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2008/02/24

【フェブラリーS】緩い流れで末脚自慢が台頭する

G_february_s_2008東京コースの大改修以降、これまで4回のレースが施行されてきたフェブラリーSは、そのペースによって、大きく2つのパターンに分類して考えることができる。
第1のパターンは、05年のメイショウボーラー06年のカネヒキリが優勝したレース。前半1000メートルの通過ラップが57秒秒台とかなり速く、その分、後半の600メートルでは37秒前後と時計を要す決着になった。いわゆるハイペースの前傾ラップである。
これに対し、第2のパターンとは、04年のアドマイヤドン昨年のサンライズバッカスが勝ったレース。こちらは前半1000メートル通過が58秒台後半~60秒を超えるという比較的緩い流れで、後半600メートルでは36秒前後の速い上がりを問われる展開になった。
これら各年のレースのラップを視覚化するため、折れ線グラフで表示してみよう。

February_s_lap

赤系の線で表示しているのが第1のパターン、青系が第2のパターンである。青系の線では、スタートしてから3~5ハロンのラップがゆるやかな凹状のラインを描きつつ、ペースダウンしていることがわかる。その分、スパートのタイミングは早く、6~7ハロン目(第4コーナー出口から直線坂上)の地点では、各馬が目一杯上がりの速さを競い合う展開になっていることが、グラフの形状から窺い知ることができるだろう。
興味深いのは2つのパターンにおける上位入線馬の脚質傾向の違いだ。

第1のパターン(赤系)では、逃げ・先行勢が残る傾向が現れているのに対し、第2のパターン(青系)では差し馬が優勢。昨年のレースなどでも、1着サンライズバッカス・2着ブルーコンコルド、そして3着ビッググラスと上位3頭はすべて、第4コーナーを8番手以下のポジションで通過した差し馬ばかりである。ハイペース=差し有利、スローペース=先行有利という常識に照らせば全く正反対の傾向なのだが、緩めの流れで前半のタメが効いている分、ラスト600メートルでの速い決め手が問われ、レースの上がり36秒前後を大きく凌駕する脚の有無が、勝敗の行方を左右しているということだろう。昨年の1・2着馬の推定上がりタイムを基準にするなら、第2のパターンでは35秒前後で上がってこれる脚がないと、上位入線は覚束ない。

さて、今年の一戦。芝戦線からの挑戦を表明していたダイワスカーレットが回避して、逃げ・先行勢の顔ぶれがかなり手薄になった。何が何でも前に行こうという馬は見あたらず、皐月賞馬ヴィクトリーも発馬が速いタイプではない。おそらくメイショウバトラーあたりがペースメーカーを買って出るのだろう。この馬の前走・根岸Sは、前半1000メートルの通過が58秒2。1ハロンの距離延長を考えれば、これよりペースが速くなるとは考えづらく、おそらくレースの前半戦は58秒台後半~59秒台の第2パターンの展開に落ち着く可能性が濃厚だ。となれば、ラスト600メートルでは前半に脚をタメていた差し馬たちにチャンスが回ってくる公算が大きい。決め手勝負の展開になって、直線では見応えのある叩き合いが繰り広げられることになりそうだ。

【結論】
◎ヴァーミリアン
○フィールドルージュ
▲ワイルドワンダー
△メイショウトウコン
×ロングプライド
×ブルーコンコルド

出走馬の推定上がり3ハロンに限定して、その持ち時計(過去7走分)を比較してみると、上位にリストアップされるのは、メイショウトウコン・フィールドルージュ・ロングプライド・ワイルドワンダーといったところ。このうち、スローペース(レースPCI・55以上)や脚抜きの良い高速馬場のアシストを受けたケースを除外してみると、実質的な各馬の持ち時計のランクは次の順序になる。

ロングプライド    35秒3(07年トパーズS)
ビッググラス    35秒5(07年霜月S)
ワイルドワンダー 35秒7(07年アンタレスS)
メイショウトウコン 36秒1(07年アンタレスS)
ヴァーミリアン   36秒2(07年JCダート)

Field_rouge_at_jcd_2007決め手上位と思われるフィールドルージュの名前がないが、この馬が速い上がりを記録しているレース(07年武蔵野S・フェブラリーS)はいずれも不良馬場だったため、集計対象から除外したことによる。だが、昨年の武蔵野Sなどは不良発表といっても、脚抜きの良い状態を通り越しやや時計の掛かる馬場になっていたので、そこまで検索対象を広げていくと、上がり3ハロンの持ち時計は34秒8と、一躍トップに躍り出る。最近では追い込み一辺倒の脚質から脱却し、動きたいところで動ける自在味を兼ね備えてきたこの馬。馬券の対象となる軸馬としての信頼度は、かなり高いと言うべきだろう。

