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2006/04/29

【天皇賞春】戦国乱世に終止符の予感

Deep_impact_for_tennohsho_haruこの3年間、ちょっと異例というべき波乱の決着が続いてきた春の天皇賞。菊花賞優勝の実績を過小評価されていた03年のヒシミラクルなら、まだ勝たれて納得もいくけれど、近2年の優勝馬(イングランディーレスズカマンボ)となると、失礼ながらいまだに「場違いな馬」という印象を禁じ得ない。前走・船橋の交流重賞で先頭から5馬身も千切られた馬が、いきなり天皇賞を勝つなんて、冗談にも程がある。
一方、この伝統の大一番で1番人気の支持を受けた馬たちの成績はというと、3着(ダイタクバートラム)13着・6着(リンカーン)と、まったく振るっていない。今にして思えば、これら2頭はG1未勝利の身。古馬最高峰決定戦の主役を張るにはいずれも役不足だったわけだが、長距離戦線の屋台骨を背負う一流馬が長らく駒不足の状況である以上、結果的に過剰人気もやむを得なかったといえよう。主役不在の図式がそのまま、万馬券決着にも反映される。それが近年の天皇賞の姿であった。

本格的ステイヤーの不在による混迷・・・・こうした傾向が一歩先に結果として現れていたのが、同じく淀の長丁場を舞台とする菊花賞だ。レース施行時期の繰り上げや、春のクラシック主役級のリタイヤなどの事情があったにせよ、こちらは01年から4年連続して5番人気以下の伏兵が優勝。皐月賞やダービー上位馬が条件馬の後塵を拝していまう、下克上が繰り返されてきた
そして、そんな戦国乱世の時代を平定し、天下統一を成し遂げるかのように登場してきたのが、三冠馬ディープインパクト・・・・といえば、話が良くできすぎているようにも思えるが、平穏な決着に終わった昨秋の菊花賞が、以降の長距離G1戦線のひとつの節目となる可能性は小さくない。

ディープインパクトの菊花賞が、近年のレースと質を異にしている事実を裏づけるのが、レースラップである。過去5年分の菊花賞のラップタイムをグラフ化してみると、視覚的にも「違い」を読み取れるだろう。
以下のグラフでは、Y軸に示したゼロの値が12秒フラット、それより速ければプラス方向に、遅ければマイナス方向に値を表示しているが、青の太線(05年)だけ、他の年とグラフの形状がまるで違っている。すなわち、レース後半の9ハロン目以降、先行勢が12秒前後で飛ばす淀みない流れが続き、追い上げる各馬にとってもタフなペースになったわけである。

Kikka_sho_last_5_years

ところが、ディープインパクトは、そんな流れを自力で追い上げ、残り200の地点で前を捉えてしまうと、最後の最後にグンと加速している(グラフが上向き)。こんな強い勝ち方をした馬は、過去5年間1頭もいなかったし、この馬の類い希なるステイヤー適性を裏づけるデータといえるだろう。

問題は、菊花賞から半年を経過した天皇賞の舞台で、ディープインパクトがあの強さを再現できるかということだ。「飛ばなかった」有馬記念の敗因は、おそらく体調の翳り。明け4歳の声をきいても依然として成長の感じられない馬格や、追い切りの重い動きを評して、今回も、この本命馬の不安を囁く声はあるようだ。しかし、これほどの馬に対して、憶測だけで評価を下げるのは、やはり禁物だろう。仮に100%のデキになくても、しっかりと結果を残せるのが、名馬の名馬たる所以である。

長く続いた長距離戦線の混迷にひとまずピリオド。久方ぶりに、本命不動の平穏な天皇賞が復活する公算は高い。

<結論>
◎ディープインパクト
○リンカーン
▲ローゼンクロイツ
×マッキーマックス
×トウカイトリック

馬券の焦点は、やはり2着~3着探しに尽きる。
過去2年、天皇賞でファンの人気を裏切り続けたリンカーンだが、6歳にしてようやく折り合いの課題を克服。有馬記念でも直線不利を受けながら、ディープインパクトにコンマ2秒差まで詰め寄っており、斤量差を補正すれば、逆転の可能性まで示唆される。京都G1に滅法強い横山典も頼りになる味方だが、やはり人馬とも、あと一歩の詰めを欠いて2着というのが、穏当な結論だろうか。

ローゼンクロイツは、菊花賞でディープから6馬身差。ここまで差がついてしまうと、正直逆転は苦しいが、距離ロスを最小限に抑えられそうなこの枠順と、安藤勝の手綱捌きが頼み。京都の良馬場なら3着以内が濃厚だろう。

以下では、冬場の長距離戦線から充実を示してきたマッキーマックストウカイトリック。ともに、淀の3200を乗り切るスタミナなら、太鼓判を押せる実績を残しているのだが、前者は長丁場における鞍上の信頼度、後者はディープの目標される展開がちょっと気がかりではある。

キルトクールは、デルタブルース
500キロを超す雄大な馬格の持ち主だが、その分、反応の鈍さも内包しており、本格的なステイヤー適性に一抹の疑問を感じる。阪神大賞典の完敗を思い起こすと、巻き返しは期待薄と言わざるを得ない。ひょっとして一昨年の菊花賞のように、肉弾相打つ激戦になれば、その巨体にモノをいわせる場面があるかもしれないが。

4月 29, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (25)

2006/04/26

遠征決定!道営札幌・ばんえい旭川に行こう

HokkaidoGWの期間中、いったいどこで馬券を買うべきか?当ブログ管理人のように、旅打ち好きの競馬ファンにとって、こいつは案外と悩ましい設問だ。
連休中も仕事という多忙な方には申し訳ないが、仮に暦どおりに働いて休むと仮定するなら、今年は憲法記念日から日曜日までが5連休。このうち後半の土曜・日曜をJRA競馬に充てるにしても、残る3連休をどう有意義に使うかが問題になる。もちろん、家族サービスであるとか、自宅でゴロゴロと完全休養を決め込むなど、他にちゃんとした選択肢もあるのだろうが、競馬ジャンキーの正直な心境を吐露するなら、やはり馬券を楽しんでこそ休日!という思いがある。天の恵みというべき3連休。できれば競馬場へ、それも普段はなかなか足を運べない土地に行くことができれば、もう最高だろう。

