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2007/12/23

【有馬記念】情に棹させば流される

Vodka_at_jc_2007今年の有馬記念に関しては、府中競馬場でJCを観戦した直後から、個人的にちょっと啓示めいたアイディアが脳裏に閃いて、「おそらくウオッカが優勝するのだろう」と考えてきた。牡馬の一線級を向こうに回しても全く見劣りしない競走馬としてのスケール感。道中で最後方を追走しながら、勝負所にさしかかると瞬時にメイショウサムソンの直後まで取り付いた瞬発力。そのどれもが3歳牝馬離れしており、見る者すべてに強い印象を与えていた。
確かに同世代のダイワスカーレットには2度も後塵を拝しているが、あれは牝馬同士のぬるま湯のようなレースでの出来事。牡馬を向こうに回しダービー制覇の偉業を成し遂げた女傑の力は、無差別級の猛者が集う大一番でこそ本来の光を放つ。少なくとも、もうスカーレットに先着を許すことはないだろうし、昨年ディープインパクトに3馬身以上ちぎられていた古馬勢もおそるに足らず。
かつて有馬記念で3歳当時(現年齢表記)のオグリキャップは、そそりたつ古馬の壁タマモクロス3度目の挑戦で遂に下しているが、JC当時の両者の着差は1馬身4分の1。それに対して、ウオッカと古馬勢(ポップロック・メイショウサムソン)の差は僅かに「頭」「クビ差」に過ぎない。年内にもう一度53キロの斤量で出走できるなら、叩いた上積みも含め、JCの上位3頭を間違いなく逆転できると確信したのだ。

ところが、ウオッカの運命の歯車はいったいどこから狂い始めたのだろう。木曜日の枠順抽選で引き当てたのは、なんと大外16番枠。新聞紙上では、近年の大外枠の成績不振を引き合いに出し、あたかも何かのジンクスのように面白がって表現する向きもあるが、実際に中山・芝二五の大外発走はかなりの不利を免れない条件である。金曜日の関東版サンスポ朝刊に掲載されいていた岡部幸雄元騎手のコメントが、何よりそれを的確に表現しているので、ちょっと抜粋してみよう。

「中山の芝2500メートル戦はコーナーが6回あり、最後の直線も310メートルと短いから、位置取りが特に重要。また、スタート後最初のカーブまで200メートル程度しかないので、外枠の馬は出遅れると自分のポジションが取りにくくなる。いずれにしてもスムーズなスタートを切ったら、どんなタイプの馬でも無理に下げる必要はなく、1周目の直線入口までの500メートルでは少々脚を使ってもいいポジションを取った方がいい。」
(サンケイスポーツ12/21朝刊・岡部幸雄氏のコメントを抜粋)

ところが、外枠の差し馬にとっては「少々脚を使っていいポジションを取る」こと自体が難しい。

仮に上手く発馬を決めて好位・中団あたりの位置を取れたとしても、内枠各馬よりも序盤から脚を使わされる分、レース後半800メートルの持久力比べになると、苦しくなってしまう。ならば、昨年のディープインパクトのように前半戦は後方で脚をため、勝負所で一気に外から加速する戦法はどうかといえば、それとて他馬とよほどの脚力差がないかぎりできない芸当だろう。特に今年の場合は、外にヨレて他馬の進路を妨害する可能性のあるレゴラスのようなタイプが出走しているので、それを避け3~4角の外・外を回していくと、かなりの距離ロスを強いられる危険性が高い。

ウオッカの不安材料は、枠順だけにとどまらない。土曜日の昼間から降り始め阪神競馬場の芝を重馬場にまで悪化させた雨雲が、日曜日は中山の芝を湿らせる見通しだ。降水量のは深夜から未明にかけ4~5mm/hと報じられている。専門家のこの方によるなら「当日は南岸低気圧型という、悪天候の見本みたいな日。土曜日夜から雨が降り出し、日曜日の日中もバシャバシャ降るかも。しっかり水溜りができて、重は間違いないでしょう」(斎藤義雄のお天気競馬学さんより引用)とのこと。
兄・タニノベリーニ(父フレンチデピュティ)などは、渋った馬場を苦にしないタイプだったが、ウオッカ自身は父タニノギムレット譲りの大飛びなフットワークこそが持ち味。道悪になるとキレを殺がれることに違いはなく、ダービーで真一文字に伸びてきたあの脚勢を中山で再現することは難しくなる。

