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2008/06/29

【宝塚記念】ドリームレースの夢からさめて

Meisho_samson_2007_jc春競馬のラストを飾るドリームレースと銘打ちながら、毎年のようにフルゲートに達しない出走頭数。エントリーしているのは、もう何度も手合わせをしているお馴染みの顔ぶれ。出馬表をいくら眺めてみても、ドキドキするような高揚感はいっこうに沸き上がってこない・・・・
こうして考えてみると、宝塚記念というのは、古馬G1のなかでも本当に地味な部類に属するレースだと思う。
もちろん、その年々によっては好メンバーが顔を揃え、混戦ムードが演出される場合もあるけれど、3歳牝馬ウオッカの参戦が賑々しく話題を集めた昨年のようなケースは、あくまで例外中の例外。多頭数で本命不在の大混戦よりも、人気を集める実績馬を中心に各馬の戦力図が比較的ハッキリしている今年のようなレースこそ、本来の意味で宝塚記念らしい一戦と言えるのかもしれない。
比較的小頭数のメンバー構成のなかを、人気を背負う実績馬が有無を言わせぬ強い勝ちっぷりを見せる。93年のメジロマックイーンや、96年のマヤノトップガンの勝利した宝塚記念がまさしくそんなレースのお手本だったが、今年のメイショウサムソンも今ではこれら古豪と肩を並べる実績を有する立場になった。春天で苦汁を飲まされた好敵手が宝塚には参戦してこなかったという事情も、上記の古豪2頭の優勝年と共通している。ならば、ここは素直に負けられない一戦と位置づけてもよいのではないだろうか?

実際のレースデータを確認してみても、出走頭数が15頭に満たない比較的小頭数の宝塚記念では、1番人気馬が圧倒的に好成績を残しており、馬券的にも波乱が成立する余地は小さいという結果が示されている。わずか14頭立ての一戦で、敢えて1番人気馬に逆らう道理はないと言うべきだろう。

■宝塚記念1番人気馬の着順分布(過去10年)
  出走頭数15頭未満 4-2-0-0 馬連平均配当 1,528円
  出走頭数15頭以上 1-0-0-3 馬連平均配当 7,215円

このような事情を鑑みても、馬券的に中波乱を期待するなら、本命馬を捻るより2着のヒモ荒れを想定した方がよい。上位2頭によるマッチレースになった年(99年・01年)を別にすれば、強い1番人気馬が優勝した年でも、ナリタセンチュリー(06年)のような伏兵が2着に突っ込んでくる可能性は残されている。雨予報が報じられている空模様と、稍重程度の馬場渋化も想定に入れつつ、もしやのケースにも備えを怠れない。

<結論>
◎メイショウサムソン
○アルナスライン
▲アドマイヤフジ
△ロックドゥカンプ
△アサクサキングス
注エイシンデピュティ

ここは素直にメイショウサムソンの勝機とみる。対抗するのは、目黒記念上位の4歳勢。大雑把に捉えるなら、まさしく前日売りオッズに反映された下馬評通りに決着が濃厚といえるだろう。だが、その目黒記念では天皇賞4着のホクトスルタンアルナスラインロックドゥカンプに先着。この事実をふまえれば、サムソン以外の春天組への目配りも必要と思われる。
中波乱決着を呼ぶ伏兵候補として、川田騎乗のアドマイヤフジに少し期待。良い脚は一瞬で、なおかつジリ脚質(笑)の中距離型。そんなタイプだからこそ、有力各馬が早めに仕掛ける消耗戦で台頭の余地がある。漁夫の利をさらう格好での2~3着入線なら、馬券的妙味もソコソコは期待できるかもしれない。

キルトクールは、思い切って2頭出し。
アドマイヤオーラカンパニーは、ともにタメを効かせた瞬発力勝負でこそ本領を発揮できるカミソリタイプ。雨馬場のなかでの消耗戦になってしまえば、やはり減点が必要だろう。昨シーズン、同じ勝負服に身を包んでサムソンを下した、ミスプロ系のムーンとはやはりタイプが異なる。

