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2007/03/11

【中山牝馬S】逃げ・先行馬苦戦の背景を考察してみる

中山牝馬Sの過去5年分のデータを遡って上位馬の脚質別成績を調べてみると、ちょっとビックリするほど明確な傾向が出てくる。逃げ・先行勢が軒並み苦戦を強いられる一方で、差し・追込勢が毎年のように上位を独占しているのだ。

■中山牝馬Sの脚質別成績傾向(過去5年)
Nakayama_hinba_stakes_0206





Asahi_rising_at_oaks_2006そもそも中山・芝千八といえば、コースの1周距離がわずか1667メートルとローカル小回り並みの内回りコースを使用するだけに、脚質的には先行有利が基本となるはず。実際、春開催中山の開幕週に施行されている同距離のG2戦・中山記念では、ここ数年、前に行く馬が優勢という傾向がうかがわれる。その開幕週から僅か2週間。馬場状態にさほどの変化もなく、同じAコースを使って行われる重賞競走なのに、これほどまでに決着傾向が激変してしまうというのは、ちょっと不可解な印象さえ受けてしまう。いったい何が逃げ・先行馬を苦しめているのだろう?そのヒントを探し出すため、とりあえず、各年のラップをチェックしてみた。

06年 12.4-11.4-12.1-12.0-12.2-12.5-11.8-11.8-11.6
05年 12.7-12.3-12.7-12.5-12.1-12.2-11.8-11.5-11.9
04年 12.2-11.2-11.8-11.6-11.5-12.2-12.0-11.5-12.1
03年 12.4-11.3-11.7-11.7-11.5-11.9-11.9-12.2-12.1
02年 12.1-11.3-11.7-11.0-10.9-11.8-12.1-12.5-12.0

当然のごとくハイペースの年もあれば、スローペースの年もある。02年~04年のようにレースの前半から11秒台が連続する慌ただしい前傾ラップになると、先行勢が苦戦というのは理解できるし、05年のように絵に描いたようなスローペース(前半1000メートル通過62秒3)では、2番手からレースを進めたウイングレットが無難に勝利を収めている。ここまでは一応、常識で計れる範疇だろう。ところが、昨年の例を思い起こしてみると、話はちょっと混沌としてくる。

前半1000メートル通過が60秒1。道中も6ハロン目に息が入っているようで、決して先行馬が失速するようなペースには見えない。ところが、4角時点で7番手あたりまでに位置していた組は人気のウイングレットを含めて総崩れ。ゴール前では中、道中後方に位置していた馬たちが中山の短い直線でも気を吐いて上位を独占という結果に終わってしまった。
緩めのペースでも先行馬が苦戦した原因の一つの仮説として考え得るのは、昨年の中山牝馬S当日の天候による影響である。この日(2006年03月12日)の中山競馬場では曇り空のもと良馬場でレースが施行されているが、南西方向から強い風(風速7メートルほど)が吹きすさんで、決着時計にもそれなりの影響を及ぼしたと手元のメモに記録が残っている。中山コースで南西方向から吹く風といえば、向正面では向かい風・ゴール前直線では追い風の形になる。つまり先行勢はバックストレッチを走行する間、終始真っ正面から風の抵抗を受ける格好になっていたのだ。一見、道中のラップが遅くみえたのは、そんなファクターも作用したせいと考えれば、先行勢にとって道中の負荷が数字以上に大きく、直線余力を残していた差し馬が台頭してきた結果も納得できるだろう。それでも前半1000メートルの時計がほぼ60秒フラットの水準なのだから、実は昨年の一戦も、本質的にはハイペースだったという解釈が成り立つのではないか?

過去5年のうち、昨年も含め4回がハイペース・・・・この傾向を生み出しているのは、おそらく中山芝千八の特殊なコースレイアウトだ。スタートして、各馬が初角に飛び込むまでの距離が僅か200メートルしかない。こうなると、どうしても先行争いは1コーナー過ぎまで持ち越されがちで、レースの流れもなかなか落ち着かなくなってしまう。
中山記念のように比較的少頭数のレースなら、ローエングリンバランスオブゲームなど力のある先行馬が発馬直後から先手を主張すると他馬は控えざるを得ず、隊列も早々と落ち着くわけだが、牝馬限定の多頭数ハンデ戦ともなれば事情は異なる。色気十分の軽ハンデの伏兵も含め、誰も彼もが1角めがけて殺到するので、毎年のようにいとも容易くハイペース気味の競馬が演出されるわけである。

