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2006/02/20

【フェブラリーS回顧】進化する雷神、怒濤の激流を制す

kane_hekili_evollution過去数年の傾向をふまえれば、短距離戦に近い前傾ラップでレースが流れることを想定するのは難しくなかったが、実際のペースは想像を遙かに超える厳しいものだった。前半1000メートルの通過ラップは、芝のG1安田記念に匹敵する57秒4。ダート1000メートルの日本レコード(57秒5・札幌)と比較しても、それをコンマ1秒更新してしまうほどの怒濤の激流である。まるでブレーキが故障してしまったように、飛ばしに飛ばすメイショウボーラーとトウショウギア。これら2頭の先行馬が後続を大きく引き離した態勢のまま、馬群は勝負所の4コーナーを迎える。

ここまでペースが速くなると、各馬とも前半から脚を使わされている分、後方からの差しも意外と効かないもの。好位・中団に位置するグループもそれを承知で早めに追い出しにかかった。なかでも鋭さが目を引いたのは、カネヒキリの脚勢だ。並ぶまもなく一気に前をかわしきると、ゴールまでしっかりと伸びを持続させ、通算4個めのG1タイトルを手中におさめてみせた。

カネヒキリ自身が記録した推定上がり3ハロン時計は、武蔵野S・JCダートの36秒2を大幅に更新する35秒7。前半の超ハイペースが影響したいせいか、2~4着馬がいずれも36秒7の上がり時計した残せなかったことを思うと、それを1秒も上回る脚力の高さは、まさに驚異的というほかない。追い出してから長く良い脚を使えるのはこれまでと同様だが、今回はそれに加えてカミソリの鋭さが備わってきた感がある。後方からの追い込みを試みたタイキエニグマ・田中勝春騎手が「カネヒキリがアッという間に見えなくなったよ……」とコメントしていたが、まさしくそんな発言こそが、進化する雷神の姿を的確に物語っていると言えそうだ。
もはや国内では敵なしとなった雷神カネヒキリ。次走、ドバイの大舞台でどこまでやれるかは未知数だが、昨年のアジュディミツオーを物差しにするなら、ひょっとして善戦以上を期待できる域に達しているのかもしれない。

以下、出走各馬のインプレッションを少々。

2着 シーキングザダイヤ(ペリエ)
seeking_the_dia_at_feb_sシルバーコレクターが、また一つ銀色の勲章を増やす結果に終わってしまった。とはいえ、コース・距離・鞍上を問わず、いつでもどこでも銀メダルの表彰台に立てるのは、まさしく能力の裏づけがあればこそだろう。カネヒキリとの比較では完敗でも、いずれG1制覇のチャンスは訪れるはず。ひょっとすると、秋のJBCマイル(川崎)あたりが初戴冠の日になるのかもしれない。
ちなみに8キロ増・490キロの目方は決して重くはないが、距離二千以上のレースを戦うなら、もう少し馬体を絞っておきたいところだ。

3着 ユートピア(安藤勝)
utopia_at_feb_s発馬直後にメイショウボーラーを挑発する小技で超ハイペースを誘発し、ゴール前では差し返す渋太さも発揮した小波乱の立役者。盛岡競馬場・南部杯専用馬?と侮ってしまったが、こうして写真を眺めてみると、なるほど、どこといって悪い所が見えない好仕上げである。かつては外から被されると競馬をやめてしまう脆さがあったが、今ではそんな形になっても音をあげない精神的逞しさも身に付けた。右回りコースでの信頼度はひと息でも、得意の条件なら、まだまだ若い者には負けない。こちらも、川崎・JBCマイルの有力候補の一角だろう。

4着 ブルーコンコルド(幸)
blue_concorde_at_feb_s普段からかなり太めに見えてしまうタイプ。それでも、前走・ガーネットSはさすがに重め残しで、歩を進めるたびに腹回りのお肉がたっぷんたっぷんと揺れてしまうほどの状態だった。果たしてそれからどこまで絞れるか?それが今回の焦点だったわけだが、パドックに登場してきた姿は、名古屋JBCとほぼ同様の状態にまで仕上がっていたと思う。
そんな上積みが奏功し、直線カネヒキリとほぼ同じタイミングで仕掛けられると、鋭い反応を披露。あわや2着か?と思いきや、結局ラストでは前2頭と同じ脚色になってしまった。この馬にとってのベスト距離はやはり千四。そんな印象をあらためて強くする結果だったが、短距離重賞戦線なら常に最上位の評価を与えるべき存在である。その事実は、しっかりと記憶にとどめておきたい。

11着 リミットレスビッド(バルジュー)
limitless_bid_at_feb_sパドックでの具合の良さだけなら、カネヒキリと比べてもまったく遜色がなかった。また、短距離戦並の前傾ラップが苦手なタイプとも思えない。なのに、こんな不本意な着順に終わってしまったのは不可解の一言。あえて理由を探すなら、屋根が合わなかったということだろうか?「追える」という点では定評のあるバルジュー騎手だが、残念ながらこの馬の良さを引き出すことはできなかったようだ。
パトロールフィルムで検証してみても、道中から内に行ってみたり、外に出してカネヒキリをマークしてみたりと、何だか落ち着きがない。ペースを考えるなら、最内枠から出たなりの位置でラチ沿いを通ってジッと我慢しているのが、ベストの戦法だったと思うのだが・・・・いずれにせよ、力があることは確かな馬。今回の敗戦は度外視して、距離千二~千四の重賞で引き続き注目しておきたい1頭である。

2月 20, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ |

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コメント

出遅れの馬をものさしにはできないっしょ・・・・

投稿: けん | 2006/02/20 8:01:44


ミツオといい勝負のダイヤと3馬身差ってことで十分比較になるんでないの。

投稿: kemkem | 2006/02/20 10:19:31

>出遅れの馬をものさしにはできないっしょ・・・・

タイキエニグマのことでしょうか?
確かに発馬に課題があって、エンジンの掛かりが遅いこの馬に乗っていた勝春騎手の発言を物差しにしたのは、不適切だったかもしれません。
とはいえ、どこかジリ脚のイメージを払拭できなかった昨年までの姿と比較し、今回のカネヒキリが新境地を示したことは間違いありません。これほどのハイペースで、前を一気に置き去りにするほどの鋭い脚が使えるとは、正直驚きでした。その結果が、上がり3ハロンの時計に現れ、シーキングザダイヤとの着差にも示されているのだと考えます。

投稿: 山城守 | 2006/02/21 1:30:39

こんにちは。いつも参考にさせて頂いております。

カネ以外の着順を見ても明らかな通り、極端な前傾ラップの消耗戦で、後続馬が脚を封殺させられる流れでしたよね。だからなおさらカネの強さが際立つと。全く同感です。

今まで同馬に対して慎重なコメントが多かった武豊が、日記で「ダートのディープインパクトと言っていい」とはじめて最大級の賛辞をしたことが全てを現していると思います。

長文失礼しましたw

投稿: 1着3着 | 2006/02/23 17:51:59

>1着3着さん

少なくともシーキングザダイヤとは、完全に勝負付けが済んでしまった感がありますね。ドバイ遠征以降、国内初戦は帝王賞か?はたまた秋まで待機するのか?いずれにせよ、馬券的にはもう単候補をはずせない不動の本命馬に成長したといえそうです。

投稿: 山城守 | 2006/02/26 2:03:21

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