6月 29, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008/06/22

【みちのく大賞典】人気の遠征馬、何するものぞ

Michinoku_daishoten今週はJRAの予想エントリをお休みして、岩手競馬・伝統の重賞を展望してみたい。「一條記念みちのく大賞典」は、盛岡春開催のハイライトを飾る古馬の王者決定戦。盛岡・水沢で施行される数々の重賞競走のなかでも最も高い格式を与えられた一戦であり、岩手競馬版の宝塚記念とでもいうべき大レースである。

優勝馬は馬運車にその名を刻まれ、岩手を代表する名馬として長く栄誉が称えられることになる。だが、出走馬の資格は、岩手所属馬に限定されるわけではない。「地方競馬全国交流競走」である以上、他地区からも色気をもった遠征馬がやってくる。

■盛岡10R・一條記念みちのく大賞典 ダート二千
Michinoku_daishoten_entry_hyou

今年も南関東からノムラリューオー、愛知からマチカネモエギの2頭が参戦を表明。前者は岩手のトップジョッキー小林俊彦を、後者はおなじみ名古屋の吉田稔騎手を鞍上に配してきたことからも、この一戦に臨むモチベーションの高さが伝わってくる。特に前者は1か月前にも岩手に遠征して、水沢のシアンモア記念(ダート千六)を制しており、9歳の高齢ながら、ここでも主役候補の筆頭という下馬評が高いようだ。

一方、これらに対する岩手勢は、大将格のテンショウボスが骨折で参戦を見送り、サイレントエクセル・エアウィードら有力どころも今回は休養明け初戦。そのせいか、今ひとつ意気込みが上がっていないという印象を受ける。地元専門紙(ケイシュウNews)の本命・対抗評価をみても、予想印は他地区からの遠征馬2頭へと集中している。
だが、これら遠征馬2頭は、けっして大回りコースの距離二千という条件でも大歓迎というタイプではない。

マチカネモエギは、JRA在籍当時の4勝がすべて距離千二というスプリンター。ノムラリューオーも過去に勝利を記録している距離は、前々走の千八が最長というタイプである。ゴール板が1ハロン先に延びてしまう条件変更に不安がないといっては、嘘になるだろう。また、同馬によるシアンモア記念の優勝タイム1分43秒1というのも、このレースが距離千六に変更された00年以降、最も遅い勝ち時計。2着との着差も僅かにクビ差ならば、大駒を欠く地元勢にとっても逆転の可能性がないとは言い切れないだろう。
そこで、左回りのコーナー4回・二度の坂越えという条件を味方につけられそうなタイプを探っていくと、意外な伏兵の名が浮かび上がってくる。

<結論>
◎ニシノグレイシャ
○サイレントエクセル
▲ノムラリューオー
△ダンストンリアル
注ダンディキング
注エアウィード
注ブラーボウッズ

JRA勢在籍当時の一昨年には、左回りの新潟巧者で鳴らしていたニシノグレイシャは、左回りコースの新潟・東京・盛岡で通算6連対をマーク。特に盛岡では、移籍以降3戦に出走してすべて馬券圏内に食い込むなど堅実な活躍をみせおており、その適性の高さには十分に注意を払っておくべき価値がある。ブライアンズタイムの産駒にふさわしく典型的な叩き良化型なのだが、今季は既に3月の水沢以来5戦を消化。ここに来てようやく調子を上げてきており、今回は注文通りにすんなりと先行できそうな組み合わせにも恵まれた。昨年末にコンビを組んで勝利を収めている高松騎手への乗り替わりも減点材料とはならず、「おいでおいで」の逃げ切りまで期待してみたい。
対抗には、遠征馬よりも地元の名牝サイレントエクセルを重視。昨年のこのレースでも人気を集めていたが、レース前のテンションが高く力を出し切れないまま敗退してしまったのが残念。当時は馬体もスッキリと仕上がり過ぎていた感があり、それなら休み明けのフックラした状態が、むしろ吉と出るかもしれない。
以下では、勢いに乗る上がり馬ダンストンリアルにも少し注目。ダンディキングは、隣枠のノムラリューオーをマークする作戦と思われるが、鞍上の草地騎手が例によってエキセントリックな戦法に出るようなら、ここでも侮れない。
キルトクールは、遠征馬マチカネモエギ。距離適性だけではなく、JRA在籍当時の左回り成績「0-0-0-6」、4~9月の春夏シーズンの成績「0-0-1-11」というデータからも、ここで積極的に狙える材料がない。
先週の地震被害からの復興に向けて、立ち上がる県民を元気づけるような地元馬の奮闘に是非とも期待をしてみたいところだ。

