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2006/06/23

「キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか」

Hanage思わず全身から力が抜けてしまいそうなタイトルだが、中身のほうは大真面目である。
たとえば、「そのひと言がなぜ言えない」と題された章には、こんな表題のコラムが並んでいる。「激マズ蕎麦屋で店主に味の悪さを指摘する」「電車のなかでマナーを守れぬ傍若無人な若者を叱り飛ばす」「貸したまま相手も忘れているであろう2千円の返済を迫る」・・・・・。
日常生活のなかで誰もが遭遇する場面において、面と向かって口にするのも憚られるような「ひと言」。もし、貴方が蛮勇をふるいそれらを言葉にしたら、いったいどんな反応が周辺に巻き起こされるだろう? 気まずい沈黙か、暴力沙汰か、はたまた人間関係の崩壊か?想像するだに恐ろしい結果に怖じ気づくことなく、勇気をもってそれを実験してみようというのが、この本のテーマである。
筆者は、小心ルポライターを自認する北尾トロ氏。この本の執筆時点で不惑を迎えており、もう決して若くはない人である。フリーライターといえど社会的立場を考えると、いろんな意味で冒険は難しい年頃のはずだが、そんな筆者が体を張って、トラブル覚悟の「人体実験」ルポに次々と挑んでいく。

勇気をもってトライすべき課題は、それだけでない。機会があれば一度、「やってみたかったけど、できなかったこと」というジャンルもある。たとえば、「高校時代に好きだと言えなかったあの女性に23年のときを超えて告白する」とか、「人前で自作の詩を朗読する」などなど。つまり、自らの度胸と羞恥心の限界に挑戦してみようという趣向なのだが、思わず赤面してしまうこんな願望を実際に行動に移すとなると、要求されるエネルギーも半端でない。行動を前にした筆者の煩悶や胸の高鳴り。それが読み手の側にも手に汗握らせるほど、スリリングに伝わってくる。正直、ページを括り出すまでは、ばかばかしいという先入観もないわけでなかったけれど、この臨場感と当事者意識を筆者と共有してしまったら、もう最後まで一気読みは必至という怪作だ。

ちなみに、筆者の北尾氏は、競馬関係の記事も仕事にしている人なので、本書で設定される挑戦テーマには、競馬ファンにとっても興味津々の話題が含まれている。なかでも、「ウインズ後楽園にたむろする席取りオヤジに着座権を主張する」というのが、実にリアルな体験記だった。スポーツ新聞を座席に敷き詰めたまま、長時間、席をはずしていながら、戻ってくると臆面もなく着座権を主張するオヤジに対し、筆者が言い放つひと言が白眉である。

あんたなあ、必死になって席取って、いったいいくらの勝負してるんだ?メインの馬券買ったんだったら見せてくださいよ。5万10万の勝負してるんなら喜んで席を譲るから

・・・・(笑) ううむ、一度で良いから言ってみたいよね。何事につけ度胸が最優先。鉄火場の作法というのは、かくありたいものである。

6月 23, 2006 書籍・雑誌 |

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コメント

お久しぶりです。
なんともおもしろい本ですね?!
坊主もなかなかいい出せないです(^^;)

去年大井で席に座ったところ
後ろのオヤジが
「そこは座る人決まってるから座るな!!」
「ここのルールしらないの??」
「○○さんこの兄ちゃんに教えてやらなきゃかわいそじゃん!!」
ときれられました。。。
さすがにこの時ばかりは悪態をついて立ち去りましたけどね・・・(^^;)
席取りオヤジは迷惑ですよね~~?!

投稿: 坊主 | 2006/06/23 22:39:50

新聞一枚で終日、着座権をキープできると頑なに信じている席取りオヤジ。私も、彼らに対しては強気に出れないです。
一番、罪深いのは、席取りを公式に認めていないにもかかわらず、お客同士のトラブルには傍観の立場を決め込む、主催者という気もします。

投稿: 山城守 | 2006/06/25 3:51:39

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