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2006/05/30

【ダービー回顧】時計平凡でも低レベル評価は禁物

The_derby_2006_start

優勝したメイショウサムソンの走破時計・2分27秒9は、過去10年のダービーで2番目に遅い水準。レース自体の上がり3ハロン35秒3も、前半のスローペースを考慮するなら、平凡と評していいものだ。道中の流れが緩く、上がりも要したこのタイムだけを取り上げれば、いわゆる「低レベルレース」に該当しそうな今年のダービー。走破タイムを単純比較してみると、メイショウサムソンは、昨年の18着馬シルクトゥルーパー(2分27秒5)にも及ばない?いう妙な結論が導き出されてしまう。
だが、実際のレースから受ける印象は、「低レベル」の凡戦どころではなく、上位各馬が死力を尽くしたダービーにふさわしい熱戦だった。

ポイントはやはり「稍重」と発表されていた馬場状態だろう。前後のレースを参考に、ダービーが争われた時点の馬場差を推測するなら、普段と比べ1~2秒は時計を要するコンディションだったと思われるのだ。

たとえば、芝千四で争われた第11レースの秋川特別(1000万下)に注目してみると、勝ったロードアルティマは後続に6馬身差をつける圧勝劇なのでおそらく別格の存在。この馬を例外処理してみると、むしろ2着・3着争いをしたグループが、普段1000万下条件で勝ち負けできるレベルだろう。こんな前提に立って、2着馬の走破タイム1分22秒7と、コース改修後の同条件・良馬場の1着平均タイム(1分21秒6)を比較してみると、やはり時計が1秒以上も遅い。この事実を基本に、距離の違いを補正してみると、ダービーの舞台・芝二四は、およそ1秒8程度、平常時よりも時計が掛かる馬場状態ではなかったか?と推測できる。

Meisho_samson_at_the_derby_paddockさらに、比較的淀みのない展開で淡々と流れた昨年と、アドマイヤメインがじっくりとためていった今年のダービーとでは、前半のペースが2秒以上も違っていた。馬場差の違いで2秒弱・ペースの違いで2秒と、合計4秒程度の条件差があったわけだから、一見低調に見える今年の決着時計には、大いに情状酌量の余地があると評価すべきだろう。仮にメイショウサムソンやアドマイヤメインが昨年のダービーに出走していたら、ディープインパクトには及ばずとも、インティライミ以下よりは優勢で、2着の可能性は大いにあったと考えられる。

Admire_main_at_the_derbyまた、先週のオークス同様、ダービーでも、500キロ前後の馬格に恵まれたタイプが上位を独占しているのが、今年の特徴だ。メイショウサムソン502キロ、アドマイヤメイン496キロ。ともに、パドックでは大きなストライドを使って、外周付近を堂々と周回していた。
一方で、サクラメガワンダーフサイチジャンクといった460~470キロ台の有力差し馬は、結局、上位2頭を脅かすほどの終いのキレを発揮できず、ゴール前では失速気味になってしまった。こんな現象も、やはり異常に馬力を要求する馬場状態を裏づけるものといえそうだ。
例年のダービーと違い、4コーナーを回りきっても馬群がコース全体に広がらず、直線では比較的内ラチに近い場所での攻防になっていたことからも、今年はそもそも外を回す差し馬の出番は無かったということかもしれない。

Dream_passport_at_the_derbyそんな状況下で、後方から唯一34秒台の脚を使って3着に食い込んだドリームパスポートも、かなり強い。デビュー以来、3着以下を外したことのない超堅実派。フジキセキ産駒の宿命からか?使える脚はけっして長くないが、芝の重賞路線では、条件を問わず常に上位候補にマークすべき存在として、この好走を記憶にとどめておきたい。

5月 30, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (7)

2006/05/28

萌えろ!桜メガワンダー

Sakura_mega_wonder_figure_at_fuchu_pachiいぶし銀・石橋騎手の2冠達成に湧いたダービーデイ。公式発表された入場者数は10万人強と昨年より4万人も少なかったけれど、今日の府中は、晴れわたる5月の空をバックに、爽やかなお祭り気分に包まれた1日でした。
売店の生ビールは売り切れでも、これくらいの人出ならパドックの場所取りも楽勝です。

何よりも良かったのは、特定の馬に肩入れしたり、場内に変なフィギュアを展示したりするような主催者の悪のりが、今年は見られなかったこと。晴れの舞台に出走馬を送り出す関係者にとっては誰もが胸を躍らす1日ですし、応援するファンも自分がこれは!と信じた馬の馬券を買って、心の底から声援を送る。それこそが、ダービー本来の楽しみ方ですからね。

で、写真は、そんなダービーデイの感想とは全く関係なく、祭りの後の府中市内某所で発見したサクラメガワンダーの等身大フィギュアです。サクラ軍団の馬主さんといえば、府中市内でパチンコ店やボーリング場を手広く経営する企業ですが、今年のダービーは相当、力が入っていたみたい。系列パチンコ店は、グループの総力を上げて「サクラメガワンダー応援ウィーク」のキャンペーンを展開していました。主催者がわざわざ場内に展示するお人形には興ざめでも、街のなかから、お祭りを盛り上げようというこんな工夫は悪くありません。

Sakura_mega_wonder_moe_moeキャッチフレーズは「上がり最速のスピードスター!」 ううむ、シビれちゃいますねえ。さらにバックの看板をよく注目してみると、メガワンダーをモチーフにした、栗毛の萌え系マスコットまで用意されていました。それにしてもメガワンダー君。君は、何で鼻水を垂らしているんだ?(笑)




そのサクラメガワンダーは、マリンちゃん惣流アスカの応援も空しく「伸びなかった。切れなかった(内田博騎手談)」の10着に終わってしまいました。でも、パドックの雰囲気などは決して悪くなかったし、まだまだ重賞戦線で活躍を見込めるだけの器でしょう。ちょっとイレコミ気味の馬主さんの期待に応え、もう一度重賞で脚光を浴びる日がきっとやって来るはずです。

【※】ちゃんとしたダービー回顧記事は、日を改めてからアップする予定です。

5月 28, 2006 府中日記, 日記・コラム・つぶやき | | コメント (2) | トラックバック (0)

【日本ダービー】もはや差し・追込有利ではない

Meisho_samson_at_satsuki_sho_003日本ダービーを優勝するためには、1コーナー地点で10番手以内の位置を確保しなければならない・・・・いわゆるダービーポジションという格言である。
しかし、そんな常識も、フルゲートの上限頭数が18頭に制限され、多頭数による紛れが少なくなった現代競馬では、すっかり風化してしまったようだ。
スペシャルウィーク、アドマイヤベガ、アグネスフライト、タニノギムレット、そしてディープインパクト。過去10年間、強い勝ち方で世代の頂点に立ったダービー馬たちは、いずれも初角を後から数えたほうが早い位置で通過。最終コーナーでも、まだ中団のポジションに位置していたが、直線に入ると先行各馬を圧倒する速い脚を繰り出し、先頭でゴールを駆け抜けていった。ダービーといえば、強い差し・追込馬が有利なレース・・・・この傾向を知ることが、年に一度の競馬の祭典で馬券をとる秘訣だったといってもよい。

だが、過去の戦歴を仔細に検証してみると、東京競馬場のコース改修が行われた03年を境に、ちょっとした傾向変化が現れつつあるようにも思える。
僅か3年分のデータではあるが、分析のポイントは、推定上がり33秒4という途方もない水準の末脚を発揮した昨年のディープインパクトの存在を「例外処理」してみること。すると、リニューアル以降の東京芝・二四の大舞台で好走するために要求される、新たな適性の輪郭がおぼろげながら浮かび上がってくる。

たとえば、各年のダービーで上がり最速を記録した馬の戦績は、03年のネオユニヴァースサイレントディール(上がり35秒3)が1着・4着、04年のハーツクライ(上がり34秒3)が2着、05年のニシノドコマデモ(上がり34秒4)が6着という結果であった。34秒台の脚を使っても、優勝にはちょっと及ばない。
一方で、最先着した馬たちの上がり3ハロンはいずれも35秒台の水準である。実際、ネオユニヴァースにしても「切れた」いうより渋太い脚で後続を封じ込めたという印象だったし、キングカメハメハは肉を切らせて骨を断つような強気のスパートで死闘を制した。さらに昨年の2着馬インティライミは、好位の最内から一気の抜け出しを狙う奇襲と、脚質・戦法はそれぞれに対照的であるけれど、直線に入ると残り1ハロンの標識を待たずに早々と先頭に立ったスタイルが、これら各馬に共通している。02年のコース改修前なら、こんなタイプは、後方から脚を伸ばす「強い差し馬」の格好の目標にされたはずだが、それがゴールまで踏ん張ってしまう。改修工事で直線が25メートルも延長され、差し・追込有利の傾向に一層拍車がかかっておかしくないのに、現実にあらわれたのは、それとは正反対の決着パターンであるのが、興味深い。

