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2006/02/26

「あなたが負けると私が困る」 松永幹夫騎手の引退に寄せて

micky_o_with_heavenly_romance有終の美」とは、まさしくこんなことを言うのだろう。26日(日)かぎりで現役生活に別れを告げる松永幹夫騎手
メインの重賞で11番人気の低評価を覆す鮮やかな差しきりを決めたかと思うと、最終レースでは一転して大本命馬に騎乗し堂々の横綱相撲で連勝を飾ってみせた。しかも、最後の最後に通算1400勝達成という劇的なおまけつきである。「まだまだ、やれるじゃないか・・・・!」レースを観ていたファンなら誰もが、そう感じてしまうほどドラマチックなフィナーレだ。まさに惜しまれつつの引退である。

ところで、その昔、阪神競馬場最寄りの仁川駅ホームに、松永幹夫騎手を起用した製薬会社の広告パネル(ドリンク剤の宣伝だった)が設置されていたのを記憶している方はいるだろうか?鞭を片手に誇らしげに胸を張って凛々しくポーズを決めた松永騎手の横には、確かこんなキャッチコピーが掲げられていたはずだ・・・・「私が負けると、あなたが困る
当時、宝塚市内に在住していた自分も競馬場へ行き帰りする都度、これを見ていたわけだが、正直な感想をいえば「何だかなあ」と感じたものだ。
というのも、その頃まだ若かった松永騎手は、重賞になると武豊・田原や河内らの後塵を拝して、コロコロと負けてしまうことが多く、リーディング上位の割に意外と頼りにならない印象が強かったからだ。「ミッキー」という軟派なニックネームも、そんな印象をいっそう補強していたように思える。「私が困らないよう、あなたを買わないほうがいいかもね(笑)」そんな余計なことをついつい考えさせてしまう、困ったキャッチコピーを背負ったホープ、それが若き日の松永騎手だった。

だが、歳月はそんな頼りない若者を、着実に一人前の名手へと成長させてきたようである。近年は、武豊や福永・安勝らの影にかくれ、大舞台で1番人気に推されることも少なくなっていた松永騎手だが、ここ一番での信頼度は高く、馬券を買う側からすると実に頼りになる男に変貌を遂げていたのだ。

たとえば、一昨年の阪神牝馬S(G2)。このレースで自分は松永騎手騎乗の3番人気・ヘヴンリーロマンス(後の天皇賞馬)を本命に、ちょっとした勝負をかけていた。すると、松永騎手はスローペースのインでしっかり脚をため、直線一瞬のキレを生かして抜け出すという鮮やかな手綱捌きを披露。当時、重賞ではやや荷が重いとみられていた同馬を優勝に導いて、しっかりと信頼に応えてくれたのである。3連単330倍の配当になって、払い戻しは10万円を超えた。
今にして思えば、後の天皇賞とまったく同じ戦法だったわけだが、どちらかといえばスタミナ型のイメージが強かったヘヴンリーロマンスの真価を手綱を通じて知り尽くしていたからこそできた、プロの仕事というべきだろう。これ以外にも最近では、福島・ラジオたんぱ賞のケイアイガードや、東海Sのアンドゥオールなどの優勝が印象に残っているが、それら各馬の勝因はいずれも、松永騎手の手腕によるところが大きかったように思える。

また、松永騎手といえば、どうしても牝馬によるG1制覇という印象が強いけれど、そんな華やかな舞台とは対照的な「野武士」たちが集う地方交流重賞・ダート路線でも大活躍を演じていたことは、記憶に留めておきたいところだ。カネツフルーヴレギュラーメンバーをパートナーに圧倒的なブッチ切り勝ちを再三演じてみせたのはもちろん、キョウトシチーでドバイワールドカップに挑戦(6着)という出来事もあった。自分のような競馬ファンにとっては、「牝馬の松永」というよりも「ダートの松永」といったほうが、案外しっくりとくる。

