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2006/12/03

【阪神JF】新装コースの傾向から読み解く上位の行方

Welcome_to_hanshin_rc_05今年の2歳牝馬女王決定戦は、新装された阪神の芝・外回り千六が舞台。初物づくしの条件だけに、レース展望には、出走馬個々の能力比較に加え、コース特性についての考察がやはり欠かせない。その阪神・外回りマイル。JRA発表などの情報源から、コースレイアウトのポイントをおさらいしてみると、だいたい次のように整理できるだろう。

①新たなスタート地点はバックストレッチの中間点に設けられ、最初のコーナーまで直線距離が444m(ほぼ平坦)
②その後、ゆるやかな弧を描く大回りのコーナー(682m)を経て、最後の直線474mに向かう。コーナー部分はほぼ平坦で、直線ゴール前190m地点までは、ゆるやかな下り勾配。
③ゴール前190mから70mの地点で高低差1.8mの急坂(改装前からの条件変更なし)

コース幅も広くなり、枠順による有利不利が解消されたかわりに、全体にタフさを要求されるコースに変貌したといわれる。それを裏づけるかのように、11月に実施された試乗会では、各ジョッキーがこんなコメントを残している。

「直線も長いし、坂もある。以前と比べるとタフなコースになる」(福永騎手)
「言い訳のできないコースというか、本当に強い馬が勝つコースじゃないかなと思う」(四位騎手)

だが、偵察気分の騎手を背に引退馬6頭程度が淡々と併走していく試乗会と、多頭数の現役馬がガチでやり合う実戦とでは、やはり勝手が違う。新装阪神のこけら落としとなった土曜のレースを観戦して、実際に気がついた点をいくつか補足し、外回りマイルの攻略法について考察を深めてみよう。

■スローペース症候群?
土曜競馬で3回行われた芝・外回りマイルの競走で共通していたのは、どのレースもゆったりとしたスローペースで進行していたということ。
たとえば、土曜メインに組まれた準オープン級の「ゴールデンホイップT」。昨年も今年も、このレースの先導役をつとめていたのが藤田騎手というわけで、ペースの比較がしやすいのだが、ハロンごとの通過ラップは次のように記録されている。

05年 12.8-11.1-11.3-12.0-11.7-11.6-11.8-12.9
06年 12.3-11.2-12.0-12.1-12.2-11.5-11.0-11.8

コース改修後の今年のほうが、勝負所のペースアップが1ハロン後にづれこんでいる点に注意が必要だ。
長いバックストレッチとゆるやかなコーナーという条件設定を考えれば、前半からペースがどんどん速くなっても不思議はないのだが、実際には、各騎手が長い直線とゴール前の急坂を強く意識するせいか、直線までじっと手綱を抑え、追い出しを我慢している。ひょっとしたら、どの騎手も、まだ的確なスパート地点を計りかねている?というのが正解なのかもしれないが。
いずれにせよこれだけペースが緩いと、ゴール前の坂に至っても先行各馬がなかなか止まってくれない。ゴールデンホイップTでも、結果、上位を占めたのは、4角地点で既に好位を確保していた先行勢ばかりであった。後方から追い上げを狙った馬たちが、上がり33秒台の差し脚を使っても、逃げていた藤田騎手の馬(マッハジュウクン6着)さえ捉えるには至らなかったのである。この事実、日曜の阪神JFの展開を想定するうえで、是非考慮しておきたいところだ。

■内ラチ沿いにグリーンベルト発生?
阪神コースの12月開催・1週目といえば、改修以前はコースローテーションの関係で、Aコース・ラチ沿いにグリーンベルトが発生する傾向が知られていた。
今回の大改修によってコース全体がフカフカの芝生に生まれ変わった新装阪神。もちろん内も外も均一に良好な状態のはずで、グリーンベルトによるトラックバイアスなど存在するはずもないのだが、実際には、前述のスローペース症候群の影響もあってか、直線内ラチから2~3頭分の狭いスペースに上位各馬が殺到する光景がみられた。まさしく疑似グリーンベルトとでも、表現すべき現象である。
こんな現象の背景には、内も外も馬場状態が良ければ、当然距離ロスのないインが有利であるという常識、それから4コーナーが緩い弧を描くカーブになって曲がりやすくなった分、馬群があまり外に振られなくなったという事実が関与していると思われる。
先行勢がびっしりとラチ沿いのポジションを占め叩き合うなか、これを捌いて上位に進出するためには、道中~直線での距離ロスを最小限に抑える必要があるのはもちろん、内で進路が塞がれるリスクをどう回避するかという一瞬の判断力も重要になってくる。こうなると、阪神外回りマイルは「本当に強い馬が勝つコース」というばかりでなく、騎手の戦略力と技量が問われる条件という意味でも、タフなコースといえそうだ。
芝荒れも進んだ来春の桜花賞の頃には、傾向と対策も変わってくる可能性があるのだろうが、リニューアル直後の現時点では、ひとまずこんな前提条件を考慮しながら、上位争いの行方を占ってみたい。