そんな思惑から、昨年などは春まだ浅い岩手・水沢競馬へと遠征を敢行してきたのだが、さて、今年はどこに行くべきか? 仕事の見通しも立てづらく、なかなか予定を決められぬまま優柔不断に流されているうちに、もうこんな時期になってしまった。
既に、新幹線の指定席やホテルは予約で一杯、高速道路も長蛇の渋滞が必至と、どこへ出かけるにも難儀である。全国各地の地方競馬場では、交流重賞のスケジュールも組まれているけれど、名古屋のかきつばた記念や、園田の兵庫CSを現地観戦するプランは今からだとちょっと厳しい。そんな調子で途方に暮れていると、瓢箪から駒。今日になって急きょ、北海道遠征の計画がトントン拍子に決まってしまった。都合3日間、開幕直後の札幌道営と旭川ばんえいを往復する怒濤のミステリーツアーである。

5月3日 道営札幌競馬 観戦予定
5月4日 旭川ばんえい競馬 観戦予定
5月5日 道営札幌競馬 赤レンガ記念 観戦予定
     (G1かしわ記念は場外発売で購入)

というわけで、この5連休、前半3日を北海道現地競馬、後半2日は地元府中に舞い戻ってこれまた馬券を買えるという、夢のようなスケジュールが実現してしまった。
ばんえい競馬はこれが初のナマ観戦になるので、とてもワクワクしている。また、いよいよ5月20日から都内で上映が始まる映画「雪に願うこと」も、ひと足早く旭川で観ることができそうなのが嬉しい。
さて、こうなると問題は、旅打ち5連チャンに耐えうる資金運用を無事、まっとうできるか?ということに尽きる。旅打ち3日目を待たずしてオケラになってしまい、帰ってこれない!という事態だけは何とか回避できるよう努力してみるが、とりあえず帰りの飛行機は予約できたので、電車賃も突っ込んでバースト!という、ありがちな展開に陥る心配はないだろう(汗)せめて旅費くらいは浮かすつもりで、道営・ばんえい競馬を満喫してみたい。遠征レポートは、現地から当ブログに随時アップする予定だ。

4月 26, 2006 旅打ちコラム, 日記・コラム・つぶやき | | コメント (10) | トラックバック (0)

2006/04/23

【フローラS】サンデー系の決め手を重視したい

Dia_de_la_novia_last_years_winner_1東京コース改修後の02年以降に行われたフローラSの決着パターンを振り返ってみると、年によって先行馬が残ったり追込馬が台頭したりと、好走馬の脚質にバラエティはみられるものの、レースの流れそのものは一定のパターンを描いているように思える。
すなわち、前半1000メートルの通過は60~61秒前後と、先行勢にとっても十分息を入れられるペース。その後、各馬が追い出しにかかる残り600メートル地点から、流れが速くなり、良馬場なら、ラスト3ハロン目・2ハロン目に11秒台のラップが連続する。4コーナー付近から直線坂の上りにかけてレースの流れが一番速くなるが、直前から一気に1秒近くもラップが加速されるため、上位に残るためには機敏なギアチェンジが要求される。スピード一辺倒でも、ある程度まで誤魔化しが効いた短距離~マイル戦とは明らかに異なり、センスと器用さ、中距離適性などが問われるわけだ。

さて、今年の出走メンバーを見渡してみても、典型的な逃げ馬は1頭もいない。また、3歳牝馬にとって経験の乏しい二千という距離、さらには中山から直線の長い府中へのコース変更という条件を意識するなら、各騎手とも前半はじっくり構えていくことが想定される。例年と同様に、ゆったり目のペースから、後半3ハロン目で急激にラップが加速するという流れが、今年も繰り返されるのだろう。

レースの走破時計そのものは、2分を切るほど速くなることはないので、持ち時計や格を重視する必要はない。1勝馬でも、中距離戦で素質の片鱗を示しているタイプならば、十分狙いは立つ。血統的には、やはりサンデー系の決め手を無視することはできないだろう。

【結論】
◎アクロスザヘイブン
○アイスドール
▲ハギノプリンセス
△マイネサンサン
×オリオンザナイト
×テイエムプリキュア

2歳女王テイエムプリキュアは、桜花賞ですっかり馬脚を露してしまった感。とにかく器用さに欠け、エンジンの掛かりが遅いので、じっくり溜めるだけでは格下相手でも勝負にならない。熊沢騎手もそのあたりの事情を考慮して、早めに追い出す策を意識してくるだろうが、初の東京コースでどこまでやれるか?実績上位でも過信は禁物と心得ておきたい。

狙ってみたいのは、好位で流れに乗りつつ、勝負所でスッと動ける決め手を兼備したタイプだ。フジキセキ産駒のアクロスザヘイブンは、休養明けの前走、未勝利戦ながら強い相手(メジロアレグレット・エアマグダラ)を問題にしなかったレース内容が秀逸。小野騎手騎乗ということで、6年前のマニックサンデーを彷彿とさせる1頭だ。叩き2走目で重賞挑戦となると、データ上2走ボケの不安もあるけれど、敢えてそれには目をつむって本命に推す。相手も、サンデーサイレンスの血が入った瞬発力型を重視してみたい。

キルトクールは、大外枠のプリティタヤス。2月のクイーンカップ以来、素質の片鱗を示しながら、消化不良の競馬が続いていたが、前走の忘れな草賞では、何の不利も受けなかったのに、ゴール前で伸びが鈍化していたのが気になる。おそらく敗因は距離適性。母父Majestic Lightの血統背景からも、短い方が能力を発揮できるタイプなのだろう。

4月 23, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (2) | トラックバック (1)

2006/04/19

発見。中山でも「きじ焼き丼」!

