« 【ジャパンカップ】横綱相撲ふたたび | トップページ | 【朝日杯FS】枠順の明暗、鞍上の巧拙から考える »

2007/12/02

【阪神ジュベナイルF】距離適性と内有利がキーワード

Tall_poppy_debut後にダービースプリンターズSをそれぞれ制すことになる若き女傑2頭が、距離適性の違いを超え激しく火花を散らした熱戦から、はや1年。今年も年の暮れを迎え、阪神ジュベナイル・フィリーズの季節を迎えた。舞台となるのは、阪神の芝外回り千六のコースである。
1年前には、まだ新装オープン直後だった外回りコースの特徴をどう理解すべきか?手探りのなかでの予想を強いられたもの。だが、そんな状況下で当ブログが公開した予想エントリを再読してみると、コース攻略法として2つの仮説を打ち出している。一つは外回りコースになれば従来のマイル戦よりスローペースの競馬が多くなるのではないか?ということ。もう一つは、内ラチ沿いのコース取りを選択した馬が有利ではないか?という仮説だ。当時はまだ1勝馬に過ぎなかったウォッカを軽視したため、馬券こそ取れなかったが、予想上の着眼点としては、我ながら悪くなかったと思う。

まず、前者の「外回り=スローペース説」から検証していこう。昨年のレース自体は、淀みないラップが連続するミドル~ハイペース気味の流れになったが、ラップタイムから各馬が追い出しにかかった地点を推計してみると、残り3Fからペースが再加速していることがわかる。

阪神JF06年 12.2-10.7-11.5-11.9-12.0-11.7-11.2-11.9

外回りコースのゴール前直線の距離は約470メートルだから、これは4角中間~出口あたりに相当する地点。すなわち前半1000メートルを走破した後の、残り600メートルからの脚力勝負になったことがわかる。長い長い外回りの直線距離を考えると、極力お釣りを残した状態で勝負所を通過した方が有利と考えるのは、騎手心理として当然。事実、ウォッカもアストンマーチャンも、4角出口付近までは上手く内で脚をためる競馬に専念していた。
また、今週号の週刊競馬ブック「血統アカデミー」欄にも掲載されているように、過去1年間の期間で同コースのレースを集計してみると、改修前よりも大幅にスローペースの競馬が増加という傾向が明らかになっている。
つまり、後・先のことを考えずとにかく先行するだけの戦法では通用しない。道中の折り合いであるとか、勝負所からラストまで残り600メートルの加速力であるとか、短距離というよりむしろ中・長距離向きの適性が要求されるのが、阪神・外回りマイルコースのポイントといっても過言ではない。

次に、「内ラチ沿いを通った馬が有利」という仮説について、再考してみる。昨年のエントリでは、コース改装前から12月第1週の阪神競馬でたびたび見られたこの現象を、内・外の芝の状態の違いであるとか、コーナーの回りが緩やかに変わったせいで馬群があまり外に振られなくなったことが関与しているのでは?と邪推してみたのだが、この推測も大きく的を外していなかったようだ。
たとえば、過去1年間の阪神・外回りコースマイル戦(15頭以上の多頭数)対象に、枠順別成績を振り返ってみると、17番枠よりも外では連対数がわずか1頭のみ(17番枠連対率0%、連対率6.7%)と、内・中枠に対して明らかに分が悪い。季節を問わず外枠不利の傾向が現れているということは、おそらく芝の状態の問題より、外回りのコース設計による影響が作用しているのだろう。具体的にいうなら、3~4コーナーでの距離ロス。3角入口から勝負所の4角出口まで、ゆるやかな弧を描く大回りのコーナー(通過距離682m)は、ラチ沿いを通る先行馬のスピードも落ちず、外を回して距離を詰めるのが難しいレイアウトである。そこで無理に脚を使ってしまえば、長い直線の途中でガス欠気味になるのも必定。そんな事情ゆえに、外枠発走から中団・後方を進む差し脚質の競走馬を苦戦を強いられるということなのだろう。

短距離向きのスピード適性よりも中・長距離向きのスタミナ・底力。内から中枠からすかさず好位を取って脚を溜めることができる自在性。阪神・外回りマイルの上位を占ううえで着目すべきこの2つのキーワードから、今年のレースの行方も展望していこうと思う。

