« 2006年11月 | トップページ | 2007年1月 »

2006/12/31

【桐花賞】大晦日の水沢、3歳頂上決戦に注目!

ファン投票で選出された出走馬が、ファンの夢を乗せて走る岩手のドリームレース
存廃問題を巡る一連の騒動で揺れ続けた06年の岩手競馬。外野からの声高な主張ばかりが目立つなかで、あまり明るい話題が多いと言えない1年だったが、所属馬の活躍に目を転じてみれば、ややマンネリ気味の古馬勢にかわって、イキの良い新勢力の台頭が注目を集めた実り多いシーズンになったと思う。岩手所属馬として久方ぶりにグレードタイトルを獲得したパラダイスフラワーや、JRA芝戦線で果敢に挑戦を続けるボスアミーゴなど2歳勢の活躍もめざましいが、何と言っても今年の話題は、全国区でも通用しそうなハイレベルの能力を感じさせてくれる3歳最強馬たちの存在だろう。

Oshu_crown_at_06_dgオウシュウクラウン(3歳・牡)サイレントエクセル(3歳・牝)。同世代の牡馬・牝馬から、これほど強い馬が同時に登場してくるとは、岩手競馬の歴史を紐解いてみても、そうそうお目にかかれる出来事ではなかったはず。両者が果敢に挑戦したダービーグランプリG1の結果はまだ記憶に新しいが、着順はともかく来シーズンに向けて飛躍の手応えのようなものを垣間見せてくれた一戦だった。このレース以降、オウシュウクラウンは地元で3戦を消化し2勝・2着1回。一方のサイレントエクセルは、ビューチフルドリーマーCを圧勝で飾った後、船橋の交流重賞では長距離輸送が影響したせいか?10着と不本意な結果に終わっている。
とはいえ、両者ともその後の調整に抜かりはなく、当然のごとくファン投票上位に選出され、年末の大一番へと駒を進めてきた。ダービーグランプリ以降、初めての再対決となる3歳頂上決戦・・・・岩手競馬ファンならずとも、来シーズンのダート交流重賞戦線を展望するうえで、必見の一戦になりそうだ。

■第32回 桐花賞 12月31日・水沢ダート2000m

馬名性齢重量騎手戦績
11ゲイリーエクシード牡957沢田盛夫利63戦13勝
22ミサキノハンターセ557菅原 勲45戦5勝
33オウシュウクラウン牡356小林俊彦18戦9勝
44ニッショウウララ牡757村上 忍59戦13勝
55サイレントエクセル牝354板垣吉則16戦7勝
66チュードサンデー牡757高松 亮70戦14勝
77ブラーボウッズ牡857村松 学53戦8勝
8テンショウボス牡356阿部英俊21戦5勝
89マツリダパレス牡457南郷家全36戦8勝
10マツリダブロッコ牡557関本浩司65戦17勝

さて、決戦の舞台となる冬の水沢競馬場といえば、天候・気温次第で馬場状態が激変する厄介なコンディションのもとで施行されることで知られている。すなわち、「馬場をどう読むか?」が、ときとして出走馬の能力比較以上に、馬券作戦を占う重要なファクターとして浮上してくるのだが、そのあたりの事情に関しては、当ブログでも過去のエントリで考察した経緯があるので、参考にしてほしい。

(参考) 2005/01/03 【桐花賞前日】水沢の馬場が劇的に変化した!

問題は、今シーズンの馬場状態がどうなっているか?ということだ。
天気予報によると、大晦日の水沢地方(岩手県奥州市)は晴れ最低気温マイナス2度、最高気温1度という天候が見込まれている模様。深夜0時現在、当ブログ管理人が潜伏している水沢駅前周辺では小雪が舞い散る冬らしい空模様となっているが、冬場の岩手にしては、まだ極端には冷え込んでいない印象である。
同じような天候・気温だった12月30日の午後、インターネット中継で確認した水沢のダートコースが、田んぼのように水が浮いた状態だったことを考えると、桐花賞時点の馬場状態も、前日同様の高速馬場になる可能性は高い。冬の水沢といえば、馬場凍結を防止するためにコースに砂を大目に入れているとも言われれるが、専門誌エイカンの情報によるなら「砂の深さは普通で標準時計」というのが現在のコンディション。すなわち、砂がたっぷりと入って時計の掛かるパワー優先の馬場というよりも、どちらかといえば、先行有利の高速馬場を想定しておく必要があるといえそうだ。