Vermilion_at_jcd_2007_2問題は、ヴァーミリアンの評価だ。上がり3ハロンの持ち時計自体は、他の末脚自慢たちと比べ目立つ水準にない。だが、昨年のJCダートは、前半から11秒台のラップが連続する淀みない流れ。それを中団後方から差しきって、クロフネのレコードに迫る2分6秒台でゴールを切ったレースの内容は文句なく優秀である。上がりタイム36秒2も、見た目の数字以上の評価を与える必要があるだろう。ダート路線に矛先を転じて以降、主に2000メートル前後の距離を舞台に活躍してきた馬だけに、マイルへの距離短縮に戸惑う心配はないか?という説も囁かれるが、比較的緩めの流れが想定される今年の場合、それも杞憂に終わると考えた方がよい。馬群の中団外目で流れに乗って、直線アッサリ抜け出してくる場面が今から目に浮かんでくる。

そんなわけで、この2強のラインはかなり強力。これに根岸Sを計ったように差しきったワイルドワンダーを加えた上位3頭で平穏に決着してしまう公算が強いと思うが、さてどうだろう?1角崩しがあるなら、決め手上位のメイショウトウコン・ロングプライドあたりまで。ビッググラスは南関移籍後、かなり馬体に余裕を残した状態で出走しており、昨年の勢いを欠いている。ならば、歴戦のベテランで府中コースにも実績を残しているブルーコンコルドのほうを、連下に加えた方がよい。

キルトクールは、ドラゴンファイヤー。あくまでテレビ画面を通しての印象だが、平安S当時の気配がひと息。現状では、追い出してからの瞬時の反応に課題を残しており、肝心なところで置いてきぼりを食ってしまいそうな予感がする。

2月 24, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (5)

2008/02/17

【ダイヤモンドS】血の宿命から考えてみる

Pedigree_of_eishin_dardman前走・条件戦組の活躍」「軽ハンデの伏兵が毎年連対」「1番人気馬は不振」・・・・ダイヤモンドSの過去の戦績を紐解いてみると、思い浮かんでくるのはそんなキーワードばかりである。ひと言で括ってしまえば荒れるハンデ戦。距離三千メートル超の本格的・長距離重賞でありながら、「格」の高さよりも勢いや距離適性が勝負の行方を左右する一戦といえる。
そんなわけだから予想の立て方は難しく、当ブログ管理人もここ数年、このレースの的中馬券を手にした記憶がない。ある年は展開や枠順、またある年は騎手に注目して検討してみたものの、あれこれ試行錯誤してみても、結果は同じである。こうなったら、もう開き直るしかない。今年もまた、予想の切り口を変えて再トライしてみよう。注目するファクターは「血統」である。
東京コースがリニューアルされて以降、芝三千四百の距離で過去4回行われているこの重賞の上位馬の血統を振り返ってみると、父ダンスインザダークリアルシャダイサクラローレルエルコンドルパサーなど、芝の長距離路線の常連種牡馬たちが居並んでいる。その反面、距離三千を超える条件になると本質的に不向きと思われるサンデー直子やトニービンの産駒などは、3着以内にも食い込めておらず、なんだかんだ言っても血の宿命から免れていない。長距離路線で確かな実績を残しているステイヤー系の種牡馬を狙うこと。基本中の基本と言うべき予想のポイントがこれだ。
ところが、ひとくちにステイヤー系といっても、主観的な印象と長距離線における実際の成績が必ずしも一致していないケースがあるから難しい。

たとえば、ダンスインザダーク。最近ではマッキーマックスウイングランツといった産駒で、ダイヤモンドSを制した実績を残しているこの菊花賞馬もその例外ではない。過去5年のJRA芝・距離二四以上の父血統別成績を調べてみると、ダンスインザダークは39勝を挙げており、サンデーサイレンスに次いで第2位の勝利数を記録している。だが、連対率に目を転じてみると、その成績は14.5%に過ぎず、馬券的にけっして信頼を置ける水準とは言い難い。距離三千メートル以上に限ってみても連対率は21.8%。これではステイヤー種牡馬として、お世辞にも優れた成績とは言えないだろう。
だが、ひとくちにダンスインザダーク産駒といっても様々なタイプがいるわけで、たとえば母父との組み合わせに注目してみると、少し違う切り口が見えてくる。芝二四以上の距離で良績を残しているのは、母父リボー系のアレミロードやノーザンテーストといった組み合わせ。ミスプロ系の母父ミスワキとの組み合わせ(代表例は菊花賞馬ザッツザプレンティ)も4割を超す連対率を記録しており、悪くない感じだ。今年の出走馬でいうなら、ミスワキと同じミスタープロスペクター×バックパサーの配合によるウッドマンを母父に配したダンスインザダーク産駒エーシンダードマンが、この好走パターンに該当する。

