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2008/05/25

【オークス】桜花賞凡走から巻き返せる条件とは?

Black_emblem_at_oka_shoウオッカダイワスカーレット、そしてベッラレイア。世代を牽引する強い牝馬が次々と現れ、豊作の印象が強かった昨年の3歳世代とは対照的に、今年は牝馬クラシック第2弾の時季を迎えても、いまだに主役候補が不在。依然として、混戦ムードの解消される気配が見えない。桜花賞は、3連単700万円の超・高額配当が飛び出す大波乱。上位人に支持されていたトライアル上位組が揃って凡走する一方で、単勝2桁人気の伏兵が3頭も掲示板に載るという不可解な結果に終わった。だが、その着順は能力よりも、展開やコース取りによるマギレを色濃く反映した感があり、距離が八百メートルも伸びるオークスで、そのまま参考にできるとは思えない。
とはいえ、過去10年のレースを振り返ってみれば、前走・桜花賞出走組は、オークスでも7頭の優勝馬と8頭の2着馬を輩出している。何だかんだ言っても、頭から桜花賞組を無視したオークスの予想というのもあり得ないだろう。前走・桜花賞組の取捨選択。それが、オークス予想の最重要ポイントであることは、今も昔も変わらない。
厄介なのは、前走・桜花賞上位組だけではなく、凡走組の巻き返しにも警戒を怠れないということだ。過去10年のオークス上位馬には、桜花賞で掲示板を外していながら、府中の二千四百で突如として復活を遂げ、波乱の立役者になった気まぐれな牝馬が少なからず存在している。最近では06年のフサイチパンドラ(桜花賞14着→オークス2着)がその典型例。もう少し前の時代に遡ってみれば、ダイワエルシエーロ(桜花賞7着→オークス1着)やスマイルトゥモロー(桜花賞6着→オークス1着)の名を、歴代優勝馬のなかに見つけることができる。

桜花賞で6着以下からオークスで3着以内に巻き返してきた競走馬は、過去10年に9頭を数えるが、これら各馬の戦歴を振り返ってみると、面白い共通項があることに気がつく。桜花賞の1走前、すなわち前々走で関東圏の牝馬重賞・クイーンカップまたはフラワーカップに出走し連対実績を残していた馬が、9頭のうち8頭を占めているのだ。前述した各馬を例にとるなら、フサイチパンドラはフラワーCの2着馬。ダイワエルシエーロとスマイルトゥモローは、その年のクイーンC・フラワーCでそれぞれ優勝を飾っていた。
この傾向の真偽を確かめるため、今度は、前々走クイーンCまたはフラワーCで連対し、前走桜花賞で6着以下に敗れた馬たちのオークスの着順をすべてチェックしてみた(過去10年)。すると、前々走クイーンC連対組の戦績は「2-1-0-2」、フラワーC連対組の場合は「1-1-2-1」。両者を合算すると「3-2-2-3」。連対率50%・3着内率70%と驚異的なアベレージで復活を記録していることがわかった。データの中には4着以下でも、桜花賞7着からオークスで3着テイエムオーシャンとクビ差の接戦(4着)を演じたサクセスストレイン(クイーンC優勝馬)なども含まれていたりする。レース内容まで吟味するなら、前々走クイーンC・フラワーCの好走馬には、かなりの確率で復活を期待できる素地があるというべきだろう。
一方、それとは対照的に、同じ桜花賞凡走組でも前々走で関東2重賞以外のステップを踏んできた馬たちのオークス成績は「0-1-0-15」と、散々たる有様であった。チューリップ賞やフィリーズレビューなど、桜花賞トライアルのメインストリームを歩んできながら、本番で掲示板を外すという失態を演じたエリート牝馬たち。残念ながら彼女たちにとって、オークスでの名誉挽回の可能性は、殆ど残されていないと言わざるを得ない。

桜花賞凡走組を狙うなら、関東馬・関西馬を問わず、前々走の関東牝馬重賞で好走歴を重視。それ以外の桜花賞凡走組は、思い切って軽視すべきこと。どこからでも馬券を買えそうな一戦だけに、過去10年のデータから導き出された傾向と対策を頼りに、有力各馬の取捨選択を進めてみるのも一興だろう。今年のオークスにも、そんなデータの裏付けから復活を想定できそうな出走馬がエントリーしている。