6月 22, 2008 岩手競馬, 08年競馬予想・回顧 | | コメント (2) | トラックバック (4)

2008/06/20

オフィサー、帝王賞(JpnⅠ)に挑戦

Officer_going_to_teiohsho上半期のダート戦線を締めくくる大井競馬のG1競走・帝王賞
今年は、6月25日(水)にレースが予定されているが、肝心の大一番まであと1週間を切った段階に至って、JRA勢の有力どころが次々と出走回避を表明。思わぬ番狂わせの結果、どうやら当ブログのひとくち馬オフィサー(6歳・栗東・森厩舎)に「出走可能です!」と、お呼びが掛かっているようだ。
このレースに登録した時点でのオフィサーの出走順位は、JRA所属の登録馬のうち上から数えて8番目。つまり補欠の第3位という順番だった。何事も起こらなければ、まずゲートにたどり着くことさえ許されないポジション。敢えてそれを承知のうえで、陣営がこのビッグレースに登録を済ませていたのは、「エントリーすることに意義がある」というオリンピック精神の発露、もしくは単なる冷やかしと見るのが常識というものだろう。
だが、同馬が主戦場としているJRAのダート短距離路線はオープン馬が過剰気味で、適条件のレースとなれば、常に除外ラッシュとの戦いを覚悟せざるを得ない状況。普段とは少々勝手が違う条件であっても、出走の目がゼロでない限り、僅かな可能性を模索してみようというスタンスは悪くない。当初は函館シリーズ参戦を目標に調整を進めていたオフィサーだが、吉報が届いた以上、大一番に矛先を向けることに迷いはなかった。「正式に目標をこちらに切り替えました」(森厩舎・日高助手~広尾TCメンバーズサイトより引用)と、早くも臨戦態勢は整いつつある。
鞍上にも、福永祐一騎手を配することが早々と発表された。

府中のダート千四や中山千二のスピード比べで闘っていた、追い込み脚質の愛馬が果たして、一気の距離延長、しかも煌びやかなナイトレースという異次元の競馬に対応できるのかという心配は当然あるけれど、コーナーを4回通過するナイター競馬という条件は、3年前の川崎(中央交流ゴールデンフラワー賞・1着)で既に経験済み。スタートが良すぎて思わず先行してしまう近走のレースぶりを思えば、思い通りの位置取りで立ち回れそうな中距離戦というのも、案外と悪くないのかもしれない。
JRA勢の大駒が回避した結果、昨年の覇者ボンネビルレコードに、船橋のフリオーソと地の利を生かせる南関ゆかりの猛者たちが人気を集めると思われる今年の一戦。G1初挑戦となるオフィサーにとって相手は強いが、ひょんなことから出走可能になった幸運も味方につけ、全力で強敵にぶつかってほしい。

6月 20, 2008 ひとくち馬主日記 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008/06/15

【エプソムC】サンデー系の受難は今年も続くのか

Fast_rock_at_fuchu_s土曜日の朝、岩手・宮城の両県で震度6強を記録した地震には、ほんとうに驚かされた。被害を受けた地域の皆様には、心からお見舞いを申し上げます。
こんな時に不謹慎との誹りを受けそうだが、1ファンとしてやはり気がかりなのは、岩手競馬への影響だ。震源に近い水沢競馬場では、地震当日の土曜日も平常通り場外発売が行われた模様であり、まずは一安心といったところだが、先行きは予断を許さない。開催中の盛岡への競走馬の輸送や、馬券の売上に何らかの影響が及ぶことは必至だろう。水沢に生活拠点を置く厩舎関係者や騎手にとっても、不安のなかでレースを強いられる辛い開催になりそうだ。だが、こんなときだからこそ、被災地の方々を元気づけるような熱戦を期待したい。遠く府中の杜から、エールを送ります。