今年出走するもう1頭のダンスインザダーク産駒コンラッドは、母父がノーザン系のヌレイエフ。こちらは対照的に、あまり良績のないパターンである(連対率14.3%)。父ダンスインザダークに限らず母父ノーザン系の競走馬は、芝二四以上の距離で好走実績を残しているのが、サドラーズウェルズの系統やノーザンテーストなど少数の例に限られるので、距離延長の条件では案外、過信禁物と言えるのかもしれない。
このような感じで、今年の出走馬のうち、長距離(芝二四以上)での好走が期待できる父×母父パターンをチェックしていったのだが、長距離戦の場合、5年分のデータでも例数が十分とはいえず、結局、確たる傾向のようなものは導き出せなかった。とはいえ、父のネームヴァリューだけに惑わされることなく、もう一歩踏み込んだどころで各馬の適性を考えてみることは、長距離レースの馬券を楽しむ上で、意外と面白いヒントを与えてくれそうだ。

【結論】
◎ブラックアルタイル
○エーシンダードマン
▲アドマイヤモナーク
△コンラッド
×ミストラルクルーズ
注マンハッタンスカイ

AJC杯でドリームパスポートを負かしに行く強気の競馬で見せ場を作ったブラックアルタイル母父スルーオゴールドは過去5年、長丁場のレースで意外と実績はないが、それでもブラックアルタイル自身が芝二四以上の距離で4度連に絡んでいる。東京コースへの適性も証明済みで充実した今なら、早めの競馬で押し切ってしまう可能性がある。
菊花賞・4着の実績が光るエーシンダードマンは、前述したとおり好走が期待できる父×母父の組み合わせ。差し一辺倒の脚質がどうか?だが、この馬も左回りコースへの適性は悪くない。
アドマイヤモナーク父ドリームウェルの産駒には、気性が煩いタイプが多い。長距離戦では折り合いが何よりもポイントになるだろう。年齢を経て落ち着きが出た同馬も、本質的には気性の課題を内包するタイプ。重いハンデの分、早めに動いていきたいところだが、仕掛け所の判断が意外と難しいのが減点材料に。
以下では、この距離への適性が未知ではあるもののコンラッド。ズブい気性で距離延長は望むところのミストラルクルーズあたりまでが圏内か?逃げるマンハッタンスカイも、ペース次第では一考の価値があるかも。
キルトクールは、チェストウイング。父スペシャルウィーク×母父トニービンの組み合わせは、芝二四以上の条件(過去5年)で24%の連対率をマーク。ただし、好走事例のほとんどが距離二四~二六のゾーンに集中しており、三千を超える条件になると、本質的に心許ない気がする。

2月 17, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2008/02/10

【共同通信杯】地獄の沙汰も馬場次第

Kyodo_tuushin_hai_2007_paddock良馬場なら、ラスト3ハロンで33~34秒台前半と上がりの速い展開になって、決め手勝負の様相を呈することが多い共同通信杯だが、今年は天候による馬場の悪化が心配。土曜日の府中界隈は、夕方からみぞれまじりの雪が舞い散る空模様で、深夜になると、あたり一面はもうすっかり雪化粧をしている。そんな景色を眺めていると、2週連続の開催中止?という危惧も禁じ得ないが、幸い日曜日の天候は晴れ予報が報じられており、気温も10度前後まで上昇する見通しとのこと。おそらく、競馬も無事開催されることだろう。

【2月10日AM追記】
日曜日の東京競馬は、結局、「積雪の影響により、安全な競馬の開催に重大な支障があると判断したため」中止となることが、JRAより発表されました。明日2月11日(祝・月)に出馬投票をやり直さずに代替競馬」として開催するとのことです。
ちなみに、土曜京都第3レース以降の続きは、同じ2月11日でも「続行競馬」。こちらは出馬投票をやり直すので枠順が変更されます