<結論>
◎ブラックエンブレム
○リトルアマポーラ
▲レッドアゲート
△レジネッタ
×ソーマジック
×スペルバインド
×アドマキャンドル
×シャランジュ

前々走・フラワーCで折り合い不安を露呈しながらレッドアゲートの追撃を封じて優勝。前走・桜花賞では出遅れて10着に終わったブレックエンブレムの復活を期待できそうだ。
栗東に滞在し直前追い切りを消化しないまま本番に臨んだ前走の調整過程は、様々な憶測を呼んだけれど、その間の事情については、小島茂之厩舎の本音(公式ブログ)さんのエントリで詳細が明らかにされている。このようなインサイドレポートが、当事者の立場から公開されたこと自体、素晴らしい出来事であり、大いに拍手を送りたいと思う。直前のエントリでも「ブラック自身もこれだけやって胸を張って出走できるのは、ある意味初めて。トライアルに出走したメンバーなどに過去に負かした馬も多く、その物差しからも負けてはいないはず。」と小島師自身が、かなりの手応えを感じている様子。巷間囁かれている折り合い不安は、スマイルトゥモローやフサイチパンドラにも指摘されていたこと。その脚質から渋った馬場にも対応できる可能性は高く、桜花賞凡走からの巻き返しに向けて、好材料は少なくない。

リトルアマポーラは桜花賞5着といっても、辛うじて掲示板に間に合った印象。ならばクイーンS好走・桜花賞凡走のパターンから、今回は巻き返しの可能性が濃厚だろう。500万下と京成杯で道悪競馬の好走歴を残していることが心強い。大外枠発走も馬場の良い外目を選んで追走できることを思えば、悪くない条件というべきだろう。
以下では、前走で馬が変わった感のあるレッドアゲート。全身が冬毛に覆われていてまだ完調手前と思われた2月の東京・芝二千四で2分26秒4の好時計を記録しており、例年の水準に照らしてみれば、上位候補の一角を占めることは明白だ。桜花賞馬レジネッタも、兄弟(アエローザ)の戦歴から距離延長に不安は感じられず、マークを欠かせない有力候補の1頭と考える。

キルトクールは、武豊マイネレーツェル。前走桜花賞凡走・前々走フィリーズレビュー組は、過去10年「0-0-0-5」と全くの不振。府中の芝・高額条件で信頼を置けない鞍上の近況込みで消しの評価が妥当と思われる。

5月 25, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (3) | トラックバック (3)

2008/05/18

【ヴィクトリアM】天才・武豊に死角あり

Take_yutaka_with_faridat最近、職場の宴席で「JRAのG1レースで儲ける秘訣」というのが、ちょっと話題になったことがある。話題を持ち出した某氏曰く、「1番人気の武豊を蹴飛ばして買う」というのがその秘訣らしい。いかにも穴党らしいシンプルな馬券術なのだが、なかなかどうして、これが効果テキメンなのだそうだ。
そう言われてみると、当ブログ管理人も、最近のG1レースでは武豊騎手との相性があまりよくない。この1年間、ブログで公開したJRA・G1(Jpn1を含む)の予想エントリのうち、武豊騎乗馬を本命にしたことが6回あったが、その成績は「1-0-0-5」と目を覆うばかりの惨状を呈している。絶望的な相性の悪さには天を仰ぐばかりだが、自分の馬券を紙くずに変えたこれら6頭の本命馬は、当時いずれも1~2番人気に支持されるのが当然と思われていた実力馬ばかり。それぞれに敗因があるとはいえ、3着にすら食い込めず敗退しているようでは、昨年の秋天当時、武騎手が優勝インタビューで飛ばしたジョーク「国民の信頼に応える」も悪い冗談だったように思えてくる。どうやらこの問題、単に相性の善し悪しだけで片付けてよいことではなさそうだ。