さて、東京競馬はいよいよ春開催のフィナーレ。メイン競走にはG3の重賞・エプソムCが組まれている。このレースは、知る人ぞ知るサンデーサイレンス系種牡馬の鬼門というべき一戦だ。
コース改修が施された03年以降、エプソムCに出走したサンデー系産駒の成績を改めて確認してみると「0-0-2-25」。サンデー直子だけでなく、フジキセキやダンスインザダーク産駒のような孫の世代も含め、まだ1頭も連に絡めていないことに改めて驚かされる。
この事実が何を意味しているのか?といえば、まず第1に開催後半・しかも雨の影響を受けることが多い季節ゆえに芝コースの傷みが確実に進行しているということ。そして、そのような馬場コンディションゆえ、毎年のように上がりの速さを要求されない我慢比べのような競馬が繰り返されているということだ。
良馬場で競馬が行われる今年も、果たして昨年までと同様に、サンデー受難の結果が繰り返されるのか?その見極めが、レースの行方を占ううえでの最大のポイントと言えるだろう。

そんな視点から、今シーズンの府中・春開催の芝コースの推移を振り返ってみると、前半戦こそ、コース取りや脚質を問わない中立的なレースが多かったものの、NHKマイルCの頃から露骨にイン有利の傾向が表面化してきたことに注意を要する。先週の日曜10レース・湘南Sが終了した直後の武豊騎手のコメントを拝借していうと、「外を回しても伸びない変な馬場」。それでいて、良馬場になると、かなり速い決着時計が記録される。開催後半=内が荒れて外が伸びる、時計の掛かる馬場というセオリーからすると、まさしく正反対の傾向が表れているわけだが、こんなコンディションのなかで活躍している競走馬の血統背景を確認してみると、実は、例年とあまり差がないことがわかる。ノーザンダンサーに代表される芝のパワー血統や、ダート競馬向きの系統が活躍しているのだ。

例えば、土曜10レースのエーデルワイス賞(3歳・芝千六)では、ノーザンダンサー系(タケショウオージ・ロードニュースター)がワンツーを独占。3着にも母父ノーザンのマイネルファルケが粘ったわけだが、ノーザン系優位の傾向は、実は昨年の同レースと共通している。また、土曜・最終レース(稲村ヶ崎特別・芝二千)では、スペシャルウィーク産駒のエルソルダードが優勝したが、この馬自身、父の産駒らしくなく530キロ台の大型馬で、瞬発力よりも持続力こそが持ち味というタイプ。昨年のこのレースで勝利したソリッドスライダー(バブルガムフェロー産駒)も、同じような持続力型だった。さらに稲村ヶ崎特別の3着には、去年も今年もミスプロ系種牡馬の産駒が食い込んでいるのも、両年の馬場が近似した状態にあることの傍証と言えないだろうか?
このように土曜競馬の傾向からは、今シーズンも開催末の芝の状態が、瞬発力型のサンデーにとって、決して有利な状態ではないことが推測できる。上がりの鋭さよりも、我慢強さ。さらには有利といえる内目のコース取りを選択できる脚質を重視して、上位候補を絞り込んでいきたい。

<結論>
◎ファストロック
○ブライトトゥモロー
▲ヒカルオオゾラ
△マイネルキッズ
×イクスキューズ
×ダブルティンパニー
×トーホウアラン
×サンライズマックス