差し・追込勢が以前ほど活躍できなくなってきている背景には、様々な事情が考えられる。たとえば、4角で好位を確保した馬が、直線でも馬場の良いコース取りを真っ先に選択できる反面、差し・追込勢はどうしても外外を回すロスを強いられること。また、馬場管理技術の進歩で芝コース全体の時計が高速化し、前が容易に止まらなくなったことなどなど。
だが、同じ舞台で争われる牝馬のオークスと比較してペースも淀みなく、各馬のスパート地点が早いダービーの場合、力と力をぶつけ合うような持続力勝負の様相を呈する公算が高い。その分、ヨーイドンの決め手比べを得意とするような「軽い」差しタイプよりも、スタミナ・底力の裏づけのある競走馬のほうが、本質的に有利といえるのだろう。
ちなみに、久々のスタミナ比べのダービー的競馬になった今年のオークスでは、馬格に秀でたカワカミプリンセスが好位からパワーを生かした押し切り勝ち、その一方で、軽快な切れ味を武器に挑んだ桜花賞上位馬たちは、ゴールまで脚が保たず凡走という結果に終わっている。馬格・パワー重視という傾向は、03年以降のダービーにおいても、実は顕著に表れつつある特徴で、440キロ台のディープインパクト1頭を除けば、馬体重480キロを超えるタイプが圧倒的に好成績を残してきている。この傾向には、是非注意を払っておきたい。

■日本ダービー馬体重別成績(03年以降)
 480キロ未満の出走馬 1-1-1-26
 480キロ以上の出走馬 2-2-2-19

好位から早め先頭」「キレよりも持続力」「スタミナと底力」、そして「馬格重視」。現時点では、あくまで仮説に過ぎないが、新しい時代の日本ダービーを読み解くカギとして、これらのキーワードを重視しながら、今年の大一番の行方を展望してみたい。

【結論】
◎メイショウサムソン
○フサイチジャンク
▲サクラメガワンダー
△アドマイヤメイン
△ジャリスコライト
△アドマイヤムーン
△マルカシェンク

前日の雨も上がって日曜・午後は晴れ予報。となれば、府中・芝コースでは、おなじみイン有利のトラックバイアスが発現する可能性が高い。そんな状況も念頭に置けば、やはり外を回して差す組よりも、一歩先に抜け出せる脚質のタイプこそが狙い目だろう。皐月賞馬・メイショウサムソンの2冠達成を、枠順・馬場状態も後押ししている。仮に稍重が残ったとしても、500キロを超える雄大な馬格と、ノーザンダンサーの権化というべき重厚な血筋が、他との比較で大きなアドバンテージになりそう。

金満フサイチジャンクは、はっきりいって、当ブログ管理人が嫌いなタイプ。くだらない地上波テレビの企画がバックについているだけで、無条件に消したくなる。だが、能力を素直に評価するなら、そんな危険な選択はやはり犯せない。皐月賞当日、目の当たりにした馬体の素晴らしさは、筆舌に尽くしがたいほど。早めのスパートから、アドマイヤムーンの追撃を封じたレース内容の価値も高く、ここは人気相応の評価が必要だろう。不安材料は、東京競馬場でいまだ未勝利の岩田騎手が、一世一代の大舞台で、普段着の競馬に徹することができるか否かという1点に尽きる。

以下では、人気上位の各馬を順当に評価。あえて名前をあげなかった皐月賞2着馬・ドリームパスポートは、当時がピークと思える仕上げだったので、さらなる上積みがあるかどうかをパドックで確認したから、最終評価したい。

キルトクールは、NHKマイルカップの覇者=ロジック
鬼門というべきファクターとして注意すべきなのが、母の父サクラユタカオーの名前である。母父Princely Gift系の出走馬は、過去10年でのべ15頭が登場したが、いまだ掲示板にも乗れず。いまや国際・G1馬となったコスモバルク(母父トウショウボーイ)も、そんな血の宿命が災いし、当時辛酸をなめたことは、記憶に新しい。

5月 28, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (13)

2006/05/27

【欅S】ベストの条件で強敵に挑む

Officer_at_fuchu_2005年明け以降、4戦連続してダート千二の条件を使われ続けてきた当ブログひとくち出資馬・オフィサー(牡4)
幸いにしてブラッドストーンS(中山・ダ千二)で勝利を収めることはできたものの、本質的に不器用なこの馬にとって、短距離特有の忙しい流れが向いていたとは、けっして思えない。千二の距離だと、ハマれば爆発的な末脚を使える反面、前半から追走に苦しむことが多いこの馬。できれば、千四~マイルあたりの距離で、比較的ゆったりした流れに乗って、好位・中団づけの競馬をするのが理想といえるだろう。
今回、矛先を向けてきた欅ステークスは、昨秋に2着と好走実績を残しているブラジルカップと同じ府中・ダート千四が舞台である。タイキエニグマの鬼脚に屈したとはいえ、正攻法で他馬をねじ伏せてみせたあの競馬は、現時点における彼の最高のレースと評価できるものだ。距離・千四条件への出走は、陣営がこの馬の適性を把握したうえで慎重に選択したベスト・チョイスのローテーションと考えられる。
最適な条件が揃って、中間の調整過程も元気一杯なら、ひとくち馬主の立場から大いに期待と言いたいところだが、それにしても今年の欅ステークス、かなり強力なメンバーが揃っている。

左回りの千四条件なら最強のパフォーマンスを発揮してくる狂気の怪物・トウショウギアを筆頭に、前走僅差の2着ながら驚異的指数を記録しているメテオバースト、ブラジルカップの覇者・タイキエニグマ、さらにはG1ホース・カフェオリンポスなど、優勝の可能性がある有力どころは十指に余るほど。ブルーコンコルド・メイショウボーラー・リリミットレスビッドといった重賞級の出走こそないけれど、国内ダート千四条件のベストメンバーと評すべき顔ぶれであり、この面子に入ると、さすがのオフィサーといえど楽観は許されない。

こんな強力メンバーを向こうに回して愛馬が上位に進出するためには、やはり展開面の助けがほしいところ。幸いなことに、今回はタイキエニグマが「好位づけの競馬をする」と宣言している。前半3ハロン34秒台半ばのペースを中団から追走し、エニグマを目標に抜け出す競馬ができれば、複勝圏入賞の可能性は広がってくるだろう。また、土曜日は雨模様で稍重~重の脚抜き良い馬場状態になりそうなのも、オフィサーにとっては歓迎材料だ。かつて鬼脚を駆使して先行各馬をゴボウ抜きしてみせた時が、いずれもウェットな馬場状態だったことは、ここでも十分な強調材料になりうる。

雨の競馬場でのドレスコードが気乗りがせず、今回はクラブの口取り抽選の申込みはしていないけれど、ベストの条件で愛馬がどこまで通用するか、注目して観戦してみたい土曜メインレースである。現時点では、以下の予想を想定している。

◎トウショウギア  (狂気の怪物、この条件なら健在)
○サクラビジェイ  (昨春・府中千六でオフィサーを撃破)
▲タイキエニグマ  (好位づけの競馬が吉と出るか?)
△ミリオンベル   (この馬も千四ベストの印象)
△メテオバースト  (前走デキ過ぎの感はあるが)
△サンライズキング (脚抜きよい馬場なら侮れず)
△オフィサー    (強力メンバーの胸借りる一戦)
☆メイショウバトラー(長欠明けも首位の可能性秘める)

5月 27, 2006 ひとくち馬主日記, 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (3) | トラックバック (5)

2006/05/26

ダービーデイ2006 東京競馬場の穴場を探す

日本の競馬で一番入場者人員が多い日でもあるダービーデーは、20万人近い人が東京競馬場にやってきます。そんな大混雑の中で年に一度の大イベントをどうやって見るか、あらかじめ予習をしておかないといいポジションでは競馬は見れないですよ。
東京競馬場の鉄人さん 「ダービー観戦」コーナーより引用

Fuchu_derby_day_2005社会現象にまで祭り上げられた「あの馬」見たさに、14万人もの大群衆が府中の杜へ殺到してから、はや1年。
今年も、年に一度の競馬の祭典の日が近づいてきた。
今思い出しも、あの日の競馬場の光景は異常そのもの。とにかく右を向いても左を見ても、人・人・人だらけで、場内全体がラッシュ時の満員電車と同様の殺伐とした雰囲気に包まれていた。スタンド前などは、さながら押しくらまんじゅうで立錐の余地もない。ちょっと移動をするにも、人混みをかきわけ進む難儀を強いられ、馬券売場や売店前は、当然の如く長蛇の行列である。
これだけでも十分うんざりするけれど、日ごろ競馬場にやって来ない人もこの日ばかりはわんさと入場してくるので、観戦マナーがまた最悪。祭り騒ぎが終わった後の場内には、大量のゴミも舞い散った。はっきり言わせてもらえば、こんな日にわざわざ府中で現地観戦というのは、難行苦行以外の何物でもなかった。