この想定を裏づけるように、今シーズンの水沢冬開催の時計をダート千八の距離で確認してみると、明らかに昨年の同時期・同条件のレースよりも1~2秒決着時計が早くなっていることがわかる。

■06年12月下旬 水沢ダ千八の決着傾向

開催日クラス時計馬場天候1着2着昨年との
タイム差
12月16日A11.56.6曇りマクリ差し-1.3
12月17日A21.57.1不良小雨差し差し-1.9
12月24日B11.56.9不良曇り先行先行-1.9
12月29日C11.59.3不良先行先行-1.5
12月30日A11.58.1不良逃げ差し-1.6

どうやら、先手を取った馬はそう簡単には止まらない。その一方で、エイカン紙によるなら、馬場の外目が軽い状態で、そこを通って伸びる追込馬が急上昇している傾向も現れているようなので、脚質的には「先行馬と差し・追込馬」の組み合わせを狙って、馬券作戦を組み立てるといいだろう。
人気は3歳最強馬2頭に集中するものと思われるが、一騎打ちが想定される状況であればこそ、波乱の芽も生まれるというもの。ノーマークの穴馬が2着に台頭してくる場面にも十分な注意を払っておきたいところだ。

<結論>
◎サイレントエクセル   板垣
○オウシュウクラウン   小林
▲テンショウボス     阿部
△ゲイリーエクシード   沢田
△ブラーボウッズ     村松
注ニッショウウララ     村上
注ミサキノハンター    菅原勲

Silent_excel_at_derby_grandprix_06将来の岩手競馬を背負って立つエース格として期待を集めるオウシュウクラウンがおそらく1番人気の支持を集めるものと思われるが、「一騎打ちの構図なら人気のないほうを買え」という格言(?)を思い起こし、ここは牝馬サイレントエクセルから狙ってみたい
ダービーGPでオウシュウクラウンに先着している実績の裏づけはここでも強調材料になるし、第1回JCダートを制した父の血統背景からも、この距離は大歓迎のはず。水沢の短い直線なら、一歩先に抜け出す競馬で後続を完封する戦法の強みが最大限に生かせそうだ。

対するオウシュウクラウンは、前走・白嶺賞(水沢ダ千六)2着当時の敗因を「雪が降って、泥んこの不良馬場という悪いコンディションだった」と陣営が示唆している点が気になる。今年の正月競馬でも不良の水沢コースで3着に終わった経過があり、ひょっとすると、冬場の水沢という特殊な馬場を苦手にしている可能性があるのかもしれない。もちろん、ここに入れば能力上位は歴然としており無様な競馬に終わる心配はないが、人気を背負う今回は勝ちに行く競馬を意識せざるを得ない。それゆえにゴール前で僅かに末が甘くなったところを、後続に差される展開のリスクまで、念のため考慮に入れておきたいところだ。

馬券的に面白いのは、3歳世代で2強に続く存在と目されるテンショウボスだろう。「シーズン始めと今では馬が180度変わった」と担当厩務員も太鼓判を押す近走の充実ぶりは、やはり侮れない。脚質的にどちらかといえば、盛岡のほうが良さそうなタイプではあるものの、距離二千のレースに限れば「1-1-0-1」。ダービーGP8着の敗戦を除けば、パーフェクト連対という堅実ぶりは、ここでも十分強調できる存在だ。
以下では、差して一発を狙える伏兵と上位騎手が騎乗する逃げ・先行馬に、一応の注意を払っておきたい。

キルトクールは、前年の覇者マツリダパレス南郷家全騎手の鮮やかな手綱さばきで勝利を収めた1年前のレースは、今でも記憶に残っているけれど、今にして思えば、何もかもが上手く運びすぎた印象だった。今シーズンの不甲斐ない成績を振り返ってみても、2連覇の可能性まではちょっと考えづらいと思うのだが、どうだろう。

12月 31, 2006 岩手競馬, 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (2) | トラックバック (2)