その一方で、第1回JCダートでは、レギュラーメンバーで今まで誰も見たことがなかったような超ハイペースを演出するなど、時としてレースを壊してしまうほどガッツあふれる騎乗をみせてくれることもあった。行くと決めたらテコでも引かない・・・・あのソフトな表情からはちょっと想像できないような勝負師としての一面が、松永騎手には確かに備わっていたのだ。長年にわたって関西リーディングの上位に居座るには、それなりの肝の太さが要求されるということなのだろう。菊花賞で三冠に王手をかけたミホノブルボンを相手に真っ向勝負を挑んだキョウエイボーガンの玉砕戦法を思い起こしても、そんな彼の一面は、「ターフの紳士」という優しい言葉だけで、とても表現し尽くせないように思える。

さて、引退後の松永騎手だが、当面、山本正司師のもとで調教師修行に励んだ後、来春、山本厩舎の後を継いで新規開業というスケジュールが予定されているようだ。若き松永調教師にとって何より最大の課題になるのは、自身の後継者(主戦騎手)を1日も早く育て上げることだろう。なにせ山本厩舎は、これまで有力馬の手綱のほとんどを主戦・松永騎手に委ねてきたのだから・・・・。
騎手・松永幹夫不在の穴を埋めるのはたしかに容易ではない。野球の世界などでは「名選手は名監督にあらず」という格言があるけれど、名騎手・松永幹夫が名トレーナーたるためにまず超えなければならないのが、このハードルだ。
だが、手綱を通して競走馬の真価を理解し、馬それぞれの持ち味をレースに反映させるよう心を砕いてきた現役時代と同じように、丁寧な仕事ぶりが人づくりにも生かされるなら、その前途はけっして暗くないだろう。紳士的な立ち振る舞いと闘争心あふれる手綱さばきを受け継いだ次世代の主戦騎手が、いつの日か松永厩舎とのコンビで大活躍することを期待して、名手・松永幹夫に一ファンからのはなむけの言葉を送りたい。

「あなたが負けたら、私が困る!」 
がんばれ、松永幹夫。

2月 26, 2006 日記・コラム・つぶやき | | コメント (5) | トラックバック (14)

【中山記念】差し?先行?対照的な決着パターンを読み解く

daiwa_major_at_mainichi_okan春開催・中山シリーズの冒頭を飾る別定重賞・中山記念。前年のマイルCS1・2着馬が早くも登場してくる今年は、小頭数ながら例年以上に質の高い顔ぶれが揃った感がある。芝千八という非根幹距離を舞台に、マイラーと中距離馬が相見える争いは確かに興味深いが、ペースという要素に注目するなら、やはり今年もマイラーに軍配が上がる可能性は高い。毎年のように繰り返される、道中11秒台の淀みない流れと高速決着というこのレースの傾向は、中長距離戦で往々にしてみられるスローペースの決め手比べとは明らかに質を異にしているからだ。
だが、上位馬の脚質というもうひとつのファクターに注目してみると、このレースには対照的な2つのパターンがみられるのが興味深い。すなわち、02年(勝馬トウカイポイント)・04年(勝馬サクラプレジデント)のように、中団・後方から外を回してきた馬が直線で一気に台頭して差し競馬になるケースと、03年(勝馬ローエングリン)・05年(勝馬バランスオブゲーム)のように、先行馬が止まらない展開になるケースとである。

開幕週・Aコース替わり、さらにはコーナー4回の内回りコースという前提条件を考えれば、本質的には「先行有利」の傾向が支配的であってもおかしくない。いくら歴戦のオープン馬といっても、直線が短い中山コースで差す競馬による上位進出は、本来至難のはずである。
だが、どうしたことか?差し有利の年(02年・04年)になると、4角の地点でまだ最後方に近い所にいた馬でも、ゴール前で外から一気に他をゴボウ抜きにして上位に届いてしまう光景が繰り返されている(02年の3着馬ラスカルスズカ・04年の2着馬サイドワインダー)。一方で先行有利の年には、それが嘘のように後方・外からの差しが全く届きそうな感じがしない。そんな年に差し馬が上位進出を狙うには、昨年のカンパニーのように内を捌きながらスルスルと浮上するしか手がないようだ。
重馬場発表だった03年を除けば、各年の馬場状態にさほど差があるようにも思えないが、それでも全く対照的な傾向が交互に繰り返される不可解なレース・・・・差し有利と先行有利、この2つの傾向を分かつ理由は、いったいどこにあるのだろう?
だが、気がついてみると、その答えは案外と単純なところに隠されていた。