スターホース不在の混戦が伝えられる今年のダービーの場合、さすがに昨年並の観客動員はないと思われるが、それでもこの日だけはやはり特別。おそらく10万人以上の観衆が競馬場を埋め尽くすのは確実だろう。

ちなみに今年の東京開催。5週連続G1開催キャンペーンの真っ最中だが、天気がぐづつき気味だったNHKマイルで5万人、ヴィクトリアマイルが6万人弱、一方、好天に恵まれた先週のオークスでは9万人の動員が記録されている。オークスの入場者数は、対前年比95.8%の水準にあたるが、こんな傾向も参考にしつつ、昨年のディープインパクト・バブルの影響を補正するなら、おそらく今年のダービーは12万人前後(前年比85%~90%)の観客を集めて開催されるのではないか?と思われる。つまり、天皇賞(秋)やJC当日との比較で2万人ほど人出が多くなるわけで、良い場所で観戦しようと思えば、それなりの努力と研究が必要といえるだろう。

では、超満員の競馬場の、いったいどこでダービーを観戦すべきか?
もちろん立ちっぱなしを苦にしないというのなら、どこででもレースは観れるが、座れる場所を確保するのは、やはりたいへんそうである。エントリの冒頭でも引用した、東京競馬場の鉄人さんによるなら、ゴール前のポジションを確保するには朝7時集合でも完全に遅いとのこと(汗)ゴール前だけでなく、新スタンドの椅子席は開門早々に埋まってしまうのが見込まれるので、よほど根性のある人でない限り、普段の観戦場所を確保することはかなわないだろう。
それではということで、穴場っぽいダービー観戦ポイントとして考えられるのが、4コーナー付近の芝生の丘と、当日特別に開放される障害コースの馬場内である。だが、昨年の例でいうと、どちらもレース前には、スタンド前と同様の満員御礼状態を呈しており、落ち着いて観戦できる雰囲気とはほど遠かった。昨年より2万人ほど少ない人出なら、どこかに多少の余裕を見つけられる可能性はあるけれど、1年で最も競馬場が混雑する日である以上、誰も知らない穴場をみつけるのは、やはり容易でない。

Fuchu_iwate_johgaiそんな極限状態の中でも、できるだけ人混みとの衝突によるストレスを回避しようというなら、結局、新スタンド1階(半地下)に移転された「岩手競馬専用発売所」あたりでじっと身を潜めているくらいしか手はないだろう。「JRAの発売はございません」と銘打ったこの発売所、内馬場の片隅に設置されていた昨年よりは人も増えたが、普段のG1当日ならば、まだまだ内部に余裕がある。午後から競馬場に出かけても、ここなら座る場所を見つけることができるかもしれない。おりしも、当日は盛岡競馬が開催中。オーロパークに思いを馳せ、岩手の馬券を買いながら、日本ダービーのスタートを待つというのも、悪くないと思うが、どうだろう?
ただし、気をつけたいのは、この発売所の場所がゴール板ときわめて近接していること。そのせいでダービー発走時刻が近づくと、外が人で埋め尽くされ、脱出不可能になる心配がある。ここを起点にどこか立ち見の観戦場所に移動するためには、十分時間に余裕をもった行動を心がける必要があるだろう。

人混みはイヤダイヤダと言いながら、今年も結局、当ブログ管理人は府中現地観戦を予定。よそ行きのお祭り騒ぎで浮かれた昨年よりは、ちょっと普段着で落ち着いたダービーデイを楽しんできたい。

5月 26, 2006 岩手競馬, 府中日記, 日記・コラム・つぶやき | | コメント (0) | トラックバック (1)

2006/05/22

【オークス回顧】千明さん、それはちょっと違います

Kawakami_princess_at_the_oaksこれは速い流れっ!」と思わず実況アナも絶叫するハイペースになった今年のオークス。
発馬直後から暴走モードに突入し、後続を大きく離して逃げたヤマニンファビュルは、前半1000メートルを何と58秒1のハイラップで通過した。この時計だけを見るなら、まさしくマイル戦並の流れ。だが、そこから15馬身以上も離れたところに位置していた2番手グループは、時計換算し2秒5は遅く1000メートル地点を通過している。この事実に注目し、レース全体は、実はスローで流れていたとみる意見もあるようだ。たとえば、GCの回顧番組に出演した坂井千明氏がそんな見解を披露している。

しかし、坂上の地点から、早めに抜け出した馬も差してきた馬も、ほとんど同じような脚色になって入線していたゴールの光景や、桜花賞を好走した人気の差し馬たちが、結局3着にも食い込めなかったという結果を、「スローペース」説では説明できない。出走各馬の推定上がり3ハロンを比較すると、今年は最速でも35秒台。もし本当にスローペースなら、昨年のように33秒台とはいわないが、せめて34秒台を記録する馬も出てきてもおかしくないだろう。
気性の悪さを不安視されたフサイチパンドラが好位ですんなり折り合っていたこと、また、後方に位置どったキッストゥヘヴン安藤勝己騎手が「淡々とした流れ」だったとコメントを残していたことからも、2番手グループ以下の通過ラップは、いわゆるスローというより、緩急の少ない平均ペース的流れだったとも想像できる。さらには、ヤマニンファビュルの急失速のせいで早々と先頭に押し出されたアサヒライジングを目標に、各馬が早めのスパートを仕掛ける展開になったせいで、直線は「キレ」よりも「スタミナ」や「底力」が要求される厳しいレースになった。やはり今年のオークスは、例年とは明らかに異質な競馬だったと、結論づけるべきではないだろうか。

スタミナ」「底力」というキーワードで、あらためて結果を振り返ってみると、興味深いのは、上位に入線した3頭がいずれも馬格に恵まれたタイプだったということだ。
Kawakami_princess_at_the_oaks02優勝したカワカミプリンセスの馬体重・484キロは、昭和50年テスコガビーの486キロに次ぐ2番目の記録だという。そのカワカミプリンセス、パドックでは一見太めの姿に映ったが、よく観察してみると、プリプリとした感じの弾力ある筋肉に全身が包まれている。440~450キロ前後の華奢な牝馬たちとはタイプを異にするグラマラスな馬体は、まるで、中学生集団なかに峰不二子が1人紛れ込んでいるかのよう。2着フサイチパンドラ、3着アサヒライジングも、それぞれ500キロ近い雄大な馬格の持ち主だった。

Admire_kiss_at_the_oaksこれに対し、アドマイヤキッスキッストゥヘヴンはいかにも牝馬らしい「キレ」を内包してそうな華奢なタイプ。だが、その反面、どこか壊れてしまいそうな「線の細さ」を感じてしまったのも、また事実である。桜花賞から800メートル距離が延長されても、ヨーイドンの決め手比べなら、こんなタイプが台頭する可能性もあったのだろう。だが、今年のような展開だと、さすがにゴールまでキレを持続しきれず、最後はガス欠気味になってしまった。こんな結果からも、今年のオークスの「質」を、あらためて推し量ることができるだろう。

2番手以下スローペースではなく、見た目通りの厳しい競馬
秋以降の牝馬戦線、さらには来年のオークスを展望するうえで、この事実は是非、記憶にとどめておきたいところである。

5月 22, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (5) | トラックバック (10)

2006/05/21

【オークス】スローペースの常識に一石を投じる馬

Fusaichi_pandora_kiss_to_heaven出走全馬にとって、距離・二千四百は未知の世界。手綱をとる騎手たちも、桜花賞から一気に800メートルも伸びる距離を過剰に意識するせいか?毎年、判で押したようにスローペースの競馬が繰り返されている。府中コース改修工事以降の最近4年間を対象に、前半1000メートル通過タイムを振り返ってみると、古い順から61秒8、61秒2、62秒0、63秒1。緩い流れのなか、先頭から殿まで全馬が余力を残したまま直線に向かい、残り500メートルからヨーイドンの決め手比べ。道中の位置取りがどうであろうと、結局、ゴール前では最も速い上がりをマークしている馬が先頭に立つ。それが、近年のオークスのデフォルトというべき決着パターンになっていた。
仮に例年どおりの展開を想定するなら、混戦といわれる今年のオークスも、狙い目の絞り方はさほど難しくないだろう。逃げるアサヒライジングを目標に直線鋭く差し脚を伸ばした桜花賞上位組を中心に据え、予想を組み立てていけばよい。
だが、もしスローペースという「常識」に束縛されない出走馬が、レースの流れに一石を投じたとしたら、果たしてどうだろう。今年のオークスに関していうと、そんな可能性もあながち否定できない予感がする。
気になっているのは、桜花賞で2番人気の支持を集めていたフサイチパンドラの出方である。今回から福永祐一騎手にパートナーを変更し、この大一番に再び駒を向けてきた。

そのフサイチパンドラ。デビューから僅か2戦目の挑戦で、阪神JFを3着しているように、素質は折り紙つきだが、気性の難しさがネックとなって、なかなか思うような成績を残すことができないでいる。理想は、好位から早め抜け出す戦法なのだろうが、無理に控えると行きたがり、かといって行く気に任せると暴走気味になってしまう。桜花賞でも、不利な外枠からスタートダッシュに失敗すると、道中なし崩しに脚を使って、直線に入ると早々と競馬を投げ出す始末だった。