2006/12/29

【東京大賞典】不十分な状態では力を発揮できない

Blue_concord_at_jc_dirt_06まず、正直に白状してしまうと、本日は徹夜明けで頭のほうがちょっとぼんやりとしている。予想の時間も、ろくに確保できなかった。心身ともに精彩を欠く年の暮れ。そんなコンディションのままノコノコと大井に足を運べば、内田博幸・アジュディミツオー応援ムード一色の周囲に流されるような馬券を買ってしまいそう。これではいけない。というわけで、今年の東京大賞典はテレビで自宅観戦を決め込むことにした。
不十分なコンディションのままでは力を発揮できないのは、人間も馬も一緒だろう。骨瘤が原因で川崎のJBCを回避した王者・アジュディミツオー。復調度合いが気になるところだが、叩き初戦の今回に限っては、敢えて評価を下げてみようかと思う。確かにカネヒキリとの死闘を制した帝王賞は素晴らしいレースだったが、あれほど激しい競馬が自身に与えたダメージも半端ではなかったはず。激闘で負った傷を癒し、完全復活を遂げるにはまだまだ時間が必要なのではないだろうか?

本命は、南部杯・JBCマイルの覇者・ブルーコンコルドだ。
距離延長の壁に挑んだ前走の敗因は、結局、「よそゆき」の消極的戦法に終始してしまったことに尽きる。それが直線で馬群に包まれ脚を余す結果につながってしまった。
しかしそれでもゴール前では、グイッとひと伸びしてみせる脚はみせており、けして距離の限界がこの馬の行く手を阻んだわけではない。絶好の外枠からミツオーを目標に強気のレースに徹するなら、距離の壁を越えるのは不可能ではないだろう。

◎ブルーコンコルド
○シーキングザダイヤ
▲アジュディミツオー
△ハードクリスタル
△シーチャリオット

12月 29, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (2)

2006/12/24

【有馬記念】飛べない王者のラストラン

Deep_impact_at_jc_2006昨年の有馬記念ではハーツクライに半馬身差及ばず、まさかの金星を献上。無敗の連勝街道を独走してきたディープインパクトにとって、これが国内唯一の敗戦となってしまった。ダービーや菊花賞では、上がり33秒台の豪脚で他馬を置き去りにしてきたこの馬が、さほど速いとも思えぬペースで上がり34秒6しか使えなかったのだから、武豊騎手が「今日は飛ばなかった・・・・」と嘆くのも当然。体調に問題があったのか?あるいは流れが不向きだったせいか?その敗因をめぐっては諸説が囁かれ続けるが、真相はいまだに藪の中である。
そのディープインパクト。今シーズンは、帰国初戦のJCで鮮やかに復活をアピールし、その後もラストランに向け順調な調整過程が伝えられている。幸いにして、体調の翳りのようなものも窺えないようだ。もちろん激戦の反動や疲れがまったくないといえば嘘になろうが、少なくとも体調の問題で今年もグランプリを凡走というのは、ちょっと考えられないだろう。
だが、仮に昨年の敗戦がディープの体調のみに起因したものではなく、それ以外のファクターに影響されたものと考えてみると、話は違ってくるのかもしれない。
例えば中山競馬場独特のコース形態が、ディープのような競走馬にとって鬼門であるという仮説に立って、考えてみてはどうだろう?中山・芝2500といえば、長丁場といっても、そのスケールはローカル競馬場に毛が生えた程度のもの。ディープの得意とする府中や京都の本格的コースとは、そもそも性格を全く異にしている。3~4角はスパイラルカーブ、直線もわすか300メートルそこそこの短さで、基本的には先行有利のレイアウト。外・外を回して追い上げるタイプは距離ロスが大きく、苦戦を免れないというのが、このコースの傾向と対策だ。上がり3ハロンの速さで他を圧倒するディープインパクトのような競走馬にとって、真価を発揮する前にレース自体が終わってしまうリスクは常につきまとっている。
また、時計というファクターからも仮説の傍証を、いくつかあげることができる。ディープインパクトがデビュー以来、稍重と国外を除く全10戦で記録している推定上がりを調べてみると、東京・京都・阪神3場での平均値が33秒5であるのに対し、中山では34秒2。明らかにパフォーマンスが落ちていることがわかるだろう。