1987年のデビュー以来、20年以上の長きにわたり天才騎手の名をほしいままにして、中央競馬のトップに君臨してきた武豊も、来年には不惑を迎えるお年頃。全盛時との比較で身体能力に衰えが無いといえば、やはり嘘になるだろう。05年の年末には、ディープインパクトという最良のパートナーが引退。そして昨年になると、アドマイヤ軍団との訣別や関西競馬界におけるエージェントたちの勢力図の変動など、不都合な話題もちらほらと聞こえるようになってきた。
とはいえ天才は死なず。今シーズンも既に60勝以上をマークし、全国リーディング首位の座をがっちりキープしている。表面的な数字を見ている限り、武豊は、まだまだ競馬ファンの信頼を裏切っているとは思えない。
そこで、もう少しデータを掘り下げ、武豊騎手が騎乗したJRA・芝の重賞競走で、07年以降それ以前の3年間(04~06年)における戦いぶりを比較してみることにした。両期間の脚質別・戦績比較データである。

なお、04年~06年はディープインパクトの現役時代にあたるが、重賞だけで10勝を挙げている、この突出した怪物の戦績(10-1-0-0)だけは除いて考えたほうが、騎手・武豊の真相に迫れるのではないかと思い、今回の集計対象から除外したことを、お断りしておく。

Take20042006



Take20072008








07年以降の最近の重賞では、合計の勝率・連対率が、ともに10%近くも低下している。アドマイヤと袂を分かったことなどで騎乗馬の質が低下したとも考えられるが、ちょっと見過ごせない数値である。脚質別にみると、先行した場合の連対率、差しに回ったときの勝率・連対率の低下がやはり気になる。差しても追い込んでも馬券になる寸前で届かない・・・・・この騎手をめぐってファンの間でよく囁かれる「タメ殺し」の現象が、芝の重賞レースで顕著になってきているということだろうか?

武豊=タメ殺し説を、別の角度から検証してみよう。
04年~06年当時の芝・重賞の武豊騎乗馬(ディープインパクトを除く)が出走馬中、上がり3ハロン第1位をマークしたときの勝率が67%、連対率は79%。3着内率なら88%。何と9割近くの馬を馬券圏内に導くという驚異的な成績を残している。タメにタメてお手馬の決め手を引き出し、ファンの信頼に応える。まさしく天才騎手の真骨頂というべき技量の高さを表現した数値というべきだろう。
ところが、07年シーズン以降の芝・重賞で同じデータを検索してみると、勝率26%、連対率53%、3着内率66%とその信頼度が著しく低下している。例えば、土曜日のメイン・京王杯スプリングカップのスズカフェニックスのように、何とか3着に食い込んで面目を施したものの、勝馬には到底及ばない。2着の伏兵にも足下をすくわれてしまう。そんな競馬を、天才騎手が最近の重賞レースでずっと繰り返していることが、数字の上でも証明されてしまった感がある。

さらにデータを追加すると、直線の長い東京コースの芝重賞では、07年以降の勝率・連対率がともに18%。それ以前の3年間で28%の連対率を記録していることと比較すれば、タメ殺し現象の出現は府中の芝でより顕著になっていることが伺える。そもそも東京・芝の重賞レースでは、武豊騎乗馬が上がり3ハロン第1位を記録するケース自体が少なくなった(07年以降、スズカフェニックスで2度記録しているのみ)。タメ殺し以前に、お手馬の決め手を引き出すことに失敗した不完全燃焼の競馬ばかりが増えていることが、心配されるのだ。
前半の位置取りやペース判断に関する判断ミスか?それとも、体力的に馬を追い続けるのが辛くなってきているのか?その真相は神のみぞ知るといったところだが、もはや府中の芝・重賞では、天才・武豊も普通の騎手とさほど違わないと考えた方がよいのかもしれない。

牝馬同士なら負けられない」と必勝の構えでヴィクトリアマイルに参戦するウオッカといえど、武豊騎手の手綱に全幅の信頼は寄せられないことを心しておく必要がある。一昨年の北村宏、昨年の松岡。過去2年のレースでは、関東の若手・中堅どころが乾坤一擲の手綱捌きをみせ、見事に栄光を勝ち取ったことを思えば、昔の名前で出ているベテラン騎手よりも、日の出の勢いに乗る若武者にこそ、勝利の女神は微笑むのではないかという予感がする。