だが、こんなタイプだからこそ、スローペースというオークスの常識に縛られない競馬を演出してくれる可能性があると、考えられないか?
逃げるとみられるアサヒライジングにしても、ヤマニンファビュルにしても、初経験の距離を意識する以上、何よりも折り合いを重視した先行策になるはず。それを見越して思い切ってハナを奪い、フラワーカップのような展開に持ち込むのも面白いし、もしそこでうまく折り合えるようなら、後方に控えた桜花賞上位組の末脚を他馬が意識する分、粘り込みのチャンスも生まれてくるだろう。

折しも府中の芝は、今週からCコースに替わったとはいえ、土曜競馬を見る限り、依然としてイン有利の傾向が継続中。さらには過去10年、桜花賞2番人気馬のオークス成績は「2-1-0-1」という心強いデータもある。前走の負けすぎのせいで完全に人気の盲点になった大一番、目下オークス2連覇中の福永騎手の手綱捌きも込みで、この素質馬の走りにもう一度注目してみようと考えている。

【結論】
◎フサイチパンドラ
○ブルーメンブラット
▲キストゥヘヴン
△コイウタ
△アドマイヤキッス
△シェルズレイ

逃げるにせよ、好位から先頭を突っつくにせよ、フサイチパンドラの動向が展開のカギを握っている。仮に、例年より少し速い前半1000メートル・60秒前後の流れを想定するなら、上位候補はこれに近いペースで好戦しているフラワーカップ組に再注目すべきだろう。
ブルーメンブラットは、そのフラワーカップでキッストゥヘヴンに及ばなかったとはいえ、末脚の持続力なら、桜花賞馬と互角。当時から距離が伸びて怖いと予感させるタイプだったが、前走・矢車賞のパフォーマンスは、そんな仮説に十分な裏づけを与えるものだった。好位から早めに動ける脚質、さらにはこの枠順を考えれば、首位の可能性も秘めた上位の一角としてマークを欠かせない。
桜花賞を制したキッストゥヘヴンは、恐らくこの枠順だと外から差す競馬になる。もちろん末脚の破壊力は、距離延長のここでも脅威だが、他馬もそれを警戒する分、一歩先に抜け出す馬たちの残り目が逆に出てきそう。内・外の差で僅かに及ばない懸念もあり、3番手評価までとした。
以下では、やはり桜花賞上位組に注目。
ヒモ穴として、人気のアドマイヤキッスよりも、コイウタを上位に取ったのは、クィーンカップの府中コース実績を評価したからこそ。往々にしてオークスでは、こんなタイプが2着に食い込んでくる。

キルトクールは、カワカミプリンセス
見た目に衝撃的だったトライアルだが、如何せん時計が条件戦並みでは、単勝1桁人気も過大評価といわざるを得ないかも。

5月 21, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (4) | トラックバック (16)

2006/05/15

【ヴィクトリアマイル回顧】天皇賞の教訓が導いた度胸の勝利

Dance_in_the_mood_at_victria_mile_06v歴史的名牝の誕生を予感させた桜花賞の圧勝劇・・・・その後2年以上もダンスインザムードが勝利から見放され続けると、あの時点でいったい誰が予見し得ただろう。
とにかく気持ちが激しすぎる。せっかく先頭に立ちながら突如レースを投げ出してみたり、折り合いがつかず暴走してみたり、戦意を喪失したかのような大敗を演じてみたりと、「こんなはずじゃなかった」競馬が続く。全身汗まみれになって不機嫌な動作を繰り返し、レース前に体力の殆どを消耗させていた3歳当時に比べれば、ちょっと大人しくなったとはいえ、狂気を孕んだ気性は、古馬になって以降も名牝の大成を阻み続けた。
素晴らしい身体能力があるのに、乗り難しい馬・・・・ふと、そう気がついて調べてみたのだが、桜花賞以降、この馬に騎乗して連対実績を残すことができたのは、武豊・ルメールの2人だけだった。つまり、このレベルの「超一流」騎手でないと乗りこなせないのだケント・デザーモ藤田横山典といった名手たちでさえ、手綱を持てあまし制御することはできなかったほどである。
そんな希代のじゃじゃ馬を駆って、北村宏司騎手が、果たしてどんな競馬をみせてくれるか。お世辞にも、実績はまだ「一流」といえない若き調教パートナーの大舞台での騎乗を不安視する見方も戦前にはあったけれど、結局、彼の手綱捌きが、新設G1ヴィクトリアマイルの最大のハイライトになった。

実戦では4度目のコンビ結成となった北村騎手とダンスインザムード。これまで印象に残っているのは、昨秋の天皇賞(秋)でのレースぶりである。スローを意識して早めに仕掛け、残り400の地点で早々と先頭。一時は独走態勢になるかと思わせるほどの勢いだったが、その後、ダンスが尻尾をふって北村騎手に抵抗し、あと一歩の詰めを欠いてしまった。13番人気まで支持を落としていた伏兵を操り牡馬一線級を相手に好戦。普通ならこれだけでも十分な勲章だが、北村騎手にとって、相当悔しい経験であったことも想像に難くない。

内枠ですし、スタートもうまくいったので、この利点をフイにしないよう、落ち着いて行かせることだけを考えて乗りました。パドックでも落ち着いていたし、馬場へ出てスタンド前からゆっくり行かせて、騎乗者へ気持ちを向けてもらうこともうまくいきました。自分が走りたいだけ走って後はやめてしまうということが、だいぶおさまってきました。まだ油断はできないんですが。直線での抜け出しも、ギリギリまで我慢して、うまく抜けることができました。本当に手応えは充分でした。(北村騎手談)
 ラジオラジオNIKKEI 競馬実況HPより引用  

走りたいだけ走って後はやめてしまう」パートナーの気分を、如何になだめて勝利に導くか。ヴィクトリアマイルを前にして、北村騎手が天皇賞の教訓から導き出したのは、内で脚をため追い出しをギリギリまで我慢するという戦法だった。「イン有利の馬場状態」と「最内枠」という絶好の条件が味方した面も確かにあったであろうが、タメすぎてしまえば、パートナーはいつレースを投げ出してしまうかわからない。また、追い出しのタイミングが一歩遅れると、武豊岩田といった腕自慢の操る強敵が外から牙をむいて襲いかかってくるリスクもあった。手綱を通してダンスの絶好の手応えが伝わってくればこそ、はやる気持ちを押さえるのは容易でなかったはずだ。それだけに、レース前にシミュレートしていたとおりの完璧な騎乗で、愛馬をゴールに導いてみせた北村騎手の喜びは、大きかったことだろう。
挫折を繰り返しながら再び栄光の座に登りつめた個性的で我の強い名牝と、どこか控えめな印象は抜けなくても、意外と度胸の据わった競馬のできる若手騎手。今後のG1戦線でも、もう目が離せない存在として要注目である。

5月 15, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (2) | トラックバック (1)

2006/05/14

【ヴィクトリアマイル】新設G1を読み解く2つの仮説

Dance_in_the_mood_at_fuchu_0510春季マイル女王の座をめぐり争われる新設G1競走だが、記念すべき「第1回」とは、すなわち、過去のデータをアテにできないということ。近数年の傾向と対策から、レースの質を読み解いてみるという当ブログお得意の予想手法も、当然ながらここでは使えない。
だが、このレースの有り様を規定する「東京マイル・古馬牝馬重賞・定量戦」という条件に注目するなら、結果を占ううえで一考すべき「仮説」を想定することはできるだろう。ひょっとしたら、来年以降の「傾向と対策」に発展するかもしれない2つのファクターから、新設G1の行方を考えてみたい。

■仮説1 雨上がりの東京・芝はイン有利
東京競馬場・芝コースで「前日・前夜に雨」「レース当日は曇りまたは晴れ」という条件が揃ったとき、地下に埋設された排水システムの作用により、コースの内側からいちはやく馬場の乾燥が進行。結果、イン有利のトラックバイアスが生じることは、よく知られている。かつて、当ブログでもこの現象を称して「タップダンスシチーの法則」と名付けたことがあるけれど、これはタップダンスシチーのJC逃げ切り勝ち当時の馬場とコース取りが、ちょうどそんな感じだったことに由来している。
さらに最近の府中では、まだ雨が降り続いているうちから、イン有利の傾向が現れてくるようで、先週のNHKマイルC、土曜日の京王杯と、コースの内側を上手く立ち回った馬たちが連対圏を独占する結果が続いてきた。
土曜の雨から一夜あけた日曜日、果たして天候と馬場状態がどう推移するかに注目が必要だが、どうやら朝方までぐずついた天気は続きそう。となると、東京芝コースに再び「タップダンスシチーの法則=イン有利の傾向」があらわれる可能性は高い。先週のG1に続き、今週も有力馬の枠順とコース取りが、最終的な明暗を左右する可能性はかなり高いと考えられるのではないか。