Nakayama_kijiyaki_don皐月賞当日の昼食、中山競馬場の旧スタンド・クリスタルコーナー3階で発見した「ぎんざ神田川」の上きじ焼丼。お値段は、確か1200円だったと思う(うろ覚えです)
神田川のきじ焼き丼といえば、何といっても東京競馬場名物という印象が強い。かつては内馬場のテイクアウト・メニューとしてその名を馳せ、新スタンドがオープンした現在では、指定席エリアの5Fに店舗を移設しているが、こんがり焼き上がった鶏肉と醤油だれがしっとりとご飯に染み渡った上品な味わいは、いまだ健在である。競馬場グルメの筆頭格として、自信をもってお薦めしたい一品だ。

ところが、東京競馬場内のこのお店には、致命的な難点があった。
中山やローカル開催になって府中の競馬場がパークウインズとして営業している期間中は、指定席エリア全体が閉鎖されてしまう。このため、神田川を含むスタンド5階のレストラン街もすべて休業を決め込んでしまうのだ。わざわざ競馬場に足を運んでも、きじ焼き丼が食べられないなんて・・・・他場開催期間中には、何となくパークウインズ府中に行ってみようという気力が萎えてしまうが、どうやらそんな昼食事情も、自分のモチベーション低下に微妙な影響を与えているようだ。

で、府中店の休業期間中、どこに行けば、きじ焼き丼を食せるのかといえば、それは、当然中山競馬場ということになる。最近、中山メインスタンド1階のワゴン式売店で「きじ焼き弁当」が発売されているのには薄々気がついていたけれど、神田川・中山店がスタンド内でも店を構えていたとは、不明にして今回初めて気がついた次第である。

浅田次郎氏ではないが、府中界隈に居を構える自分にとって、JRA関東圏の競馬場の印象をひと言でいうなら、「府中はホーム、中山はロード」。地元・東京競馬場なら、一般人が立ち入ることのできるエリアはほぼ全域を踏破しているけれど、中山の場内には、まだまだ未踏のミステリーゾーンが多い。
クリスタルコーナーといえば、ゴール板からほど遠く、1コーナー手前あたりに位置する地味な旧スタンド。自分だけでなく、多くの競馬ファンにとって、普段はあまり足を向ける機会のない場所だろう。多くの飲食店が軒を並べる地階のファーストフードプラザやベンジャミンプラザ(メインスタンド中央部の吹き抜け)に比べれば食事をとれる場所も少なく、どこか閑散とした雰囲気が漂うこのスタンドの3階に、知る人ぞ知る名店はひっそりと佇んでいた。

入口から中の様子をのぞいただけではちょっとわからないけれど、実際に入ってみると、店内スペースはかなり広々としている。7万人の観衆が詰めかけた皐月賞当日の日曜日、しかもお昼どきになってもまだまだ空き席は多く、年齢層が高めのお客さんたちが思い思いにランチタイムを楽しんでいた。ううむ、いい雰囲気です。ハッキリいって、ここは中山の穴場である。

ちなみにレジで食券を売ってくれるのは、政治家の故・桜内義雄を彷彿とさせるスキンヘッドの老人。そう、府中店が営業しているとき、やはり入口のレジに陣取っているあのお爺ちゃんである。なるほど、これでわかった。府中の休業中は、スタッフ一同まるでジプシーのように、中山店へと活動拠点を移していたんですねえ・・・・どうりできじ焼き丼の味が変わらないわけである。
中山店のメニューは、名物きじ焼き丼を筆頭に、鰻重など基本的には府中店といっしょ。ただし、府中でラインナップされている豪華版の鶏三昧丼(きじ焼き+つくねと鶏の塩焼きが入っている)は見あたらず、そのかわり、この日自分が食した「上きじ焼き丼」なる一品が出されていた。こちらは、ノーマル丼にきじ焼き2枚と白ネギが追加され、ソーメン入りのお吸い物(鰻の肝吸い?)がついてくる。中山競馬場内でしか飲むことのできない、その名も「グランプリ」という地ビールを楽しめるのも、悪くない。ラベルにはシンボリクリスエスが制した有馬記念の写真が載っている。なかなかフルーティな味わいの良いお酒だった。

さて、今週末からは待望のわがホームグランド・府中開催を迎える。
営業を再開する神田川・府中店で、優雅なお昼どきを満喫しつつ、馬券のほうもバリバリと頑張っていきたい。でも、ペッパーランチの「ステーキ重」も捨てがたかったりして・・・・

4月 19, 2006 旅打ちコラム, 日記・コラム・つぶやき | | コメント (7) | トラックバック (3)

2006/04/17

【皐月賞回顧】我慢比べで浮上した「いぶし銀」の怪力

Meisho_samson_at_satsuki_sho_1予報よりもだいぶ遅れてパラつきだした雨は、降ったりやんだりを繰り返しながら、草丈の伸びた洋芝をしっとりと濡らしている。この降雨が、いったいどれほどの影響を馬場にもたらしたのか?そんな難問に対する回答をキチンと用意できたかどうかが、有力どころの着順を分けた。結果論かもしれないが、終わってみればそんな印象が残る皐月賞だった。
スタンドから芝コースを見下ろしてみると、4コーナー出口~直線にかけて内ラチから4頭分ほど、蹄の踏み跡が残って明らかに馬場の悪い箇所がある。傷みがみられると伝えられた3~4角中間部では、馬場の内側の渋化がさらに進行していたことだろう。こうなると、常識的にインを通るコース取りは不利であり、実際、8レース・10レースでは馬場の真ん中から外を通って決め手を生かした馬が上位を占める結果になった。
だが、その一方で9レースの野島崎特別で2番手から抜け出したヤマニンメルベイユを筆頭に、インを通った馬でも意外に我慢が効いていたのも事実である。道悪を気にしないタイプならば、致命的とまではいえない程度の馬場渋化。それを見越して自分の競馬に徹した馬たちが、結局皐月賞でも上位に入線し、反面、馬場の良い外から差す戦法を試みた有力どころは、ゴール前で前との脚色が一緒になってしまった。上位陣の上がり3ハロンタイムは34秒台後半と普通の良馬場同様の時計を記録しているが、見た目の印象でいうなら、鋭さよりも、後半600メートルをフルに使った我慢強さが問われるレースだったように思える。