ところで、当ブログで公開した昨年の予想エントリでは、競馬データベースソフトの定番「TARGET FRONTIER JV」で確認できる「Ave-3F」という指標(レースの残り600メートル標識まで各馬がマークした200メートル毎のラップを平均化したもの)を用いて、出走馬の推定走破タイムを算出するという試みを行っている。今年ももう一度同じ手順で、ディープインパクトの芝2500の推定走破タイムを求めてみたのだが、すると「中山以外」のレースを基礎として算出した時計と、「中山」を基礎にした時計とでは、1秒以上もタイム差が生じてしまうことがわかった。ちなみにこの計算で、「中山以外」の基礎データとして選択したのは、06年のJC・春天、05年の菊花賞・神戸新聞杯・ダービーの5戦、一方「中山」の基礎データは、05年の有馬記念・皐月賞・弥生賞の3戦である。

■ディープインパクトの芝2500(斤量57キロ)推定走破タイム

区分AVE3F上がり3F走破時計
中山以外36.9433.62.30.5
中山37.1134.22.31.9

くしくも、算出結果として示されたディープインパクトの「中山」推定走破タイムは、昨年の有馬記念当時、自身が記録している時計(2分32秒0)とほぼ同じ数値になってしまった。中山競馬場の芝が高速化したと言われる02年以降、有馬記念の勝ち時計もミドル~ハイペースなら2分30秒フラットでの争い(03年シンボリクリスエス2分30秒5・04年ゼンノロブロイ2分29秒5)となっているが、その水準に照らしてみると、2分31秒9というのは、いかにも平凡なレベルと言わざるを得ない。
もちろん昨年と比較した場合の成長や体調の良さも加味すれば、実際の走破時計を短縮することは不可能ではないだろう。だが、この数値が中山コースという特殊な舞台でもディープの「限界」を示唆するものとすれば、今年も「飛べないディープインパクト」が再現されてしまう可能性は一応考慮に入れておく必要はありそうだ。慎重に予想作業を進めたい。

<結論>
◎ディープインパクト
○トウショウナイト
▲ポップロック
△スイープトウショウ
注ドリームパスポート
注スウィフトカレント

さんざん不安材料を並べておきながら、それでもディープインパクトの優位は揺るがないという平凡な結論になってしまった。おそらく東京や京都のようには上手く飛べなくても、力で他をねじ伏せ、ラストランを飾れるというのが現時点の想定だ。
ディープ本命の根拠は、結局、この最強馬を打倒できるほどの勢いを感じる対抗馬が見あたらないということ。
菊花賞→JCと激戦を経てグランプリに臨む3歳馬は、さすがに上がり目が薄く、近年の例(ザッツザプレンティ・コスモバルク・デルタブルースらの3歳当時)からもここでは着順を下げる公算が高い。また、何度も王者の高い壁に挑戦して跳ね返されてきた古馬たちが、ここで逆転を狙えると考えるのもさすがに不自然だろう。
となると、魅力を感じるのは、ここまでディープと未対戦であり、なおかつフレッシュな状態を維持して暮れの大一番を迎えることができた馬たちということになる。

トウショウナイトは、「ワンテンポ早く仕掛ける自分の競馬」に徹することを公言しているが、ダイワメジャーやデルタブルースなど同様の戦法を意図する敵も多く、思い通りの競馬ができるかどうかがカギ。とはいえ、もしも展開がはまるようなら、アルゼンチン共和国杯でみせた渋太い末脚の威力は中山の短い直線ならさらに魅力的で、ディープを慌てさせる場面までありそう。
ポップロックには、この枠順から道中ロスを最小限に抑え、直線再内からスルッと抜ける奇襲を期待したい。コースを知り尽くした鞍上も魅力で、こちらも展開次第で面白い存在になる。
以下では、意外にもスイープトウショウがこれまでディープと未対戦だが、中山までの輸送で馬体を減らさないことが好走条件だ。

キルトクールは、ダイワメジャー。本格化した今なら、ひょっとして距離をこなしてしまう可能性はあるけれど、さすがのアンカツといえど、宝塚で王者につけられた1秒1の着差を逆転するのは苦しいのではないか。

12月 24, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (5) | トラックバック (15)

2006/12/17

【阪神カップ】内回り千四はキープコンセプト

Suteki_shinsuke_kun_06_satsukisho_gateJRAが暮れの阪神開催の目玉とすべく意気込んで新設した短距離重賞。「スプリンターとマイラー双方が一堂に会し激突!」という割に、スプリンターズSやマイルCSの1・2着馬が登場せず、やや拍子抜けの感はあるものの、G1馬4頭を含むフルゲート18頭と、まずまずのメンバーが揃った。舞台となるのは、芝千四・内回りコースである。

