【中山記念】レース前半のペースが分水嶺に
開幕週にふさわしく前を行く逃げ・先行馬の脚勢がゴールまで衰えないケースと、中団・後方から台頭する馬が一気に先行勢を交わし去って差し競馬になるケース。近年の中山記念の決着傾向を振り返ってみると、一見対照的と言うべきこの2つのパターンが交互に繰り返されてきたように思える。
2つの決着パターンを分かつ分水嶺というべきファクターは、レース前半のペースだろう。前半1000メートル(5F)が59秒台より緩い中距離的なペースになると逃げ・先行馬が踏ん張って、59秒を切るマイル的な緩みの無い流れになると差し・追い込みの競馬になる。昔、JRAのテレビCMで女優の鶴田真由が諳んじていた「ハイペースなら差し馬が有利、スローペースになれば逃げ・先行馬が有利」という初心者向けの競馬のセオリーが、ここでは素直に通用してしまうわけだ。
■中山記念 過去7年の決着傾向
| 年 | 逃げた馬 | 着順 | 前半5F | 1着脚質 | 2着脚質 |
| 06年 | バランスオブゲーム | 1着 | 60.9 | 逃げ | 先行 |
| 05年 | ダイワバンディット エルカミーノ | 5着 14着 | 59.2 | 先行 | 追込 |
| 04年 | ローエングリン | 3着 | 57.6 | 差し | 追込 |
| 03年 | ローエングリン | 1着 | 59.5 | 逃げ | 先行 |
| 02年 | ゴーステディ | 12着 | 58.3 | 差し | 差し |
| 01年 | エーピーグリード | 9着 | 58.5 | 先行 | 先行 |
| 00年 | クリスザブレイヴ | 6着 | 58.0 | 差し | 差し |
中距離戦で前半59秒といえば、けっして息を入れやすいスローペースとは言えないけれど、後続もなし崩しに脚を使わされてしまう分、03年優勝当時のローエングリンなど、マイペースで行ける力をもった先行馬にとっては歓迎すべき条件だ。まして、昨年のバランスオブゲームのように、誰にも邪魔されず前半1000メートルを60秒台にまで落として行ければ、もう後続を術中にはめたも同然だろう。
開幕週・Aコース替わり、さらにはコーナー4回の内回りという条件設定を考えれば、本質的には「先行有利」がトレンドというべきこのレース。差し馬が先行勢を負かすためには、やはり展開の助けが必要だろう。なるほど、先行有利の展開をもろともせず、後方から連対圏にまで届いた差し馬の活躍事例はあるけれど、一昨年のカンパニー(2着)などは最内から馬群を縫うように差してきており、距離ロスを最小限に抑えた戦法が好走の決め手になっていた。実質小回りコースで、外・外を回していく不器用な競馬しかできないタイプでは、よほどのハイペースにならない限り前には届かない。馬込みに怯まぬ根性の持ち主か?最内から突き抜けるほどの決め手はあるのか?差し馬の取捨選択は、各馬の適性と過去のレース内容をじっくりと思い起こし、慎重に進めていきたい。
<結論>
◎シャドウゲイト
○エアシェイディ
▲ダンスインザモア
△インティライミ
△ローエングリン
注マルカシェンク
注グレイトジャーニー
前走AJC杯で引っ掛かって失速したインディライミは、前半から他馬の後に入れ折り合っていくことを最優先。ローエングリンも、かつて天皇賞(秋)で大暴走した際のトラウマを背負う後藤が鞍上では、思い切った先行の手は打てない。
そんな各馬の思惑を考慮してみると、シャドウゲイトにとっては、今回も「どうぞ行って下さい」というお膳立てが整った感がある。発馬後、初角に飛び込むまでの距離が短い中山の千八で、外枠からマイポジションを確保できるか?を危惧する見方もあろうが、おそらく15番枠なら無理なく先手を主張できることだろう。鞍上は、バランスオブゲームでこのレースを2連覇中の田中勝春。道中での息の入れどころは十分心得ているはずで、今年も昨年同様、前半1000メートルが60秒台。道中のどこかで12秒台後半までラップを落としてから、早めスパートで後続を突き放してしまいたいところだ。
相手は、緩めのラップのなかでも決め手を温存でき、距離ロスを最小限に抑え捌いてこれる差し脚質の馬に注目してみたい。エアシェイディは、重賞になるとなぜか勝ちきれないが、もともと中距離よりもマイル寄りの距離で決め手を生かしたいタイプ。近走の充実ぶりからも、よほどの不利がなければ上位進出必至だろう。ダンスインザモアも、久々の勝利に気をよくしている近況だけに、2年前のスプリングSで馬群を割ったあの脚を再現してくるかもしれない。以下では、行った行ったの決着も一応想定して、道中前目の位置取りを進む有力どころをマークしおきたい。
キルトクールは、メイショウオウテ。
レース前から激しく入れ込んでしまう気性が災いして、力を持てあまし気味の競馬が続いている。脚質的に不利を受けやすく、それを避けようとすれば外・外を回していくしかない。引退の花道を飾る名伯楽が最後の最後に関東の重賞へと送り込んできた刺客だが、かつて強気で鳴らした厩舎サイドのコメントは「一歩前進を期待」と慎ましいもの。過大な期待までは禁物だろう。
2月 25, 2007 07年競馬予想・回顧 | Permalink
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