問題は、前日の積雪が府中の芝コースに、どの程度の影響を及ぼすかということだ。日中の好天に恵まれ良馬場に近い状態に回復するのか?それとも雪の影響が残ってダート変更になるのか?とにかく馬場状態次第で、想定すべき競馬のイメージも180度違ってくるから厄介である。そこであれこれと思案を巡らせたのだが、結論からいうと「良に近い稍重」というコンディションをひとまず想定してみたい。
参考にしたのは、やはり前日の夕方頃まで大粒の雪が降り続いていた先週月曜日の代替開催だ。

この日の馬場を振り返ってみると、芝コースは朝一番に稍重と発表された後、お昼の時点では良馬場にまで回復。見た目の印象では、所々で洋芝が剥がれ痛んでいる箇所も散見されたが、レースの時計にそれほど影響はなかったように思える。実際、メインの前後に組まれた芝のレースでは、いずれもラスト3ハロンで34秒台の決め手が問われる、いかにも良馬場らしい決着になった。そんな事実を思い起こせば、今開催の府中の芝は冬場でも意外にタフで、悪天候の影響を受けにくい状態を維持しているとも考えられる。
もっとも、今週の雪は先週と雪質が多少異なり、水分をより多く含んでいる印象なので、ほんとうに「良」に近いところまで回復するかどうかは半信半疑である。だが、少なくとも、出走馬の能力差をすべて帳消しにしてしまうほどの道悪競馬にはならないと考えれば、自ずと買うべき馬券の選択肢も明らかになってくるのではないだろうか。

【結論】
◎サダムイダテン
○マイネルスターリー
▲サブジェクト
△スマートファルコン
×イイデケンシン
×ショウナンアルバ
注ショウナンアクロス

年末のラジオNIKKEI杯2歳Sは、雨の影響を強く受けた典型的な道悪競馬。そこで1・2着しているサブジェクトサダムイダテンは、仮に馬場状態が多少渋化しても能力減殺の心配がなく、ここでも当然有力視できるのが心強い。この2頭の比較では、好位でソツな立ち回り馬場状態を味方に粘り込んだ感のあるサブジェクトより、とても届きそうもない位置から猛然と追い上げてきたサダムイダテンのほうを上位に取りたい。当時ほど馬場状態が悪くなければ、末脚の破壊力もさらに増してくるはず。発馬不安も、長いバックストレッチで挽回可能だろう。
2着候補筆頭には、そのサブジェクトを稍重で萩ステークスで負かしているマイネルスターリーが面白い。当時手綱を取っていた大井の内田博幸騎手も、この馬の素質を絶賛していた。連闘で叩き2走目の変わり身に期待する手。
走破時計の比較なら、中山のジュニアC(芝千六)を1分34秒1で差しきったスマートファルコンも有力。ただし、その勝ちっぷりはちょっと鮮やかすぎて、前半ハイペースの展開がハマった感もある。道悪適性も現時点では未知数であり、重賞初挑戦となる今回はあくまで試金石と考えたい。
例年、3着以内に食い込んでいる逃げ・先行勢にも目配りは必要だろう。馬場状態が悪ければダートの2歳王者イイデケンシン、良に近い状態なら淀みない流れで先行できるショウナンアルバに残り目がありそう。初ブリンカー装着で一転して先行する可能性のあるショウナンアクロスまでをマーク。
キルトクールは、タケミカヅチ。追われてからの瞬時の反応に課題を残した前走。最内枠ゆえにいったん位置取りを下げてから、外に出さざるを得ない展開も、有利とは言えない。

2月 10, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (3)