正攻法の押し切りで、見事に栄冠を射止めたメイショウサムソンと石橋守騎手。本場場入場時の実況で「人馬ともいぶし銀!」と紹介されていたのには、思わず笑ってしまったが、6番人気の低評価を覆した勝利をフロック視することはできないだろう。「怪力男」に由来する馬名がしっくりとくる雄大な体躯から繰り出されるパワーは、まさしく世代トップレベル。イメージとしては、芝の決め手勝負よりもダート戦のような力比べの競馬で他をねじ伏せてしまう強さを感じさせるタイプだ。
他馬のキレが殺がれる馬場状態を読み切って、そのアドバンテージを存分に生かしたベテラン騎手の手綱捌きも賞賛に値する。早めスパートの奇襲に出たフサイチリシャールにタイミングを合わせ追い出し、ゴールまで息の長い脚を持続できたのは、道中、馬の気分を損ねないように、好位外のベストポジションをキープすることに心を砕いた巧みな道案内があればこそだろう。

Dream_passport_at_satsuki_sho2着入賞のドリームパスポートは、勝馬とはタイプこそ違えど、母父トニービンの血がアシストしているのか?やはり馬場渋化を全く気にしていない。パドックをキビキビと周回していく姿が「バカに良く見える」ほど、この日のデキの良さも際だっていた。道中では他馬が嫌う内ラチ沿いにピッタリと張り付いて、直線フサイチリシャールの脚色が鈍るとみるや、すかさず1頭分外へ進路を変更した高田騎手の好判断も光る。
あらためて思い起こしてみると、この馬が勝利したきさらぎ賞は、上位5頭が粒ぞろいだったハイレベルな1戦。そこで掲示板に食い込んでいるマイネルスケルツィアドマイヤメインの動向ともども、あらためてレースの価値をクローズアップしておく必要がありそうだ。

Fusaici_junk_at_satsuki_shoこれに対し人気を集めた差し馬3頭(フサイチジャンクアドマイヤムーンサクラメガワンダー)は、外目のコース取りから早めに追い出す作戦で差しきりを狙ったが、結局、上位を脅かすには至らず、不本意な着順に終わってしまった。だが、それぞれに持ち味は発揮しており、展開やコース・馬場が変われば、逆転の目もありうると期待を抱かせる戦い方だったと思う。

フサイチジャンクは、どこか泥臭さが抜けない兄タイガーカフェとは異なり、いかにも良血らしい洗練された好馬体の持ち主。今日のようにタフな競馬が特異とは思えぬタイプなのだが、それでもアドマイヤムーンとの肉弾戦を制して、3着を死守したのは立派というべきだろう。1戦ごとに課題をクリアしながら強くなっていく学習能力の高さには、あらためて舌を巻いた。こんな競馬ができるのなら、初の左回りとなるダービーでも有力どころの一角としてマークせざるを得ない。

Admire_moon_at_satsuki_shoアドマイヤムーンは、共同通信杯当時のパドックと比較すると、ほんの気持ち程度だが、トモのあたりに緩さを残した仕上げである点が気になった。おそらく、弥生賞の時点で一度はピークにまで仕上げた反動がまだ少し残っていたのかもしれない。
ただし、今日の敗因は状態に問題があったというより、馬場と展開に泣かされたというべきだ。道中は馬場の良い外目を通って直線決め手で圧倒するという、弥生賞と同様の戦法は不発に終わってしまったが、ゴール前渋太くひと伸びしてサクラメガワンダーの追撃を封じた脚力はやはり非凡という印象を強くした。
ダービーまでは、まだ6週間の時間がある。もう一度立て直して、能力をフルに発揮できる条件さえ整えば、メイショウサムソンとの3馬身差も逆転可能だろう。しなやかな馬体は、距離延長にも十分対応できる可能性を示唆している。

4月 17, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (2) | トラックバック (13)

2006/04/15

【皐月賞】1番人気・単勝2倍台を信頼できるか?

Admire_moon_nininbiki速い馬が勝つ」と云われる皐月賞は、1番人気を集める有力馬が強いレースでもある。過去10年間、1番人気馬がこのレースで残している戦績はというと 「3-3-2-2」(単回値62・複回値103) 10年で優勝3回というのがちょっと物足りない気もするけれど、連対圏に残る確率が6割で複勝回収値も100を超えているのだから、軸としては信頼に足る水準というべきだろう。
だが、さらに仔細にチェックしていくと、少々気になる傾向がみえてくる。単勝オッズの水準に応じて、人気に見合う好成績を残している場合と、そうでない場合があるのだ。
すなわち、ひとしく1番人気といっても、昨年のディープインパクトのようにファンの支持が集中し単勝配当1倍台という年と、混戦ムードが囁かれて人気が分散し3倍以上の配当がつく年があるが、一見両極端にみえるこれらのケースで、1番人気馬はそれぞれ好成績を残していることがわかる。問題はその中間のゾーン、1番人気のオッズが2倍台に落ち着いたときの成績である。

■皐月賞・過去10年 1番人気馬の単勝オッズ別成績
 単勝1倍台の1番人気成績 2-0-1-0
 単勝2倍台の1番人気成績 0-1-1-2
 単勝3倍台の1番人気成績 1-2-0-0

ちなみに単勝2倍台の1番人気となっていたのは、メジロブライト(97年4着)アドマイヤベガ(99年6着)タニノギムレット(02年3着)コスモバルク(04年2着)の4頭であった。このうち、地方在籍のまま皐月賞に挑戦したコスモバルクを例外扱いすると、皐月賞1番人気・オッズ2倍台という条件下で連対実績を残せたJRA所属馬は、過去10年で1頭もいないということになる。

そんな条件に該当していたブライト、ベガ、ギムレット・・・・いずれも後にG1を制し、能力の高さを満天下にアピールすることになるのだが、これら各馬にとって、一度は挫折を強いられた大舞台が皐月賞だったという事実は興味深い。各馬のレースぶりをあらためて思い起こしてみると、いずれも差し脚質。トライアルで4角後方の位置から速い上がりを駆使して上位に届いた脚力を評価され、本番の1番人気に推されたという事情までが共通している。
とても届かないような位置からぶっ飛んできたように能力は非凡だが、常に横綱相撲で押し切れるほどの安定感はまだない。そんな1番人気馬に対する期待と不安が、単勝2倍台という微妙なオッズによく表されていたという穿った見方もできるかもしれない。結果、これら各馬はいずれも連対圏に届くには至らなかった。
一方で、こんな年に、不発の1番人気馬にかわって上位に食い込んできたのが、無欲の伏兵たちである。サニーブライアン・シルクライトニングのワンツーで馬連500倍台の大波乱になった97年、まだ毎日杯を勝ったばかりで5番人気の伏兵に過ぎなかったテイエムオペラオーが優勝した99年、さらに02年にはノーリーズンが理由無き激走を演じている。単勝2倍台の1番人気馬が3着以下に沈む皐月賞は、また波乱を呼ぶ舞台でもあるのだ。

