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2007/04/29

【天皇賞】戦国春天を占う2つのキーワード

Yokoyama_nori_at_jocky_mastersディープインパクトが生涯最高とも思えるパフォーマンスで覇を唱えた昨年とは様相一転、再び波乱の気配が色濃く漂う天皇賞(春)
もし順調ならば、ここでも主役を張る資格を有したはずの菊花賞上位組の姿はなく、出馬表に顔を並べているのは、いずれも帯に短くタスキに長いといった、印象の薄い面々ばかりである。何やら万馬券決着が連発した03年~05年当時の天皇賞・戦国時代再来の予感が強くなるが、かといって敢えて不気味さを強調できるほどの伏兵も見あたらない。いったい何を手がかりに予想すればよいのか?考えれば考えるほど、思考の道筋は迷走し、結論は遠くなるばかりだ。

とりあえず、重視してみたい予想上のファクターは2つある
第一に騎手。わけのわからない穴馬が突如として激走し、レース後には狐につままれる思いがした03年~05年当時のレースも、優勝馬の勝因は、結局、鞍上の戦略力の為せる技だったと結論づけることができるだろう。流れを読み切り自力のスパートで勝利をもぎ取った角田騎手(ヒシミラクル)、変幻自在・絶妙のペース配分で後続を術中にはめた横山典騎手(イングランディーレ)、道中から終始ラチ沿いのスペースを確保しトラックバイアスを最大限味方につけた安藤勝騎手(スズカマンボ)。いずれもかつて中・長距離G1競走で優れた実績を残してきた騎手だが、経験に裏づけられたベテランの技が意外な伏兵を勝利の座へと導いている。ペースや馬場状態の判断、ライバルたちとの駆け引きが着順を大きく左右する長距離戦だけに、騎手の経験値と技量が結果に直結する傾向があることを、まず押さえておきたい。

参考までに、今年の天皇賞にエントリーしてきた騎手たちの、過去3年間の芝・長距離戦(2500メートル以上)の戦績を調べてみると、以下の結果となる。

■天皇賞(春)騎手の芝・長距離戦実績(04年以降)
Jockys_performance_at_longdistance_1















表中のデータのうち「単適回値」とは、競馬データベースソフトの定番TARGET FRONTIER JVから出力できる「単勝適性回収値」のことで、簡単に説明すると、極端なオッズにより生じる影響を補正した単勝回収値である。この数値が100を越えていれば、お買い得というくらいの感覚で理解するとよい。「人気」「着順」は、対象レース全体の平均人気・平均着順を集計したもの。人気よりも着順が上回る傾向が出ている騎手については、該当データを色つきで表示してみた。

さて、実際にデータを確認してみると、やはりいくつか気になるポイントが見つかってくる。まずは「連対率」。横山典・四位洋文といったお馴染みのジョッキーたちが3割を越すアベレージをマークしているのはさすがといえるが、意外にも、安藤勝己・岩田康誠といった地方競馬出身の名手たちの成績が振るわない。同じ関西圏には、長距離レースで4割以上の連対を記録する武豊という存在がいることを思えば、情状酌量の余地はあるけれど、人気と成績のバランスを考えると、アンカツ・岩田といえど、ここで無条件に買いのジャッジまでは下せないとも言えそうだ。
一方、村田一誠・石橋守・北村宏司らは、イメージ通り長距離戦になると分が悪い。川田将雅がいかにも穴っぽい成績を残しているのも、実感として理解できるだろう。
長丁場のレースで想像以上に良績を残していたのが武士沢友治だ。連対数のうち6回は、お手馬トウショウナイトとのコンビで記録したものだが、それ以外の馬に騎乗した際にも、堅実に上位へと持ってきている。京都競馬場での騎乗経験が少ないのが玉に疵だが、上位候補としてマークを欠かせない穴ジョッキーであることを是非、心に留めておきたい。

第二の予想ファクターは枠順。縦長の隊列になることが多い長距離戦で、意外と軽視されがちなポイントだが、過去10年に遡って天皇賞の戦績を振り返ってみても、12番枠より外の馬が優勝を飾った例は皆無である。デルタブルースソングオブウインドが大外枠を克服して勝利した菊花賞と対照的な傾向といえるが、合計6回のコーナーを通過する長丁場だけに、わずか200メートルの距離延長でも距離ロスを馬鹿にはできないということか?天皇賞に限らず、京都の芝外回り・中長距離戦では、4角でポッカリと開いた最内からスルスルと伏兵が伸びてくる場面をよく目撃するけれど、勝利への最短コースを確保するには、鞍上の手腕もモノをいう。騎手と枠順を味方につけ、能力を120%発揮できる可能性を秘めた伏兵に期待して、天皇賞を楽しんでみたい。

【結論】
◎マツリダゴッホ
○アイポッパー
▲トウショウナイト
△アドマイヤタイトル
△トウカイトリック
△ネヴァブション
△デルタブルース

常識的には阪神大賞典組を重視すべきなのかもしれないが、デルタブルース・トウカイトリックには外枠のハンデがあり、アイポッパーもアンカツへの鞍上スイッチを信頼しきれない不安が残る。そんなわけで、ここは思い切って、枠順にも恵まれ思い通りの立ち回りが叶いそうな横山典・マツリダゴッホに期待する手。2500メートル以上の経験が少なく、頭の高い走法から距離適性を疑問視するムキもあろうが、型にはまったときに桁外れの強さを発揮することは、正月のAJC杯で証明済みだ。天皇賞で好走することが多い明け4歳世代の代表格として、頑張って欲しい。
対抗は、有力どころのなかで比較的死角の少ないアイポッパーだが、トウショウナイトも京都コースの重賞では堅実な戦績を残しており、G1でも当然上位の一角へ。以下では、外枠の人気各馬よりも、近走でメキメキと力をつけてきたアドマイヤタイトルの一発に期待したいところ。ネヴァブションは、前走での馬体減の反動がなければ、といったところか。
キルトクールは、前年の2冠馬メイショウサムソン。逃げたシャドウゲイトを力にまかせねじ伏せたといっても、大阪杯の内容は辛勝と評さざるを得ないもの。血統背景からスタミナそのものに不安はなく、一気に捲れる脚力は確かに怖いけれど、折り合いが難しい馬だけに石橋騎手の意のままに動けるかどうかは、今回も半信半疑だ。

4月 29, 2007 07年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (6)