とんとん拍子でオープンに登り詰めてきた藤沢和雄厩舎の上がり馬ファストロックの先行力に期待してみる。血統表には父方にも母方にもノーザン系が一杯で、母の父にはブラッシンググルーム系のナシュワン。持ち時計の短縮という宿題はあるけれど、開催後半の荒れた芝への適性が高そうだ。黙っていれば次開催以降、降級の恩恵に預かれるのに、敢えて安藤勝己を鞍上に起用してきたことにも注目したい。ちなみに、同馬は当ブログ管理人が会員になっている広尾TCの所属馬だが、残念ながらこの馬に関して、自分は一口も権利を持っていません。贔屓目無しの純然たる予想です。
これに続くのが、昨年の2着馬ブライトトゥモロー。ほぼ全馬が上がり33秒台で駆けた新潟大賞典では力を出し切れなかったが、瞬発力から持続力へと重視される要素が変わる条件変更で変わり身を期待できるだろう。
人気のヒカルオオゾラは、サンデー系・マンハッタンカフェの産駒。前走で示した時計の速いマイル戦への対応力は、同馬が単なる瞬発力型でないことを裏付けているが、不安材料は鞍上のスイッチ。秋山騎手やペリエとのコンビでは好位からレースを進めることが多いこの馬の手綱を武豊騎手が取ったとき、過去2回はいずれも控える策を選択している。常識的にはトップジョッキーへの乗り替わりで勝負なのかもしれないが、こと今回に限っては、ラチ沿い付近の有利なコース取りへと各馬が殺到するなかで、タメ殺しのリスクが怖い。
以下では東京巧者のマイネルキッズ。府中冬開催から久々の登場となるが、過去5年、前走から10週以上の間隔を取って出走してきた馬の好走例が少ない一戦だけに、仕上がりの具合を慎重に確認する必要がありそう。

キルトクールは、ドリーミーオペラ。オペラハウスの直子で、ヨーロッパタイプのノーザン系だが、時計の速い今の府中では少し鈍重すぎる印象をぬぐえない。時計の速い良馬場での持ち時計が致命的に不足している。

6月 15, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/06/08

【安田記念】屋根から考える香港勢の取捨選択

Good_baba_2007グッドババ(好爺爺)アルマダ(好利威)、そして一昨年の覇者ブリッシュラック(牛精福星)。今年も香港から3頭の刺客が襲来し、2か国対抗戦の様相が色濃くなった安田記念だが、これら香港勢の取捨を抜きにして、レースの行方を占うことはできない。身も蓋もなく、いきなり結論から先に書いてしまうが、今年に関しては「取」の選択をすべきというのが、当ブログの下した結論だ。
注目すべきポイントの第1は、前哨戦チャンピオンズマイルの走破時計。このレースで1分33秒台の走破時計を記録し上位入線していた馬なら、近年の安田記念では凡走例が無いという事実だ。今年のレースは、1着のグッドババが1分33秒5、2着アルマダも1分33秒7。2頭が基準をクリアしている。
第2のポイントは、手綱を取る騎手がいったい誰かということ。過去5年の香港馬に関するデータを洗い直してみると、この点については面白い傾向が出ていて、前走からの騎手乗り替わりで安田記念に参戦してきた香港馬はハッキリと「」、前走と同じ騎手を配してきた場合は「」という選択が、正解であることがわかる。

■香港馬 騎手乗り替わり別成績(03年~07年)
 騎手乗り替わりで参戦 0-0-1-6
 前走と同一騎手で参戦 1-0-1-2(うち4着1回)