このような条件の下で狙ってみたいのは、ラチ沿いの疑似グリーンベルトを通れる先行馬、または瞬発力で一気に馬群を捌けるタイプである。また、馬場状態とコース取りを念頭におき、自在に戦術を描けるクレバーな騎手たちの動向にも注意を払っておく必要があるだろう。
一方、イン有利とは裏腹に、データ上から、東京マイルの鬼門であることがはっきりしているのが、大外枠である。コース改修後の03年以降、15頭以上の多頭数の競馬で18番枠成績は「1-0-4-44」(連対率2%・単回値2・複回値31) バックストレッチの長いコースの形状から、枠順の有利・不利はあまり関係ないと考えがちだが、ここまで数値が悪いと、さすがに不利は否めない。先週も人気のフサイチリシャールが18番枠から着外に沈んでいること、さらには「タップダンスシチーの法則」が支配する馬場状態を考えると、ちょっと手を出しづらい条件といえそうだが、さて、どうだろう。

■仮説2 実績ある5歳馬こそが狙い目
昨年まで唯一・牝馬同士の世代混合G1戦だったエリザベス女王杯の傾向を振り返ってみると、例年3歳馬が人気を集めながら、終わってみれば実績古馬が貫禄勝ちという決着に終わることが多かった。昨秋なども、秋華賞勝ちの余勢を駆って1番人気に推されたエアメサイア(当時3歳)は5着に終わり、上位は4~5歳馬が独占。少なくとも秋の時点における牝馬の世代間比較は、古馬勢のほうが強いという一般的な傾向があるようだ。
それから約半年。4歳馬となった世代は、秋の時点より当然成長し強くなっているはずである。だが、その反面、古馬との負担重量差(1~2キロ)という恩典は奪われる。条件的に、まだ楽観は許されない。
一方、5歳・6歳世代の実績馬にとって、日ごろ56キロ以上の目方を背負わされることが多いだけに、全馬55キロというヴィクトリアマイルの重量設定は、条件好転といえるだろう。
世代混合戦の場合、どうしても人気は勢いのある若い世代に集まり勝ちだが、底力を問うといわれる府中・マイルのG1戦なら、むしろ歴戦の世代の実績にこそ注目すべきではないか。特に、牡馬相手に揉まれながら好戦してきたタイプが怖い。牝馬同士のここなら組み合わせも楽になって、思う存分、経験の強みを発揮できるはずだ。

【結論】
◎ダンスインザムード
○ヤマニンアラバスタ
▲ラインクラフト
△マイネサマンサ
△ヤマニンシュクル
△アグネスラズベリ
注エアメサイア
注ディアデラノビア

一時期は深刻なスランプに陥っていたダンスインザムードだが、昨秋の天皇賞をキッカケに再び女王の座を狙えるところにまで復調してきた感がある。前哨戦のマイラーズCも、ディアデラノビアの猛追を最後まで寄せつけず2着と上々の内容。もともとが府中コースで最内を立ち回るのが好走パターンのこの馬にとって、最内枠は願ってもない条件だろう。天皇賞で手綱を取っていた北村騎手というのも、案外と悪くない乗り替わりだ。
相手候補も、馬券的には5歳以上の世代を中心に考えたい。府中コースならとにかく走るヤマニンアラバスタあたりを要マークである。

対する4歳世代からは、やはりこの距離でラインクラフトを筆頭評価すべきだろう。新聞によると軽い攻めがちょっと不安視されている模様で、直前状態は要チェックだが、東京遠征そのものが鬼門にならないことは、NHKマイルC優勝で証明済みだ。
これに続くエアメサイア・ディアデラノビアがどうかと問われれば、前者は大外枠の克服、後者は外を回して追いこむしかない不器用な脚質が、やはり気がかり。もちろん、それぞれ能力は高いので上位の可能性まで否定する気はないけれど、人気とのバランスで今回はちょっと条件が悪すぎるのでは?という気がしている。
無謀を承知で、エアメサイアをキルトクール指名してみるが、さて、どうなることか。

5月 14, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (2) | トラックバック (20)

2006/05/11

【写真レポ】旭川ばんえい競馬の1日

連休中のとある1日、当ブログ管理人が訪れた「ばんえい旭川競馬」の1日を記録した写真レポートです。
「ばんえい」といえば、体重1トンを超す巨大な輓馬がそりを挽いて覇を競う、世界でたったひとつの競馬。最近始まったインターネット放送や映画「雪に願うこと」でも話題を集めていますね。でも、そのエキサイティングな醍醐味は、やはり競馬場に足を運んで味わってみたいもの。ナマで体感する輓馬の迫力は、また格別です。
この日は、landslider@地方競馬に行こう!さんも熱烈に推奨する名物イベント「バックヤードツアー」に潜入し、日ごろ間近に見れない「ばんえい」の舞台裏まで、しっかり満喫してくることができました。現地観戦の機会がある方には、是非お薦めしたい素晴らしいイベントです。

Asahikawa_p3_1

熱戦の舞台となる旭川競馬場は、市内から車で約20分。ちょうど盛岡競馬場と同じように、山あいの自然環境豊かな土地に位置しています。
ところが、レトロな雰囲気を漂わすスタンド内や、高い空の下に広がる開放的なコースの風景は、まるで水沢競馬場とそっくり。岩手2大競馬場の良いところを併せもったような場所で、すっかり和んでしまいました。

Asahikawa_p2_1

開場時間は9時40分、第1レースは11時ちょうどの発走です。
正門前に掲示された案内看板には、「特別レース優勝馬との記念撮影」「騎手サイン会」「バックヤードツアー」に「GyaO出演タレントの来場(この日は川村ひかる)」と、イベントがてんこ盛り。これ以外にも、家族連れ向けの縁日コーナーや仮面ライダーショーが催され、運休のはずだった場内馬車も、なぜかしっかりと運行していました。


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場内馬車「リッキー号」を牽引しているのは、なんと現役の輓馬「カネサタイセツ号」です。前日のレースに出走し2着と好走したばかりのに、翌日には子ども達を乗せた馬車を引かされるとは・・・・!ばんえいならではの心和む風景です(笑)


Asahikawa_p4
スタンド内の一角では、映画「雪に願うこと」に出演したキャストたちが実際に着用した衣装を特別展示しています。といっても、騎手役の吹石一恵や、「おかあさん」役の小泉今日子の衣装など、女優さん関連の展示ばかりが目立っている気も・・・・主役の「矢崎学のTシャツ」は明らかに刺身のつま扱いですね。ちなみにキョンキョンの割烹着には、シックな花柄がデザインされています。珍しい老け役と思っていましたが、なかなかどうして侮れません。


Asahikawa_p6
バックヤードツアーの受付場所は、スタンド中央入口横に設置されたインフォメーションコーナー(緑色のテント)です。ここで、騎手名鑑付ガイドブックなどの資料も入手することができます。関連グッズの売店を兼ねており、輓馬が実際に装着した巨大な蹄鉄のおみやげなどが販売されていました。


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指定時間にインフォメーションに集合し、ツアー参加者証を受け取ります。バックヤードツアーとは、第5レースと第7レースのどちらかを、一般のファンの入場できない舞台裏から観戦できるという趣向で、ばんえいスタッフによる懇切丁寧な説明を受けながら、業務用エリア内の装鞍所スタート地点内馬場内の走路脇検量室などを見学していきます。当ブログ管理人は、第5レースのツアーに参加しましたが、参加者は全部で6人ほど。その顔ぶれは、連休を利用し道外からやって来た方が多かったようです。


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業務エリア内の装鞍所です。パドック入場前の輓馬たちが、検量や馬装整備を行った後、馬房内で待機しています。


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装鞍所の馬房で出走を待つ「サクラガサイタ」号(3歳牝馬)。
体重1トンを超える巨漢ですが、その名にふさわしく、ピンクのリボンをあしらったお下げ髪のよく似合う可愛らしい牝馬でした。気性も穏やかとのことで、ツアー参加者が鼻面をなでても、じっとその場に佇んでいました。


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直線200メートルコースのスタート地点です。
ここから内馬場の走路脇通路にすすんで、真横からレースを観戦します。この日は好天に恵まれ、コースの水分含量が1%を切る乾燥馬場。スタートが切られると、砂塵がもうもうと舞い上がってきます。文字どおりの砂被り状態ゆえ髪の毛がゴワゴワになるけど、間近にみる「ばんえい」競馬は、まさにど迫力でした。
ちなみに、内馬場のレース中以降は写真撮影禁止です。「競馬ワンダラー」で浅野さんが乗ったトロッコ列車の写真も撮りたかったけれど、涙をのんで断念しました。


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メインレース終了後の表彰式です。
優勝したベテランジョッキー・坂本騎手を中心に関係者の笑顔が集います。
熱い戦いが続いた1日の終わり。華やかさはないけれど、手作り感覚にあふれた暖かいセレモニーが心に残りました。