2007/04/28

【青葉賞】前走・福島ひめさゆり賞を侮るな

Hokuto_sultan先週の東京開幕週・土曜日9レース新緑賞(3歳・500万下・芝二千三百)は、1着が最低人気のディーエスボランチ・2着も9番人気のアサティスボーイと人気薄同士のワンツー決着。三連単98万円の高額配当が飛び出す大波乱のレースだった。このレースで上位を占めた伏兵2頭に共通しているのが、前走・福島の「ひめさゆり賞」(3歳・500万下・芝二千)に出走してから府中に参戦というローテーションだったこと。
ローカルの条件戦から日の当たる中央場所へ。常識的には軽視されがちな戦績だが、終わってみれば、そのローカル組が中央の評判馬たちをまったく問題にしない快走を演じてみせるのだから、競馬は面白い。
その「ひめさゆり賞」は、京都2歳S2着のローズプレステージや、中京戦でベッラレイアを相手に2着した実績のあるクリムゾンベガがエントリーするなど、今にして思えば、ローカルとはいえ相当骨っぽいメンバーが顔を揃えた一戦だった。それらの強敵を向こうに回して、影さえ踏ませぬ逃げ切りでレースを制しているのがホクトスルタンである。
最内枠スタートから1角のコーナーワークでハナを奪うと、淀みないラップを刻んで淡々と先行。勝負どころで後続各馬の手が激しく動くも、この馬だけはまったくのマイペース。直線では後続を逆に突き放してしまい、最後は1秒もの大差をつけ圧勝してみせた。開幕2日目とはいえ、前日の雨で時計のかかる状態だった福島の芝コースで2分00秒6のタイムを記録しての逃げ切り勝ちは、時計面でもかなり優秀といえる。グリーンチャンネル・先週の結果分析などでも、ひめさゆり賞に「高レベル」の評価が与えられたのは、当然と言えるだろう。

ホクトスルタンの父は、言わずとしれた名ステイヤーのメジロマックイーン。母系にはかつて青葉賞を制しているサマーサスピションローゼンカバリーなどを輩出した繁殖牝馬ダイナフェアリーの名前も見えるなど、長距離志向の強い血統である。そのダイナフェアリーにリアルシャダイを配して、サンデーの隠し味をプラス、仕上げにマックイーンを付ける。社台のステイヤー路線にパーソロンやリマンド、ヒンドスタンといった日本古来の血統を掛け合わせた配合は、天皇賞親子4代制覇の夢がかかる父の美点をさらに強調しようというなら、悪くないアイディアといえるだろう。だが、重厚な反面、ややもすると近大競馬への適性を欠いた鈍重なキャラばかりが強調されかねないこの配合は、それなりにリスクをともなう選択でもある。そんなリスクを跳ね返すように、自らが淀みないペースを刻んで先行する戦法を採ることで活路を見いだしたホクトスルタン。難しかった気性の問題もキャリアを重ねるたびに徐々に克服し、代々受け継がれてきた長距離砲の資質がようやく花開いた感がある。
青葉賞が行われる東京二千四百といえば、クラシックの舞台にふさわしく、脚質を問わず能力が高い馬が有利という印象があるけれど、意外と逃げ馬の活躍が目立つ条件でもある。昨年のこの季節、伏兵ヤマトマリオンをフローラS勝ちに導いた菊沢隆徳騎手の手綱捌き込みで、是非とも単勝を狙ってみたい1頭だ。

◎ホクトスルタン
○ヒラボクロイヤル
▲オーシャンエイプス
△フィニステール
△ナタラージャ
△メイショウレガーロ
△ツバサドリーム
注その他いっぱい

4月 28, 2007 今週の注目馬, 07年競馬予想・回顧 | | コメント (2) | トラックバック (5)

2007/04/24

【ジョッキーマスターズ回顧】4万6000人の競馬の味方

最終レース後のパドックに懐かしい顔が並んだ。9人の名手が、ダービーやオークスを勝った時の勝負服を身にまとい、うれしさと緊張が入り交じった表情で騎乗馬にまたがった。重量は53・5キロから59キロ。皆、しっかり体をつくってきた。残ったファンは通常開催並みの4万6000人。パドックを見下ろすスタンドはぎっしり埋まり、横断幕も飾られた。「岡部頼むぞ」「河内落ちるなよ」「幹夫さん頑張って」。温かい声援が次々に浴びせられた。現役騎手や調教師、馬主ら多数の関係者も詰め掛け、空前の盛り上がり。横山典騎手、後藤騎手、細江純子さんが誘導馬に乗り、スターターは柴田政人師。午後4時40分、生演奏によるG1のファンファーレが響くと、割れんばかりの手拍子が起こった。これはもうG1中のG1だ。
nikkansports.com4月23日 岡山俊明記者の記事より引用

Jocky_masters_1_okabe馬券も発売されないエキシビション競走見たさに、4万人を超える観衆が最終レース終了後の競馬場に居残ったというのも凄いが、その誰もが笑顔・笑顔。みな、ワクワクするような表情でこのときが来るのを待っていた。パドックを囲む人の群れは、まるで有馬記念の中山競馬場なみの密度。場外発売の水沢競馬の払い戻しを済ませてから、やっとこさパドックに駆けつけた当ブログ管理人などは、ファンの熱気に圧倒され、見物場所の確保にひと苦労するほどだった。
日曜日の東京「第13レース」として用意された、この日のお楽しみ「ジョッキーマスターズ」。東京競馬場のグランドオープンを記念して、往年の名手たちが再びターフに結集し覇を競うというこの企画は前評判も高く、競馬ファンの期待と注目を大いに集めてきたが、まさかこれほどの盛り上がりを見せるとは、主催者のJRAも予期していなかったのではないか?
本馬場入場。マスターの称号を贈られた名手たちが懐かしの勝負服を身にまとい、芝コースへと姿を現すと、スタンドのどこからか自然と拍手が湧き上がってきた。競馬場全体を包み込むように高まっていいいた期待と興奮を、ものの見事に一言で表現していたのが、先に引用したニッカン岡山記者のヒットコメントだ。たかがエキシビションと言うなかれ。レースを目撃する幸運に恵まれた4万6000人の一人として、「これはもうG1中のG1だ」という実感にまったく偽りはない。

Jocky_masters_4race現役時代を彷彿とさせる鮮やかな抜け出しで、記念すべき第1回のマスターズ競走を制したのは河内騎手。レース内容は既に各所で報じられているし、JRAの公式サイトで動画も視聴可能なので、ここでは詳しく触れない。「根本!」「岡部っ!」「河内!河内っ、よしアタマだ!そのままっ」 目の前を次々と駆け抜けていく名手たちの背中に向かって、腹の底から声援を飛ばせただけで、競馬歴10年以上の馬券オヤジとしてはもう大満足である。ちなみに一言だけ付け加えさせてもらえるなら、直線の攻防のビジョンには映らない所で、ちょっと気恥ずかしそうに根本騎手が懐かしのヨーロピアン・スタイルを披露していた。そんなシーンまで目撃できるとは、何とも幸せな気分だ。