<結論>
◎ニシノマナムスメ
○ブルーメンブラット
▲ウオッカ
△ジョリーダンス
×ベッラレイア
×エイジアンウインズ
×パーフェクトジョイ
×マイネカンナ
×トウカイオスカー

先週時点で関東リーディング8位。いまやすっかりトップ騎手の仲間入りを果たした感のある吉田隼人騎手が手綱を取るニシノマナムスメを狙ってみる。武豊騎手からの乗り替わりで初コンビを結成したのが、前走・阪神のマイラーズC。良血とはいえ、牡馬混合のG2戦では一介の伏兵に過ぎなかったこの馬を、首位カンパニーとクビ差の接戦にまで持ち込んだ隼人騎手の手綱さばきが光った。マナムスメ自身も、3歳春当時ウオッカに子供扱いされていたことを思い出せば、いまや全く別馬と思えるほどの充実ぶり。人馬とも勢いに乗って初のG1制覇に王手をかける。
相手筆頭は、ブルーメンブラット。千四ベストの印象だが、併せ馬の形でなくても1頭だけでグンと伸びてくる逞しさがあるので、距離延長は問題ないだろう。鞍上の後藤騎手も、土曜日は8レースの落馬を全く問題にせず、10レース・12レースで勝利を奪取、メインレースでも大逃げを打つなど絶好調だ。直線坂の半ば、内で密集する馬群を捌いて抜け出す格好に持ち込めば、首位の可能性もありうる。
これらと対照的に人馬とも近走精彩を欠くウオッカは、3番手の評価。それならむしろ、前走阪神の直線で真剣に追っていなかった安藤勝己のジョリーダンスのほうが、府中マイルへの高い相性があり、面白い存在かもしれない。ベッラレイアの秋山騎手は、馬券的に信頼できる乗り手だが、この大一番ではまだ修行が不足しているかも。

キルトクールは、ローブデコルテ。この距離への適性はありそうだが、前走がちょっと負けすぎの感。鞍上・福永祐一騎手も、今シーズンは関西リーディングで若手の藤岡佑介や浜中俊の後塵を拝するなど、ちょっと勢いを欠いている印象を受ける。

5月 18, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (2) | トラックバック (2)

2008/05/13

【愛馬追悼】悲しい別れは突然に

Scepteredセプタード(当ブログひとくち出資馬)
父  Dubai Destination
母父 Nashwan
栗東・平田修厩舎 広尾TC所属
通算成績0-1-0-6
5月11日京都第1レース
9着で入線後、故障により予後不良
(写真は広尾TC公式サイトより転載しました)

日曜京都・朝イチのダート未勝利戦。待望の初勝利をめざしエントリーしていた愛馬が9着に敗退したというレース結果は、この日の朝、東京競馬場に出かける時点で知っていたし、鞍上の小牧太騎手が負傷しそれ以降のレースで乗り替わっていたことも、場内アナウンスで何度か耳にしていた。しかし、実際のレース映像を目のあたりにしたのは、日曜の夜、自宅にたどりついてからのこと。
左前球節部の開放もしくは粉砕骨折発症による予後不良・・・・・。直線で力尽き、後退を強いられたとはいえ、それでも先頭から9番目にゴール板を駆け抜けた愛馬が、その直後にまさか生命にかかわる程のアクシデントに見舞われるとは、全く思いも寄らない出来事だった。率直にいうなら、悲しいというより、今でも信じられない思いで天を仰ぐばかりである。
ゴール後、転倒した愛馬から投げ出され負傷した小牧騎手によるなら、同馬に異変が生じたのは、ゴールの手前で既に手応えを失ってからのこと。直線入口で内・外の両馬から挟まれる格好になり、一瞬身体を捻るような不自然な体勢を強いられたことは映像でも確認できるが、どうやらそれが直接の原因ということでもないようだ。