2008/02/07

【私家版・栄光の名馬たち】さらば愛しき怪物よ

20080204_negishi_s_g3_2大雪で代替開催となった2月4日の東京メイン・根岸S。異変がターフビジョンに映し出されたのは、ちょうど馬群が3コーナー出口に差し掛かったあたりだっただろうか?「おっとアドマイヤスバルがちょっと後退していく。トウショウギアも最後方まで下がってしまいました。アクシデント発生です」と実況アナが告げている。
第4コーナーに向って加速していく馬群から1頭だけ取り残され、スローダウンしてしまったのは、8歳のベテラン・トウショウギア。このレースでも4番人気の支持を集め上位候補の一角を形成していたが、故障による無念の競走中止でゴールに到達することは叶わなかった。せめて一命を取り留めてくれればと願ったが、同馬に下された診断は「右第2指関節脱臼 ※予後不良」というもの。競馬ファンを続けていると、レース中の故障・安楽死という処置にも慣れっこになってしまうものだが、そうはいっても、心のどこかに穴が開いてしまったような喪失感はやはり禁じ得ない。
特に当ブログ管理人の場合、また条件馬の時代からトウショウギアの非凡な才能に魅了され続け、馬券の上でも同馬と長く苦楽を共にしてきただけに、そんな思いもひとしおである。典型的な左回り巧者で、右回りコースが苦手だった同馬の主戦場は、東京・新潟のダートコース。左回りを求めて盛岡のクラスターカップに参戦してきたこともあった。この3競馬場は、当ブログ管理人のホームグランドのようなもの。加えて、わがひとくち出資馬オフィサーの好敵手でもあったトウショウギアは、現役時代を通じて、常にその巨大な存在感を意識せざるを得なかった競走馬である。
そんなわけで、同馬が出走したレースの多くを競馬場でライブ観戦してきたのだが、デジカメで撮影した写真やTARGETに記録してきたレースメモを整理しているうちに、今更ながら様々な思い出が奔流のようにあふれ出してきた。その足跡を「私家版・栄光の名馬たち」として記録に残しておきたいと思う(続きは長文になります)。

■4歳時代 越後の大地に立つ
20040829_niigata_myokou_tokubetsu3歳の秋・デビュー3戦目にして船橋の交流戦で初勝利をあげた同馬が、初めて競馬ファンにその名を知らしめたのは、4歳当時の新潟・夏競馬でのことだった。7月24日の新潟7レース・ダート千二・500万下。1分10秒9という破格の走破タイムでこの一戦を逃げ切ってみせたトウショウギアは、グリーンチャンネル・先週の結果分析でも、番組推奨馬の指名を受け、一躍ダート短距離戦線の期待馬として注目を集めることになった。この当時の自分のレースメモ「発汗。煩いが好気配。積極策で押し切る。昇級通用」もちろん馬券も的中。これは次走も馬券を買わざるを得ない。
昇級初戦となったのが8月15日の新潟メイン・苗場特別である。実はこのレース、同馬のほかにも、後にJBCスプリントで2着するアグネスウイングや、夏の上がり馬として注目を集めていたトーホウセキトなど、かなり手強いメンバーが揃った一戦だったのだが、自分の馬券は、当然その素質に惚れ込んだトウショウギアと心中というもの。ドカンと馬単を購入し、大船に乗った気持ちで新潟競馬場のA指定席から観戦していると、トウショウギアは4角でトーホウセキト(2着)の瞬発力に圧倒され、早々と戦意喪失の状態に追い込まれてしまう。ああ夏が終わる・・・・何ともむなしい気持ちで競馬場を後にしたものだった。
その後、トウショウギアは夏の新潟でもう一戦を消化(8月29日妙高特別)。吉田豊騎手とのコンビでこれまでとは一転、出遅れから差す競馬で見せ場を作ったものの、名手岡部の操るシアトルユー(3着)にあと一歩及ばず。「よしだァ!差せ差せ」と叫んだ自分の声が、新潟競馬場B指定席にむなしく響き渡ったのも、今となっては懐かしい思い出だ。(写真は妙高特別のパドック)
(関連エントリ 【馬券回顧】ダメ人間、江田照男騎手と心中す

■5歳時代 覚醒モードに突入
20050608_tokyo_bakushu_sトウショウギアが再び進撃を開始したのは、田中勝春騎手と本格的にコンビを結成した5歳の春シーズンのこと。2月の東京・節分賞であっさり勝利をものにすると、その2走後、4月23日の東京最終レースでは、2着以下がちぎれて見えなくなってしまうほどの着差で大楽勝してしまう。1年前の時点では激しい気性が災いし能力をコンスタントに出し切れなかった同馬の秘めたる素質が、いよいよ覚醒したのか?ともかく左回りのダート短距離を走らせれば、凡百の競走馬とは性能がまったく違う。思わず笑ってしまうほどの強さだった。これで準オープンまで出世したトウショウギアは、次走の麦秋S(6月5日)でも当然のごとく勝利をおさめ、いよいよオープン戦線に名乗りを上げていく(写真は麦秋Sのパドック)

20050724_niigata_hokuriku_sそして迎えた新潟夏開催。初戦の北陸S(7月24日)では夏真っ盛り・炎天下の競馬場のパドックを、ただでさえ煩い気性の同馬が、汗だくになって周回を繰り返していたのが印象に残る。それを何とか宥めようという厩舎スタッフも必死の表情だ。レースでは差す競馬を試み、惜しくもサンライズキングの後塵を拝する2着となったが、続く越後S(9月3日)では、逃げたディバインシルバーを2番手から子供扱いにして、再び6馬身差のぶっちぎりで勝利。当時のレースメモには「内枠で折り合い苦はスピードの違いの証明。暴力的な強さで圧倒」と記されている。「暴力的」の3文字がこの当時のトウショウギアの強さの本質をまざまざと物語っている。