前置きが長くなってしまった。
今年の1番人気は、おそらく前日売り単勝オッズで2.7倍の支持を集めるアドマイヤムーンだろう。差し脚質という点で前記3頭に共通するこの馬の場合、センスや器用さという意味で1日の長があるようにも思える。だが、弥生賞の勝ちっぷりが鮮やかすぎることは、やはり気になるポイントだ。加えて、まだ比較的小頭数のレースしか経験していないこと、道悪馬場で抜群のキレを殺がれる結果にならないか?と初の大舞台を前にしての不安材料を、いくつか指摘することもできるだろう。
仮にこの馬が3着以下に凡走するとなれば、大波乱の歴史は今年も繰り返されることになるのではないか・・・・風雲急を告げてきそうな空模様が象徴するかのように、今年の皐月賞は一筋縄でいかない結果が待ち受けていそうな予感が強くなってくる。

<結論>
◎サクラメガワンダー
○メイショウサムソン
△フサイチリシャール
△スーパーホーネット
△アドマイヤムーン
△ジャリスコライト
△インテレット

波乱の結果を占う意味で、最大のポイントになるのは、馬場状態をどう読むかという点だろう。「3~4コーナーから直線にかけて若干損傷がみられます」とJRAも公式発表している芝コースの状態は、良馬場なら何とか誤魔化しも効くが、雨でぬかるんでくると、一気に道悪競馬の様相を呈することは必定だ。特に3~4角の芝の傷みはかなり深刻な状態に置かれるはずで、そこを通る先行勢にとってはコース取りが命取りになりそう。一方で、「カミソリ型」の瞬発力自慢にとっても、馬場渋化はさすがに歓迎材料といえない。
ここは、あえて外を回すロスを覚悟したうえで、鋭さはなくても長く脚を持続することができるタイプ(ナタの切れ味)こそが狙い目になるだろう。

サクラメガワンダーは、イン有利の馬場状態だった弥生賞で、大外をブン回す愚を演じて、不本意な4着。結果、人気のほうも一気に急降下してしまったが、気楽に乗れる立場で天下の名手・内田博幸を鞍上に迎えるとなれば、巻き返しを期待しないわけにいかない。そもそもアドマイヤムーンに土をつけた唯一の存在であることからも明らかなように、脚力の高さは世代トップクラスだ。一歩先に抜け出す有力どころが道悪でひと伸び欠くようなら、ゴール前までしっかりと伸びを持続するこの馬に、チャンスが訪れる可能性も小さくないとみた。
メイショウサムソンは、3頭の叩き合いに持ち込まれながら、もう一度闘志に点火して渋太く伸びたスプリングSの内容が非凡。意外にも道悪での好走歴がないとはいえ、父オペラハウスなら渋った馬場が悪いはずもない。
以下では、フサイチリシャールアドマイヤムーンジャリスコライトといった世代を牽引してきた強豪に加え、スーパーホーネットインテレットあたりも押さえ、波乱の決着に備えたい。

キルトクールは、フサイチジャンク
無敗」というデータがブランド化しているのか?裏街道路線を進みながら、一戦ごとに力をつけてきたその足跡は確かに悪くないけれど、2番人気の支持はさすがに被りすぎではないかという印象を受ける。「表街道」の主役たちを一気になぎ倒すほどの迫力までは、さすがに感じられない。

4月 15, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (22)

【京葉S】ハイラップ必至。昇級オフィサーの試金石

Officer_at_nakayama_bloodstones前走・準オープンのブラッドストーンSを鮮やかな差しきり勝ち。これで晴れてオープン馬の仲間入りを果たした当ブログひとくち出資馬・オフィサーが、昇級初戦を迎える。
決戦の舞台は、走り慣れた中山・ダート千二。頭数も10頭と手ごろなら、思わず連勝も・・・・と期待は膨らむが、そんな親バカ的思考から一歩離れ冷静に考えてみると、やはり楽観は禁物という気がしてくる。
課題になるのは、レース前半の運び方だ。
この馬の場合、ハマったときの末脚の破壊力は確かに目を見張るものがあるけれど、その一方で、前半600メートルを自身35秒台で追走できる程のユッタリした流れにならないと、あの脚を使えないのでは?という気がするのだ。先行勢が33秒台のラップでぶっ飛ばすハイペースだと、後方に位置する馬でも600メートル通過は34秒台ということになる。そうなると道中は追走だけで手一杯。直線の追込も、どこか苦し紛れという感じになってしまい見せ場すら作れない・・・・それが、重賞に挑戦したガーネットS当時のレースぶりだった(6着)
一方、前走のブラッドストーンSは、幸いなことに前半34秒台なかばの緩いペース。中団に位置したオフィサーも35秒台のラップで脚をため、それが直線での大爆発の導火線になった。出走した一連のレースのラップタイムを眺めてみると、ごく自然にこんな推論にたどりついてしまう。追込脚質であり、展開に左右されることは間違いないが、俗にいうハイペースの前崩れを待つしかない馬とはちょっと違う。ゆったりした流れで自身タメを効かせた方がよい、芝馬的なタイプなのだろう。

だが、京葉ステークスの出走メンバーは、そんなオフィサーの思惑など意に介さない快足馬が揃った。特に注目すべきは、芝の重賞・セントウルSを33秒台で逃げた実績を誇るホーマンテキーラの参戦である。

これが初めての芝のレースとなるが、鞍上には金髪・藤田伸二を迎え、意欲の中山遠征を敢行してきた。おそらく人馬とも、他にハナを譲るつもりなどサラサラないだろう。これにコパノフウジンマサアンビションらが絡んでいけば、小頭数とはいえ流れは必然的に速くなる
横山典に鞍上をスイッチし、中団からの競馬を意識するオフィサーも、おそらく34秒台でこれらを追走していく展開が見込まれるが、果たしてどこまでやれるか?
わが愛馬の試金石といきべき、厳しい昇級戦になるのかもしれない。