城崎哲氏の著作「コースの鬼」新書版によるなら、最近の競馬における出走馬の故障率は、芝で1.1~1.2%、ダートなら1.4%であるという。すなわち競走馬が100回レースに出走するなら、そのうち1~2回は何らかの事故に遭遇するリスクがあり、さらに運が悪ければ競走能力もしくは生命を奪われる事態にも見舞われる。誰のせいでもないけれど、それが競馬というジャンルの宿命。わずか500分の1口の出資を頼りにして愛馬のレースぶりに一喜一憂するクラブ会員であろうと、そのことを肝に銘ずべきことは当然だろう。だが、そうはいっても、無念の気持ちを抑えるのはやはり難しい。

いかにも外国産馬らしい逞しさを感じさせる筋肉で覆われたパワフルな馬体。素軽い先行力と卓越した闘争心。短い現役生活で遂に勝利を収めることはできなかったとはいえ、セプタードは、競走馬としての豊かなポテンシャルを感じさせてくれた頼もしい存在だった。最後のレース。クラブからの追悼コメントにもあるように、骨折後も力のかぎり走り続けゴール板を迎えた精神力の強さには、本当に頭が下がる思いがする。
今はただ、彼の冥福を祈るとともに、その勇姿をいつまでも心に焼き付けたいと願っている。

5月 13, 2008 ひとくち馬主日記 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008/05/11

【NHKマイルC】雨にぬれても虚心坦懐

Pink_cameo_the_winner_of_last_year何か時季的な理由でもあるのか?それとも、誰かの日頃の行いのせいか?春の3歳マイル王決定戦は、とにかく雨に縁の深い一戦である。
写真は、昨年のNHKマイル当時のパドック風景から。この数分後にあっと驚く大波乱の主役を演じることになるピンクカメオの背景には、一斉に傘の花が咲き乱れている。思い起こせば昨年のレースばかりでなく、一昨年も雨空の下での中波乱決着。そして今年も、前日朝から五月雨が降り続き、府中の芝は既に土曜の午後から稍重まで渋化している。天気予報によるなら、残念ながらこの雨は日曜夕方まで降りやみそうもない。1時間1ミリ程度の雨量自体は大したものでなくとも、パンパンの良馬場でのスピード決着は望み薄と覚悟すべきだろう。
これで3年連続して雨のなかでのレース。ならば、過去2年の競馬から何かヒントを探せないものかとも考えてみたが、どうやらその試みも無駄骨に終わってしまいそうである。馬場の内目が断然有利な状態で各馬のコース取りの巧拙が明暗を分けた06年。残り200メートルの地点でまだ後方に位置していた追込馬が大外から猛然とゴボウ抜きを決めた07年。同じコースの同じような馬場状態で行われたレースとは、とても思えない対照的な決着であり、2つのレースの間に何か共通項のようなものは見いだせなかった。

とはいえ、雨が降ってもラチ沿いのコース取りのほうが何故か有利という06年春に顕著だった現象は、それ以降の府中の芝で以前より目立たなくなっていることも事実。新書版「コースの鬼」(城崎哲氏著)によるなら、05年~06年のシーズンの府中・芝コースの向正面には、「エルトロ系」と呼ばれる地下茎の密度が通常よりも高い野芝の品種が使われていたが、06年夏以降は従来型の野芝に戻したのこと。そんな管理方法の変更が影響しているのか?昨シーズン以降の府中コースでは、内を通る先行馬の粘りもあれば、外を通る差し馬が台頭するシーンもあり。従来よりも、脚質やコース取りに関してニュートラルな傾向が強くなったように思える。
また、雨が降ると、特定の枠順や脚質の馬が有利になったり不利になったりする傾向が出ているのかといえば、それもまたニュートラル。07年冬開催以降の東京・芝千六のレースを対象に調べてみると、良馬場でも道悪(稍重~不良)でも、脚質別の連対率に殆ど変化は見られなかった。例をあげてみると、当該レースの推定上がり3ハロン第1位を記録した馬の連対率は、良馬場の場合54%道悪(稍重~不良)の場合には61%。道悪競馬になると、差し馬の決め手が殺がれ先行有利になるのでは?という先入観からすると、むしろ逆の数値が出ているわけだが、道悪での例数の少なさも考慮するなら、有意差はほとんど無いと結論づけてもよい。
レースの結果が、雨による馬場渋化の影響を受けることは間違いない。だが、それを過剰に意識しすぎると、むしろ予想の結論は、正解から遠ざかっていくように思える。
虚心坦懐。そんな心持ちで素直に、出走各馬の能力・適性を推し量りつつ、今年のNHKマイルカップを展望してみてはどうだろう。