これを数字で裏付けてみよう。過去5年、有馬記念の上位3頭の上がり3ハロンタイムは、02年のシンボリクリスエス、05~06両年のディープインパクトを除いて、軒並み35秒台が記録されている。このレースが消耗戦と称される所以だが、裏を返せば前半~中盤で脚をタメてラスト3ハロン34秒の脚で差すことができるなら、逆転の目もあるということ。
ところが、国内の芝二四~二五で重・不良馬場だったレースについて過去5年分のデータを遡ってみると、34秒台という上がりタイムの記録を殆ど検出することができない。03年の阪神・白鷺特別と同・御堂筋S、05年の京都・比叡Sで僅かに記録されているくらいで、そのいずれもが当然のごとくかなりのスローペースである。差し・追い込み勢の優勝確率(1着馬に占めるシェア)も、良・稍重の51.3%に対し、重・道悪では21.7%にまで低下する。これらの数字を見るにつけ、ウオッカが道悪を克服し「差して勝つ」ことが、どれほどの難行なのかを実感せざるを得ない。

ファン投票第1位の支持を受け、年末の大一番に望む女傑にとって、課せられた条件はとてつもなく厳しい。もちろん当ブログ管理人は心情的にこの馬を支持しているので、何とか克服してほしいという願いも捨てることはできないが、情に棹させば流され、意地を通せば窮屈。とかくに有馬記念の馬券は買いにくい。最終的なジャッジは当日の馬場とレースの傾向を慎重に見極めてからでも、遅くはないだろう。

Meisho_samson_at_jc2007<結論>
◎メイショウサムソン
○ポップロック
▲ロックドゥカンプ
△ダイワメジャー
△マツリダゴッホ
△ドリームパスポート
△ウオッカ


ある程度の馬場悪化を覚悟して、上位候補は全天候型のタイプからセレクト。
メイショウサムソンは、JCで横綱相撲に徹しすぎた感があったが、天皇賞当時と比べ体重は同じでも、馬体の各所に僅かに余裕のようなものが感じられたのも事実。年内秋3戦という予定のローテーションで最終戦なら、有馬記念はおそらく目一杯の仕上げ。道悪馬場にオペラハウスの血というのも強調材料で、その実績を額面通り評価してもよいと思う。
ポップロックは、勝負所でエンジンのかかりが鈍く大一番になると勝ちきれない印象を払拭できないが、それでもJCで同タイム2着なら、特に評価を落とす理由がない。
3歳勢では、ミニ・メイショウサムソンというべき競馬をしてきたロックドゥカンブが怖い。春シーズン、大雨のマカオジョッキークラブTを渋太く伸びた脚は、道悪不問を証明するもので、名手キネーンの手綱捌きも込みで3番手の評価に。
以下では、昨年上位のダイワメジャー、土曜日の中山大障害2着騎手が手綱を取るドリームパスポート。ピッチ走法で道悪を克服する可能性のあるマツリダゴッホも、この枠順で折り合いをつけられるなら圏内なのかも。
キルトクールダイワスカーレット。名門女子校出身のお嬢様には、歴戦の猛者がひしめきあう激戦区はちょっと場違いな印象。イタリア人と徒党を組んだお兄さんもきっと助けてはくれない。むしろ潰しにかかるはず(汗)

12月 23, 2007 07年競馬予想・回顧 |

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コメント

キルトクールでしたね。
スカーレット。
お兄さんもきっちり、来ました。
でも、マツリダが1着では、馬券ゲットできませんでした。
3着なら良かったのに・・・。

投稿: フセイン八木 | 2007/12/24 10:44:06

けっきょくシトラスフレーバーの仔にポチッといってしまいました。予想よりチト高かったなあ。

投稿: ボルジャノン | 2007/12/25 2:57:27

>フセイン八木さん

毎度毎度、性懲りもなくダイワスカーレットを過小評価してしまうのは、自分の悪い癖だと自覚しております(汗) そんなわけで、有馬記念の馬券は取れませんでしたが、続くハッピーエンドCで辛くも写真判定の2着争いを制して、少し溜飲を下げました。これで日曜日の収支はイーブンパー。しかし、土曜日の負けが大きすぎました・・・・

投稿: 山城守 | 2007/12/27 1:56:31

>ボルジャノンさん

あのシトラスフレーバーの仔ですから、血統がどうの、馬体がどうの、所属厩舎がどうのと、あれこれ言いたいことはあっても、黙って出資をするというのが、母と苦楽をともにした者の責任です(汗)。私も一口いきました。たぶん満口になることはないと思いますが、さて、どうでしょう。おそらくダート戦が活躍の舞台になると思いますが、母がその名を轟かせたドンコ以外の競馬場でも頑張ってほしいものです。個人的には、中央未勝利→岩手移籍でも全然OKです。

投稿: 山城守 | 2007/12/27 2:04:06

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