20051029_tokyo_musashino_s_g3この強さは、ひょっとしてG1レベルでも通用するのではないか?そんな思いを1ファンの心の片隅に焼き付けたまま、迎えたのが秋の東京シリーズ。初の重賞挑戦となった武蔵野S(G3・10月29日)では、3歳の強豪カネヒキリ・サンライズバッカスらが出走しており、これまでと比べ一気に相手関係が強化されたが、それでも当ブログ管理人はトウショウギアに堂々の◎を打って馬券勝負に出た。
結果12着・・・・○| ̄|_ 。スタート直後からスプリント戦のようなハイペースで飛ばしに飛ばしたが、結局的にはひとり相撲のレースに終わってしまった。爆発的なスピードと裏腹の脆い気性をどうコントロールすればよいのか?陣営は、このレース以降、一計を案じて同馬の気性対策に本腰を入れることになる。
(関連エントリ 【日曜日の注目馬】天才か?狂気か?これぞ怪物トウショウギア
(関連エントリ 【武蔵野S展望】雷神カネヒキリの死角を突く狂気の怪物

■6歳時代 矯正馬具・好敵手・スランプとの戦い
20060129_negishi_s_g3明け6歳シーズンの初戦は、東京冬開催のG3・根岸S。現役時代を通じて、結局最後まで重賞制覇には縁がなかった同馬だが、もし勝てるチャンスがあるとすれば、得意中の得意といえる東京・ダート千四ではないか?陣営も当然そのように考え、前年の失敗を教訓とした対策を講じてきた。矯正馬具・マウスネットの装着である。この馬具は、馬の急所のひとつである上唇を刺激することで、煩い馬や引っ掛かる馬を大人しくさせる目的で使用するものらしい(参考エントリ:ハイブリッド競馬新聞:矯正馬具編(2))。初めてこの馬具を装着しパドックに姿を現したトウショウギアは、まるで忍者のような容貌で、なかなか強うそうに見えたものである。レースに行くと再び口を割る仕草を出して、直線後方からの差し馬(リミットレスビッド、タイキエニグマ)の餌食になってしまったが、それも重賞挑戦で3着だから結果は悪くない。陣営もこれで気をよくしたのか、このレースからしばらくはパドックで黒いマウスネットを装着した忍者・トウショウギアの姿をよく目にすることになる。
以降、重賞3着の余勢を駆ってフェブラリーS・さらには芝の高松宮記念G1挑戦を続ける同馬だったが、さすがに超一流の壁は厚かった。春の東京開催からは再び、オープン特別に舞い戻っての戦いが続いていく。

20060527_officer_at_tokyo_keyaki_sところでその当時、ダート短距離のオープン戦線に名乗りを上げてきたのが、当ブログひとくち出資馬のオフィサーである。この馬も東京千四がベストの条件とくれば、当然、先輩トウショウギアとの激突は避けられない。激しい気性は共通していても、かたや逃げ・先行、かたや追い込みと脚質は対照的なこの両馬。これ以降、東京欅S→盛岡クラスターC→新潟BSN賞と戦場を移しながら、互いに上位人気を背負う好敵手としての直接対決を続けていく。

20060902_niigata_bsn_shoそんななか、トウショウギアの体調に異変が生じたのが、この年の夏シーズンのことだった。余裕残しの馬体で盛岡競馬に遠征した無理が災いしたのか?迎えた次走のBSN賞では、馬体に緩みを残した仕上げ。陣営には悪いのだが、1ファンの目からしても夏場の体調管理に失敗したことは明らかだった。レースでも中団から伸びを欠いて4着と、初めてオフィサー(2着)に先着を許してしまう。以降、秋~冬シーズンもスランプからの復調がままならないまま、このシーズンは暮れていった。
(関連エントリ 【クラスターC回顧】シビックの機敏さがGTRの鈍重さを凌駕?
(関連エントリ 【>【BSN賞回顧】国内最強!坂路元帥に脱帽

