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2006/06/04

【安田記念】グリーンベルト・イン有利説を深読みする

Telegnosis_at_tokyo_course安田記念の行われる東京春開催・後半3週目。この週の競馬を予想するうえで、目配りを欠かせない重要ファクターが、仮柵移動によるコースローテーションの問題だ。
オークス・ダービーでは、仮柵で保護されていた芝走路の内側が再び開放され、いわゆる「グリーン・ベルト」ができあがる。前週まで使われていた外側の芝と比べ、まだ傷みも少なく走りやすいといわれる、このラチ沿い数メートルのゾーンをめぐって、いったい各馬がどんなコース取りをしてくるのか?毎年、安田記念の予想をするとき、たっぷりと頭を悩ましてくれる難題である。
常識的に考えるなら、インのコース取りを選べる馬が、当然有利ということになろう。馬場の良いところを通る内の馬に対して、外から差す戦法では、府中の長い直線といえど追いこみきれなくなってきている。興味深いのは、そんな内有利の傾向が、改修工事後のコース・リニューアルが行われた03年以降、いっそう顕著になってきていることだ。
たとえば、02年以前のレースでは、直線に入って馬群が横に大きく展開し叩きあいを演じる光景がよくみられたものだが、03年以降になると、4コーナーを回ってからも馬群が内ラチ沿いに密集するようになってきた。馬群の形にそんな変化が現れたのは、改修工事によるコーナー形状変更の影響もあるのだろうが、手綱をとる騎手たちが、これまで以上にラチ沿いのコース選択を強く意識するようになった。そんな事実の有力な傍証といえないだろうか。

さらに、先週のダービーが象徴しているように、今シーズンの府中開催では、そもそも内有利の傾向(トラックバイアス?)が強く現れている。土曜競馬の芝のレースを振り返ってみても、比較的コースの内目を通ってきた馬たちばかりが、連対圏を賑わすという結果になった。日曜日になると、安田記念の行われる第11レース以前に計6鞍、芝のレースが組まれているので、ラチ沿いの芝部分でもある程度は傷みが進行してくるだろう。だが、見た目以上に頑丈といわれる府中の芝が、一転して外差し有利のコンディションにまで状態を変化させるとは、さすがに考えづらい。グリーンベルトは終日健在。ひとまずは、この前提に立って、レース展望を進めていく必要がありそうだ。
だが、内有利 イコール「内枠」「先行脚質」を狙い打ちすれば、自動的に馬券が取れるほど、安田記念は生易しいレースではない

たとえば、ペースという視点からこの一戦を考えてみると、スタートからゴールまで、終始一貫してG1級のマイル戦にふさわしい速い流れでレースが進み、先行勢にとっては息の入らない厳しい競馬になる。このため、レース自体の上がりも最後の1ハロンだけは、12秒台まで落ちてしまうことが多い。つまり、坂下あたりで一歩先に抜け出したとしても、残り100の地点になると、どうしても脚が止まってしまうのだ
一方、先行馬の直後で脚を溜める内の差し馬にとっても、失速気味の前が壁になってしまうリスクが、どうしてもつきまとう。特に今年の場合、仮柵移動がBコース設定になっていることにも、注意が必要だ。すなわち、昨年までのAコース設定なら6メートル確保されていたグリーンベルトが、Bコースだとわずか3メートルの幅しかない。直線を向いて、多頭数の馬群がこの狭いスペースに殺到するとなると、前の壁を捌けないまま脚を余して不完全燃焼に終わる馬が自ずと増加するだろう。インを突く差し馬である以上、そんなリスクも、覚悟しておかなければならない。

逆説的な推論になるけれど、イン有利の傾向が例年以上にハッキリしている今年の場合、特に外から脚を伸ばす差し馬には警戒が必要ではないか?それも、道中は馬場の良いラチ沿いで脚をためつつ、直線もロスを最小限に抑えグリーンベルトの外側ギリギリから決め手を発揮してくるタイプ。思い起こせば、3年前のアグネスデジタルの勝ちっぷりが、ちょうどそんな感じだった。コース取りの選択をめぐっての一瞬の判断が、着順の明暗を分ける。そんな一戦だけに、騎手の技量というファクターも普段以上に重視して、レースの行方を占ってみたい。