正解を読み解くカギは、前半戦のペース。どうやら、この1点に尽きる。
たとえば、各年の1000メートル通過タイムを比較してみると、差し馬有利の結果になった02年・04年はそれぞれ58秒357秒6・・・・要するに逃げ馬が前半からガンガンとレースを引っ張る超ハイペースだったのだ。その一方、先行有利になった03年・05年はともに前半1000メートル通過が59秒台と平均的ペースでレースが流れている。
つまり、マイル戦的な淀みない流れといっても、前半のどこかで息のつける流れになるか否かで、決着は極端に対照的な結果になる。一見つかみどころのないレースにみえても、結果を読み解くためのポイントは意外なほどシンプルといえそうである。

さて、そんなヒントを拠り所に、出走メンバーをあらためて見渡してみると、今年は意外にも逃げ馬不在の組み合わせであることに気がつく。内枠からグレイトジャーニーあたりが先手を主張してくる可能性はあるけれど、02年・04年の超ハイペースを演出したゴーステディやローエングリンのように、何が何でも行かなければという悲壮感を漂わすタイプは1頭もいない。となれば、事実上ペースを支配するのは、好位からレース運ぶダイワメジャー=ミルコ・デムーロの思惑ひとつということになる。
そのダイワメジャー。前走マイルCSは、前半1000メートル通過57秒2の超ハイラップでローエングリンを突き回しながら、自身僅差の2着に残るという強い競馬だった・・・・それほどの強力エンジンを搭載した強豪が前半を59秒台に抑えられるなら、もはや後続に打つ手はない。どうやら今年は、昨年同様の「先行有利」の決着を想定すべきで、2~3着争いも、そのことを前提に各馬の序列を判定していく必要があるだろう。

【結論】
◎ダイワメジャー
○ダンスインザモア
▲カンパニー
△エアメサイア
△バランスオブゲーム
注ハットトリック
注ナイトフライヤー

おそらくダイワメジャー首位は不動。焦点は2~3着争いだが、有力なのは内を捌いて浮上できる鋭い決め手を秘めたタイプだろう。筆頭は昨年の2着馬カンパニー。だが、450キロの小柄な馬体はいかにもカンカン泣きしそうで、今年は57キロという斤量との戦いが課題になってくる。
ならば、中山千八で重賞勝ちの実績があるダンスインザモアのほうが、蛯名騎手への手替わりも含め、妙味が大きいとみたい。ダイワメジャーが直線で独走態勢になったとき、1頭だけ伸びてくる素地を秘めた牝馬エアメサイアに、昨年の覇者バランスオブゲームを加え、ここまでを2着候補の評価とした。

格でいうなら出走馬中最上位のハットトリックを、敢えて「注」扱いにまで落としてみたのは、先行有利・外回す差し馬は不利という傾向を踏まえればこそ。叩き良化型でもあり、今回に限ってはひとまず掲示板確保が目標といったところだろうか?以下、長い脚は使えなくても、一瞬の鋭い決め手を秘めたナイトフライヤーあたりまでを、3連単・3連複のヒモとしてマークしておきたい。

キルトクールは、横山典騎乗で穴人気しそうなカンファーベスト
前走・白富士Sでは、まだ全身冬毛に覆われていた状態で気配ひと息。競馬にいっても、力みのとれない難しい気性が解消されぬ現状では、まだまだ課題が多いと言わざるを得ない。

2月 26, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (10)

2006/02/21

フラムドパシオン 名馬のオーラ漂わす新世代の怪物

G1デイの日曜日。東京競馬場第9レース・ヒヤシンスSのパドックにその姿を現した噂の新怪物・フラムドパシオンです。素人のデジカメ撮影ながら、偶然よく撮れた写真があったので、今回はちょっと大きめサイズでアップしてみましょう。

flamme_de_passion_at_the_hyacinth_stakes

そのフラムドパシオン。この日は単勝1.1倍と圧倒的な人気を集めていましたが、とにかくその姿をひと目観るだけで、「こいつは大物!」と直感してしまうほど、強く印象に残るパドックでした。
父を彷彿とさせる馬体の造りであるとか、身のこなしの柔軟さ、或いはおっとりとした気性などなど・・・・そんな個々の美点を言葉にするだけでは伝わらない何かが、この芦毛の馬体にはしっかりと宿っています。そう、オカルト的な表現で恐縮なのですが、身体から発散されるオーラのようなものの濃度が、他とは明らかに違っていました。ゆったりとパドックを周回しているだけなのに、これほど濃密な雰囲気を周りに漂わせていたのは、自分の知るかぎり全盛期のサイレンススズカぐらいかも? ちょっと誉めすぎという気もするけれど、とにかくこの馬、只者ではありません。