Jocky_masters_2_matoba興味深かったのは、このレースを楽しんでいたファンの顔ぶれである。どちらかといえばオールドファン向けの企画?と思われていたのに、客層を眺めてみると、意外にも40~50代のオッサンよりも、まだ競馬を始めて間もないと思われる若者たちの比率が高かったのだ。自分の周囲には、松永幹夫や岡部の引退は覚えているけど、「柴田政人って誰?」という人も少なくなかったように思える。特別ゲストとしてスタート台へと上る柴田政人調教師を、甥の善臣と勘違いしていたファンまでいたほどだ。それでもレースになれば、往年の名手たちにやんやの声援と喝采を惜しまない。若い彼らにとっては、おそらく今が競馬をやっていて一番楽しい時期なのだろう。
競馬というジャンルは長く付き合えば付き合うほど、記憶の層が折り重なって滋味も増すけれど、ファンを続けていくことに少なからぬエネルギーを要求されるジャンルである。仕事や家族、誰もが様々なしがらみを抱えるなかで、ある者は競馬場から去り、ある者は今日も馬券を買い続ける。競馬ファンを持続する動機を養ううえで大切なのは、馬券の面白さもさることながら、やはり競馬場で生のレースを楽しむ機会をどれだけ作れるかということだろう。ライスシャワーの菊花賞ホクトベガのエリザベス女王杯ナイスネイチャの高松宮杯、そしてサイレンススズカの毎日王冠と天皇賞(秋)・・・・こんなレースを現場で目撃してきた自分の競馬遍歴を思い出してみても「FEEL LIVE」の効用は大きかったし、競馬場で体感できるサムシングを楽しみにして、今も府中競馬場へとせっせと足を運び続けている。

Jocky_masters_3将来にわたって語り継がれるであろう第1回ジョッキーマスターズ。その目撃者となった4万6000人は、間違いなく競馬の味方である。その一人でも多くが、10年先・20年先も立派なファンであり続けるためにも、JRAは競馬場を訪れる喜びをもっともっと提供し、積極的にアピールてほしい。そんなことをふと考えた日曜日の夕暮れどきなのであった。

4月 24, 2007 府中日記, 日記・コラム・つぶやき, 07年競馬予想・回顧 | | コメント (3) | トラックバック (2)

2007/04/22

【フローラS】高速馬場なら一昨年の再現が濃厚

Tokyo_grand_open記念すべき新スタンドのグランドオープンを迎えた東京競馬・春シーズン開幕日。芝コースの状態は、見た目に鮮やかな緑の絨毯だ。馬場一面にフサフサと繁茂している洋芝(イタリアンライグラス)の草丈は、JRA発表の馬場情報によると12~16センチとかなり長め。柔らかい洋芝とはいえ、これだけ密に生え揃うと競走馬も意外に走りにくいのでは?とも思えるが、いざレースにいくと、開幕週にふさわしくタイムはかなり高速である。
たとえば、土曜日・8レースのマイル戦(古馬500万下)。好位から抜け出し優勝したヒシシンエイの走破タイムは1分33秒3を記録したが、この時計、コース改修以降5年間でのこのクラスの平均決着時計(1分34秒6)より1秒以上も速い水準だ。最終レースの同距離・古馬1000万下戦(勝馬カフェベネチアン)の優勝タイムが1分33秒5だったので、8レースのレベル自体も高かったのだろうが、いずれにせよ、かなりの高速馬場であることに違いはない。
ちなみに昨年の春開催ではどうだったのか?というと、初日に組まれていた同条件・同距離のレース(勝馬アルシャトル)の決着時計が1分35秒2。なんと、今年よりも2秒近くも遅かった。もちろんペースの違いがあるので単純比較は禁物だが、馬場のほうも、開幕週にしてはちょっと時計のかかる状態であったと記憶している。
思い起こせば、昨年の東京春開催の芝コースは、ダービーやオークスでも馬格に恵まれたタイプが活躍していたように、開催を通じてスピードやキレよりも、パワーが優先されるコンディション。これはおそらく、洋芝の草丈が見た目に深い・浅いというよりも、その下にある野芝の根っこの生育があまり芳しくなくなかったせいで、馬場の傷みの蓄積しやすい状態で、競馬が行われていたということだろう。どうやら開幕週から、その兆候は少しづつ現れていたようで、昨年のフローラSの勝馬が、良馬場なのにオペラハウス産駒のヤマトマリオンだったという事実も、その傍証と解釈できないこともない。

さて、これとは対照的に、今年の芝コースが開幕から高速決着を量産しているのは、暖冬の恩恵で、野芝の根っこや地下茎の状態が昨年より強靱になっていると考えると、理解しやすいだろう。血統的にみても、土曜メインの東京競馬場グランドオープン記念でエリシオ産駒のアドバンテージなどがもたついている間に、サンデー系の3頭がさっさと抜け出していったように、ノーザンダンサーの渋太さよりサンデー的な瞬発力がモノを言う馬場と言えそうだ。さらには土曜8レース・9レースや12レースの上位陣の顔ぶれをみると、ミスプロ系サッカーボーイとの相性も悪くない。オークストライアルの展望も、持続力比べの様相を呈していた昨年ではなく、直線の決め手の優劣が着順を分けた一昨年のレースを基準に、上位争いの行方を考えていくべきだろう。

<結論>
◎ベッラレイア
○イクスキューズ
▲ランペイア
△ミンティエアー
注ミルクトーレル
注トウカイファイン
注マイネルーチェ

その脚力はオークスでも上位に通用と噂される大物ベッラレイア。何やら一昨年のディアデラノビアを彷彿とさせる存在だが、馬券を買う立場からすると、実に扱いにくい馬である。デビュー後の3戦でいずれも出遅れを記録するなど、確実性に欠ける脚質。主戦の秋山騎手は02年の改修後、東京の芝コースで33回騎乗しながらいまだに未勝利。前日売り単勝オッズ1倍台の圧倒的支持を集める割には、ほんとうに危なっかしいと言わざるを得ない。だが、前走のあざみ賞で子供扱いにした2着馬クリムゾンベガ3着ザレマのその後の戦績を物差しにしてみると、やはり重賞級の資質をもった優秀なオープン馬であることは確かだ。G2戦とはいえ、実質500万下クラスのメンバーが大半を占めるこの相手なら、オークス行きの切符を手中にするのも難しくない。末一手ではなく自分から早めに動けるタイプでもあり、力でねじ伏せる競馬を期待してみたい。