香港サイドの視点に立ってみるなら、重い芝で右回り・平坦のシャティン競馬場から、軽めの芝で左回り、直線には坂も設けられた府中コースに舞台が替わるのは、かなり劇的な条件変化。地元開催とは何から何まで勝手が違う海外遠征で、乗り慣れた鞍上までスイッチしてしまうのは、馬にとっても決してプラスの材料とはいえないだろう。例えば、昨年の安田記念当時のグッドババは、前走チャンピオンズマイルで手綱を取っていた主戦のドゥルーズ騎手から、サンマルタン騎手への乗り替わりで参戦していたが、結果は7着。名手への鞍上スイッチといえど、それが必ずしも良策と言い難いことは、この着順が証明している。
また、国際レースの大舞台だけに、騎手の技量・経験もやはり重要。一昨年、他馬への走行妨害・迷惑騎乗で顰蹙を買ったザデュークのダン騎手のような輩の参戦は、やはり勘弁してもらいたいところだ。その点、今年の香港勢の顔ぶれは心強い。
アルマダに騎乗するのは、日本でも実績のある香港トップジョッキーD.ホワイト、グッドババは主戦のドゥルーズ騎手とのコンビで再来日を果たしてきた。両馬とも前走・香港マイルと同じジョッキーが手綱を取るのが強調材料といえるだろう。ブリッシュラックには、前走のモッセから乗り替わりになるとはいえ、一昨年の優勝時にも手綱を取ったB.プレブルが配されている。
これら各騎手の近況を知るうえでは、香港賽馬会が公開しているのリーディング騎手ランキングが参考になる。

■香港リーディング騎手ランキング 2008/06/05
Jockeys_ranking_of_hong_kongデータは、香港賽馬会公式サイトより引用

ホワイト・プレブルは第1位と2位の座を分け合い、ドゥルーズは第7位。今回が初来日となるグッドババの鞍上の戦績がやや低調か?という印象を受けるけれど、昨シーズンには67勝を挙げてリーディング第3位の実績を残しているので、その技量に不足はない。過去の仏2000ギニーやオークスを制した実績も残している。この3人、岩手競馬に例えて言うなら、菅原勲・小林俊彦の両3000勝ジョッキーに加えて、若手のエース・村上忍が3人まとめて参戦してくるようなもので、それだけでも馬券的には軽視できないと言うべきだろう。
マイル王・ダイワメジャーが現役を去った後、いまだ混迷ムードが続くわが国のマイル戦線。果たして強力な鞍上を配して安田記念を本気で獲りに来ている香港勢に対応できるかどうか?今年に関しては、本気度の高い香港勢に一日の長があるのではないか?という気がする。

<結論>
◎アルマダ(好利威)
○グッドババ(好爺爺)
▲スズカフェニックス(鈴鹿鳳凰)
△スーパーホーネット(超級黄蜂)
×ウオッカ(伏特加)
注ブリッシュラック(牛精福星)
注エアシェイディ(気亜快駒)
注オーシャンエイプス(海猿)

例年にも増して本気度の高いチャンピオンズマイル1・2着馬によるワンツー再現が有力と考える。前走で優勝したグッドババよりも、2着のアルマダを上位を見立たのは、鞍上(ホワイト)調教師(香港リーディングトレーナー・サイズ師)の技量を重視してのジャッジ。グッドババとの対戦成績が3戦3敗、初来日で初の左周り出走という情報が懸念されているせいか?単勝5倍台の支持を集めるグッドババとは対照的に、アルマダは単勝23倍台の低評価となっているが、両者の力関係にそれほどの差はない。左回りへの対応に関しても、サイズ師がこのようなコメントを残している。

Size has been more than happy with Armada's preparation in Japan. He says Armada won't have any trouble adjusting to anti-clockwise way of racing and believes his six-year-old is capable of finding some improvement on his run in the Champions Mile when second to Good Ba Ba.

「サイズ師は、日本でのアルマダの仕上がりに満足している。左回りコースへの対応にも何ら問題はなさそうで、グッドババの2着となった前走チャンピオンズマイル当時よりも、上積みがあると、6歳の同馬に信頼を寄せている。」
(英文は香港賽馬会公式サイトより引用、超訳は当ブログ管理人)

良馬場だった土曜の東京芝コースでのレースを振り返ってみても、大外一気の差しに賭ける器用なタイプよりも、一歩先に抜け出せる器用さを備えた競走馬のほうが有利であることは明白。外目16番枠からの発走でも、名手ホワイトの手綱捌き込みでアルマダを首位候補の筆頭と評価したい。

