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2007/04/10

「競馬の街」に奇跡の価値は?

Namida_no_atoniha_niji_mo_deru一昨日のエントリでもレポートした岩手競馬の開幕シリーズ。土日を通じて、水沢競馬場は多くのファンで賑わいをみせ、新シーズンのオープニングにふさわしい活況を呈していたのだが、初日の売上そのものは前年を下回る成績だったようだ。これを「若干のダウン」とみるのか?それとも「低調な出足」だったとみるべきか? 競馬開幕の様子を報じるマスコミ報道も、軸足の置き方次第でその論調は大きく変わってくる。
典型的なのは、岩手競馬に対する好意的な報道で知られる河北新報(仙台に本拠を構える東北ブロック紙)と、地元紙ながら反競馬の報道姿勢を一貫して堅持する岩手日報による次の対照的な報道だ。ファンや関係者の競馬愛が紙面から溢れ出してくるようにヒューマンタッチな河北の記事に対し、日報のほうは終始シニカルで斜に構えたようなスタンスを崩そうとしない。

かど番岩手競馬走り上々 新シーズン幕開け
存続に向けて正念場を迎えた岩手競馬の新シーズンが7日、奥州市の水沢競馬場で開幕した。単年度収支が赤字になれば廃止という厳しい条件の中でのレース。初日は売り上げこそ前年に届かなかったものの、来場者数が前年より約3割増えた。「このまま走り続けてほしい」「職員の給与をカットしても何とか存続させたい」。ファンと主催者の気持ちが1つとなる幕開けだった。(中略)
厳しい状況はファンの間にも伝わっている。競馬場には親子連れも集まり、来場者は前年より約800人多い3752人に上った。
4歳の長男と2人で来た気仙沼市の公務員◎◎さん(38)は「廃止を心配していただけに開催されることになって良かった。子どもも馬を見るのを楽しみにしている」と存続を喜ぶ。(中略)
厩務(きゅうむ)員の○○さん(34)は「存続のためなら自分たちの給料がカットされてもいい。県民に負担をかけて開催にこぎ着けた以上、みんなで一丸となってシーズンに臨む」と決意を語った。
 Yahoo!ニュース - 河北新報 -4月8日配信記事より引用
岩手競馬低調な出足 前年度比7.7%減
奥州市の水沢競馬場で7日開幕した2007年度の岩手競馬は、テレトラックを含めた初日の発売額が前年度比7.7%減と伸び悩んだ。入場者数は増えたが、売り上げ増には結び付かなかった。岩手競馬は収支均衡を条件とする存廃基準を設定しているが、低調な滑り出しとなった。(中略)
330億円の税金投入により、存続が決まっただけに、ファンの反応はさまざま。奥州市水沢区の××さん(66)は「急に黒字になるわけがない。まだ無駄も多い。もっと切りつめなければいけない」と厳しい目を向け、一関市の会社員△△さん(26)は「開幕してホッとした。(赤字になれば)廃止も仕方がないが、ファンとしてはこのまま続けてほしい」と願う。
 岩手日報 4月9日(月)付記事より引用

(※記事中の人名は、引用者の判断により実名表記を控えました)

同じ現象を報じているというのに、これだけの温度差・・・・まさしく、メディア・リテラシー修得のためには格好の練習問題とでもいえそうなほど、対照的な報道内容である。
実際に開幕週の水沢競馬場に身を置いた当ブログ管理人の実感を言わせてもらえば、河北の記事のほうが、この日の競馬の空気も含め、的確に文字にしているように思える。だが、だからといって日報の記事を、事実を歪曲したバイアス報道であると、一概に決めつけることもできないだろう。
言葉は悪いが、税金投入(公的資金による融資)でようやく息を長らえた岩手競馬に対する冷ややかな視線は、一歩競馬場の外に出てしまえば、間違いなく存在しているのだ。市長を先頭に、競馬存続に向けた熱心な活動を続けてきた奥州市といえど、それは例外ではない。