スローペースになれば、33秒台の脚を使ってくるベッラレイアを負かそうというなら、一歩速く抜け出してラストを34秒台前半でまとめる器用さが要求される。中距離レースへの出走履歴なども加味して候補を絞り込んでいくと、それができるのはイクスキューズランペイアの2頭にほぼ限定されそう。キレと持続力を兼備したミンティエアーの末脚などにも一応警戒だが、逃げ馬不在の展開だけに脚を余すリスクがある。

キルトクールは、ホクレレ。前走で差す競馬に目覚めたというけれど、デビューしてからいまだ35秒を切る上がりを使った経験がない。仮に昨年のレースに出走していれば、面白い存在になったのかも知れないが、高速馬場の上がり勝負でどこまでやれるかは疑問。

4月 22, 2007 07年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (6)

2007/04/16

【皐月賞回顧】先行有利・内有利の教訓をもう一度

4th_corner_2007_satsuki_sho
道中1・2番手の位置でレースを運び、ゴール前までギリギリ踏ん張っていた1・2着馬の上がり3ハロンが35秒台後半。これに対し、後方から追い込んできた3・4着馬の推定上がりは33秒9。差し馬が先行勢より2秒も速い脚を使っている。これほどの豪脚で猛追しながら、それでもなお先行馬には及ばない。古くはサニーブライアンセイウンスカイ、最近ではダイワメジャーメイショウサムソン。一歩先に抜け出す奇策でリードを奪った伏兵が、外を回して追い込んでくる人気馬の追撃を退け真っ先にゴールへと到達する。これまで何度も繰り返されてきた光景なのだが、今年もその残像をなぞるような決着が繰り返された。これぞ、まさしく皐月賞というレースの怖さである。
そもそも直線に設けられた急坂を別にすれば、レイアウトそのものはローカル競馬場の小回りコースと何ら違いのない中山・芝内回り。そんな舞台に多頭数18頭がひしめき合うのだから、先行有利・内有利というのは当然予期しておくべきファクターだった。

Satsuki_sho_shiba_course年末から延べ16週間もの開催を消化してきた芝コースは、馬場の内目に傷みが蓄積して差し馬有利な条件になってもおかしくないのだが、現実には最終週になっても、まるで開幕当初と同じように、ラチ沿いを通る馬の健闘が目立っていた。最終レース終了後、ファンに開放された芝コースを実際に歩きながら確かめてみたのだが、青々と繁茂したオーバーシードの洋芝の下では、野芝の根っこがまだ冬枯れしている。見た目の違いはともかく、内も外もほぼ同じように枯れた野芝と砂地のクッションが効いて柔らかめの状態だった。こんなコンディションであれば、4角をロス無く回っていち早くセフティーリードを確保したほうが有利であるのも道理。さらには、ゴール前直線がわずか400メートルにも満たない小回りコースである以上、差し馬が繰り出せる上がりの速さにも自ずと限度がある。

Victory_at_2007_satsuki_sho好漢・田中勝春ヤマニンゼファー以来15年ぶりとなるJRA・GⅠ(JPNⅠ?)優勝をプレゼントしたヴィクトリー
ここまでキャリア3戦でパーフェクト連対と上位人気に支持されてもおかしくない優秀な成績を残していながら、7番人気の伏兵の座に留まっていたのは、激しい気性のコントロールが効くかどうか?が疑問視されていたせいだろう。だが、大一番を迎えたこの日は、パドックから特にイレこむ様子もみせず、本来の能力を発揮できるお膳立てが整っていた。発馬そのものは決して速くないけれど、馬の行く気にまかせ2角でハナを奪うと、すかさず向正面で3ハロン続けて12秒3と息が入る展開。直線でサンツェッペリンと凌ぎを削る展開になったのも、ゴールまで闘争心を持続させる上でプラスの材料になった。やや寸が詰まって骨量豊かな馬体は、いかにも父の産駒であることを印象づけるが、距離的にはこれくらいがベストかも?という感はある。はたしてダービーで、どこまでやれるかは現時点でまだ未知数と評さざるを得ない。

Sun_zeppelin_at_2007_satsuki_sho京成杯の覇者・サンツェッペリンは、戦前の低評価を覆す驚きの快走で大波乱のもう1頭の立役者になった。中間に一頓挫あったスプリングS当時の状態から上積みは大きく、鞍上の指示にも忠実。道中ヴィクトリーを深追いしなかったことが、2着に残れた原因なのだろう。とにかくこの馬、コーナー4回の小回りコースがかなり上手。逃げて良し・差し手よりの自在味から、福島などで走らせると、かなりの適性の高さを発揮してきそうだ。ローカル開催を舞台にしたサマーシリーズにエントリーしてくれば、まず上位は必至で、第2のメイショウカイドウというべきポジションを手中にするのかもしれない。ただし、これでGⅠ・2着の勲章を背負ってしまった以上、もう斤量面での恩典は期待できないのが残念。

Fusaichi_houoh_at_2007_satsuki_sho負けてなお強しの競馬。連勝記録にストップがかけれられても、かえって株を上げてみせたのがフサイチホウオーのレースぶりだった。幸か不幸か?最内枠を引いてしまったせいで、安藤騎手がこの馬を外へと持ち出しゴーサインを下したのは、残り400メートルの地点から。そこからの末脚が特筆もので、馬体を合わせた好敵手たちを次々と後方に沈めながら、ゴールでは勝馬と同タイムの位置まで追い込んできた。桜花賞勝ちで波に乗るアンカツも、カラジのスコット騎手ばりの水車ムチまで繰り出しホウオーを叱咤するが、僅かにあと一歩が及ばなかった。しかし、誰がみても最も強い競馬をしているのはこの馬。父ジャングルポケットや、タニノギムレットの皐月賞を彷彿とさせるレースぶりから、一躍ダービーの主役候補に躍り出たと評しても過言ではないだろう。

Mushi_no_siraseこれら上位陣の後塵を拝して、いずれも消化不良の競馬に終わってしまったのが、前哨戦で最もレベルが高いと評していた弥生賞組だった。単純に時計だけで比較してみると、4着に敗れたアドマイヤオーラにしても、前走をコンマ4秒上回るタイムで走破しているのだから、けっして悪くないレース。だが、大幅に馬体を減らしスタートの直前まで随所に気性の幼さをのぞかせていたココナッツパンチにせよ、出遅れから4角大外ブン回しの芸のない競馬で見どころを作れなかったドリームジャーニーにせよ、クラシック緒戦を勝ちきるための決定打を欠いていたのは明白。これら弥生賞組を上位に見立てていた当ブログの予想などは、完敗の誹りを免れない。
幸いなことに、パドックの印象点から、「もしや?!」と感じて押さえたヴィクトリーの単勝が的中し、馬券的に怪我はなかったとはいえ、反省ばかりがつのるクラシック第一弾なのであった。