■7歳・8歳時代 復活の雄叫び
20070310_nakayama_chiba_s不振にあえぎ続けた狂気の怪物が復活の狼煙をあげたのは、意外にも不得手と思われていた右回りコースの中山・ダート千二でのことだった。3月10日・中山メインレースに組まれていた千葉S。このレースも愛馬オフィサーとの対決になったのだが、パドックの気配から察するに、内田博幸とのコンビを組んでいたオフィサーは生涯最高のデキ。対するトウショウギア(田中勝春)はまだ少し馬体に余裕を残しているように感じられたものだ。単勝オッズも近走不振と右回り不安を反映したせいか?7番人気という体たらくだった。ところが、いざレースにいくと、トウショウギアが低評価に反発するような激走を見せてしまうのだから、競馬はわからない。前半控える戦法から直線に入ると力でねじ伏せてしまうような力感あふれるレースぶりは、左回りのコースで同馬が示してきたパフォーマンスと何ら変わりがないように思えたものだ。
このレースで通算10勝目。勝ち鞍の数だけなら、中央競馬の現役でもトップに躍り出たトウショウギアにとって、以降は、負担重量との戦いを強いられることになる。ここから先は、レースメモでこの馬の現役生活・最後の1年を振り返ってみよう。

20070526_tokyo_keyaki_s春の東京・欅Sで1着(5月26日)「58キロも4角先頭、余裕でねじ伏せる。東京千四ベスト」ううむ、強い強い。2着のトロピカルライトや3着オフィサーは4馬身もちぎれてしまったぞ。
夏の新潟・北陸Sは2着(7月29日)「余裕残しの馬体。59キロ」1着馬は伏兵テイエムアクション。夏場はやはり調整が難しいようだが、トウショウギアもよくがんばった。同レースに出走していたオフィサーはもっとひどい状態で、目の回りを真っ黒にして夏バテ気味。
秋の東京・霜月Sでも2着(11月18日)「道中力み気味、59キロ。それでも東京なら伸びる」。勝馬はラストレースの根岸Sで因縁を作ったアドマイヤスバルか。
明けて8歳・正月の中山・ガーネットS(G3)は16着と久々に大敗。「右回りの外枠で前に馬をおけず。ガツンと掛かって直線失速」ううむ、苦手の右回りを完全に克服したわけではなかったのか?

そして2月4日、東京ダート千四。根岸ステークスのレースコメント「余裕残しもスピードで先手を主張。3角無念の故障発生。予後不良」・・・・・もうこれ以上、多くは語るまい。今はただ、希代の怪物・トウショウギアの冥福を祈るばかりである。

2月 7, 2008 日記・コラム・つぶやき, 08年競馬予想・回顧 | | コメント (9) | トラックバック (0)

2008/02/03

【根岸S】想定走破タイムは1分22秒台

【2月3日AM追記】
2月3日・日曜日の東京競馬は、降雪の影響により、結局「中止」と発表されました。
ううむ、こればかりは仕方がないですね。水沢競馬なら、これくらいの雪でも平気で開催しちゃうんですが(汗)
代替開催は2月4日の月曜日。出馬投票のやり直しは行わず、日曜の競馬新聞もそのまま月曜開催に使えるとのことです。

とはいえ、日曜日の夜まで雪の予想ですから、天候の行方次第で、月曜日の馬場状態も大きく変わってくることでしょう。仮にダートでも馬場の渋化がさらにすすむようなら、月曜日には脚抜きの良い状態を通り越して、田んぼのような走りづらい馬場になってしまう可能性もあります。
そんなわけで、本エントリのテーマにした東京ダートコースの馬場状態については、いったん見解を保留したいと思います。いずれにせよ平日開催ではナマ観戦できないし、馬場状態もまだわからないので、大きな勝負はできないと考えています。
(2月3日 10:30 管理人)

