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2006/06/08

【教訓・安田記念】追込・武豊の狙いどきを考える

「道中はロスなく追走できたし、直線に向くまではいい感じだった。さすがに内には自分のスペースはないと思い、外に進路を取ったんだけど、スムーズに出すことができた。これならと思って追い出したんだが・・・・・・。グンとは伸びてくれなかった。せっかくいい馬に乗せてもらったのに残念。」(武豊騎手)
~週刊競馬ブック今週号より引用~

Telegnosis_at_yasuda_kinen_featuring_tak安田記念で当ブログが本命に推したテレグノシス(9着)に騎乗していた武豊騎手のレース後コメントである。そのテレグノシス、発馬直後にスッと手綱を抑えて、いつものように後方待機を決め込むと、道中は安全運転。おかげで、香港馬のふらつきによる被害を受けることもなかったが、結果的に終始、外・外を回していく形になって、直線の末脚も不発に終わった。
名手・武豊なら、普段とは違うテレグノシスの新たな一面を引き出してくれるのでは?と期待していたが、結局この日も、いつもと同じワンパターンの外を回す追い込み戦法・・・・パドックでの気配とレース結果が必ずしも一致しないムラ駆けタイプなので、ひょっとして馬の体調や精神面に敗因があった?という可能性も否定できないけれど、それにしても、もう少し工夫のある競馬ができなかったものか?というのが率直な印象だ。道中、ほとんど同じような後方のポジションに陣取っていたアサクサデンエンが、果敢に内の馬群に突っ込んで、最後の最後に2着にまで浮上したことを思えば、ますますそんな気持ちは強くなる。

不発に終わった豊マジック・・・・だが、馬券オヤジは、転んでもタダでは起きない。安田記念の武豊テレグノシスの凡走を教訓にして、今後の馬券作戦の糧を見いだすことはできないか?そんな切り口で、武豊騎手の追い込み戦法に関するデータ分析を試みようと思う。武豊といえば、現役屈指の追込競馬の名手というイメージが強いけれど、豊マジックが鮮やかに決まる時と、そうでない時には、いったいどんな条件の違いがあるのだろう?

分析対象データは、03年以降に武豊騎手がJRAで騎乗したすべての芝のレースである。まずは、全レースの脚質別成績から、チェックしてみたい。

■武豊騎手 騎乗馬の脚質別成績(芝03年~)
Siba_sogo_seiseki_1





道中「後方」に位置していたときの成績は、「逃げ」「先行」馬騎乗時と比較して、大きく見劣っている。常に人気を背負うトップ騎手の宿命として、単勝回収値・複勝回収値の低さには目をつむるにしても、連対率が2割を切っているとは、ちょっと意外な印象さえ受けるほどだ。
この数値だけを見ても、追込戦法による豊・マジックに大きな期待を寄せるのは危険であることがわかる。近代競馬の鉄則は、条件を問わずあくまで「先行有利」・・・・天才・武豊といえど、この法則から自由であることはできない。

次に、武豊騎手が「後方」脚質の馬に騎乗していた場合にターゲットを絞り分析してみたときに、気になったのが、以下のデータである。

■武豊騎手 追込馬騎乗時の人気別成績
Siba_oikomi_ninnki_betsu_2










1~2番人気を背負う実力馬に騎乗しているときを除けば、ほとんど好走例がない。
特に注目したいのが、複勝率である。1~2番人気と3番人気以下の場合とで、ここまでハッキリと成績格差が出ているとは・・・・3番人気以下の追込馬では、いかに豊マジックをもってしても馬券につなげることは難しい。その事実に気がついていれば、安田記念のテレグノシス(5番人気)など、早々に馬券の対象から消して妙味有りという判断もできたはずだ。
武豊の追込馬でも、3番人気以下なら「お客さん」・・・・3連単・3連複のヒモ選びに迷った際には、是非とも、思い起こしたいデータである。
最後に展開・ペースの違いによる傾向も、チェックしてみよう。

