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2007/12/16

【阪神カップ】内回り・芝千四の劇的ビフォーアフター

Suzuka_phoenix_at_yasuda_kinen_07阪神競馬場のリニューアル・オープンから漸く1年が経過した。こけら落としからしばらくの間は、新コース攻略に悩みつつ、馬券の上であれこれ試行錯誤を続けてきたが、最近になってやっと傾向と対策のようなものが、ぼんやりと浮かび上がってきたように思える。とはいえ、それは新たに設定された芝・外回りやダート二千でのお話。従来から設置済みの芝・内回りコースに関しては、改修前と比べ特に大きな変更点は見られなかった。このため、当ブログ管理人を含む競馬ファンの大多数は、リニューアルを意識することなく従来どおりの感覚で阪神・内回りのレースを予想し、馬券を購入していたはずだ。
だが、内回りコースの芝・千四について、あらためて大改修の前・後を区分しデータマイニングを試行してみると、意外な変貌が浮かび上がってくる(検索対象データは、改修前が03年~06年の春開催まで、回収後は06年の12月開催以降)。

たとえば、このコースの1着馬に占める脚質別のシェア。短距離条件らしく逃げ・先行が優勢だった従来の傾向が変化し、改修後は差し・追込タイプでも先行勢と互角以上に渡り合っているという事実が、まず注目される。

■阪神・芝千四 改修前・後の1着馬脚質別シェア(出走数5回以上)

14001






コース改修以降になって、千四・内回りで差しタイプが台頭してきた背景には、展開やペースにも何か変化が生じているということだろうか?それを知るため、TARGET Frontier JVから出力されるペースチェンジ指数(PCI)の上位3頭平均値(PCI3)を確認してみた。すると、改装前は、大雑把に言ってハイペース4割・ミドルペース5割・残りがスローペースという出現率だったのが、リニューアル以後になるとハイペースが大幅に減少(16.7%)。一方でミドルペースのレースが増加し、全体の4分の3(76.2%)を占めるまでに至ったという事実が判明した。
「ペースが遅ければ先行馬の前残り」「速ければ前が崩れて後方の差し馬が有利」そんな競馬常識からすると、流れが遅くなって差し馬が優勢というのは、正反対の傾向であり、何とも不可解な印象を覚える。だが、謎を解く鍵は、次に示す種牡馬別成績のデータが示唆している。

■改修前阪神・芝千四 連対率上位種牡馬(出走数10回以上)

1400before










■改修後阪神・芝千四 連対率上位種牡馬(出走数5回以上)

1400after









コジーンやミスタープロスペクター系など、短距離・スピード寄りの適性に傾斜したタイプが活躍してた改修前とは対照的に、改修以後はマンハッタンカフェやダンスインザダークなどサンデー直系のステイヤーたち、あるいはロベルト系のシンボリクリスエス・マヤノトップガンなど、より長い距離を得意とする種牡馬が台頭してきている。ミスプロ系でも上位にランクしているのは、単調なスピード型とは明らかにタイプを異にしているオールラウンド・プレイヤーのアグネスデジタルだ。この傾向変化をひと言で表現するなら、一本調子のスピードレースから、道中のタメを効かせたレース運びが、この距離でも要求されるようになったということ。ならば先行して押し切る策よりも、直線でどれだけ鋭い決め手を発揮できるかが問われる府中・芝千四に近いイメージで、このコースの攻略法も考えていくことができるかもしれない。

それにしても、改修工事に伴いレイアウトに目立った変更が加えられたわけでもない内回りコースで、これほど劇的な傾向変化が生じているとは、正直、想定外だったと白状せざるを得ない。いったい何がこの変貌を生み出しているのか?確たる結論を見いだすのは難しいが、いくつかの仮説を考えてみることはできる。
たとえば、スローペースになりがちな外回りのレースに影響される格好で、内回りでも無理な競り合いを避けようとする騎手心理が働いているのではないか?ということ。あるいは、直線になっても馬群がばらけない外回りコースが登場して以降、ゴール前直線の芝の傷みがラチ沿いに集中。その結果、内回りのレースでも外を通る差し馬にチャンスが広がっているのではないか?ということだ(後者の説は城崎哲氏の「コース鬼!」新書版からヒントを得た)
Bコース替わりも2日目・しかも午後になれば、芝コースは、ラチ沿いから徐々に傷みが進んでくるというのも道理。先行スピード決着というより、道中のタメと直線の瞬発力が重視される中距離レースの感覚で、阪神カップの上位争いも想定していく必要があるのかもしれない。

<結論>
◎スズカフェニックス
○ダンスフォーウィン
▲プリサイスマシーン
△エイシンドーバー
△シンボリグラン
△ドラゴンウェルズ
△シンボリグラン

フルゲート18頭の多頭数ながら、是が非でも行きたい逃げタイプが不在で、道中はゆったりとした流れが想定される。一見、先行勢に展開の利が働きそうだが、前述してきた傾向をふまえれば、どれだけ鋭い決め手を繰り出せるかが、より重要なポイントになるだろう。ならば、サンデー直子らしい瞬発力が武器のスズカフェニックスが優勝候補の最右翼ということになる。外目の枠順は確かに有利ではないけれど、ごちゃつく不利で脚を余すリスクが減少したと解釈すれば、むしろプラス材料に転じる公算もある。

対抗・伏兵選びは目移りするほど多彩な顔ぶれだが、ここは中波乱を想定。重賞初挑戦のダンスフォーウィンを抜擢してみる。注目すべきポイントは東京・芝千四での好走歴。後方から長く脚を使い、ゴール前キッチリと差して魅せた前走・奥多摩Sの勝ちっぷりは着差以上の強さを印象づけるもので、G2でも侮れない存在とジャッジする。

キルトクールは、フサイチリシャール。ここではハナを主張する可能性があるし、展開次第で2年連続好走という目もあるけれど、昨年は小雨が降ってちょっと渋った馬場にも助けられた感があった。今回の鞍上・鮫島騎手との相性もひと息。

12月 16, 2007 07年競馬予想・回顧 |

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コメント

いつも楽しみに拝見させていただいています。
阪神カップ、お疲れ様でした。
予想こそ◎のみの的中でしたが、理論としては正にその通り!でしたね。
2、3着馬も
ジョリーダンス(父ダンスインザダーク)[差し]
ブルーメンブラット(父アドマイヤベガ)[差し]
と、着目データ通りの結果でしたもんね。

今年も残り1週とはなりましたが、楽しみにしています。

投稿: skyli | 2007/12/17 13:03:29

素晴らしい解析でありまして、大変参考になりました。ありがとう。

それにしても、フェニックスは見事な復活でしたね。

投稿: フセイン八木 | 2007/12/20 2:25:14

skyliさん、フセイン八木さん。いつもありがとうございます。
遅レス・まとめレスにて、失礼します。
阪神カップのスズカフェニックス。2着はとにかく手広くということで馬連10数点流しを敢行し、ジョリーダンスも何とかひっかけることに成功しました(汗)
これで味を占め、「阪神・芝・千四は差し馬だあ!」と、今週・土曜日のクリスマスキャロル賞で安勝アドマイヤディーノから大勝負をかけたら、まさかの4着・・・・有馬記念を前にかなり手痛い出費となってしまいました。
レース直前のGCウェストで、岡部玲子嬢が歌っていた「クリスマスキャロルの歌」で少し調子が狂ってしまったのかもしれません(汗)

投稿: 山城守 | 2007/12/23 1:38:35

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