Wild_wonder_at_jcd_2007中央競馬の冬場のダート戦といえば、それ以外のシーズンに比べ時計がかかるというのが通り相場。気温低下による凍結の恐れがあるため、安易に散水ができず、それゆえに含水率が著しく低い乾燥した砂のうえでの、スタミナ比べの競馬になりがちだ。
おまけに開幕当初はコース管理者がきっちりと砂圧調整(厚さ8㎝)をしているから、スピードよりパワーが優先される傾向はさらに強調されることになる。土曜日からスタートした東京競馬場の冬開催初日を観察してみても、砂が深いせいだろうか?逃げた馬の粘り込みがあと一歩効かず、中団後方から押し上げてきた差し馬が台頭する場面が繰り返されていた。馬場状態は「極端に時計がかかる」という程の印象ではないが、走破タイム自体、平凡なレースが多かったように思える。
だが、冬のダート競馬でおなじみのそんな傾向も、日曜日には一変してしまう可能性がある。天気予報は、午前中からみぞれ混じりの湿雪を告げており、根岸Sのスタートが切られる午後3時台には降水量1ミリ程度の弱い雨が府中の馬場に降り注ぐ見通しになっているからだ。これで少なくとも、東京砂漠のようにパサパサの乾燥馬場にならないことは、ほぼ確実。
それでも明け方には気温低下による凍結の心配があるから、JRAは馬場整備用の大型車両を総動員して、夜通しコースにハロー掛けを繰り返すことだろう。主催者による懸命の馬場整備と、ダートコースに散布された凍結防止剤の効果(馬場をしっとりさせるという)を考え合わせれば、おそらく馬場状態は終日ウェットで時計の出やすいコンディションが維持されるはず。根岸Sも、スタミナより、むしろスピード適性が要求される馬場のもとで行われる可能性が強くなったのではないかと推測できる。
勝馬の走破時計を想定するなら、おそらく1分22秒台の水準が要求されると考えたい。すなわち、メイショウボーラーが逃げ切った3年前のレース(1分23秒0)よりも、速い時計で走れる馬でないと勝負にならない。

レース検討にあたり、優先して注目すべきファクターは、出走各馬の持ち時計の比較だ。ダートコースの距離千四を1分22秒台で走破できる時計の裏づけがあるのは、次の各馬である(持ち時計は最近1年以内のレースが対象)。

 リミットレスビッド  1.22.9(良・阪神千四)
 トウショウギア    1.22.3(稍重・東京千四)
 ワイルドワンダー   1.22.7(良・阪神千四)
 トーセンブライト   1.22.4(良・東京千四)
 マイネルスケルツィ 1.22.4(良・阪神千四)
 アドマイヤスバル  1.22.5(重・東京千四) 

これら各馬は実際に当該距離で1分23秒の壁を越えた実績をもつのだから、上位候補としてそれなりの評価が必要だろう。さらに当該距離以外の実績や可能性にまで視野を広げると、水が浮いて時計の掛かる状態まで悪化した武蔵野S(千六)を逃げ切っているエイシンロンバード、持ち時計は平凡でも稍重・不良で2戦2勝のレオエンペラー、久々にダート戦に矛先を転じてきたシンボリグランなどが不気味な存在に思えてくる。

対照的に、交流重賞などスピードよりパワー(さらには経験値)が優先されるレースを主戦場としている組は、速い時計に対応できないリスクがあって、その評価も微妙と言わざるを得ない。たとえば、メイショウバトラー。過去に1分22秒台の持ち時計があるけれど、近走を考慮すると、それをそのまま鵜呑みにするわけにもいかないだろう。
また、枠順や脚質別の有利・不利については、日曜日の競馬をみて実際の傾向を確かめてみないと何とも言えない。、現時点では、雨で前が止まらぬ先行馬場という先入観に囚われることなく、様々な可能性を想定しつつ、レース検討を進めたほうが得策といえるだろう。

<結論>
◎ワイルドワンダー
○トウショウギア
▲マイネルスケルツィ
△トーセンブライト
×アドマイヤスバル
注リミットレスビッド
注エイシンロンバード
注レオエンペラー
注シンボリグラン

昨シーズンを通して高いパフォーマンスを発揮し続けてきたワイルドワンダーがやはり主役候補の筆頭。下馬評ほど能力が抜けているという感はないけれど、重・不良の馬場で3戦オール連対という戦績は心強い。折り合いに課題がある同馬にとって、前に壁を作りつつ追走できるこの枠順も強調材料だ。
折り合い不安は、トウショウギアにも共通していえること。道中ガツンと掛かってハイそれまでヨに終わってしまった前走は、この枠順と東京替わりで度外視できそう。冬場に爪の不安を抱えるマイネルスケルツィと、絞れぬ馬体に苦しんできたトーセンブライトは直前気配を要チェック。アドマイヤスバルは、トウショウギアとの斤量差が無くなる今回が試金石だろう。
キルトクールは、タイセイアトム。圧勝だったガーネットSでもラスト1ハロンが13秒7と一杯になってしまったように、本質的には距離千二限定の短距離走者である。さらに距離が1ハロン延びる今回は慎重にならざるを得ないし、下手に抑えていけば、角を矯めて牛を殺す結果にもなりかねない。要するに乗り方が難しい馬なのだが、決め打ち系・吉田豊騎手の出方がこのレースのもう一つのポイントになりそうだ。

2月 3, 2008 08年競馬予想・回顧 | | コメント (2) | トラックバック (1)