たとえば、新幹線の水沢江刺駅に降り立ってみても、その土地で数千人の観衆を動員する競馬が賑々しく行われているというムードはまったく感じられなかった。水沢市街の中心部というべき、JR水沢駅周辺にしても事情は同じ。土曜の競馬がはねてから駅前に繰り出してみても、道行く人も少ない商店街には、選挙戦終盤を迎えた候補者が連呼する「あと一歩でございます」というコールが空しく響き渡っているだけである。
奥州競馬のメッカ・水沢に相応しい演出らしきものが、どこみも見あたらない。主催者によるPR不足という事情もあるのだろうが、街全体でカド番を迎えた岩手競馬を盛り上げていこうという気運が致命的に希薄であると言ったら言い過ぎだろうか。競馬の好きな人は競馬場に足を運ぶ、けれど関心のない人は我関せず。そこに、岩手日報のようなシニカルな論調が真実味を持って受けとめられてしまう土壌が成立している。

地方競馬の地元民の認識。
売り上げ云々の議論をする前に、地元市民にどこにあるのかすら定かでない、よくわからない程度の存在意義しかない競馬場を向上させる、少なくとも動物園程度の地元民の認知度というのは必要じゃないかなという気はします。逆に言えば、そんなところからはじめなければいけない、あたかもJリーグの地元サポーターを増やすが如く、地元での知名度と、イメージアップみたいなことが必要なのではないでしょうかと。
 血統の森+はてなさん 4月7日のエントリより引用 

競馬に関心がない姫路在住の友人に、ふと姫路競馬場のことを尋ねてみたときのリアクションが「競馬場なんてあってもなくてもいい空気のような存在」だった・・・・地方競馬の地元市民の偽らざる認識を耳にして、血統の森のmomdoさんは、このように思考する。
競馬がなくなっても、他に食べていく術には事欠かない姫路のような工業都市ならまだしも、地域をあげて競馬と「心中」する途を選択した水沢(奥州市)にとって、競馬場が「あってもなくてもいい空気のような存在」でよいわけがない。
もちろん水沢でも、地元有志による愛馬の会が、競馬場内のイベントや馬券版商品券(岩手競馬ドリームチケット)の発行を通じて、地域から競馬を盛り上げようと努力を重ねてきた経緯はある。だが、町を挙げて競馬を盛り上げていこう気運は、岩手と同じく存廃問題に揺れたばんえい競馬の帯広などと比べても、まだまだ希薄という印象を禁じ得ない。

競馬に無関心だった市民もサポーターとして巻き込んで、地域全体で競馬を支えるという発想・・・・全国区のJRA競馬とは一線を画するオリジナリティを保持しながら、岩手競馬が生き残っていくために必要なのは、そんなアイディアではないかと思う。
いっそのこと水沢地区を中心に、全国初となる「競馬の街」をコンセプトにした街づくりをプラニングしてみるほど踏み込んだ企画を考えてみてはどうだろう?たとえば、市街地の目抜き通りや名所の愛称を、トウケイニセイ通りであるとか、メイセイオペラ記念公園と命名し、岩手の名馬を顕彰するオブジェクトを設置する。あるいは、水沢江刺駅から競馬場までのルートで、輓馬による観光馬車を定期運行する。府中の競馬博物館をお手本に岩手版競馬ミュージアムを設置してみるなどなど。岩手競馬の豊穣な歴史を、地元の新しい世代に伝えていく競馬の語り部などの試みも、案外と面白いかもしれない。水沢競馬場入場門そばの塀に描かれた地元中学生による競馬の壁画を目の当たりにするにつけ、長く競馬に慣れ親しんできた土地ならではの楽しい発想がまだまだ出てくるはず・・・・そう感じてしまうのだ。
そんな楽しい「競馬の街」なら、東京や仙台から新幹線代の出費を惜しむことなく、水沢へと足を運ぶ酔狂なファンを呼び込むことも夢ではないだろう。もちろん、岩手競馬自体のさらなるコンテンツの充実が条件であることは論を待たない。交流G1競走(Jpn?)の水沢開催も含め、競馬の街=水沢の振興に向けたあらゆる方策を検討した後の奇跡の価値は、まだ残されている。

4月 10, 2007 岩手競馬 |

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