■武豊騎手 追込馬騎乗時のPCI別成績
Siba_oikomi_pci_betsu_2




PCIとは、競馬データベースソフトの定番・TARGET Frontier JV で出力できる「ペースチェンジ指数」のこと。各レースのペースを判断する際の指標として用いられるが、数値が約50で前後半が同一程度のペース、それより小さい値だと後半の速度が低下したこと(概ねハイペース)、大きい場合は速度が速くなったこと(概ねスローペース)を意味している。
このデータから、武豊騎手の追込戦法がズバリと決まるのは、ほとんどPCIが50を超えるスロー気味のペースの場合に限られることがわかる。典型的には、芝の中・長距離戦のユッタリした流れを後方から追走し、直線速い上がりで先行勢をゴボウ抜きするような、レースでこそ、豊マジックは生きるのだ(これは、サンデー産駒が得意とする展開でもある)。逆に、マイル戦のように前後半のペースが変わらない淀みない流れや、短距離戦特有のハイペースでは、豊騎手騎乗でも、追込馬に出番は回ってこない
ハイペースの前崩れ=追込有利というセオリーに逆行するような結論だが、短距離戦においては、往々にして少々ハイペースになろうと、先行馬が力で後続をねじ伏せるようなレースがどうしても多くなる。そんな展開になってしまうと、もう騎手の技量が介在する余地は少ないということなのだろう。実際、武豊騎手が騎乗した追い込み馬の距離別成績を確認してみても、芝1200メートル条件だと、連対率は僅か2%という惨状を呈している。ちなみに複勝率23.8%。名手の手綱捌きで何とか3着まではもってこれても、それ以上を望むのは酷なのだろう。

追込の名手・武豊といえど、好走できるのは、条件が揃った場合に限られる。
安田記念の教訓として、是非、今後の馬券作戦に応用してみたいデータといえそうだ。

6月 8, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ |

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コメント

とても参考になりました(^^)g
こうしてみると現代の競馬に適した馬の姿
というものが逆に見えてきますね。
サムソン、メイン、ハーツクライ、この辺りが
進化の方向性なのかと思います。

逆にディープなどは過去の競馬のロマンを
体現してくれている馬なのかもしれませんね。
※マクリの数値が妙に高いのはディープの
成績を反映している、ということでよろしい
のでしょうか?

武豊騎手が実は後方からの成績を残せていない、のか
それとも全般的に後方からの馬が成績を残せていなくて
その中で武豊騎手はとりわけダメなのか、
それとも中では優秀な実績なのか・・?
その辺りにも興味がわいてきました(^^;

独自の視点での考察、これからも期待して
おります。頑張ってください。
失礼いたしましたm(__)m

投稿: けん♂ | 2006/06/09 22:55:40

山城守さん。
いつも鋭い分析参考になります。
武は追い込みというよりも「差し」
のJKという印象を受けるので、
一瞬良い脚を出せるSS系の馬と
相性が良いということなんでしょうが、
一気の追い込みはやはり難しいんでしょうね。

投稿: もくに | 2006/06/10 7:52:57

土曜競馬の武豊騎手。中京9レースのぶっぽうそう特別では、サンデー産駒のトロフィーディール(2番人気)に騎乗し4角最後方の追込戦法をとりましたが、ゴール前ひと押しを欠いて、4着という微妙な結果に終わりました。
日曜中京の芝でも、2レース・6レース・8レース・10レースあたりで追込をやりそうな馬に騎乗しますが、果たしてどんなものでしょうか? 馬券的な意味でも注目してみたいところです。

>けん♂さん

ちなみに好成績が目立っているマクリ戦法のうち、ディープインパクトが寄与しているのは、2勝(天皇賞・弥生賞)だけです。サクラプレジデントの神戸新聞杯・札幌記念など、その他の馬に騎乗したときにもマクリを決めている例は多く、ペースを読む眼力の確かさが表れていると思います。

投稿: 山城守 | 2006/06/11 11:04:02

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