4月 16, 2007 07年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (5)

2007/04/15

【皐月賞】意外にも平穏な決着が待っている

2006_satuki_sho_gate前日深夜の時点で単勝オッズの出方を確認してみると、前哨戦・弥生賞の勝馬が3.2倍無敗の4連勝馬が4.2倍朝日杯を制した2歳王者が8.1倍。上位人気に支持されてしかるべき実績馬の間で票が分散し、不動の本命といえるほどの存在は現れていない。上位拮抗・群雄割拠、隙あらば下克上を目論む伏兵にもチャンス有り。早くから混戦と伝えられてきた今年の皐月賞だが、まさしくそんな下馬評にふさわしい、ちょっと賑やかな人気の割れ加減である。おそらく、レース当日になれば、前日売り1番人気の武豊・アドマイヤオーラよりも、2番人気で安勝が騎乗するフサイチホウオーの「妙味」のほうが買われ、これら2頭の単勝オッズの数値はさらに接近してきそうな予感がする。
上位人気馬でも全幅の信頼を置けそうにない」「人気薄の穴馬が激走して万馬券を」・・・・おそらく、穴党を自認する競馬ファンの集団無意識は、ちょっとした波乱による配当妙味を期待しているのだろう。大型連休を目前に控えた給料日前の日曜日。大多数の競馬ファンが抱えるそんな懐事情も、有力どころの人気分散を後押ししているのかもしれない。
だが、抜けた馬のいない混戦ムードの年に限って、結果は堅く収まってしまう。過去の皐月賞を振り返り、傾向と対策を探っていくと、意外にもそんな構図が浮き彫りになってくる。

11番人気サニーブライアンの逃走劇であっと驚く大波乱となった97年以降、単勝1番人気が3倍台という図式のもと、レースが行われたのは過去2回。すなわち、00年のダイタクリーヴァ(単勝3.3倍)、03年のネオユニヴァース(単勝3.6倍)の年である。これら両年に共通しているのは、1番人気・2番人気馬によるワンツー決着になって、馬連ひとケタ配当の順当な決着になったということ。前走で弥生賞やスプリングSといったトライアルに出走し、強い内容で連対実績を残してきた人気上位馬が、本番でもやはり強い競馬をみせたというのがポイントだろう。
00年組(代表馬エアシャカール)に03年組後(代表馬ネオユニヴァース)といえば、後になって振り返ってみると、けっしてレベルが高いとまでは評価できない低調な世代だったが、低調なのは別路線組も同様。少なくとも皐月賞の時点で、トライアル上位陣を脅かすほどの伏兵はまだ登場してこない。完成度の高さ・臨戦過程の順調さというセールス・ポイントがある分、弱い世代のトライアル上位組には、別路線組との比較で一日の長があるということだ。

弱いと囁かれる世代で混戦ムード漂う年こそ、トライアル上位組の実績を信頼。そんな視点を重視するなら、あらためて今シーズンの一連の前哨戦を再検証する作業は必須だろう。まず注目すべきは、トライアル路線の王道、弥生賞とスプリングSの比較だ。この両レース、今年はともに良馬場のAコースで施行されたわけだが、1分49秒0という低調な時計の決着に終わったスプリングS(千八)に対し、弥生賞(二千)では2分00秒5と例年に比べても遜色ない決着タイムが記録されている。
スプリングSで首位からコンマ2秒差の3着と健闘していたエーシンピーシーを物差しに、両トライアルのレースレベルを比較してみても、セントポーリア賞でエーシンピーシーと僅差の競馬を演じたマンハッタンバートーセンクラウンが、弥生賞では為す術もなく着外に敗退しているという事実がある。これだけでも、両トライアルの価値の違いは明らかであり、本番に直結する可能性が高いのは、文句なく弥生賞のほうだ。
無敗の4連勝馬・フサイチホウオーも、スプリングSの勝馬フライングアップルとの比較でジャッジするなら、弥生賞組よりも強いという評価までは現時点で与えられないということになる。
トライアルのレベル比較という視点からみて、むしろ面白いのは、セントポーリア賞・弥生賞に出走していたマンハッタンバーを1秒1差の6着に下している若葉賞組だろう。優勝馬ヴィクトリーは、年末のラジオNIKKEI杯でホウオーと互角の競馬。当時僅か2戦のキャリアで気性に不安を残していたこの馬が、G1の厳しい流れで覚醒する・・・・万が一、波乱の結果が待っているとするなら、そんなシナリオも念のため想定しておく必要があるのかもしれない。

<結論>
◎アドマイヤオーラ
○ドリームジャーニー
▲ココナッツパンチ
△ヴィクトリー
△ナムラマース
注メイショウレガーロ
注フサイチホウオー

小柄で見栄えのしない馬体、兄アドマイヤジャパン譲りの早熟で勝負弱いイメージ・・・・そんな先入観が足を引っ張るせいか、前日売り1番人気の支持を受けながらも、弥生賞快勝の実績がまだ正当に評価されていない感のあるアドマイヤオーラ。だが、ここまで4戦3勝のキャリアと桜花賞馬ダイワスカーレットを一度は下している実績から、まだそのパフォーマンスは底を見せていないと評すべきだろう。差しきる勢いで馬体を合わせてきたココナッツパンチをゴール前もう一伸びして突き放した前走の競馬は中身も濃く、有力どころで最も早く動ける位置を取れそうな今回の枠順も悪くない。本番でも馬券の圏外に去る可能性は小さく、3連単・3連複の軸馬として信頼してもいいのではないか。
キャリア僅か2戦を消化したばかりでも、能力的にはアドマイヤオーラと互角以上のココナッツパンチは、やはりこの枠順の克服がカギとなりそう。それならば、むしろ好枠を引いたドリームジャーニーの巻き返しを期待すべきか。
いずれにせよ、上がり勝負のヨーイドンになってしまっては分が悪いアサクサキングスが早めのスパートを仕掛ける皐月賞の展開は、サムライタイガースとノワールシチーが2頭で3角から動いていった弥生賞と同じような流れになる公算が高そう。スローの決め手比べというよりも、どれだけ長く脚を使えるかで着順が決まってくる持続力勝負の競馬になる。となれば、弥生賞の上位再現がやはり濃厚なのだが、別路線組からはヴィクトリーの先行力ナムラマースの差し脚にも、一応警戒しておきたい。
キルトクールは、フライングアップル。見栄えのする馬体の持ち主だが、一気の相手強化でスプリングSの再現は、おそらくかなうまい。

4月 15, 2007 07年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (6)

2007/04/10

「競馬の街」に奇跡の価値は?

