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2007/03/16

【岩手競馬】存続の道は本当に閉ざされたのか?

Lets_go_on_michinoku_race懸案となっていた岩手県競馬組合に対する330億円の融資議案が、3月15日、岩手県議会の予算特別委員会・本会議で相次いで否決されたというニュースが報じられている。深夜の11時に近い時間帯に至ってからようやく開票作業が始まった本会議採決の票差は、賛成22・反対22の同数。最後は、議長の裁定によって「否決」が選択されるという微妙な決定であった。この数ヶ月間、県政界を舞台に堂々巡りの議論が続いてきた岩手競馬存廃の問題に対して議会が下した決断は「No」・・・・
競馬存続を強く支持してきた当ブログ管理人などは、地元メディアの報道を日々ウォッチしながら議会の動静に注目してきたが、統一地方選挙を目前に控えた浮ついたムードのなかで、議案のもたらす効果と可能性の検証や、競馬が廃止されたとき懸念される地域経済へのダメージについて真摯な検討が進められたとは、到底思えなかった。当事者意識と責任感が欠如した議員たちの手で、このような結論が導かれてしまったことは、返す返すも残念と言うほかない。

そもそも今回の融資案とは、競馬組合が負担する民間金融機関等からの債務を自治体からの融資で一括返済することにより、岩手競馬再生に向けた道筋をつけようというもの。毎年6億円以上に達する支払利息の負担を余儀なくされ、競馬事業の収益だけでは固定費を賄いきれなかった岩手競馬の体質を改善し、収支均衡の可能性に道を開くという意味では、一定の効果を期待できる処方箋と思われた。一方でこの議案には、「単年度で収支均衡できなければ競馬は即廃止」というプログラムも組み込まれており、仮に赤字による競馬廃止という事態に立ち至った場合でも、自治体、すなわち岩手県民による負担増加を最小限度に抑制できるという、もう一つの側面があった。いうなれば競馬主催者側の退路を断ったとも言えるアイディアで、これ以上の赤字拡大を懸念する「競馬存続反対派」にとっても、それなりに納得がいく選択肢となりえたはずだ。

県議会の「決断」は、そうした選択肢の芽を、有効な代案も検討しないままいきなり摘み取ってしまうようなもので、これでは競馬存続の可能性どころか、地域経済の行く末まで危うくなってしまう。

議案の否決により、主催者の県競馬組合、さらには組合を構成する自治体=県・盛岡市・奥州市(旧水沢市)がまず直面するのが、3月20日に期限の迫った金融機関に対する借入金の返済である。支払能力がなければ県競馬組合は経営破綻を強いられ、借金返済の責任は出資者である自治体に及ぶ。さらに競馬開催が事実上不可能となれば、2300人にも達するという関係者の雇用問題や、年300億円近くの売上喪失にともなう経済への悪影響など、県全体の没落・地盤沈下にも繋がりかねない難題が一気に噴出してくることは必至だ。財政規模の小さい奥州市などは、第2の夕張市とでもいうべきポジションにまで転落してしまうのではないかと、懸念する声も聞こえてくる。今回の否決で、基金取り崩しによる現金拠出という当座の責任だけは回避した格好の県議会も、もう知らん顔では済まされないだろう。

ちょっと話が大きくなりすぎけれど、いずれにせよ事態がこのまま推移するなら、ハードランディングによるショックが大きすぎる。まずは、その事実を直視すべきだ。地域経済の行く末はともかく、競馬存続の可能性に焦点を絞ってみても、関係者の雇用と競走馬の活躍の場を確保していくための知恵を、関係者一同が何とかして考え出す必要がある。
もはや昨年までの盛岡・水沢2場による通年開催は望むべくもないし、ばんえい存廃騒動のときのようなホワイトナイト登場も期待できないかもしれないが、たとえば、主催者に民事再生手続のようなスキームを適用して債務返済の負担を軽減したうえで、有形・無形の資産を売却。収支均衡が可能なスケールに開催規模を縮小し地域密着型の競馬を続けられる可能性は本当にないのか?そのためには、例えば、オーロパークで中央競馬全レースの馬券を発売する権利をJRAに有償譲渡したり、南部杯とダービーGPの開催権JBC問題で揺れる大井競馬にまとめて売り渡してしまうほどの大胆さが必要だろう。現主催者の背負う荷物を極力軽くしたうえで、最終的には、競馬の存続を政治の迷走に左右されない第三者の手に委ねることができれば、なお良いのだが・・・・

おりしも、融資議案が否決された当日、この4月から盛岡・水沢競馬場において中央競馬の全開催日に発売及び払戻を行う旨のリリースが、JRAから発表されている。競馬の存続が岐路に立たされたこの時期、あえてこのようなニュースが公にされる以上、岩手競馬サイドとJRAとの間で何らかの交渉がもたれ、少なくとも盛岡・水沢の競馬場設備維持を前提とした約束事が交わされたとみるのが自然だろう。レギュラーシーズンの開幕は難しくとも、舞台さえ残れば競馬存続の可能性はまだ消えていない。JRAの場外設備に全面転用という後ろ向きの決着ではなく、迫力にあふれた岩手の競馬をライブで残す方向でのウルトラCに、何とか期待をつなぎたい。

3月 16, 2007 岩手競馬 |

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コメント

まったく、返す返すも残念です。
名古屋、笠松との賞金比較においても、もっと知恵を働かす余裕はあるように感じていました。

それにしても、地全協のHPになんら情報すら表示されていない事にガッカリしました。 毎度のことですが。

これからの論議にウルトラCがあることを期待したいと思います。

投稿: セントレア | 2007/03/16 23:15:09

セントレアさん、いつも貴サイトを楽しく拝見しております。
土曜日になって、ウルトラCの目が出てきた岩手の存廃問題ですが、まだまだ予断を許しません。現時点では、1競馬ファンとして自分ができることを粛々とやるだけだと考えています。現地にまで足を運べるかどうかはわかりませんが、来週からの水沢開催。馬券を買うことで、少しでも応援を形にできるといいと思います。

投稿: 山城守 | 2007/03/17 23:50:00

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