<結論>
◎ニシノコンサフォス
○ホーマンテキーラ
▲コパノフウジン
△ミリオンベル
△オフィサー

これがダート千二・3回目の出走となるニシノコンサフォス。この馬の場合もオフィサーと同様、前半を33秒台で行けるスピードまではないが、反面、後半を安定して35~36秒台でまとめられる強みがある。仮にホーマンテキーラのスピードが全開し、ゴールまで脚色が鈍らなければ2着という可能性はあるが、4角で差を詰め、叩きあいに持ち込めるなら、勝つのはこの馬が有力だろう。
ホーマンテキーラは、11月のアンドロメダSでデビュー以来最高の馬体重を記録。今回はそれ以来、久々の出走となるだけに、当日どこまで馬体を絞ってくるかがカギになりそう。パドックに注目したい。
以下では、芝でも通用するスピードのあるコパノフウジンと、この条件で堅実なミリオンベルブルーコンコルドほど凄みのある馬はいなくても、さすがにオープン級だけに、メンバーが揃ったという印象が強い1戦だ。

オフィサーの最終評価は、やや甘く採点しても△といったところだろうか。斤量差を補正しニシノコンサフォスとの時計比較をしてみると、それほど能力に違いがあるとも思えないが、ハイペース量産コース・中山千二では、いかにも分が悪い。次走の東京・京都戦に向けてメドの立つ競馬をしてくれるなら、今回はそれで十分というのが、ひとくち馬主の偽らざる心情である。

4月 15, 2006 ひとくち馬主日記, 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (6)

2006/04/09

【桜花賞】気になるトライアル戦線の時計的価値

Fusaichi_pandora_at_flower_c魔の桜花賞ペース」という格言も、さすがに最近では耳にすることが少なくなったけれど、フルゲートのマイル戦に快速自慢がずらりと揃うとなれば、さすがにレースの流れは速くなる。過去5年の桜花賞の前半1000メートル通過ラップを確認してみても、古い順から59秒558秒558秒459秒0ときて、昨年が58秒フラット。このうち最も時計が遅かった5年前のレースは、勝ったテイエムオーシャンが道中ずっと折り合いに苦労していた光景が象徴するように、桜花賞にしては例外的にスローペースだったと考えるべきだろう。さらに前半3ハロンのペースもチェックしてみても、近年の桜花賞は、年を追うごとにハイペース化の傾向に拍車がかかっている感がある。
例年に比べ、パワーが要求される馬場状態と囁かれる芝コースで争われる今年の桜花賞。昨年ほど速い流れにならない可能性もあるが、それでも逃げ・先行脚質のメンバーがこれだけそろえば、緩いペースを想定するわけにはいかない。おそらく、前半1000メートルで59秒前後を念頭に置くべきで、そんな厳しい流れに最後まで耐え抜く底力の裏づけが、勝馬には要求されることになる。

だが、そこで問題になるのが、今年のトライアル戦線の内容である。
各レースの前半1000メートル通過ラップを振り返ってみると、本番と同じマイルの距離で争われたチューリップ賞が60秒1アネモネSが59秒5と、例年に比較して明らかに緩いペースであった事実が、やはり気になる。
特にチューリップ賞に関して、上がりも含めたレース全体の時計的価値を問われれば、例年に比べ低調な内容だったと評さざるを得ない。アドマイヤキッスの勝ちっぷりは確かに見た目にも鮮やかだが、この馬自身の1000通過タイムはほぼ1分1秒。すなわち中距離戦並の緩いラップを踏んでいたわけである。ここまで流れが遅くなると、さすがに長期休養明けでも、ペースの違いに馬が戸惑う心配はない。余裕の快勝劇の背景には、そんな事情もあったということだが、裏を返せば、本番で一気にペースが速くなったときの不安は、現時点でまだ解消されていないともいえる。

一方、千四のフィリーズレビューになると、前半1000メートルが58秒3とさすがに短距離戦らしいタイムを記録している。だが、雨で渋った馬場状態もたたってレースの上がりタイムがいかにも平凡である。今年以上に厳しい流れのなか、上がり3ハロン34秒3をマークしていた昨年のラインクラフトと比較するなら、今年のフィリーズレビュー上位組はいかにも凡庸という印象を禁じ得ない。

このようにトライアル上位組のレベルに疑問符がつく以上、勝ち馬候補は、別路線組を中心に考えていく必要があるだろう。注目は、近年桜花賞でも好成績が目立つフラワーカップ組である。前半1000メートル通過が59秒3と、この重賞にしては異例というべきハイペースになった今年の一戦だが、それだけに一連のトライアルとの比較で、レースの内容には一応の時計的価値を見いだすことができる。特に、果敢に先行争いを演じながら、渋太い粘りをみせた2着フサイチパンドラの能力には、今一度注意を払っておく必要があるだろう。

結論
◎フサイチパンドラ
○アサヒライジング
▲アドマイヤキッス
△キストゥヘヴン
注ラッシュライフ
注アルーリングボイス
注コイウタ

外枠不利が定説といえる阪神マイルで、17番枠からの発走となるフサイチパンドラ。この枠順はけっしてプラス材料とはいえないが、それでも上手く発馬を決めて好位置さえ確保できれば上位進出の目があることは、昨年のラインクラフトが既に実証している。59秒台のペースと力の要る荒れた馬場。この2つの課題を同時に克服するための条件というべき潜在能力を比較してみれば、出走メンバー中最上位に位置するのは、おそらくこの馬にほかならないだろう。前哨戦と本番のペースの違いに戸惑う心配がなく、むしろ折り合い面でプラスというのも、悪くない材料だ。

アネモネSの勝馬・アサヒライジングは、行ききってマイペースに持ち込んでこそ味が出るタイプ。そうした意味で、この枠順はかなり恵まれた印象を受ける。関東馬ゆえに、おそらく勝ちきるまでは難しいと思うが、上位候補の一角としてなら侮れない。
人気薄の芝・マイル戦で大先生を狙うべし」という馬券セオリーが、果たしてこの大一番でも通用するか否か?という設問には、個人的にとても興味をそそられる。