<結論>
◎ラルケット
○アロマキャンドル
▲オディール
△エイムアットビップ
△カレイジャスミン
△トールポピー
△エイシンパンサー

前哨戦のファンタジーSで上位を占めた関西馬が有利では?という評判が巷間囁かれているようだが、コース改修前から通算して近年の決着傾向を振り返ってみても、前哨戦好走組があっさり敗退する一方で、別路線からの挑戦馬や関東馬の活躍が目立つレースである。僅かキャリア数戦の2歳牝馬同士のレース。それゆえに、能力・適性の比較について、先入観にとらわれることは禁物だろう。
内枠有利の傾向を考えると、まず注目したくなるのがアロマキャンドル。僅か3戦のキャリアながら、前走で後に重賞を好走する牡馬の強豪を完封した実績を考えれば、ファンタジーS組と同等以上の評価は必要だろう。常に好位でのレースに拘る鞍上・藤田というのも強調材料だ。
だが、週刊誌のフォトパドックなどでその馬体を目の当たりにしてみると、良くも悪くも父・フレンチデピュティの特徴(筋肉質・骨量の豊かさ)が典型的に再現されているように思える。これすなわち、瞬発力よりもパワーと持続性。一瞬の加速力を求められるG1で勝ちきるまでは、正直、半信半疑の評価とせざるを得ない。
これとは対照的に、昨年のウォッカ同様、大柄なフレームから長い手足がすらりと伸びて、その体躯から豊かな将来性を感じさせるのがラルケットの馬体である。新潟のデビュー戦では、アロマキャンドルを全く問題にしなかった実績の持ち主でもあり、初戦は速いペースを先行、2戦目はスローペースを差しきりと自在性を持ち合わせているのが魅力。キャリア2戦。千四以上の距離経験はないけれど、その馬体の良さとJCを制した父の血統からは、どんどこいのタイプとジャッジできる。手綱を取る仏国リーディングジョッキー、ステファン・パスキエ騎手も、土曜の阪神競馬でも2勝を挙げ絶好調をアピール中である。
これに続くのが、ファンタジーS組という評価。以下では、まだ各馬の能力評価が定まらないので、手広くいかざるを得ないが、人気薄のなかでは前走・赤松賞で強い勝ちっぷりをみせたカレイジャスミンに、ちょっと注目してみたい。
キルトクールは、新潟2歳Sの勝者・エフティマイア。不甲斐なかった前走の敗因を渋った馬場に求めるなら、巻き返しに要注意なのかもしれないが、この大外枠はいかにも不利。

12月 2, 2007 07年競馬予想・回顧 |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/33923/17248091

この記事へのトラックバック一覧です: 【阪神ジュベナイルF】距離適性と内有利がキーワード:

» 阪神JF、中日新聞杯他の予想 トラックバック 風を追いかけて
阪神ジュベナイルF ◎:11番 オディール ○:17番 エイシンパンサー... 続きを読む

受信: 2007/12/02 12:20:34

コメント

久しぶりです。広尾の新規募集のシトラスフレーバーの仔がひじょうに気になってます。

投稿: ボルジャノン | 2007/12/05 22:01:23

>ボルジャノンさん

こちらこそご無沙汰でした。
広尾の08年募集馬ラインアップ。例年の募集規模と比べると、新規のマル外が牝馬2頭だけ・内国産もおなじみの繁殖牝馬の産駒ばかりと、ちょっと拍子抜けでしたが、確かによく見ると最下行に「シトラスフレーバー'06」の名前が・・・。母は自分の元出資馬ですし、これはもちろん注目せざるを得ません。気になるのは父プリサイスエンド。エンドスイープ直子ですから、ミスプロ系です。シトラス自身が、父ラムタラ・母父アフリートに由来するかなりキツめネイティヴダンサー・クロスを内包していた馬でしたから、ちょっと血が濃すぎるなぁというのが第1印象。素直にサンデー系種牡馬と配合したほうが、健康面ではベターじゃないか?と思うのですが、どうでしょう。
肝心な募集価格は現時点でわからないけれど、わが国ではまだ実績のない配合のタイプ。おそらくリーズナブルな設定で募集されるはずです。

投稿: 山城守 | 2007/12/06 1:28:49

コメントを書く