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2007/03/03

「有言実行」を担保するもの

Hiroo_sc2新人騎手・調教師もデビューし競馬の暦が替わる3月第1週。所属クラブの「リニューアル」にともない、オフィサーをはじめとする我がひとくち愛馬たちの所属先・勝負服も変更されることになった。社名は「サウスニアレースホースクラブ」から、本社移転先の地名を冠した「広尾サラブレッド倶楽部」へ。
海老茶、白一本輪、白袖」の勝負服も「青、袖緑一本輪」へと模様替えされる。
昨年暮れの2歳馬募集の頃から、クラブ側が「変革」と称して試行錯誤してきた運営見直しの帰結が、今回のリニューアル実行ということなのだろう。だが、これら一連の「変革」は、残念ながら必ずしも既会員の支持を受けてきたとは言い難い。

セールス面では、昨夏に話題を集めた追加募集馬2頭の登場に始まって、お友達紹介キャンペーンにキャンセルセール、さらには募集馬のお買い得パックセットと様々な新企画が打ち出されてきた。これらの試みだけなら、趣味の善し悪しはともかく「商売っ気が出てきましたねぇ」のひと言で済んでしまうのだが、クラブゆかりの牝馬の産駒を「プレゼント」と称し、新規会員限定の無償募集まで行ってしまった「お試しキャンペーン」・・・・これだけはさすがに軽率だったと思う。ネット界隈のサウスニアンからは、一斉に非難の声が湧き上がり、クラブとの訣別を宣言する会員も続出するという騒動にまで発展したこの出来事。既会員へのホスピタリティよりも、近視眼的に新規の出資者をかき集めることに軸足を置いた施策が、長くクラブに慣れ親しんできた既会員たちの反発を受けてしまうのは当然だろう。
一方、クラブ運営の要というべき募集馬の選定・育成・管理という側面では、現2歳世代の募集から「中尾公亮氏」なる謎のエージェントが登場。クラブが馬選びの統括を全委任し、中尾氏の厳しい相馬の末に選び抜いた精鋭11頭を集結させたという触れ込みのもと、新規の募集が開始されている。育成に関しても、従来のファンタストクラブ一辺倒から「預託予定調教師が信頼関係を築いている育成牧場に移動させ、それぞれの厩舎のカラーに見合った育成調教」を施すという方針転換が進められた。これらの「変革」は、クラブ内部における経営陣交替と機を一にした動きと思われたが、驚いたのは、今回のリニューアル実行と同時にその「中尾公亮氏」本人が、クラブの代表取締役の座に就いているという事実だ。

3月3日からオープンした「広尾サラブレッド倶楽部」の公式サイトを訪問し、「Debut!」と記された青いバナーをクリックすると、中尾氏による代表取締役社長就任の挨拶が読める。いわく、「具体的な目標を掲げ、その達成にむけ、高いアベレージを誇るクラブとして成長を遂げてまいりたい」とのこと。
数値目標
を掲げるという方針自体、時流にマッチした経営姿勢といえそうだが、その具体的目標とは以下の数字である。

(1)クラブ募集馬のうち、9割以上をレースに出走させる。
(2)クラブ募集馬のうち、6割以上を勝ち上げる。
(3)クラブ募集馬のうち、2割以上をオープン馬にする。

手元のデータで集計してみると、00年の前回リニューアル以降、このクラブが募集した競走馬で、中央地方を問わず出走歴があるのが75頭勝ち上がったのは38頭、障害を含めてオープン入りできたのが3頭(スターリーヘヴン、ペルフェット、オフィサー)であった。6年間の募集馬の総数がいったい何頭になるのか?正確な数字がつかめなかったが、仮に90頭ほどとするなら、一応、現状からのレベルアップを前提に設定した厳しめの目標数値といえる。
とはいえ、目標を立てるだけなら誰にでもできること。クラブ運営に対する周囲の信頼を勝ち得ようと言うなら、その達成に向けたプロセスを、出資者の目に見えるように具体化することこそが、新たな経営陣には求められていると言うべきだろう。
中尾新社長の言によるなら、「育成パートの強化」が「素質ある馬の芽を摘むことなく、各馬の長所を最大限発揮させる運び」になるということだが、何の前提もなく突然「素質ある馬」と言われても、それを担保するのは、社長の相場眼だけか?!と、疑問のひと言も呈したくなる。

結論を言おう。
今回のリニューアルにおける最大の問題点は、なじみの薄い新社名や勝負服のデザインの良し悪しでなく、クラブの経営と馬選びを一手に牛耳ることになった新社長「中尾公亮氏」の顔・プロフィール・競馬の世界に携わってきたキャリアが、会員に対して一切オープンにされていないことだ。
一説によると牧場経営者出身?との噂もあるようだが、クラブから一切公式発表がない以上、軽々にそれを信じることもできない。例えば、ラフィアンの岡田繁幸氏のような存在なら、代表者のパーソナリティ・立ち振る舞いがそのままクラブの運営方針であり、出資者も岡田氏を信頼すればこそクラブと運命を友にするという信頼関係が成立する。しかし、現時点でも謎のエージェントの域を出ない中尾社長の場合、打ち出した目標を信頼し、ますますのご支援をと言われても、マルーン(海老茶)カラーに慣れ親しんできた既会員は戸惑ってしまうばかり。それが正直なところだろう。

リニューアルを告知するパンフレットに記された「有言実行」というスタンス (※あえて誤字の件には触れない)。クラブとしてそれを標榜するのであれば、まずは「有言」への信頼を担保する情報開示をすみやかに進めることだ。会員・出資者からの信頼獲得に向けた道筋は、そこが出発点になる。目標や結果もたしかに重要だが、それより何より、クラブの運営姿勢にこそ会員は視線を注いでいる。新経営陣は、そのことを肝に銘じ、会員にとって納得性の高いクラブ運営に努めてもらいたい。

3月 3, 2007 ひとくち馬主日記 |

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コメント

中尾公亮さんという人、確かに南関の馬主登録はあるようですね。
中央登録がないとしたらブリーダーじゃなさそうだし・・・・

投稿: もくに | 2007/03/04 7:13:56

>もくにさん

中尾公亮氏は、確かに地方競馬の馬主登録があって、このクラブで再ファンドを前提に地方転出中の競走馬は、規約上「中尾公亮氏」の所有馬ということになります。以前は、日本橋レーシングというダミー会社(?)の所有馬にしていたわけですけど、こんなところにも中尾氏のこのクラブに対する影響力がうかがえるのでは?と思います。

投稿: 山城守 | 2007/03/06 1:31:23

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