リニューアル後の阪神競馬場といえば、芝・外回りコースやダート二千といった新設条件ばかりが注目を集めるけれど、芝千四・内回りコースに関していうと、どこがどう変わったのか、実はほとんど情報がないJRA公式サイト週刊競馬ブック(12月3日号)の特集記事を参考にあれこれ調べてみたのだが、やはり情報不足の感は免れなかった。結局、判明したのは、内回りコースにおいて、少なくとも以下の5つの変更点の影響は一応考慮しておく必要があるということだ。おそらく5番目の変更点は、レースの質にほとんど影響を及ぼさないと思われるけど(笑)、それ以外の各点も基本的にはマイナーチェンジの範疇である。

(1)コースの幅員を正面27m、向正面28mに拡幅(従来25m)
(2)A→Bコースの柵移動の幅が拡大(直線部2.5→3m)
(3)ゴール前直線の距離を4mほど延長(352.5→356.5m)
(4)芝馬場全体のほとんどを8月上旬までに張り替え
(5)桜並木を旧・千六スタート地点から向正面に移設

念のため、これ以外のポイントもチェックしてみよう。
芝千四コースの発馬地点のレイアウトは改装前と比較しほとんど変わっていないし、1~2コーナーに設けられたスパイラルカーブの影響も、向正面からのスタートだから考える必要がない。また、ダートコースで3コーナーの半径が拡大されているが、芝・内回りではその点に関する主催者のコメントが見あたらない。ということは、3~4角の形状に変更はないということだろう。ゴール直前に設けられた急坂の勾配も、改装以前から特に変わっていない。
以上を総合してみると、リニューアル後の阪神・芝・千四コースの条件は、改装以前からのキープ・コンセプトを基本に設定されているのがわかる。バックストレッチ・3~4角中間部の偽直線・ゴール前直線と3本の直線を繋ぎ合わせたようなコースの形状は健在であり、これなら改装以前の傾向と対策をほぼ踏襲したようなレースが観られることだろう。
ただし、マイナーチェンジとはいえ、コース改修のわずかな影響を一応想定しておくなら、冬開催3週目(Bコース)時点の現在では、従来より先行有利の傾向が強まっている可能性がある。Bコース替わりによる仮柵の移動幅が以前より大きくなっていること、芝の張り替えと秋の休催によって野芝の根付きが良くなっていることを踏まえるなら、ラチ沿いの疑似グリーンベルトは3週目になってもソコソコ強靱で、前を行く馬はそう簡単に止まってくれないはずだ。さらに18頭の多頭数という条件も考慮するなら、コーナーで外を回す差し・追込馬は馬券的に軽視するのが正解といえるのかもしれない。

<結論>
◎ステキシンスケクン
○マイネルスケルツィ
▲コートマスターピース
△アサクサデンエン
注ニューベリー
注プリサイスマシーン

阪神コース改装以前(01年~)の芝千四では、1枠1番からスタートした逃げ馬の戦績が「6-3-1-11」(連対率43%)と抜群に良い。もし、このデータから導き出される傾向がリニューアル後も依然有効ならば、ステキシンスケクンは今回こそ絶好の条件を引き当てたと言えそうだ。
そもそもスプリント戦では忙しく、マイル戦では差し馬の餌食になりがちなこの馬にとって、千四はベストの距離。アーリントンCの実績から直線の急坂も苦にすることはない。無理に競りかける馬も見あたらない今回は、一人旅からゴールまで粘りが持続する公算大と結論づけてよいのではないか。
ゆったりとした外回りとは異なり、内回り千四はどちらかといえばトリッキーなコース設計。それだけに、騎手の技量も重視する必要がある。改装前のこのコースで連対率上位の武豊(43%)・ペリエ(50%)・藤田(26%)の各騎乗馬は、連対候補として当然マーク。アンカツ(23%)・四位(22%)あたりも、馬券圏内の一角だろう。

キルトクールは、オレハマッテルゼ
そもそも大外枠は距離ロスが大きそうだし、大先生も改装前阪神・芝千四では01年以降、13戦して連対ゼロ。折り合いに課題を残すタイプだけに、快調に飛ばすシンスケ君を無理に追いかけられない展開も辛くなりそうだ。

12月 17, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (4) | トラックバック (7)

2006/12/10

【朝日杯FS】有力2着候補に先着可能な伏兵とは?