<結論>
◎アストンマーチャン
○ハロースピード
▲ルミナスハーバー
△イクスキューズ
注ピンクカメオ

ファンタジーSの圧勝で一躍主役候補に躍り出たアストンマーチャン。その戦歴や脚質から、昨年のアルーリングボイス(1番人気・14着)とイメージが重なるのが不安という見方も囁かれるが、脚力を比較するなら、こちらのほうが数段上。むしろ91年の阪神競馬場リニューアル当時の勝馬ニシノフラワーの再来といったほうが、例えとしては適切だろう。4角で好位に取り付ける器用さと爆発力を兼備した前走の勝ちっぷりから、新装阪神・外回りへの対応に不安はない。人気でも逆らえない本命馬と、素直に評価する必要がある。
問題は2着争いだ。スローペースで先行有利・疑似グリーンベルトでの攻防という前提からは、前哨戦2着の関東馬イクスキューズの先行力に飛びつきたくなるが、脚力そのものは、不利の連続を克服して3着に飛び込んだハロースピードと、前走・条件戦ながら重賞級の能力をアピールしたルミナスハーパーのほうが上位。結局、昨年のWSJCを制した岩田騎手への手替わりというファクターも加点して、ハロースピードを対抗格筆頭に指名するが、結局、着順を分けるのは展開次第ということなのかもしれない。以下では、ハロースピードとの比較で、ピンクカメオをマーク。

まだ各馬の素質の片鱗しかうかがえないなか、キルトクールは難題なのだが、ここは前走牡馬との混合戦を好走し穴人気しているウォッカを指名してみる。折り合いに心配はないということだが、前走と同様に後方からの競馬になってしまうと、この枠順だけに4角では大外ブン回しを強いられることになりかねない。前が止まらぬ新装阪神、ちょっとリスキーな穴馬と思えるのだが、どうだろう。

12月 3, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ |

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コメント

各騎手がまだ新コースの攻略について
慎重に手探りしている状態、という感じ
なんじゃないかと私も思います。
この土日でJF前に一番多くの騎乗回数がある
藤田騎手でも8回だけですから、開催数が
増えていくにつれ様相が変わってくるかもしれません。

ウオッカの四位騎手は新コースでの騎乗が
2回だけで本番を迎えますからそれこそ
タイミングを掴みそこなう可能性が高そう
じゃないかと(^^;

馬だけじゃなく騎手にも注目したい阪神JF、
どんなレースになるか楽しみです。
失礼いたしました。

投稿: けん♂ | 2006/12/03 9:07:07

>けん♂さん

終わってみれば、当ブログのキルトクール指名馬・ウォッカが大激走です。父タニノギムレットとコンビを組んでいた当時は、皐月賞で大外ブン回しの「前科」があった四位騎手も、今日の騎乗はほぼ完ぺき。いやあ、まいりました(汗)
そのウォッカ。直線、一瞬前が狭くなるシーンがありましたが、そこから立て直してグイと伸びてきたフットワークには迫力がありましたね。新装・阪神外回りはゴール前直線が長くなった分、少々の不利があっても力のある馬なら巻き返せる。それが今日の教訓でしょう。私も授業料を払って、ひとつ勉強させてもらいました。

投稿: 山城守 | 2006/12/03 16:57:53

いやーほんとに・・・参りました(^^;
内側で我慢してスッと外に出す完璧な騎乗・・
最近でもダービーでドリームパスポートで
案の定の大外ぶん回しを見せられていただけに
驚きを隠せません(笑)

直線での迫力は凄かったですね。
強い馬が勝つ、フェアな競馬場に生まれ変わった
という騎手の皆さんのコメントどおりの結果だった
と思います。
私も教訓を次に活かしていかねば・・。
たびたび失礼いたしましたm(__)m

投稿: けん♂ | 2006/12/03 17:58:50

こんばんは。サウスニアの1歳馬のラインナップがちょろっとでてますが…なにか気になる馬はいますか?おいらはリリーアンドローズだったりします(笑)

投稿: ボルジャノン | 2006/12/03 21:05:31

>ボルジャノンさん

懐かしのリリーアンドローズ。当時は自分もまだサウスに未入会でしたが、中山の未勝利戦(9月)で馬券を買ったことがあります。結果は、前半から引っかかり通しで4角アラアラ・・・・サンデー×ルドルフの配合ですから、かなり気性の激しい牝馬だったのでしょう。
さて、今回の募集馬。チーフベアハートとの配合だと、5代目までクロスが発生しないので、気性を考えると悪くないと思います。とりあえずは、馬体の具合を見てみたいですね。

その他の募集馬だと、やっぱりマルガイが気になります。某所で調べてみると、Fusaichi Pegasus×Shy Princessは海外セールで$140,000のお値段、Montjeu × Sparky's Song はセリで不落だった馬で、例年ほどの高級感はないのかもしれませんね。

投稿: 山城守 | 2006/12/04 23:44:36

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