Namida_no_atoniha_niji_mo_deru一昨日のエントリでもレポートした岩手競馬の開幕シリーズ。土日を通じて、水沢競馬場は多くのファンで賑わいをみせ、新シーズンのオープニングにふさわしい活況を呈していたのだが、初日の売上そのものは前年を下回る成績だったようだ。これを「若干のダウン」とみるのか?それとも「低調な出足」だったとみるべきか? 競馬開幕の様子を報じるマスコミ報道も、軸足の置き方次第でその論調は大きく変わってくる。
典型的なのは、岩手競馬に対する好意的な報道で知られる河北新報(仙台に本拠を構える東北ブロック紙)と、地元紙ながら反競馬の報道姿勢を一貫して堅持する岩手日報による次の対照的な報道だ。ファンや関係者の競馬愛が紙面から溢れ出してくるようにヒューマンタッチな河北の記事に対し、日報のほうは終始シニカルで斜に構えたようなスタンスを崩そうとしない。

かど番岩手競馬走り上々 新シーズン幕開け
存続に向けて正念場を迎えた岩手競馬の新シーズンが7日、奥州市の水沢競馬場で開幕した。単年度収支が赤字になれば廃止という厳しい条件の中でのレース。初日は売り上げこそ前年に届かなかったものの、来場者数が前年より約3割増えた。「このまま走り続けてほしい」「職員の給与をカットしても何とか存続させたい」。ファンと主催者の気持ちが1つとなる幕開けだった。(中略)
厳しい状況はファンの間にも伝わっている。競馬場には親子連れも集まり、来場者は前年より約800人多い3752人に上った。
4歳の長男と2人で来た気仙沼市の公務員◎◎さん(38)は「廃止を心配していただけに開催されることになって良かった。子どもも馬を見るのを楽しみにしている」と存続を喜ぶ。(中略)
厩務(きゅうむ)員の○○さん(34)は「存続のためなら自分たちの給料がカットされてもいい。県民に負担をかけて開催にこぎ着けた以上、みんなで一丸となってシーズンに臨む」と決意を語った。
 Yahoo!ニュース - 河北新報 -4月8日配信記事より引用
岩手競馬低調な出足 前年度比7.7%減
奥州市の水沢競馬場で7日開幕した2007年度の岩手競馬は、テレトラックを含めた初日の発売額が前年度比7.7%減と伸び悩んだ。入場者数は増えたが、売り上げ増には結び付かなかった。岩手競馬は収支均衡を条件とする存廃基準を設定しているが、低調な滑り出しとなった。(中略)
330億円の税金投入により、存続が決まっただけに、ファンの反応はさまざま。奥州市水沢区の××さん(66)は「急に黒字になるわけがない。まだ無駄も多い。もっと切りつめなければいけない」と厳しい目を向け、一関市の会社員△△さん(26)は「開幕してホッとした。(赤字になれば)廃止も仕方がないが、ファンとしてはこのまま続けてほしい」と願う。
 岩手日報 4月9日(月)付記事より引用

(※記事中の人名は、引用者の判断により実名表記を控えました)

同じ現象を報じているというのに、これだけの温度差・・・・まさしく、メディア・リテラシー修得のためには格好の練習問題とでもいえそうなほど、対照的な報道内容である。
実際に開幕週の水沢競馬場に身を置いた当ブログ管理人の実感を言わせてもらえば、河北の記事のほうが、この日の競馬の空気も含め、的確に文字にしているように思える。だが、だからといって日報の記事を、事実を歪曲したバイアス報道であると、一概に決めつけることもできないだろう。
言葉は悪いが、税金投入(公的資金による融資)でようやく息を長らえた岩手競馬に対する冷ややかな視線は、一歩競馬場の外に出てしまえば、間違いなく存在しているのだ。市長を先頭に、競馬存続に向けた熱心な活動を続けてきた奥州市といえど、それは例外ではない。

たとえば、新幹線の水沢江刺駅に降り立ってみても、その土地で数千人の観衆を動員する競馬が賑々しく行われているというムードはまったく感じられなかった。水沢市街の中心部というべき、JR水沢駅周辺にしても事情は同じ。土曜の競馬がはねてから駅前に繰り出してみても、道行く人も少ない商店街には、選挙戦終盤を迎えた候補者が連呼する「あと一歩でございます」というコールが空しく響き渡っているだけである。
奥州競馬のメッカ・水沢に相応しい演出らしきものが、どこみも見あたらない。主催者によるPR不足という事情もあるのだろうが、街全体でカド番を迎えた岩手競馬を盛り上げていこうという気運が致命的に希薄であると言ったら言い過ぎだろうか。競馬の好きな人は競馬場に足を運ぶ、けれど関心のない人は我関せず。そこに、岩手日報のようなシニカルな論調が真実味を持って受けとめられてしまう土壌が成立している。

地方競馬の地元民の認識。
売り上げ云々の議論をする前に、地元市民にどこにあるのかすら定かでない、よくわからない程度の存在意義しかない競馬場を向上させる、少なくとも動物園程度の地元民の認知度というのは必要じゃないかなという気はします。逆に言えば、そんなところからはじめなければいけない、あたかもJリーグの地元サポーターを増やすが如く、地元での知名度と、イメージアップみたいなことが必要なのではないでしょうかと。
 血統の森+はてなさん 4月7日のエントリより引用 

競馬に関心がない姫路在住の友人に、ふと姫路競馬場のことを尋ねてみたときのリアクションが「競馬場なんてあってもなくてもいい空気のような存在」だった・・・・地方競馬の地元市民の偽らざる認識を耳にして、血統の森のmomdoさんは、このように思考する。
競馬がなくなっても、他に食べていく術には事欠かない姫路のような工業都市ならまだしも、地域をあげて競馬と「心中」する途を選択した水沢(奥州市)にとって、競馬場が「あってもなくてもいい空気のような存在」でよいわけがない。
もちろん水沢でも、地元有志による愛馬の会が、競馬場内のイベントや馬券版商品券(岩手競馬ドリームチケット)の発行を通じて、地域から競馬を盛り上げようと努力を重ねてきた経緯はある。だが、町を挙げて競馬を盛り上げていこう気運は、岩手と同じく存廃問題に揺れたばんえい競馬の帯広などと比べても、まだまだ希薄という印象を禁じ得ない。