Dream_journey_at_tokyo_sports_haiPOGで評判を集めるような良血馬なら、暮れのラジオNIKKEI杯(旧ラジオたんぱ杯)を目標にするので、こちらのG1は来春のクラシック戦線を占う登竜門というより、現時点の完成度の優劣を競い合う一戦。しかも、舞台はマイル戦としては先行有利といわれる中山コースだけに、スタミナや底力より、スピードに傾斜した適性を有する競走馬がどうしても有利となる。
過去3年の勝馬の名を思い起こしてみても、1番枠の有利さを生かし切った感のあるコスモサンビーム、早め追い上げから先行馬を力でねじ伏せたマイネルレコルト、豊かなスピードをゴール前まで持続させたフサイチリシャールと、それぞれタイプの違いこそあれ、共通しているのは、マイル戦らしい緊密なラップに適応しうるスピードの持続性だ。血統的観点からいうと、スローペースでの瞬発力を武器にしているサンデー系にとって苦手な条件であり、実際、先に名前をあげた近年の優勝馬たちは、いずれも持続力勝負でこそ力を発揮するノーザンダンサー系ばかりだった。
しかも、この時期の中山・芝(Aコース)といえば、内ラチ沿いのコース取りを選択した馬が外を回す差し馬との比較で圧倒的に有利な傾向が現れることでも知られていれる。何だかんだ言っても結局、枠順や脚質がレース結果を大きく左右してしまう、そんな一戦である。
で、こんな朝日杯の基本傾向を押さえたうえで、今年の出馬表を眺めていくと、とりあえずかなりの高確率で「2着」に来そうな馬がいることがわかった。
ドリームジャーニー。前走も蛯名騎手とのコンビで、東スポ杯を3着しているステイゴールド産駒である。父譲りの燃える気性の持ち主だけに距離短縮は悪くないし、9月の芙蓉ステークスで既に中山マイルも克服済み。さらには、ラチ沿いのコース取りを選べそうなこの枠順もプラス材料だ。ただし、サンデーの血を引くこの馬が勝ちきるというイメージまでは、やはり湧いてこない。複勝勝負ならかなりの自信があるけれど、単勝を買えるかと問われれば、ちょっとお薦めとは言い難いタイプである。
だが、その一方で、この馬を負かす勝馬のイメージというのも、ちょっと思い描くことができないのだから、今年の朝日杯は難しい

たとえば、前日売り1番人気のオースミダイドウ。デイリー杯で示した瞬時の反応の鋭さには、確かに目を見張るものがあったが、レース前のテンションがあれだけ高いと、初の関東遠征で実績をそのまま信頼してよいものか?判断に迷う。直線に坂の設けられたコースをまだ経験していないのも不安材料で、人気とのバランスを考えると、不動の本命とまでの評価を与えるのはどうか?という気がする。
東スポ杯でドリームジャーニーに先着したフライングアップルは、確かに1戦ごとに力を付けてきたが、マイル戦の緊密なラップをいまだ経験していない。
重賞未出走のマイネルシーガルは、戦ってきた相手のレベルにやや疑問が残るし、先行力のあるマイネルレーニアは、前走のレース内容そのものに、特に強調すべきポイントが見あたらない。
結局、人気上位の各馬はどれもそれなりに強いが、ドリームジャーニーに先着できるほどの強調材料を欠いているという結論に突き当たる。今年の朝日杯優勝の座をかっさらっていくのは、単勝2ケタ人気の伏兵ではないかという予感がしてくる。

難しい選択になるが、近年の決着傾向から単勝候補を絞り込むための条件を考えてみると、ポイントになりそうなのは、やはり前走の成績だ。過去5年に関して言えば、優勝馬の前走はいずれもオープン条件で、うち4頭が優勝。残る1頭(マイネルレコルト)には、明らかな敗因(出遅れ)があった。完成度の高さがものをいう一戦である以上、既にオープンを好走できるほどの力量が明らかでなければ、いくら評判の素質馬といえど苦しい。そんなレースの特質を頭にいれ、今一度、勝馬探しにトライしてみよう。