5月 11, 2006 旅打ちコラム | | コメント (5) | トラックバック (2)

2006/05/08

【NHKマイルC回顧】東京・芝コース、雨の日のマジック

Logic_at_nhk_mile_cup豊マジックには確かに舌を巻いたけれど、それ以上に府中の芝コースの状態に驚かされた今年のNHKマイルカップ。内ラチ沿いが渋った道悪を前提に予想を組み立てていた自分の想定などは、木っ端微塵に打ち砕かれてしまった。馬場管理技術の進歩のせいか?あるいは府中に棲むという魔物の為せる技か?とにかく東京競馬場の芝は、少々の雨でもへこたれない。今さらながらそんな教訓を体得するために、ちょっと高い授業料を払ってきたようなものだ。

問題の雨は午後から再び降り始め、パドックの周辺ではレース毎に傘の花が開いていた。JRAによる公式記録でも、5~7レースが「小雨」8レース以降は「雨」と、時刻が進むにつれ雨量が増えてきた事実がうかがえる。スタンドから見下ろした芝コースの状態はといえば、内ラチ沿いから4~5メートルの幅ではっきりとデコボコが視認され、毛脚の長い洋芝も見た目にかなり渋っている。常識的には、そろそろインを通る馬たちが湿った芝に手を焼く頃合いだが、それでも馬場発表は、芝・ダートともに終日「良」のまま。実際、8レースと9レースに組まれた芝の競走では、内ラチ沿いを先行した馬がゴール手前まで踏ん張り、それとは対照的に「馬場の良い(はずの)」外から勢いよく進出してきた差し馬が、伸びきれないという光景が繰り返されていた。
これと同じような場面を最近どこかで見た気がしたが、皐月賞当日の中山・芝がちょうど今回と同じ馬場状態だった。あのときも、1~2着馬は好位から比較的内目のコース取りを選択した馬たち。外を回した人気の差し馬たちは、あとひと押しがきかない結果に終わったわけだが、それと同様の競馬が、今回も再現されたわけだ。

内からスルスルと抜け出し、1着でゴール板を駆け抜けたロジックのマークした上がり3ハロンは35秒フラット。これだけ雨が降ると、さすがに馬場の含水量そのものは増え、芝も滑りやすい状態になるので、極端に速い上がりタイムは出ないようだ。けれど、地下に敷設された配水管システムがラチ沿いから優先して効率的に水分を除去していくせいか、内も外もほぼ均等に「渋り気味」の馬場状態になる。結果的に、ロス無くラチ沿いを回った馬に対して、より長く渋化した馬場を走らされる外の差し馬が、ゴールまで待たずにガス欠になってしまう
ゴール前、約200メートルほどの地点で観戦していた自分の目には外から豪快に伸びてきたキンシャサノキセキが勝つのか?とも思えたが、結局、そこからひと伸び欠いてしまったのは、こうした事情も影響したせいかもしれない。
雨上がりの府中コースでは、イン有利のトラックバイアスが生じやすいという傾向は知っていたけれど、どうやらこの傾向、当日にシトシト雨が降り続く場面においても、有効といえそうだ。

いずれにせよ、刻々と変化する馬場状態を読み切って、100%の確信をもって馬券勝負を決断することなど、一介のファンの立場からは難しすぎる。そんなときにこそ、コースを知り尽くしており、クレバーな戦略力でレースの組み立てができる一流騎手を信頼すべきなのだろう。1着武豊・2着横山典・3着安藤勝。これで3連単20万馬券が取れるなら、騎手馬券という選択も悪くない。

5月 8, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (2) | トラックバック (2)

2006/05/07

【シアンモア記念】次々と勝者が入れ替わる岩手・4強に注目

Air_weed_at_mercury地方競馬の全国交流競走になって2年目。南関勢を筆頭に他地区からの遠征馬は7頭と賑やかな顔ぶれになったが、「格」と「地の利」をふまえ、岩手所属馬による上位争いを想定してみよう。ローランボスコ(南郷家)・タイキシェンロン(菅原勲)・マツリダパレス(小林俊)・エアウィード(村上忍)
これら岩手4強に注目だ。

さて、今年のシアンモア記念は、昨年までの水沢から盛岡マイルへと舞台を移し争われるのがポイント。前哨戦のまんさく賞(水沢ダート千六)では、ローランボスコが後続に2馬身差をつけ完勝しているとはいえ、盛岡ダートでのこれまでの戦績が「1-0-2-3」とイマイチ。舞台が替わり水沢とは異なる適性が要求されるとなれば、当然、その他の3強による巻き返しの可能性が高いといえそう。で、予想のほうは、こんな感じでどうか。

◎エアウィード  (村上忍)
○タイキシェンロン(菅原勲)
▲マツリダパレス (小林俊)
△ローランボスコ (南郷家)

ここに至るまの岩手古馬オープン戦線の勝者は、桐花賞がマツリダパレス、トウケイニセイ記念がタイキシェンロン、まんさく賞がローランボスコと、次々に王座が変遷しているが、「8-3-1-5」のコース実績を誇る盛岡で、今度はエアウィードの出番
正直、マイルではちょっと距離が足りない気もするが、実績を考えればさほど人気にならない今回は気楽に乗れる立場でもあり、チャンス十分だろう。マーキュリーCでも示した脚力で好位から押し切る競馬を期待したい。
これに対する昨年の覇者タイキシェンロンは、盛岡でも「3-0-1-2」と頑張っているが、やはり水沢巧者の印象が強い。
マツリダパレスも、盛岡で「3-0-1-3」の実績を残しているけれど、まんさく賞の着順が6着と振るわなかった。絶好調だった冬場との比較で、下降線を辿っている可能性はないか?パドック映像で、状態をしっかりと確認しておきたい。
また、連対圏はともかく3連単・3連複の連下なら、南関勢の食い込みもありうるだろう。
特に、わざわざ盛岡にまで遠征してきた石崎父子の動向には警戒が必要だ。

5月 7, 2006 岩手競馬, 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (1)

【NHKマイルC】天候と枠順が2強の明暗を分ける?

Fusaichi_richard_satsukisho5月らしい好天に恵まれてきた今年のGWだが、連休最終日にあたる日曜は、西日本や東日本の太平洋側を中心に激しい雨が降る可能性が報じられている。幸い、東京競馬場界隈では、大雨になる恐れまでは少ないようだが、朝から夕方まで1時間1ミリ程度の小雨がシトシト降り続く空模様になりそう。この雨が、はたして府中の芝コースにどれ程の影響をもたらすのか?それを読み解くことが、2強対決とみられるNHKマイルCの結果を占うために、必須の作業になってきたようだ。

最近では馬場管理技術の進歩により、雨が降ってもよほどの雨量でない限り、コース一面が田んぼ状になってしまうほどの極端な道悪競馬は見られなくなった。雨模様でも、馬場状態の発表は「良馬場」だったり「稍重」であるケースが殆どといってよい。とはいえ、馬場や路盤が水分を含めば、芝コースは競走馬にとって、それなりに走りづらい状態に変化してくる。問題は、ひとくちに道悪といっても、具体的にどんな影響が生じているのかということである。
JRAの元騎手・坂井千明氏の著書(コースの達人)によれば、道悪には「前日に雨がふって徐々に馬場が回復する場合」と「レース直前に雨が降って道悪になる場合」の2つのパターンがあり、馬にどういう影響を与えるかは、それぞれによって異なるという。すなわち、前者では馬場の表面は乾いているけれど下の部分がぬかるんで力の要る状態に、後者では雨で芝が濡れ滑りやすい状態になっている。
こうした観点も参考に、NHKマイルカップ時点における東京競馬場・芝コースの馬場状態を想定してみると、坂井氏の指摘する後者の状態にあたる可能性が高い。つまり、芝がしっとりと水分を含んでスリッピーな状態になっているのではないか?ということだ。

【追記 5月7日 AM】
東京地方の天候は、朝方に小雨がパラついたものの、現在(10:30)は雨もあがっています。競馬場からさほど遠くないわが家の周辺でも、もう地面は濡れていません。空は雲に覆われていますが、変更された天気予報によるなら、このまま夕方まで雨は降らず、曇りのまま推移するようです。今年のNHKマイルCは、「良馬場」で行われる可能性が高くなってきました。
朝方の弱雨が、芝コースにどの程度影響を及ばしているかは、現地観戦で最終確認したいと思います。おそらく、皐月賞当時の中山よりは、良い馬場状態でのレースになる公算が高いでしょう。
ちなみに本エントリの予想(赤い文字以外の部分)は、昨夜時点で「道悪」を前提に組み立てたものです。実際の馬場状態次第では、まったくピントはずれの予想に終わってしまうかもしれません。