<結論>
◎ファリダット
○ディープスカイ
▲ブラックシェル
△レッツゴーキリシマ
×サトノプログレス
×エーシンフォワード
注ダノンゴーゴー
注ドリームシグナル

前走の距離短縮で、いきなり短距離走者としての本領を発揮したファリダット。良くも悪くも母ビリーヴの資質を継承した競走馬とみているが、距離千六までなら守備範囲内。その母は現役当時に道悪での良績が無く、果たして雨の府中で前走の再現が可能かどうかが焦点になるが、ファリダット自身は回転の速いフットワークが鋭い決め手を生む原動力になっているタイプ。馬場の痛んでない外目に持ち出せば、前走以上の圧倒的パフォーマンスを発揮してくる可能性もあるだろう。
これとは対照的に、クロフネ産駒ブラックシェルは、とにかく不器用なタイプ。力感豊かな走法でも、道悪馬場がけっしてプラス材料にならないことを、前走・皐月賞で露呈してしまった感がある。活路を見いだすなら、速め先頭に立つ策からの粘り込み。その意味で、この鞍上スイッチは悪くないが、何かの目標にされてしまうリスクも否めない。ならば、鋭さは◎に譲っても、長く脚を使えるディープスカイ。高レベル決着だった毎日杯の時計の優秀さは改めて強調するまでもないが、うまく外に持ち出しエンジンに点火できれば、大跳びのフットワークでも何とかなるかもしれない。
昨年のローレルゲレイロのような戦法を取れるなら、道悪平気のレッツゴーキリシマは上位の圏内だろう。以下では、NZT上位組とその決め手を過小評価されている感のある追込馬2頭をマークしたい。
キルトクールは、男・藤田のダンツキッスイ。とにかく逃げて4角セフティーリードを奪えるかどうかがポイントだが、18番枠では序盤戦に必要以上のエネルギーを浪費してしまいそう。

5月 11, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (3) | トラックバック (2)

2008/05/04

【天皇賞・春】夢のつづきを、見に行こう。

Hokuto_sultan_2007_winter_2貴方にとって最も印象に残る最強馬とはどの馬か?競馬ファン100人に訊けば、それこそ100通りの回答が返ってきても不思議ではない、そんな質問を受けたとき、当ブログ管理人なら、迷わずその名を挙げる1頭のサラブレッドがいる。天皇賞馬・メジロマックイーン。91年、92年と春の盾2連覇の偉業を成し遂げた芦毛の怪物である。

長丁場で要求される無類のスタミナと中距離戦での俊敏なスピード。それらを絶妙のバランスで兼ね備え、勝利はすべて他馬を寄せつけぬ横綱相撲。明け6歳(現年齢表記では5歳)当時、トウカイテイオーとの世紀の対決に沸いた春天では、4角で外から迫った好敵手を一瞬にして突き放し、最強馬にふさわしい圧倒的貫禄を誇示してみせた。悠々と、涼しい顔で淀のゴール板を駆け抜けていったこの名優に対して「どんなもんだいメジロマックイーン!どんなもんだいと言ったところ!」と連呼し、惜しみない賞賛を贈った杉本清アナの名実況とともに、今でも強く印象に残るシーンである。

祖父メジロアサマ父メジロティターン、そして名優マックイーンへと受け継がれていった芦毛の父子3代天皇賞制覇の伝説。競馬歴10年以上を数えるちょっとしたオールドファンなら誰でも、伝説の継承者・4代目の登場という「」を心に描いたことがあるはずだ。だが、06年には種牡馬マックィーンもこの世を去って、JRAに在籍する現役産駒も僅かな頭数を残すばかりとなっている。今となっては、芦毛伝説継承の夢が現実になることなど、望むべくもないと思われた。
しかし、誰もが諦めかけていた時、夢の続きは静かにその幕を開ける。芦毛のマックイーン産駒・ホクトスルタン。数少ない伝説継承の有資格者が、春の天皇賞挑戦に名乗りを上げてきたのだ。