競馬に無関心だった市民もサポーターとして巻き込んで、地域全体で競馬を支えるという発想・・・・全国区のJRA競馬とは一線を画するオリジナリティを保持しながら、岩手競馬が生き残っていくために必要なのは、そんなアイディアではないかと思う。
いっそのこと水沢地区を中心に、全国初となる「競馬の街」をコンセプトにした街づくりをプラニングしてみるほど踏み込んだ企画を考えてみてはどうだろう?たとえば、市街地の目抜き通りや名所の愛称を、トウケイニセイ通りであるとか、メイセイオペラ記念公園と命名し、岩手の名馬を顕彰するオブジェクトを設置する。あるいは、水沢江刺駅から競馬場までのルートで、輓馬による観光馬車を定期運行する。府中の競馬博物館をお手本に岩手版競馬ミュージアムを設置してみるなどなど。岩手競馬の豊穣な歴史を、地元の新しい世代に伝えていく競馬の語り部などの試みも、案外と面白いかもしれない。水沢競馬場入場門そばの塀に描かれた地元中学生による競馬の壁画を目の当たりにするにつけ、長く競馬に慣れ親しんできた土地ならではの楽しい発想がまだまだ出てくるはず・・・・そう感じてしまうのだ。
そんな楽しい「競馬の街」なら、東京や仙台から新幹線代の出費を惜しむことなく、水沢へと足を運ぶ酔狂なファンを呼び込むことも夢ではないだろう。もちろん、岩手競馬自体のさらなるコンテンツの充実が条件であることは論を待たない。交流G1競走(Jpn?)の水沢開催も含め、競馬の街=水沢の振興に向けたあらゆる方策を検討した後の奇跡の価値は、まだ残されている。

4月 10, 2007 岩手競馬 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007/04/08

【岩手競馬開幕】走れる歓びを力に、前へ。

退路断ちスタート 岩手競馬、水沢で開幕
2007年度の岩手競馬が七日、奥州市の水沢競馬場で開幕した。県議会二月定例会の融資関連議案の否決を受けて増田知事が廃止の意向を一度は表明したが、修正案の可決で一転、存続が決定。赤字が見込まれれば年度途中でも廃止となる可能性があり、退路を断った状況でシーズンがスタートした。
2007/4/07 岩手日報・夕刊記事より引用  

Mizusawa_kaimaku_070407_2_2廃止濃厚の局面から一転して当面の継続が決定。紆余曲折を経た末に、ようやく07年の開幕日を迎えることができた岩手競馬。一貫して「反競馬」の論陣を張り続ける地元紙も夕刊トップ記事でニュースを報じるほど、県内からは熱い視線が注がれるなかでの開幕戦である。正念場というべきシーズンの始まりを目撃すべく、当ブログ管理人も一路水沢へと足を運んできた。
そんなふうに書きだしてみると、何やら緊張感でぴりぴりしたムードばかりが強調されてしまうけれど、幸いにして好天にも恵まれた土曜日の競馬場は、人出も多くかなりの賑わい。この競馬場独特の景色というべき高い空を見上げながら、どこかレイドバックした場内の空気を胸一杯に吸い込むと、そこにあったのは、いつもの水沢競馬そのものであった。

Mizusawa_kaimaku_070407_1走れる歓びを力に、前へ。
それが、今年の岩手競馬のキャッチフレーズらしい。相田みつをを彷彿とさせる素朴な筆文字だけで構成されたポスターには、ドクター・コパ氏のようなタレントの起用もなく、地味といえばこれ以上地味な宣伝もない。最小限の予算のなかからひねり出してきたアイディアが、これなのだろう。けれど悪くない。馬を走らせる関係者と競馬場に集うファンの双方に共鳴する心意気のようなものが伝わってくる。「力に、前へ」のスローガンを現実のものにできるかどうかは、まだわからないけれど、まずは最初の第一歩から。そんな手応えを感じさせてくれる1日になったと思う。

さて、この日の水沢では、開幕にふさわしくイベントも盛りだくさんでした。

岩手ナンバーの白いリムジンに乗って、この方も競馬の応援イベントに駆けつけていました。白いリムジン、白い衣装、白い背景、コーディネイトもばっちりですね。セレクトセールで会長が落札した注目の岩手入厩予定馬(父フジキセキ×母バイオレットダンス)の馬名は、「フサイチギンガ」と命名される模様です。

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一昨年に引き続き、水沢では2度目の開催となる全国競馬場実況アナウンサーサミット。岩手競馬の長田アナ(ヘアスタイルを金髪に変えイメチェンしてましたね!)の呼びかけに応え、中央・地方の名物アナが今年も水沢に集結してきました。イベントは、例によって手作り感覚満載のアットホームな内容。ファンにとっては「必ず何かもらえる」のが嬉しい催しです。
写真は、南関東競馬の高橋華代子さん+グリーンチャンネルの荘司典子さん+地元専門誌(エイカン)の黒丸トラックマン。高橋さんが持参しているはずの注目のグッズ(南関ジョッキーサイン色紙)は、日曜日のイベントでついに登場するみたいです。

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4月 8, 2007 岩手競馬, 旅打ちコラム | | コメント (0) | トラックバック (3)

2007/04/07

【桜花賞】阪神JF型の展開が再現されそう

Sakura_sakura_kinjono_sakura_2今年の桜花賞は、12月のコース改装でお目見えした阪神芝・外回り千六が舞台。新装阪神の外回りといえば、
474mの長い・長い直線を騎手たちが意識しすぎて、道中はスローペースの単調な競馬になることが多い?という印象を受けるけれど、一線級が集うマイル戦に関していえば、必ずしもそれが通り相場ではない。前哨戦のチューリップ賞こそ1000メートル通過が60秒前後のスローだったが、阪神ジュベナイルフィリーズやアーリントンCなどは、スタート直後から11秒台のラップが連続する淀みない流れになっている。