キルトクールは、タッチザピーク
さすがに大外枠からの発走では、2走前の快勝再現を期待するのは、無理な相談だろう。また、こんな華奢なタイプが、阪神の荒れた芝を克服できる可能性も小さいとみた。

4月 9, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (12)

2006/04/07

【桜花賞展望】アドマイヤキッスと2走ボケ不安説の微妙な関係

Hanshin_race_paddock週末に迫った桜花賞の行方を占うために、今回は、出走馬の臨戦過程に焦点をあて、データ・マイニングを試みてみよう。検討の素材に取り上げるのは、今年の女王候補・最右翼との評判も高いアドマイヤキッスの臨戦過程である。
そのアドマイヤキッスは札幌の未勝利勝ち以来、6か月ものリフレッシュ放牧を挟んだ後、休養明けで出走したトライアルをいきなり快勝している。これで一躍主役候補に名乗りをあげてきたわけだが、実は最近10年間の桜花賞において、こんな臨戦過程を経て参戦してきた馬は、他に1頭もいない。なにせ、年明け後のレースはおろか秋競馬もすべてお休みしていた馬が、トライアルのたった1戦を叩いただけで本番を迎えるのである。冷静に考えてみると、確かに異例づくめのローテーションと言えるだろう。

長期休養明けの馬が鉄砲駆けした次のレースといえば、やはり気になるのは、いわゆる「2走ボケ」の心配はないのか?ということだ。
休み明け初戦を快勝した実力馬が、2戦目にまるで不可解な敗戦を喫してしまう・・・・長く競馬をやっていると、しばしばそんな場面に出くわし、馬券的にも痛い目にあうことが少なからずあるわけだが、そんな現象に関連して興味深い分析を示していたのが、『蛸坊主の赤鉛筆』さんのエントリである。この記事では、休養明け優勝馬の2戦目の成績をTARGETで集計し、そこから得らえた結論として、「休養明け緒戦で上位人気で優勝したとしても休養明け2戦目は馬券を買わないほうがよい」(前走から2週間と3週間目は特に危険)との見解が示唆されている。

果たしてこの教訓は、桜花賞のアドマイヤキッスにも当てはまるのだろうか?
こんな設問に対する答えを探ってみるため、当ブログでも「長期休養明け初戦を優勝した馬の2走目」について、データ分析を深めてみることにした。

集計・分析の対象としたのは、03年1月~先週の中央競馬全成績(障害レースを含む)のうち、半年以上の休養を挟んで休み明け初戦を勝利した延べ296頭の「次走」である。
その全成績と条件別の集計結果は次のとおりとなった。

■前走・半年以上の休み明けで勝利した馬の2走目成績
2sobokedata01

芝・ダートを問わず連対率は30%前後。休み明けの快勝に続き「次走」も連続好走が期待できるケースは、実は3割程度にすぎないという結果が示された。

もちろん、この集計結果には、叩き2戦目が昇級戦にあたるケースも少なからず含まれている。したがって2戦目の敗因をすべて「2走ボケ」と結論づけることはできないが、それでも単勝回収値・複勝回収値が、条件を問わず100を切る値となったことには、注意を要する。このことは、2戦目に順当な良化を見込まれ人気を集めながら、あっさり馬券圏外に去ってしまう危険な人気馬が少なくないことを、裏づけるデータと解釈できるだろう。そんなタイプを2戦目で狙い打つのは、馬券作戦として賢明といえない。
競馬新聞などをみても、「馬体が絞れさらに上昇」などと評価された叩き2戦目の出走馬に印が集中というケースがよくあるけれど、実はこうしたタイプこそ疑ってかかる必要があるのではないか?そんな仮説を検証してみるため、次に2走目における馬体重の変化というファクターに注目し分析を続けてみた。

■前走・半年以上の休み明けで勝利した馬の2走目成績
 馬体重・前走比別成績
 
2sobokedata02

前走との比較で馬体が絞れていても、そうでなくても、やはり連対率は3割前後。だが、単勝回収値・複勝回収値をみると、前走からマイナス体重で出走している馬のほうが、プラス体重組と比べ、総じて低位な数値となっている。
このことは、一見「馬体が絞れた」ように見える馬のほうが、より人気を集めがちである反面、実は馬券的妙味が薄いという事実を明らかにしている。
参考までに、休養明けの前走で10キロ以上馬体を増やし、そこから2走目に体重を絞ってきたケースに限定した成績というのも調べてみたが、結果はあまり変わらなかった。10キロ以上馬体を絞った馬の場合だと単回値60・複回値106とまずまずの数値が出ているものの、それ未満のマイナス体重にとどまった場合は、連対率25%・単回値34・複回値70・・・・こんなタイプの馬券に妙味はない。どうやら、そのように結論づけてもよさそうな雰囲気である。

ちなみに、例数は少ないが、半年ぶり以上の休養明けを勝利し2戦目が「重賞」だった馬たちの成績を検索してみると、結果は「0-2-2-14」 連対率11%・複勝回収値57という結果が示された。
しかも、連対2件のうち1件は、障害レース(04年中山大障害・2着メジロオーモンド)の事例であり、平地重賞に関していうなら、休み明け優勝馬の2戦目の参戦は明らかに危険信号と言えそうだ。

さて、話をアドマイヤキッスの例に戻してみよう。
チューリップ賞での馬体重が、休養前との比較でプラス18キロ。「背が伸びてひと回り大きくなっているし、体重増は成長分」と松田博師は語っているが、果たして桜花賞当日の馬体重がどう推移してくるかにひとまずは注目が必要だろう。トライアルから本番まで中4週という余裕をもったローテーションである以上、常識的に前走の疲れを引きずっての出走はありえないが、そこはデリケートな3歳牝馬のこと。未知の臨戦過程と人気のバランスを考えると、積極的に馬券を狙えるか否かは、微妙という気がする。