また、府中・芝コースの地下には、馬場の水はけを良くするため、コースを横断する排水管システムが装備されているが、この仕組みが最も有効に作用するのは、雨もあがって地面が徐々に乾燥していくタイミングである。少量とはいえ雨が降り続き、排水量よりも含水量が増えていく場合には、やはり多くの馬が通る内ラチ沿いから、自然に馬場の悪化は進行すると考えるべきだろう。
さらに、現在の芝コースでは、3~4角の内側に5メートルほど凸凹が見られること(JRA発表の馬場情報より)、また4月の低温が影響し野芝の成育がひと息であるという傾向にも、注意を払いたい。そんな馬場で、雨が振り続くなか何度もレースが繰り返されれば、コースの内側にいけばいくほど、滑りやすいだけでなく、ぬかるんだ馬場状態にまで渋化する可能性もありうる。

例年、ハイペースでも、縦長というより先行集団が比較的密集した隊列を形成してレースが進むことの多いNHKマイルの場合、道中で自然と馬群の内に待機を強いられる馬たちが出てくる。通常なら、そこでロス無く折り合って、直線鋭い決め手を発揮し抜け出すのが必勝パターンといえるが、道悪競馬が想定される今年の場合、その戦法が通用するか否かは微妙と思える。むしろ、馬場の良い外目の好位・中団をスムーズに進めるほうが、スタミナを消耗することなくゴールをめざせるという意味で、アドバンテージになるのではないか。そんな前提に立って、今年の上位争いを展望してみたい。

【結論】
◎フサイチリシャール
○キンシャサノキセキ
▲マイネルスケルツィ
△ダイアモンドヘッド
△ロジック
△アポロノサトリ
注アドマイヤカリブ

フサイチリシャールは、良馬場なら減点材料だった大外枠発走が、むしろこの雨で災い転じ福となした感じ。「レース直前に雨が降って道悪になる場合」の芝なら、既に皐月賞で経験済みであるのも心強い材料だ。当時は今回と逆に最内枠からの発走だったが、4角で積極的に先頭を奪ったあのレースを再現できるなら、相手関係が大幅に弱化したここで星を落とすとは、ちょっと考えづらい。また、東京コースにいくと、坂を登ってからもうひと伸びできることも、共同通信杯や東スポ杯の競馬で証明済みである。

一方、これに対抗するマイネルスケルツィは、枠順と馬場状態の克服が、今回は大きな課題になりそうだ。キレよりも持久力で勝負するタイプなので、道悪が大きな減点材料にはならないが、道中ずっと馬場の悪いラチ沿いを通される展開になってしまうと、直線余力を残せず失速という懸念もつきまとう。人気ほどの信頼は置けないと考え、あえて3番手の評価としてみたい。

この2強の間に割ってはいる資格があるとすれば、それは外を通る差し馬で、鞍上の手腕と戦略力を信頼できるタイプだろう。
たとえば、キンシャサノキセキ。良馬場での爆発的な決め手がセールスポイントであり、本来、渋った馬場が歓迎のタイプとはいえないクチだが、前走・阪神戦の敗因は、馬場の悪化というよりも直線の向かい風だった。まだ、道悪が空っ下手と決めつけるのは早計だろう。「枠順不問」という陣営の発言から、今回は外からの差し競馬に徹すると思われるが、かつて道悪下手のツルマルボーイを稍重の安田記念で勝利に導いた安藤勝の戦略力は、大いに魅力だ。これ以外なら、武豊・岩田・蛯名が騎乗する差しタイプをマークしておきたい。

キルトクール指名馬は、素敵なシンスケ君
マイラーのこの馬にとって距離短縮は好材料だが、もともと逃げ切りは至難といえる府中マイル。G・ボス騎手への乗り替わりは悪くないが、馬場の悪いインを通して、はたしてどこまで踏ん張れるだろう?

5月 7, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (12)

2006/05/06

【赤レンガ記念回顧】あの大物が北の大地で復活の狼煙!

Gene_crisis_at_akarenga_kinen_06_wホッカイドウ競馬・札幌GWシリーズの最終日を飾る伝統の古馬重賞・赤レンガ記念(ダート千七)。今年の主役として注目を集めていたのが、道営移籍後・ここから始動する元・JRA所属馬ジンクライシスだ。一昨年のJCダート3着という輝かしい実績を引っ提げ道営入りしてきたが、まだ5歳と現役バリバリ。功なり名をとげたベテランが、ご苦労さん的ニュアンスで移籍してきたのとは、わけが違う。立て直せば、G1戦線の上位も狙える大駒の登場に、ファンや関係者の熱い視線が注がれていた。
中央から大物がやってきた」「私が噂のジンクライシス」・・・・・手にした競馬新聞のトップにも、そんな大袈裟な見出しが踊っている。バンケーティングスローンフォルなど道営の古豪たちとは、今回が初手合わせとなるが、普通に走ってくれば勝って当たり前というのが大方の評価であった。単勝オッズは当然のように1倍台・・・・初戦から圧倒的人気を集めてきたが、すべての馬券がこの馬を中心に売れていたといってよい。

だが、噂の大物にも、不安がなかったわけではない。
道営移籍を決断する直前のJRA競馬出走時に、ことごとく凡走。3走前の雅ステークスで手綱を取った武豊騎手が「4角で急に手応えがなくなってしまった・・・・よくわからないね」とコメントを残したことにも象徴されるように、この半年ほど原因不明のスランプに陥っていたのだ。その雅Sでは、トモの張りに物足りなさが残るなど、体調で問題もあったわけだが、立て直しをはかったその後2戦の敗因がまったく不可解だった。
そもそも順調なら、JRA所属のままやっていくこともできたはずで、この若さでの移籍自体が、何やらわけありであることを匂わせる。デビュー以来、常に高い素質を評価され続けてきたエリートにとって、はじめてぶつかった壁は、思いのほか深刻なのでは?とも考えられた。

Gene_crisis_at_akarenga_kinen_06_pこのような事情から、復帰後初戦の今回も果たして能力を発揮できるだけの仕上がりにあるのか否かが注目されたわけだが、札幌のパドックに姿を現したジンクライシスは、やはりパッとしない様子であった。馬体の姿・形や歩様にこれと言った問題はない。でも、どこか覇気が感じられない。物憂げにトボトボと歩いていく姿だけをみると、これがJRAのG1・3着馬か?という風情さえ感じられた。場内実況のパドック解説者も、どうやら同じ印象を受けてしまったようで「オーラが感じられませんねえ」と、歯切れの悪いコメントを繰り返すばかり。大本命馬に対する不安と期待が相半ばするなか、レースは発走時刻を迎える。

だが、いざレースにいくと、やはりモノが違う。
ポンと好スタートを決めると、道中は好位にひかえ、直線、山口竜一騎手が軽く追い出すと楽な手応えのまま1着でゴール。2着馬タイギャラント(こちらも道営移籍後初戦だった)との着差は1馬身半とわずかだったが、終始余裕をもってレースを運べており、終わってみれば呆気ないほどの楽勝だった。
よくよく考えてみれと、同コース・同距離のエルムSで1分44秒台の時計を残している元・JRAの現役トップクラスが、1分47~48秒台で争われるレースで負ける道理はない。今回の走破時計1分48秒0は、スローペースや馬場状態の影響を割り引いても、かなり平凡な水準だが、強い相手と本気で戦えば、大幅に短縮することも可能だろう。

Akarenga_kinen_06_race

紆余曲折を経て、道営所属馬としての第一歩を勝利で飾ったジンクライシス。
完全復活にはまだ時間が必要だろうが、今回の勝利が馬にとっても、関係者にとっても、大きな自信に繋がったことは、想像に難くない。
噂の大物があげた復活の狼煙は、ホッカイドウ競馬にとっても、新たなスター誕生を予感させる明るい話題を提供してくれた。今シーズンの道営古馬戦線の主役として、さらには交流重賞でJRA勢に対抗する地方の雄として、これからの活躍を大いに期待したい。

5月 6, 2006 旅打ちコラム, 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (2)

2006/05/05

【旅打ち日記GW編】血湧き肉躍る!ばんえい旭川競馬

Asahikawa005月4日、旅打ち2日目。朝一番の開門から最終レースまで、旭川競馬場でばんえい競馬を楽しんだ後、市内へ移動し映画「雪に願うこと」を鑑賞と、まさに輓馬漬けの1日を満喫してきた。
ばんえい」といえば、体重1トンにもなる巨漢の重種馬が鉄製の橇を引きながら、コースに設置された障害(坂)を乗り越えていく特殊な競技。世界でも唯一北海道にのみ残る競馬遺産として、郷愁や牧歌的イメージやとともに語られることも多い。反面、サラブレッドの競馬と比べてしまうと、どうしてもスピード感に欠ける分、映像では、まるでスロー再生されたビデオのようにも感じられてしまう。
だが、実際に現地でレースを観戦してみると、なかなかどうして、これが血湧き肉躍るエキサイティングな競技なのだ。高さ1.6メートルの障害を乗り越える輓馬の迫力はもちろん、ベテラン騎手同士の駆け引きや、ゴール前の攻防が実に熱い!スリルもあれば、興奮もあり。レースの着順が僅差の写真判定に持ち込まれることもしばしばで、馬券を買う側からすると、まさに手に汗握る迫力のレースが繰り返されていく。