この現象を、コース形態に即して考えてみよう。
魔の桜花賞ペースと呼ばれるハイペースが頻発した芝千六の旧コースは、1コーナーポケットからの発走直後に早々と2コーナーが迫るという変則レイアウト。少しでも有利な位置を取ろうと各馬が第2コーナーに殺到する結果、コーナーを抜けてバックストレッチに入ってからもペースが落ち着かず、ハイペースの競馬になってしまう・・・・それが、魔の桜花賞ペースの正体だった。
これに対して、スタートしてから初角にあたる第3コーナーに到達するまでの直線部分が400メートル以上も確保されている新コースは、セパレートコースで行われる陸上競技の短距離種目のようなもの。枠順の内・外による有利不利が少なくなって、各馬はおおむね横に広がった隊列のまま、バックストレッチを走行していくようになった。こんな形になってしまうと、まだ折り合いに課題を残す出走馬が多い3歳戦の場合、かえってペースを緩めるタイミングを計るのが難しい。また、先手を取りたい逃げ馬にとっては、飛ばしていこうと思えば、どこまでも飛ばせる条件でもある。
半径の大きい3~4角も、あまり減速の必要がない高速コーナー。ここでもペースが落ちないままレースが進んでいくと、前半1000メートルの通過時までの流れは、平均的に速めのラップが連続し、追走する各馬にとっては、脚を溜めるのが難しい展開になってしまう。ゴール前に急坂が控える阪神の長い直線をもってしても、直線一気の差し馬が台頭する可能性は薄く、ある程度の先行力がなければ上位入賞は難しいといえるだろう。

このように考えていくと、阪神JFアーリントンCが、中団より前目に位置していた馬同士によるワン・ツー決着になったのも、なるほどと思えてくる。もちろん開幕週の馬場状態が良かったことも、先行・好位組優勢の傾向を後押ししたのだろうが、それだけではなく、新・外回りコースの2歳・3歳重賞に特有の「ハイペース」が、着順の結果に少なからぬ影響を及ぼしていると思うのだ。

さて、今年も18頭立てのフルゲートになった桜花賞。最内枠を引いたショウナンタレントを筆頭に、アストンマーチャンダイワスカーレットイクスキューズアマノチェリーランと前・前でレースを運びたいタイプがズラリと顔を並べる。こうなるとおそらく、展開はチューリップ賞のようなスローではなく、阪神JF・アーリントンC型の淀みない流れが再現される可能性が高い。力のある馬が、力を発揮するための条件は整ったと言えそうだ。

<結論>
◎ウォッカ
○アストンマーチャン
▲ダイワスカーレット
注ローブデコルテ
注イクスキューズ
注ハギノルチェーレ

ハイペースの阪神JFと、スローだったチューリップ賞。どちらの流れでも既に勝利を経験しているウォッカにとって、そもそも展開は大きな問題でないのかもしれないが、紛れの可能性が小さくなるだけ、速い流れの底力勝負は望むところ。着差はわずかでも、強い2着馬をまったく問題にしなかった両重賞のパフォーマンスからは、3歳牝馬離れしたスケール感すら漂う。皐月賞やNHKマイルを父が取りこぼした故事を拠り所にして「まさか」の波乱を期待する向きもあろうが、これほどの強い牝馬に無駄な抵抗は危険というもの。あっさり白旗をあげて本命に推す。
対抗格の2頭も例年の牝馬戦線ならば、十分優勝を狙えるレベルにある逸材。
阪神JF型の展開再現を予想しアストンマーチャンを上位に取ったが、ダイワスカーレットも兄と同じくキレより持続力に訴えるような競馬ならば2着の目があるかも。ただし、この枠順はやはり気かがり。新コースに変わり阪神マイルの外枠不利は解消されたと言われるけれど、少ない例数ながらデータを取ってみると、大外18番枠から良績を残した馬は、まだ登場していない
以下では、ウォッカが強すぎて対抗格2頭をあっさり潰してしまった場合の2着候補として、注の3頭までは一応押さえておきたい。

キルトクールは、地方代表で勇躍桜花賞に出走してきたエミーズスマイルアネモネSは、中山で現地観戦してきたが、時計・内容ともども見所に乏しい一戦だった。一連のトライアルで最も低調だったレースの上位馬が、これほどの強敵を相手に通用するというのは、どう考えても無理がある。

4月 7, 2007 07年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (5)

2007/04/01

【大阪杯】改装前から変わっていない

Meisho_samson_at_nihon_derby_v_1砂漠の王国からのテレビ中継にかじりついているうちに、すっかり夜も更けてしまったので、予想のほうは手短に。
大阪杯の舞台、阪神・芝内回り・二千メートルは、改装以前からの変化があまり目立たない条件設定である。コース全体が少し拡幅され、1~2角にスパイラルカーブが設けられたといっても、3本の直線を組み合わせたようなおむすび型のレイアウトはいまだ健在。レースのサンプル数はまだ少ないものの、ラップの出方や脚質による決着傾向に以前からの目立った変化は表れていない。となると、リニューアル後初年度の今回も、昨年までの大阪杯とほぼ同じイメージのレースが再現されると考えるのが、ひとまず常識に適うのではないか。
重馬場での競馬だった昨年こそ差し馬同士のワンツー決着になったが、前の位置を確保できるタイプの好戦が目立っているのが、近年の大阪杯のトレンド。今年も単騎先行が見込まれるシャドウゲイトを先頭に、道中は淡々とした展開が想定される。それだけに、ある程度前寄りの位置で運べる器用さをもった馬を狙ってみたいところだ。

<結論>
◎メイショウサムソン
○シルクネクサス
▲シャドウゲイト
△コスモバルク
△ホッコーソレソレー

近年は、天皇賞(春)の前哨戦としての位置づけが曖昧になりつつあるけれど、G1級のオープン馬が春の緒戦として照準を合わせ始動してくるのが、このレースの見どころの一つ。
ダービー馬メイショウサムソンは、昨秋のシーズンなかなか馬体を絞れず、思うようなレースができなかったが、週刊競馬ブックのフォトパドックを見る限り、既にあばらの浮いた仕上がりに達している。阪神では2歳の秋以来久々の登場だが、好位から力でねじ伏せる戦法を取れる分、いかにも適性が高そう。緒戦からいきなり能力を発揮してくる可能性が高いとジャッジ。
これに続くのが、マイペースで運べそうなシャドウゲイトと、実績上位のコスモバルク。だが、今回それより上位に評価してみたいのが最内枠を引いたシルクネクサスだ。正月の復帰以降、道悪競馬だった京都記念を除けば、すべて馬券の圏内に食い込むという健闘ぶり。前走でも自分から勝ちに行く競馬で2着を死守と、ここにきてメキメキと力をつけてきている。好枠の利を生かし、道中インでじっくりと脚を温存する競馬ができれば、面白い存在になりうる。以下では、1ハロン距離が長いという感はあるが、こちらも充実一途のホッコーソレソレー
キルトクールは、アサカディフィート。老雄健在をアピールする近走の活躍には敬意を表しつつも、阪神コースでは過去14戦の成績が「1-0-1-12」(連対率7%)。いかにも分が悪い印象を禁じ得ない。

4月 1, 2007 07年競馬予想・回顧 | | コメント (0) | トラックバック (3)