そう思って今年のメンバーを見渡してみると、人気のアサヒライジングを筆頭に、前目の位置どりを確保したい思惑を胸に秘めた顔ぶれが目立つ。ハイペースの歴史は今年も繰り返されるのか?そんな展開を考慮し、差し馬の台頭には十分注意を払っておきたい。

結論
◎サンレイジャスパー
○キストゥヘヴン
▲ニシノフジムスメ
△アサヒライジング
注レクレドール
注ピアチェヴォーレ

午前中の早い時間帯に雨の予報も報じられており、馬場状態の悪化が心配だが、一応稍重程度のコンディションを想定して予想してみたい。風向きは、昨年とは反対に北西方向から秒速5メートルほどの強めの風が吹きつけてきそう。すなわち向正面では追い風、ゴール前で向かい風だ。前に行きたいクチも揃って、先行争いが1角過ぎまで混沌とする展開になれば、おそらくハイペース気味の流れが、そのまま数字になって表れてくるのではないか?

Sanrei_jasper_at_nigata_kinen_06狙ってみたいのは、やや力の要る馬場状態になっても能力が減退しない、パワーを備えた差しタイプだ。たとえば、サンレイジャスパー。昨年の夏シーズン以降、馬体の充実が著しく脚質の幅も広がってきた。京都牝馬S組の活躍が目立つ傾向からいっても、このローテーションは理想的で、府中牝馬ステークス2着当時の鞍上・中館騎手に手綱を委ねてきた陣営の選択から、勝ちたいという意欲がひしひしと伝わってくる。
Kiss_to_heaven_at_tokyo_shinbun_hai桜花賞馬キストゥヘヴンは、着順だけみると近走精彩を欠く印象はあるけれど、東京新聞杯当時のパドックを見る限り、数字以上に馬体を大きく見せており、華奢な印象を否めなかった3歳当時の面影はもう完全に払拭されている。良馬場とはいえ、雨の影響を受けた馬場で昨年のフラワーCを制した実績があり、この枠順から道中を上手く立ち回ることができれば、直線チャンスがめぐってきそう。これと同じ理由で、重馬場の新潟2歳Sと時計の掛かる芝で忘れな草賞を制しているニシノフジムスメを侮れない。さらには、ローカルの重い芝で良績を残すレクレドールピアチェヴォーレあたりへの目配りまでは必要かも。
対する先行勢では、やはりアサヒライジングの能力に一目を置かざるを得ない。なるほど、力の要る馬場は悪くないタイプだが、休み明けに加えハンデ56.5キロの条件が気がかり。人気と目方を背負って他馬のマークもきつくなる今回は、馬券的妙味からあまり食指が動かない。あくまで押さえ程度の評価とすべきか。

キルトクールは、この一戦で引退の花道を飾るというウイングレット。一昨年の優勝時と同じ55キロのハンデ・3勝を上げている千八の距離と条件は悪くないけれど、堅実な走りをみせるマイル戦ほどの確実性は疑問。また、繁殖入りしてからさらなる活躍を嘱望される大切な身体だけに、おそらく今回は無理をしないはず。

3月 11, 2007 07年競馬予想・回顧 |

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コメント

山城守さんこんにちは
去年スターリーヘヴンから買って玉砕したことを思い出しましたw
中山芝1800Mで集計すると逃げ脚質の馬は決して不利なわけではないんですが不思議ですね。
で、もしかしてと思い、牝馬限定で見てみると・・・
なんか面白い切り口になりそうで自分のソフトにも組み込んでみたい傾向です。

投稿: ほはてい | 2007/03/11 9:39:47

>ほはていさん

確かに中山芝千八の牝馬限定では、牡馬混合戦と比べ、逃げ・先行勢が苦戦する傾向が出ているようです。今年の中山牝馬ステークスも、ラップそのものは緩くみえますが、隊列がすんなり整わず、先行勢にとっては案外と息の入らない展開だったのかもしれません。それにしても、展開予想からアサヒライジング軽視という結論は想定できても、まさかマイネサマンサが差してくるところまでは予見できませんでした。フィリーズレビューもアストン・ハギノの3連複2頭軸で勝負していましたが、あんなわけのわからない馬が2着に残るとは・・・・万馬券の兵法でも駆使しない限り取れない馬券です。人知を越えた結果が待っているのが、競馬の奥深いところであります。

投稿: 山城守 | 2007/03/13 1:11:23

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