【結論】
◎テレグノシス
○ダンスインザムード
▲ダイワメジャー
△インセンティブガイ
△カンパニー
△アサクサデンエン

最近では、大外ブン回しのワンパターンな戦法がすっかり板についたテレグノシス。だが、もしも4年前のNHKマイルのようにソツのないレース運びができるなら、勝馬のイメージに最も近いのは、意外とこんなタイプだ。この枠順だと道中は後方に控える策をとらざるを得ないが、1枠両馬やメイショウボーラーが先に行ってしまえば、馬群の内でもストレスのないポジションを難なく確保できそう。武豊の手腕込みで、単の狙いが面白い。

ダンスインザムードは、前走の牝馬G1で、何もかも上手く運びすぎた印象があるけれど、歴史的名牝が復活を遂げた以上、もう軽視は禁物だ。マイラーズカップでは、ダイワメジャーに先着を許したが、ゴール前の決め手と府中コースへの適性を比べれば、むしろこちらに一日の長がある。

ダイワメジャーは、逃げ馬たちを突き回しながら、直線で力任せに押し切る展開に持ち込めるかどうかがポイント。京都や阪神・中山なら対応できても、直線500メートルの府中G1になると、そんな芸当も案外と難しい。強いときには鬼のようでも、土俵を割るのは案外アッサリというタイプかもしれず、3番手評価までとしたが、展開のカギを握るのは間違いなくこの馬だろう。要注目。

以下では、ハマればゴール前で、一瞬の鋭い脚を使える馬たちが続く。これらのタイプは幅3メートルのグリーンベルトに密集する馬群の真っ直中に位置する公算が高くリスクは大きいが、うまく捌ければ上位進出の目も残っている。

キルトクールは、オレハマッテルゼ
無類の東京巧者で、本質的にはマイラー。そんな資質を考えると人気も当然と思えるが、早めに抜け出すとソラを使う癖が泣きどころ。必然的にギリギリまで手綱を抑える策を強いられるが、多頭数の激戦だけに、そうこうしているうちに行き場を失ってしまう恐れが・・・・。

ちなみに、香港馬3頭も強い顔ぶれが揃ったけれど、東京コースで乗り慣れていない外国人騎手を割引材料と考えたい。馬券的には「はじめから出走していない」扱いにしてしまったほうが精神衛生上よいので無印としたが、実績的に勝たれてしまっても、まったく文句はいえないという厄介な存在だ。

6月 4, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ |

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コメント

毎週、楽しみにしております。

今回はギリギリになっても記事が出ないので、心配しましたよ。

さて、グリーンベルト・イン有利説の深読み、素晴らしいですね。

私もかなり考えましたが、最後はどうでもよくなりました(笑)。

アグネスデジタルのイメージは、私も同じです。

ただ、アグネスデジタルのように、ある程度前に位置しながらインを進める強い馬が、今回は見当たらなかったというのが正直なところです。

今の府中だと、あまり後ろからだと届かないというのも、決め付けかもしれませんが…

これも深読みするには、あまりにも深すぎて。

さあ、安田記念のゲートインが近づいて来ました!

投稿: 治郎丸敬之 | 2006/06/04 13:49:06

>治郎丸敬之さん

終わってみれば、「アグネスデジタルのイメージ」で差してきたのは、武豊でも内田博幸でもなく、香港のプレブル騎手でしたね・・・・orz 馬の力も一枚上でしたが、勝利への最短ロードを本能的にかぎわける世界の名手の手綱さばきに、圧倒されてしまいました。
武豊騎手に関しては、思った以上にペースが落ち着いたことも災いしましたが、それ以上に、消化不良の印象をぬぐえない消極的な騎乗ぶりが残念です。
回顧記事は、月曜夜にアップします。

投稿: 山城守 | 2006/06/04 23:47:27

深い考察、参考になります。

武豊騎手は最近後方からの競馬ではずし続けているように思えますね。ディープの感触が手綱捌きに影響を与えてるとか・・考えすぎでしょうか(^^;

岩田騎手も今回騎乗に工夫をした一人だと思います。見事に包まれてしまいましたが・・。
回顧記事を楽しみにしております。

投稿: けん♂ | 2006/06/06 19:56:58

>けん♂さん

当初予定よりも2日遅れで、回顧?エントリをアップしました(^^;
ディープインパクトの感触と、それ以外の追込馬騎乗時の成績に何らかの因果関係を見いだせるか否か?難問です。さすがにデータ分析から、その答を見いだすことはできませんでした。とはいえ、追込馬騎乗時の豊マジックに過大な期待は禁物という傾向は、是非、頭に入れておきたいところですね。

投稿: 山城守 | 2006/06/08 1:44:26

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