<結論>
◎アドマイヤヘッド
○ドリームジャーニー
▲オースミダイドウ
△フライングアップル
注マイネルレーニア
注マイネルシーガル

前走・オープン条件で優勝あるいは明らかな敗因有りというファクターから浮上するのは、次の5頭である。

マイネルレーニア(前走京王杯G2・1着)
マイネルサニベル(前走ききょうS・1着)
オースミダイドウ(前走デイリー杯G2・1着)
マイネルシーガル(前走いちょうS・1着)
アドマイヤヘッド(前走京王杯G2・5着 敗因出遅れ)

このうち、レーニア・シーガルの両マイネルと、オースミダイドウの評価は前述のとおりだし、マイネルサニベルはマイル戦でいまだ良績がないことが減点材料。
結局、勝馬候補の選択肢として唯一残ってしまったのが前走・5着と不本意な成績に泣いたアドマイヤヘッドだ。出遅れ不利で京王杯を凡走という戦績は、何やら一昨年のマイネルレコルトを彷彿とさせるし、発馬さえまともなら、札幌戦で示したとおり好位で器用なレースができるこの馬。鞍上・岩田康誠なのに前日売りの単勝が20倍台と人気がガタ落ちしている今回は、馬券的にも妙味たっぷりで、面白い狙い目になりそう。
○の複勝(前日売り2~3倍)を厚めに押さえ、◎○の馬単(200倍)もしくは◎○から人気どころ各馬への三連単が馬券の狙い目。一発あたれば、かなりの配当を期待できそうだ。
ちなみにキルトクール指名馬は、ゴールドアグリ。こちらは、昨年のショウナンタキオンを彷彿とさせるタイプで、脚質的に掲示板までが精一杯とみるがどうだろう?

12月 10, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (3)

2006/12/03

【阪神JF】新装コースの傾向から読み解く上位の行方

Welcome_to_hanshin_rc_05今年の2歳牝馬女王決定戦は、新装された阪神の芝・外回り千六が舞台。初物づくしの条件だけに、レース展望には、出走馬個々の能力比較に加え、コース特性についての考察がやはり欠かせない。その阪神・外回りマイル。JRA発表などの情報源から、コースレイアウトのポイントをおさらいしてみると、だいたい次のように整理できるだろう。

①新たなスタート地点はバックストレッチの中間点に設けられ、最初のコーナーまで直線距離が444m(ほぼ平坦)
②その後、ゆるやかな弧を描く大回りのコーナー(682m)を経て、最後の直線474mに向かう。コーナー部分はほぼ平坦で、直線ゴール前190m地点までは、ゆるやかな下り勾配。
③ゴール前190mから70mの地点で高低差1.8mの急坂(改装前からの条件変更なし)

コース幅も広くなり、枠順による有利不利が解消されたかわりに、全体にタフさを要求されるコースに変貌したといわれる。それを裏づけるかのように、11月に実施された試乗会では、各ジョッキーがこんなコメントを残している。

「直線も長いし、坂もある。以前と比べるとタフなコースになる」(福永騎手)
「言い訳のできないコースというか、本当に強い馬が勝つコースじゃないかなと思う」(四位騎手)

だが、偵察気分の騎手を背に引退馬6頭程度が淡々と併走していく試乗会と、多頭数の現役馬がガチでやり合う実戦とでは、やはり勝手が違う。新装阪神のこけら落としとなった土曜のレースを観戦して、実際に気がついた点をいくつか補足し、外回りマイルの攻略法について考察を深めてみよう。

■スローペース症候群?
土曜競馬で3回行われた芝・外回りマイルの競走で共通していたのは、どのレースもゆったりとしたスローペースで進行していたということ。
たとえば、土曜メインに組まれた準オープン級の「ゴールデンホイップT」。昨年も今年も、このレースの先導役をつとめていたのが藤田騎手というわけで、ペースの比較がしやすいのだが、ハロンごとの通過ラップは次のように記録されている。

05年 12.8-11.1-11.3-12.0-11.7-11.6-11.8-12.9
06年 12.3-11.2-12.0-12.1-12.2-11.5-11.0-11.8