単騎先頭で4角を駆け抜け、首位からコンマ6秒差の6着に終わった菊花賞から、およそ半年ぶりの復帰戦は、中山競馬場の長丁場・サンシャインS。手綱を取った横山典騎手が「暴走気味だった」と評したとおり、前半1000メートルで11秒台のラップが4回も連続する勢いで先頭を奪ったホクトスルタンは、中盤戦で巧みにペースダウン。4角に入るやいなや一気に加速して他馬との着差を拡げていった。まさしく父を彷彿とさせるような圧勝劇。走破時計の2分33秒1は年末の有馬記念を楽に上回り、雨の影響で力の要る馬場状態だったことも想起すれば、かなり優秀な水準と評価できる。ディフェンディング王者・メイショウサムソンのスランプ突入で、混迷ムードが漂う今年の春天なら、上位候補の一角として狙える時計的裏付けは十分だ。
加えて今回は内目の枠順・4番枠からの発走。外の17番枠からの発走で、先頭に立つまでかなり脚を使っていた菊花賞との比較では、これが大きなアドバンテージになりそうな予感がする。合計で6回もコーナーを通過する京都・芝3200は、内枠有利・外枠不利がセオリー。過去10年の春天でも、12番枠より外を引いた馬は最高で2着までは来れても、優勝できないというジンクスがある。アサクサキングス・アドマイヤジュピタの有力2頭は、今回ともに桃色帽を被っての出走。ひょっとして、好走しても2着までが精一杯なのかもしれない。ならば、内枠の利を最大限生かすことができる強い逃げ馬こそが、枠順メリットを最大限享受する立場で、外の2頭を負かす最有力候補に浮上するのではないだろうか。

ホクトスルタンの手綱を取るのは、マックイーンの現役当時、好敵手ライアンの主戦騎手として名を馳せた横山典弘。これも何かの因縁だが、同騎手が距離2500を超えるレースで逃げ・先行策を取ったときの戦績(近3年)をみると、「7-10-2-12」(連対率55%)と驚異的なハイアベレージを記録している。4年前、イングランディーレの大逃走劇であっと言わせた戦略力の高さは、長丁場の大一番でこそ真価を発揮する。
芦毛伝説の継承者
が、変幻自在の先行策で他馬を翻弄・・・・そんな夢のつづきを楽しみにしながら、天皇賞春の出走時刻を待ちたい。

<結論>
◎ホクトスルタン
○アサクサキングス
▲アドマイヤモナーク
△アドマイヤジュピタ
×メイショウサムソン
×トウカイトリック
×ポップロック
×アイポッパー

長距離戦にしては前々の位置取りで立ち回りたいタイプが多く、逃げるホクトスルタンにとっては、3角の坂上あたりから後続のプレッシャーが一気に厳しくなる可能性もありうる。しかし、道中のどこかでラップを13秒台にまで落としてタメを効かせれば、父譲りの息の長い末脚が坂下からゴールまで持続するはず。勝負所の3~4角。追えども追えども、先頭との差が縮まらなければ、後続の焦りもそれだけ大きくなる。最後の1ハロンを12秒台にまとめてしまえば、栄光のゴールまであと一歩だ。
逆転候補の筆頭はやはりアサクサキングス。菊花賞当時とほぼ同じ臨戦過程に好感。アドマイヤジュピタは、例年に比べやや低調だった阪神大賞典の走破時計が気になる。ならば、内枠から息の長い末脚を使ってくる同馬主のモナークのほうを馬券的には重視していみたい。以下では、ベテランの域に差し掛かった長距離走者たちも、連下評価ならマークを欠かせない。
キルトクールは、ドリームパスポート。昨秋の復帰後5戦を消化し、重賞戦線で常に上位をうかがう所まで復調してきたが、3歳当時の勢いまでは感じられない近況なのが歯がゆい。父フジキセキ、母の父がトニービン。3000メートルを超える長距離戦では、特に強調するところがない血統背景でもある。ここでも善戦どまりの評価が無難と思えるが、果たしてどうだろう?

5月 4, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (4) | トラックバック (3)