日本勢では、距離千四の京王杯を完勝しているスーパーホーネットよりも、スズカフェニックスを上位に評価。後方待機なら上がり32秒台の決め手も繰り出せる同馬が、中団の位置につけたとき、果たしてどれほどの脚が使えるのか?まだ未知数な部分は残るが、千二~千六の路線で常に馬券圏内に食い込んできた安定味を買いたい。以下では、ウオッカも前走より馬体重が増えているようなら、府中コースへの適性から軽視できない。穴で、素質馬オーシャンエイプスなどの馬券も少々。

キルトクールは案外と難しいが、大外枠のドリームジャーニーを指名。一瞬のキレで勝負するカミソリタイプがこの大外枠。道中のタメを効かせるのが難しいうえに、府中の直線も少し長すぎるように思える。

6月 8, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (2) | トラックバック (6)

2008/06/01

【日本ダービー】皐月賞組はそんなにダメなのか?

Black_shell_at_nhk_mile_c_08主役不在。そんな頼りない形容こそが相応しく思えた今年の牡馬クラシック戦線も、同世代の頂点を決める大一番を前にして、ようやく有力各馬の勢力図のようなものが浮き彫りになってきたように思える。
ターニングポイントとなったレースは、3月の阪神・芝外回り千八で争われた毎日杯(G3)だ。1着馬の走破時計(1分46秒0)が良馬場を考慮に入れても優秀な水準で、高レベルと評されてきた重賞だったが、このレースの上位2頭が次走で示したパフォーマンスが、何と言っても圧巻だった。勝ち馬ディープスカイは、NHKマイルカップ(JpnⅠ)に矛先を向けると、桁外れの決め手を発揮し後続を圧倒。2着アドマイヤコマンドも、次走の青葉賞であっさりと勝利をおさめ、ダービーの優先出走権を手にしている。毎日杯といえば、失礼ながらクラシックの裏街道という位置づけがお似合いの地味な重賞競走。そこで上位を占めた馬たちが、およそ2ヶ月後のダービーを前にして一躍主役候補として脚光を浴びることになるとは、その時点でいったい誰が予想し得ただろう?
ダート無敗からの挑戦が話題のサクセスブロッケンも含め、どうしても別路線組に注目がが集まりがちになるのは、本来なら主役を張るべき皐月賞組の頼りなさに起因した現象とも言えるのかもしれない。その皐月賞といえば、逃げた馬を後続が捕まえきれぬまま、上位各馬が団子状態でゴールに流れ込んだ単調な展開。勝馬の走破時計も2分1秒台後半と平凡な水準だった。レースを振り返ってみても、各馬ともダービーに向けて巻き返しを期待できそうな材料が乏しく、おまけに勝ったキャプテントゥーレも骨折で戦線離脱を余儀なくされる始末。皐月賞組と別路線組・・・・両者の比較では、どうしても勢いに勝る後者に軍配を上げたくなる。
だが、皐月賞出走組が、3歳春の時点で同世代トップクラスの能力・実績を有する競走馬であるという構図そのものは、例年も今年も変わらない。その事実を軽く見るべきではないだろう。

例えば皐月賞16番人気で13着だったベンチャーナイン。皐月賞で見せ場すら作れなかった同馬が、次走プリンシパルSで相手関係がちょっと弱化すると、「闘ってきた相手が違うっ!」と言わんばかりのレースぶりで圧勝を収めてしまう。NHKマイルカップでディープスカイに渋太く食いさがって2着したブラックシェルにしても事情は同じ。要するに。時計のかかる馬場状態だった中山・芝二千という少しトリッキーな条件下で力を出し切れなかったタイプが、広々とした東京コースに替わって、一転して本領を発揮してくる可能性があるということ。そんなタイプなら、ダービーでも警戒は怠れない。

