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2006/05/15

【ヴィクトリアマイル回顧】天皇賞の教訓が導いた度胸の勝利

Dance_in_the_mood_at_victria_mile_06v歴史的名牝の誕生を予感させた桜花賞の圧勝劇・・・・その後2年以上もダンスインザムードが勝利から見放され続けると、あの時点でいったい誰が予見し得ただろう。
とにかく気持ちが激しすぎる。せっかく先頭に立ちながら突如レースを投げ出してみたり、折り合いがつかず暴走してみたり、戦意を喪失したかのような大敗を演じてみたりと、「こんなはずじゃなかった」競馬が続く。全身汗まみれになって不機嫌な動作を繰り返し、レース前に体力の殆どを消耗させていた3歳当時に比べれば、ちょっと大人しくなったとはいえ、狂気を孕んだ気性は、古馬になって以降も名牝の大成を阻み続けた。
素晴らしい身体能力があるのに、乗り難しい馬・・・・ふと、そう気がついて調べてみたのだが、桜花賞以降、この馬に騎乗して連対実績を残すことができたのは、武豊・ルメールの2人だけだった。つまり、このレベルの「超一流」騎手でないと乗りこなせないのだケント・デザーモ藤田横山典といった名手たちでさえ、手綱を持てあまし制御することはできなかったほどである。
そんな希代のじゃじゃ馬を駆って、北村宏司騎手が、果たしてどんな競馬をみせてくれるか。お世辞にも、実績はまだ「一流」といえない若き調教パートナーの大舞台での騎乗を不安視する見方も戦前にはあったけれど、結局、彼の手綱捌きが、新設G1ヴィクトリアマイルの最大のハイライトになった。

実戦では4度目のコンビ結成となった北村騎手とダンスインザムード。これまで印象に残っているのは、昨秋の天皇賞(秋)でのレースぶりである。スローを意識して早めに仕掛け、残り400の地点で早々と先頭。一時は独走態勢になるかと思わせるほどの勢いだったが、その後、ダンスが尻尾をふって北村騎手に抵抗し、あと一歩の詰めを欠いてしまった。13番人気まで支持を落としていた伏兵を操り牡馬一線級を相手に好戦。普通ならこれだけでも十分な勲章だが、北村騎手にとって、相当悔しい経験であったことも想像に難くない。

内枠ですし、スタートもうまくいったので、この利点をフイにしないよう、落ち着いて行かせることだけを考えて乗りました。パドックでも落ち着いていたし、馬場へ出てスタンド前からゆっくり行かせて、騎乗者へ気持ちを向けてもらうこともうまくいきました。自分が走りたいだけ走って後はやめてしまうということが、だいぶおさまってきました。まだ油断はできないんですが。直線での抜け出しも、ギリギリまで我慢して、うまく抜けることができました。本当に手応えは充分でした。(北村騎手談)
 ラジオラジオNIKKEI 競馬実況HPより引用  

走りたいだけ走って後はやめてしまう」パートナーの気分を、如何になだめて勝利に導くか。ヴィクトリアマイルを前にして、北村騎手が天皇賞の教訓から導き出したのは、内で脚をため追い出しをギリギリまで我慢するという戦法だった。「イン有利の馬場状態」と「最内枠」という絶好の条件が味方した面も確かにあったであろうが、タメすぎてしまえば、パートナーはいつレースを投げ出してしまうかわからない。また、追い出しのタイミングが一歩遅れると、武豊岩田といった腕自慢の操る強敵が外から牙をむいて襲いかかってくるリスクもあった。手綱を通してダンスの絶好の手応えが伝わってくればこそ、はやる気持ちを押さえるのは容易でなかったはずだ。それだけに、レース前にシミュレートしていたとおりの完璧な騎乗で、愛馬をゴールに導いてみせた北村騎手の喜びは、大きかったことだろう。
挫折を繰り返しながら再び栄光の座に登りつめた個性的で我の強い名牝と、どこか控えめな印象は抜けなくても、意外と度胸の据わった競馬のできる若手騎手。今後のG1戦線でも、もう目が離せない存在として要注目である。

5月 15, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ |

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» けいばごと 49 トラックバック ボルジャノン厩舎
ヴィクトリアマイル 今日は久々にウィンズでレープロをゲットすることができました。今回のレープロの中にマイルを彩った名牝達が紹介されていました。確かにヴィクトリアマイルの出走馬の中で名牝にふさわしいのはダンスインザムードなんだよなあ。そのお母さんにして....... 続きを読む

受信: 2006/05/15 12:37:43

コメント

ノボトゥルー骨折によりオフィサーはさきたま杯補欠5番目から4番目になりました。でも出走は無理でしょうね。クラブの近況にさきたま杯な~んもありませんから。。

投稿: ボルジャノン | 2006/05/20 1:35:18

>ボルジャノンさん

同厩の大先輩・ノボトゥルーの骨折は残念ですが、オフィサー、これでJRA所属の登録馬・第8位に繰り上がりですね。
とはいえ、原則4頭の出走枠に潜りこむためには、まだあと3頭(トウショウギア、キーンランドスワン、サンライズキング)も優先馬がいますから、交流重賞への道のりは険しい・・・。一方、欅Sに目を向けると、土曜競馬をとんでもないレコードで勝ち上がった同厩シーキングザベストが強敵になりそうな予感。騎乗予定のボス騎手をシーキングに奪われないよう、祈りたいものです。

投稿: 山城守 | 2006/05/21 1:20:37

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