なるほど、こんなに面白い競馬なら、あの巨乳ビジネス概論の野田社長までが、ばんえいに魅了され、インターネット中継の企画を思わず立ち上げてしまったのも、頷ける。化石としての競馬遺産ではなく、現代に生きる熱いギャンブル。それこそが、ばんえい競馬の本質だ。

以下、5月4日の旭川競馬場の1日を写真でレポートしたい。
この日、当ブログ管理人も参加したバックヤードツアーの模様などは、後日、別のエントリとしてアップします。

Asahikawa1スタンドから観た旭川競馬場のばんえいコース。
夏には道営ナイターが開催される平地ダートの内側に設けられたコースは全長200メートルで、途中に2つの障害が設定されている。「砂の粒子が粗く、しまりにくいため全体的に重く力を要するコース。障害からゴールまでの距離が最も長く、馬のスタミナが勝敗を左右する」とのこと(ばんえいポケットブックより引用)。
バックヤードツアーの際に、コース状態を確かめてみると、まかれているのは砂というよりも、小石状の砂利といったほうがよい感じ。なるほど、これなら確かに「しまりにくく」、橇を曳くにはかなりのパワーが必要だろう。砂(砂利)は、路盤の上に40センチも敷き詰められているので、乾燥すると砂塵がもうもうと舞い上がってくる。

Asahikawa2サラブレッドを見慣れた目からすると、やはり巨大に感じられる輓馬たち。
体重およそ1トン。体高も高く、パドックで騎手が馬上にまたがる際には、ベリーロールのような格好でアクロバティックな動作が必要になる。
平地競走に比べると、各馬がパドックを周回している時間は短く、7~8周もすると、そそくさとコースへ出て行ってしまうから、短時間のうちに各馬の特徴を把握するのが大変だった。とはいえ、馬の見方は基本的にサラブレッドと変わらない。腹目やトモのつくりが太いか細いか、イレこんでいないか、しっかりと踏み込んで歩けているか。少なくともこれだけチェックしておけば、ピントはずれな馬券を買ってしまう心配はありません。

Asahikawa3前日に、ばんえい女性騎手では史上初となる通算100勝の快挙を達成した佐藤希世子騎手。ごらんの通り、体格そのものは華奢な感じで平地の女性騎手とけっして変わらない。減量特典があるとはいえ、巨大な輓馬を操るうえで腕力の不利は否めないはずだ。しかし、いざレースにいくと、そんなハンデは全く感じさせず、クレバーな手綱さばきで、騎乗馬をどんどん上位に持ってくる。この日は勝ち鞍こそなかったものの、午後のレースで2着2回と、馬券的にも十分信頼できる技量の持ち主だ。
前日のインタビューでは、「名古屋の宮下瞳騎手を目標にがんばります」とのコメントを残していたとのこと。佐藤騎手なら、200勝・300勝を達成し、全国の女性騎手の代表格として名乗りをあげるのも、夢ではないだろう。

Asahikawa4スタンド内の展示コーナーでは、映画「雪に願うこと」関連の展示が行われている。写真は、根岸監督のディレクターズチェア。キャストが映画のなかで着用していた衣装(吹石一恵の勝負服など)の実物も展示されています。
映画のほうはレース終了後、旭川市内で鑑賞してきた。登場人物や設定が原作から少々変更されていたが、小説「輓馬」のハートウォーミングな味わいは、フィルムの中でもしっかりと再現されていたのが、嬉しかった。私が好きな謎の馬券オヤジ・丹波老人(山崎努)の意外な正体も、劇中で明らかにされます。
東京都内でも5月20日から上映が始まる「雪に願うこと」。東京国際映画祭グランプリを受賞したこの名作が、ひとりでも多くの人に、ばんえい競馬の魅力を伝えてくれると嬉しい。

5月 5, 2006 旅打ちコラム | | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/05/04

【旅打ち日記GW編】ホッカイドウ競馬、札幌シリーズが開幕!

Hokkaido_sapporo_paddock5月3日(祝)黄金週間も中盤戦である。当ブログ管理人は只今、北海道へ遠征中。札幌から旭川をめぐる旅の初日を迎え、意気揚々と道営・札幌競馬場に繰り出してきた。
まだ桜が開花していないという札幌の街は肌寒いけれど、天を見上げれば抜けるような青空が広がっている。絶好の旅打ち日和だ。

さて、4月の門別を皮切りに開幕した今シーズンのホッカイドウ競馬。3か年の期限付き存続がようやく認められるなど、存続をめぐる状況は依然として予断を許さないが、幸いなことに、門別開催が思いのほか活況を呈し、計画比116%と馬券売上げも好調である。上げ潮ムードのなか、ドル箱の札幌GWシリーズを迎えた主催者の鼻息は荒く、開幕初日からいきなり入場料無料(5日まで)の大盤振る舞いやイベントで、ファンの集客に努めていた。
その甲斐あってか、この日の競馬場は善男善女が集ってかなりのにぎわい。連休初日・好天という条件にも恵まれたが、重賞のない通常のJRA開催日と比べてみても、遜色ない動員数だったように思える。それでも、基本的にキャパシティの大きいJRA施設を使って競馬開催をできるところが道営・札幌の強みで、混雑するスタンド内はともかく、パドックやコース前では、余裕をもって競馬観戦を楽しむことができた。

エントリトップの写真は、お馴染みホッカイドウ競馬の顔・五十嵐冬樹騎手。今シーズンも既に4日間で9勝をマークしており、早々とリーディング首位の座についている。この日も後半戦の第8レースから計4鞍に騎乗し、1勝・3着1回とまずまずの成績だった。
だが、地方競馬めぐりの楽しみは、こんな全国区の有名騎手だけでなく、日頃あまり名前を耳にすることがない「地元限定」の知られざる名手たちの手綱さばきを堪能することにもある。そんな視点から、思わず注目してしまったのが、今シーズン・リーディング2位に躍進してきた服部茂史(たかふみ)騎手である。

Silver_saber_hattoriこの日は勝ち鞍こそ1勝にとどまったが、2着4回と合計5連対。門別の好調ぶりをそのまま札幌につなげ、全レースのおよそ半分で馬券に絡んでいるのだから、恐れ入ってしまった。既に通算524勝を上げており、昨年もリーディング7位と、今や押しも押されぬ中堅どころのポジションをしっかりと確保しているけれど、ひょっとして今シーズンはさらに一皮むけ、全国にその名を轟かすほどの大活躍を期待していいのでは?という予感がしてくる。
その手綱さばきは慎重にして大胆。3~4番人気の伏兵をたくみに操って連対圏まで持ってくる戦略力の高さは、馬券を買う側からみても、なかなか心強いものを感じさせてくれる。特に圧巻だったのはメインレース・石狩川特別で6番人気まで評価を下げていた老雄・シルバーサーベル(2着)。逃げ粘る五十嵐冬樹の人気馬をゴール前で計ったように差し切ってしまった姿には、正直、自分もシビれました(自分の馬券も、痺れてしまったが・・・・)

Kura_laurel_oguniその服部騎手は、今はなき九州・中津競馬の出身。こうしてあらためて道営ジョッキーたちの顔ぶれを思い浮かべてみると、他の廃止競馬場から移籍し、北の大地に根を張って頑張っている人たちが意外に多いことにも気がつく。元北関東の山口竜一・三井健一上山の小国博行・小嶋久輝・馬渕繁治などなど。かつて上山の看板騎手として鳴らしていた小国騎手など、パドックでかけられた野次に反応し馬上でニッコリと笑みを浮かべる姿が微笑ましく、今ではすっかり道営競馬のジョッキーとして認知されているようだ。慣れない土地でいろいろと苦労もあるのだろうが、再びリーディング上位の座をめざし頑張ってもらいものである。

Nice_kiss_sasaki_minori懐かしい騎手もいれば、思いもかけない懐かしい馬の名を出馬表にみつけることもできる。第7レースに登場したナイスキッス(4歳・牝)は、なんと、今や中央競馬では目にすることができない貴重なナイスネイチャ産駒だ。雄大な馬格を誇った父に似ず、こちらは馬体重400キロにも満たない華奢な造りの牝馬であった。鞍上にはポニーテールも可憐な道営の紅一点・みのり姫こと笹木美典騎手と、人馬ともイメージがピッタリなのがまた良い。これは応援するしかないだろう(汗)
レースでは、最低人気の低評価を覆し、あわや連対圏に突入?と大健闘。手にした複勝馬券は結局はずれてしまったが、大いに満足できる結果を示してくれたナイスキッス。以降は380キロ台まで減ってしまった馬体の回復が課題だろうが、丈夫で長持ちだった父の足跡を継ぐ数少ないサラブレッドとして、末永い競走生活を送ってほしいと願うばかりである。

5月 4, 2006 旅打ちコラム | | コメント (0) | トラックバック (2)