コース改修後の今年のほうが、勝負所のペースアップが1ハロン後にづれこんでいる点に注意が必要だ。
長いバックストレッチとゆるやかなコーナーという条件設定を考えれば、前半からペースがどんどん速くなっても不思議はないのだが、実際には、各騎手が長い直線とゴール前の急坂を強く意識するせいか、直線までじっと手綱を抑え、追い出しを我慢している。ひょっとしたら、どの騎手も、まだ的確なスパート地点を計りかねている?というのが正解なのかもしれないが。
いずれにせよこれだけペースが緩いと、ゴール前の坂に至っても先行各馬がなかなか止まってくれない。ゴールデンホイップTでも、結果、上位を占めたのは、4角地点で既に好位を確保していた先行勢ばかりであった。後方から追い上げを狙った馬たちが、上がり33秒台の差し脚を使っても、逃げていた藤田騎手の馬(マッハジュウクン6着)さえ捉えるには至らなかったのである。この事実、日曜の阪神JFの展開を想定するうえで、是非考慮しておきたいところだ。

■内ラチ沿いにグリーンベルト発生?
阪神コースの12月開催・1週目といえば、改修以前はコースローテーションの関係で、Aコース・ラチ沿いにグリーンベルトが発生する傾向が知られていた。
今回の大改修によってコース全体がフカフカの芝生に生まれ変わった新装阪神。もちろん内も外も均一に良好な状態のはずで、グリーンベルトによるトラックバイアスなど存在するはずもないのだが、実際には、前述のスローペース症候群の影響もあってか、直線内ラチから2~3頭分の狭いスペースに上位各馬が殺到する光景がみられた。まさしく疑似グリーンベルトとでも、表現すべき現象である。
こんな現象の背景には、内も外も馬場状態が良ければ、当然距離ロスのないインが有利であるという常識、それから4コーナーが緩い弧を描くカーブになって曲がりやすくなった分、馬群があまり外に振られなくなったという事実が関与していると思われる。
先行勢がびっしりとラチ沿いのポジションを占め叩き合うなか、これを捌いて上位に進出するためには、道中~直線での距離ロスを最小限に抑える必要があるのはもちろん、内で進路が塞がれるリスクをどう回避するかという一瞬の判断力も重要になってくる。こうなると、阪神外回りマイルは「本当に強い馬が勝つコース」というばかりでなく、騎手の戦略力と技量が問われる条件という意味でも、タフなコースといえそうだ。
芝荒れも進んだ来春の桜花賞の頃には、傾向と対策も変わってくる可能性があるのだろうが、リニューアル直後の現時点では、ひとまずこんな前提条件を考慮しながら、上位争いの行方を占ってみたい。

<結論>
◎アストンマーチャン
○ハロースピード
▲ルミナスハーバー
△イクスキューズ
注ピンクカメオ

ファンタジーSの圧勝で一躍主役候補に躍り出たアストンマーチャン。その戦歴や脚質から、昨年のアルーリングボイス(1番人気・14着)とイメージが重なるのが不安という見方も囁かれるが、脚力を比較するなら、こちらのほうが数段上。むしろ91年の阪神競馬場リニューアル当時の勝馬ニシノフラワーの再来といったほうが、例えとしては適切だろう。4角で好位に取り付ける器用さと爆発力を兼備した前走の勝ちっぷりから、新装阪神・外回りへの対応に不安はない。人気でも逆らえない本命馬と、素直に評価する必要がある。
問題は2着争いだ。スローペースで先行有利・疑似グリーンベルトでの攻防という前提からは、前哨戦2着の関東馬イクスキューズの先行力に飛びつきたくなるが、脚力そのものは、不利の連続を克服して3着に飛び込んだハロースピードと、前走・条件戦ながら重賞級の能力をアピールしたルミナスハーパーのほうが上位。結局、昨年のWSJCを制した岩田騎手への手替わりというファクターも加点して、ハロースピードを対抗格筆頭に指名するが、結局、着順を分けるのは展開次第ということなのかもしれない。以下では、ハロースピードとの比較で、ピンクカメオをマーク。

まだ各馬の素質の片鱗しかうかがえないなか、キルトクールは難題なのだが、ここは前走牡馬との混合戦を好走し穴人気しているウォッカを指名してみる。折り合いに心配はないということだが、前走と同様に後方からの競馬になってしまうと、この枠順だけに4角では大外ブン回しを強いられることになりかねない。前が止まらぬ新装阪神、ちょっとリスキーな穴馬と思えるのだが、どうだろう。

12月 3, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (5) | トラックバック (8)