過去のレースデータに目を転じてみると、03年の東京コース改修以降、ダービーにおける前走レース別勝利数は、皐月賞組が3勝NHKマイルC、桜花賞が各1勝となっている。やはり皐月賞を筆頭にして、前走G1(JpnⅠ)で実績を積んできた組が優勢であり、青葉賞や京都新聞杯のG2組では2着までが精一杯といったところだ。
さらに、前々走にまで検索対象を広げてみると、今年と同様に別路線組が優勢と見られた04年(優勝馬キングカメハメハ)に2着したハーツクライは、前走・京都新聞杯組ながら2走前には皐月賞出走という経歴の持ち主だった。さらに昨年2着のアサクサキングス(皐月賞→NHKマイルCからダービー出走)もカウントするなら、前走・前々走で皐月賞に出走していた馬は、5年で1着3回・2着2回・3着4回の好成績を残していることがわかる。過去10年を遡ってみても、皐月賞出走馬が連に絡まなかったという年は1回もなく、別路線組がかなり強力な年であっても、やはり皐月賞組を抜きにしたワンツー決着というのは、あり得ない
毎日杯、青葉賞、NHKマイルC。さらにはダート路線も含め、王道路線以外のステップに注目が集中するようなら、むしろ積極的に皐月賞組を狙い打つという馬券作戦も成立する余地がある。ひょっとして、人気低落傾向の皐月賞組が、JRAプレミアムによる配当付加価値プラスアルファの高配を運んでくれるのかもしれない。

<結論>
◎ブラックシェル
○ディープスカイ
▲タケミカヅチ
△レインボーペガサス
×マイネルチャールズ
×ベンチャーナイン
×アドマイヤコマンド
注クリスタルウイング
注モンテクリスエス

日曜日には天候回復が見込まれるとはいえ、前日に一度は不良まで渋化した芝コース。おそらくダービー発走時の馬場状態は、同様に雨の影響を受けていたNHKマイルカップと同じか、それより少し乾いているか?といったところ。パンパンの良馬場での瞬発力比べというより、パワーや持続力の優劣が問われる競馬になるのだろう。馬場の内側から乾燥が進むことを考えれば、安全運転で外を回すより、ラチ沿いから抜け出すコース取りを選択した馬に一日の長がありそうだ。

そんな条件設定なら、まさしくNHKマイルの再現が有望ということになる。だが、当時のディープスカイは、4角で全馬が大きく外を回していくなかで、迷わず内へと舵を切り一気にワープ。労せずして先行勢との着差を縮小できたのが大きかった。雨上がりなら内有利という傾向が各騎手の頭脳にしっかりとインプットされている今回は、そう簡単に前がぽっかりと開く展開にもなるまい。それならむしろ、内で密集する馬群の真ん中あるいは少し外を通って抜け出した方が、ゴールへの近道になるという可能性がある。

対するブラックシェルは、前走忙しい距離で4角4~5番手、直線坂の途中で早めに先頭に立つという積極策。結果、馬体を併せてきたディープスカイとの加速競走で適性の差を露呈してしまった感があるけれど、瞬時のギアチェンジが効かないクロフネ産駒だけに、あの戦法は大正解だった。前走から800メートル長い距離を走る今回、前走と同様の策を取ってセフティーリードを奪ってしまえば、距離適性の差でディープスカイを逆転できる可能性がある。再び同馬の手綱を取る武豊騎手は、当ブログがこんなエントリを公開した途端、それに反発するかのようにクレバーな好騎乗を連発。渋った馬場状態のコース取りの巧さなら、現役騎手の中でも、やはりこの名手の右に出る者はいない。

以下では、東京コース替わりで前進を見込めそうな、皐月賞組2頭(タケミカヅチ、レインボーペガサス)を連下にマーク。マイネルチャールズなども、府中向きという印象はないけれど、これまで世代を牽引してきた実績を侮れない。息の長い末脚で、ひょっとしたら3着候補筆頭なのかもしれないベンチャーナインと青葉賞組も少々。

キルトクールは、無敗のダート王・サクセスブロッケンクロフネゴールドアリュール、そしてアドマイヤドン。後に国内トップクラスの戦績を残すことになる歴代ダート王たちが、ダービーで健闘しつつも馬券の対象に食い込むまでに至らなかったことを思えば、この異種格闘技戦を制することが如何に困難なことか、実感をもって理解できるだろう。

6月 1, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (3)