だが、実はアドマイヤキッスにとって、心強いデータも別に用意されている。
それは、手綱をとる武豊騎手と「長期休養明け初戦を優勝した馬の2走目」の相性が妙に良いということだ。彼がこんなタイプに騎乗したときの成績は、なんと「8-2-1-5」 連対率は実に60%を超え、単勝回収値も122と意外な好結果が記録されている。
果たして、鞍上の優れた手腕が2走ボケの克服に貢献しているか否か?この因果関係の裏づけまで探るのは、さすがに手に余るけれど、1番人気馬の取捨を判断するうえで、念のため考慮しておく必要があるデータといえそうだ。

4月 7, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (2)

2006/04/02

【大阪杯】三冠馬世代上位陣はどこまでやれるのか

Rosenkreuz_admire_japan春の大一番・天皇賞まで、残すところ1か月・・・・今シーズンの古馬・中長距離戦線の構図を占うべく、ここまでの前哨戦を振り返ってみても、ディープインパクトの王座を脅かすほどの好敵手は未だ現れず、というのが偽らざる実感である。先週は東でリンカーンが、遠くドバイの地でハーツクライが快勝劇を演じてファンをわかせてくれたが、過去2年春天で良績のない前者が三冠馬を逆転する絵まではちょっと浮かんでこないし、後者は天皇賞より海外遠征に向けたローテを優先するだろう。
興行的にはやはり、同世代のライバルたちの奮闘が待たれるところだ。
しかし、そんな期待と裏腹に、現役4歳・有力どころの近況が、どうにもパッとしない。シックスセンスは屈けん炎を発症し早々にリタイアを表明し、頼みのインティライミも阪神大賞典で距離適性の限界を露呈してしまった。今週の大阪杯には、ローゼンクロイツアドマイヤジャパンがエントリしているが、これら2頭も昨年のクラシックで三冠馬との勝負づけはもはや終わっている感がある。
そんなわけだから、仮に2頭のいずれかが今回好結果を残すことができても、本番に向け過大な期待まではできないが、そうした事情は当然陣営も承知していること。だからこそ、このG2戦が勝負の鞍という穿った見方も成り立つ。4歳の実績上位馬たちが、5歳以上の年長世代との比較で、果たしてどこまでやれるのか?ここは天皇賞の前哨戦云々を度外視して、ひとまず注目しておきたい。

さて、戦いの舞台となる大阪杯は、阪神・芝二千のG2・別定戦。同じコースで施行される秋の朝日チャレンジC鳴尾記念が、ややもするとスローペースの凡戦に終わる場合があるのとは対照的に、こちらはほぼ毎年のように、淀みなく緊密なラップが連続するG2らしい一戦となる。

過去5年間の、ハロンごとの通過ラップは次のとおりだ

05年 12.7-10.4-12.0-12.0-12.1-12.4-12.2-12.0-11.5-11.7
04年 12.7-11.3-11.9-12.0-12.2-12.1-11.8-11.9-11.3-12.4
03年 12.7-11.0-11.9-12.0-12.0-12.3-11.8-11.9-11.3-12.2
02年 12.7-11.3-12.3-12.1-11.8-11.8-11.7-11.7-11.7-12.0
01年 12.4-11.0-12.2-11.9-11.6-11.8-11.7-11.8-11.8-12.2

道中の流れが厳しい割に上がりも速いので、じっくり構えて末脚に賭けるタイプでは、台頭が難しい。それでも昨年は、ハーツクライが4角最後方から2着にまで突っ込んできたが、この馬の以降の実績を考慮するなら、能力の裏づけがなければできない芸当だったといえるのかもしれない。一方で逃げ馬も後続から早めに突かれるので、マグナーテン(03年・04年2着)級の性能がないと、連対圏に残るまでは厳しいだろう。
基本的には、どんな流れになろうと自力で動いていける機動力を備えたタイプこそが上位候補だ。もちろん、G1でも上位に食い込める能力の裏づけがあれば、それにこしたことはないが、G1級が上位に来れるか否かは、その仕上がり具合にも左右される。昨年もアドマイヤグルーヴが4着に沈んでいるように、明らかに太めを残した調整過程の状態でいきなり通用するほど、甘いレースではない

<結論>
◎ローゼンクロイツ
○スズカマンボ
▲シルクフェイマス
△カンパニー
注アドマイヤジャパン
注マッキーマックス

日曜日の阪神競馬場は、未明に気圧の谷が通過し、まとまった降雨も見込まれるようなので、重~稍重のコンディションを一応想定しておく必要がありそう。馬場が渋ったときに、評価の減点を考えておく必要があるのは、鋭い決め手を武器にするカンパニー、大トビで器用さに欠けるマッキーマックス、ウェットな芝が苦手のアサカディフィートといったところだろうか?
良馬場での鋭いキレを身上とする「薔薇の一族」出身のローゼンクロイツにとっても、道悪はけっしてプラスとはいえない。しかし、全姉ローズバドが重のマーメイドSを制している事実と、フォトパドックで確認した爪の形状を思い起こせば、泥田のような状態でないかぎり馬場渋化を特に苦にするとも思えない。むしろ、その気になれば好位からの競馬もできるセンスと鞍上強化の心強さまで考慮するなら、レースの勝馬に最もふさわしいのはやはりこの馬で、年長世代との比較でも通用の素地は十分と思われる。

一方、4歳世代もう1頭の雄・アドマイヤジャパンは、仕上がりぶりに関して歯切れの良さを欠く陣営の一連の発言が気になる。もちろん、三味線を弾いている可能性はあるので、直前気配を要チェックだが、そもそも阪神・芝二千の条件ではローゼンクロイツと2回対戦し、2度とも先着を許している。ローゼンとの前売りオッズの格差も、そんな事情を考慮したファンの率直な判断を反映していると思われ、今回に関しては「注」の評価にとどめ様子をみたい。

6歳以上の世代からは、鉄砲も効く阪神中距離巧者・スズカマンボの復活劇に注意を払うべきだろう。シルクフェイマスも、うまく単騎逃げに持ち込み緩めのペースを造れるようなら、残り目がある。ノーマークになった大先生を警戒というのは、当ブログ管理人が授業料を払いつつ身をもって体得した教訓である。

キルトクール指名馬は、アサカディフィート
京都に比べ、阪神では著しく成績が低下する傾向があり、渋った馬場というのも不安材料をさらに一つ追加する材料と言わざるを得ない。

4月 2, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (5)