も注目すべき主題であることに異論はない。
さて、気になる世代間好走の行方だが、世間的な評価(前日売りオッズ)では、4歳・5歳勢の経験値よりも、3歳馬の勢いを支持するという見方が多数意見を形成している模様だ。だが、今年で28回目を数えるJCの歴史を紐解いてみると、世代間闘争で圧倒的優位に立っているのは4歳世代である。古くはシンボリルドフルやトウカイテイオーが4歳(現年齢表記)でJC優勝を成し遂げているわけだし、惜しくも2着とはいえオグリキャップが驚異的な世界レコードでこのコースを走破したのも4歳時の出来事だった。この事実を最近10年間のレースを対象に、データで裏付けてみよう。
4歳馬のうち、JCで1~2番人気の支持を集めていた日本の4歳馬の戦績は「4-1-2-0」。勝率50%以上、連対率も70%を超え、一度も馬券の対象から外れてしまった経過がない。これらのなかには、スペシャルウィーク、テイエムオペラー、ゼンノロブロイ、ディープインパクトによるJC制覇が含まれる。いずれの勝利も、彼らの競走生活におけるピークと位置づけてよいであろう圧巻のパフォーマンスだった。
これとは対照的に、3歳世代の人気者たちは案外とJCで苦戦を強いられている。1~2番人気に支持された日本馬の成績は「1-1-2-2」(連対率33%)。そもそも3歳にしてJCで上位人気に推されること自体、非凡な素質と実績の持ち主であることを証明しているといえるのだが、それが結果に直結していない。3歳で天皇賞秋を制して中距離路線のトップに躍り出たシンボリクリスエスといえど、JCでは外国馬の後塵を拝しての3着。昨年のウオッカも、ゴール前あと一歩が詰め切れなかった。3歳時の上位人気で唯一JCを制しているジャングルポケットのケースも、改めて当時の出走メンバーを検証してみると、4歳の日本馬が1頭も出走していない特殊なケースであったことが判明する。当時の2着テイエムオペラーは確かに強かったが、このとき既に5歳秋。競走馬としてのピークを通り越していたことは、次走の有馬記念で衆目に晒されることになる。
このオペラオーの一件が象徴しているように、現役生活の頂点を通り越し、緩やかに下り坂をたどっている古豪にとって、JCは過酷すぎる舞台だ。過去10年、5歳以上のベテランがJC優勝を飾ったケースとしては、タップダンスシチー(当時6歳)と外国馬アルカセット(当時5歳)の2例があるけれど、これらの快挙を鵜呑みにすることはできない。前者は道悪という特殊な馬場コンディション、後者は世界の名手=フランキー・デットーリの手綱捌きと年齢の割に消耗が少ないキャリア(当時15戦)が幸いしていたからだ。
歴史は繰り返す。3歳馬の勢い、そして5歳馬の経験値を打ち破るのは、今まさに競走馬としての頂点に位置する4歳馬の能力の絶対値だろう。今年も、充実の秋を迎えた4歳世代を最重視して、3世代対決の行方を見定めていこうと考えている。
<結論>
◎ウオッカ
○アサクサキングス
▲スクリーンヒーロー
△ディープスカイ
×マツリダゴッホ
×オースミグラスワン
×オウケンブルースリ
牝馬といえど、スカーレット不在のメンバーならば4歳世代の頂点に君臨することは明白。ウオッカによる府中コースG1・3連覇を期待してみる。鞍上・岩田騎手の前日落馬アクシデントが心配されるが、「脳震盪、左前腕打撲・擦過傷」の軽い怪我で済んだことは不幸中の幸い。現役最強牝馬の能力発揮に支障はないとみる。
対抗格は、同世代のダービー2着馬アサクサキングス。天皇賞のパドックで、馬体の良さはひときわ目立っていたものの、ブランク明けで少々余裕が残っていたのも事実。叩き2走目の上積み、単騎先行できる可能性、そしてルメール乗り替わりなら、昨春のダービー激走の再現があり得る。
上がり馬スクリーンヒーローも4歳世代の1角。恵量の恩恵を受けたとはいえ、前走完勝の勢いと府中中長距離適性の高さを侮れない。アルゼンチン共和国杯組はJCで用無しというのが過去のデータの囁きだが、この馬なら「ひょっとして」と思わせる1頭。名手デムーロの手綱で、人気薄なら是非馬券を買ってみたいところだ。
以下は、その他世代の評価順になるが、ディープスカイは前走の序盤戦で行きたがる仕草を露呈していたのが不安材料。ダービー制覇の実績には、もちろん敬意を表するのだが、その本質はマイル~中距離向きの素材なのかもしれない。オウケンブルースリも、夏の新潟競馬から使い詰めのローテーションが少々厳しい。まだまだ発展途上のこの馬には、来年の大舞台を期待した方がベターなのかもしれない。それならむしろ左回りで減点と侮られているマツリダゴッホや天皇賞で一番長く良い脚を使っていたオースミグラスワンのほうが、ヒモ穴としてちょっと面白い存在になる。
キルトクールは、5歳馬メイショウサムソン。今回は海外遠征帰り初戦。凱旋門賞もストレスを蓄積しただけという内容であり、天皇賞制覇の後、順調な調整過程で参戦してきた昨年とは事情が異なる。元々、晩秋になればなるほどパフォーマンスが鈍化していく傾向があるだけに、人気・実績ほどの信頼は置けないと評価するがどうか?レース後、石橋騎手の率直な感想を聞いてみたい。
11月 30, 2008 08年競馬予想・回顧 | Permalink | コメント (2) | トラックバック (2)
最近3年の優勝馬は、すべて前走・天皇賞組。前走または前々走で毎日王冠を経由したステップを踏み参戦してきた馬も、毎年のように上位を賑わしている。この事実からも察することができるように、マイルCSは、東京コースで施行される芝の中距離G1・G2との関連性が高い一戦だ。府中から淀へと舞台は変われど、緊密なペースとハイレベルな時計勝負の経験を積んできた強みが着順に直結している。
京都競馬場の天候は雨が降り続くなかで夜明けを迎えたようだが、それでも芝コースは「良」の状態を維持(6:30現在)。どうやら雨量のピークは通り越した様子で、現状以上に馬場の渋化を心配する心配もなさそうだ。前週までの硬くて速い時計の出やすい馬場を前提に考えるなら、いくらか水分を含んでソフトになった状態といったところか?いずれにせよ、道悪の巧拙が問われるような極端な条件ではない。それなら、エリザベス女王杯も、出走馬の能力どおりのオーソドックスな決着を想定するのが筋だろう。
府中の芝・二千五百といえば、目黒記念とアルゼンチン共和国杯。クラシック距離を100メートルほど延長して、ホームストレッチ坂下付近に発馬ゲートが置かれるコースは、春と秋に施行される2つのハンデG2のために用意された条件といえる。
4歳世代の最強牝馬2頭vs3歳世代の頂点に君臨するダービー馬による3強対決。異色の顔ぶれによる王者決定戦という触れ込みに話題が集中する今年の天皇賞だが、ウオッカ、ダイワスカーレット、ディープスカイの前ですっかり影が薄くなった感のあるその他14頭も、実は多士済々の顔ぶれ。秋華賞・菊花賞に続いて、今週も秋のG1シリーズは大混戦という構図になった。