肝心のレース内容も、同世代の強豪たちをまるで子供扱い。直線に入って一度は前に壁ができる不利な展開でしたが、手綱をとる武豊騎手はどこ吹く風といった風情です。終わってみればまったく危なげなく、余裕を残しての完勝劇でした。

このあとはドバイ遠征があるけど、3歳馬でこれだけの馬はなかなかいないからチャンスはあると思う(武豊騎手)
~週刊競馬ブック 今週号のレース後コメントから引用

武豊騎手公式サイトの日記で、この馬に関するコメントがなかったのは残念ですが、ドバイ遠征に向けては王者カネヒキリだけでなく、この馬に対しても相当の手応えを感じていることでしょう。次走いきなりはともかく、いずれ世界のダート戦線で歴史に残る大仕事をやってのけそうな予感がします。

2月 21, 2006 日記・コラム・つぶやき, 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (5) | トラックバック (7)

2006/02/20

【フェブラリーS回顧】進化する雷神、怒濤の激流を制す

kane_hekili_evollution過去数年の傾向をふまえれば、短距離戦に近い前傾ラップでレースが流れることを想定するのは難しくなかったが、実際のペースは想像を遙かに超える厳しいものだった。前半1000メートルの通過ラップは、芝のG1安田記念に匹敵する57秒4。ダート1000メートルの日本レコード(57秒5・札幌)と比較しても、それをコンマ1秒更新してしまうほどの怒濤の激流である。まるでブレーキが故障してしまったように、飛ばしに飛ばすメイショウボーラーとトウショウギア。これら2頭の先行馬が後続を大きく引き離した態勢のまま、馬群は勝負所の4コーナーを迎える。

ここまでペースが速くなると、各馬とも前半から脚を使わされている分、後方からの差しも意外と効かないもの。好位・中団に位置するグループもそれを承知で早めに追い出しにかかった。なかでも鋭さが目を引いたのは、カネヒキリの脚勢だ。並ぶまもなく一気に前をかわしきると、ゴールまでしっかりと伸びを持続させ、通算4個めのG1タイトルを手中におさめてみせた。

カネヒキリ自身が記録した推定上がり3ハロン時計は、武蔵野S・JCダートの36秒2を大幅に更新する35秒7。前半の超ハイペースが影響したいせいか、2~4着馬がいずれも36秒7の上がり時計した残せなかったことを思うと、それを1秒も上回る脚力の高さは、まさに驚異的というほかない。追い出してから長く良い脚を使えるのはこれまでと同様だが、今回はそれに加えてカミソリの鋭さが備わってきた感がある。後方からの追い込みを試みたタイキエニグマ・田中勝春騎手が「カネヒキリがアッという間に見えなくなったよ……」とコメントしていたが、まさしくそんな発言こそが、進化する雷神の姿を的確に物語っていると言えそうだ。
もはや国内では敵なしとなった雷神カネヒキリ。次走、ドバイの大舞台でどこまでやれるかは未知数だが、昨年のアジュディミツオーを物差しにするなら、ひょっとして善戦以上を期待できる域に達しているのかもしれない。

以下、出走各馬のインプレッションを少々。

2着 シーキングザダイヤ(ペリエ)
seeking_the_dia_at_feb_sシルバーコレクターが、また一つ銀色の勲章を増やす結果に終わってしまった。とはいえ、コース・距離・鞍上を問わず、いつでもどこでも銀メダルの表彰台に立てるのは、まさしく能力の裏づけがあればこそだろう。カネヒキリとの比較では完敗でも、いずれG1制覇のチャンスは訪れるはず。ひょっとすると、秋のJBCマイル(川崎)あたりが初戴冠の日になるのかもしれない。
ちなみに8キロ増・490キロの目方は決して重くはないが、距離二千以上のレースを戦うなら、もう少し馬体を絞っておきたいところだ。

3着 ユートピア(安藤勝)
utopia_at_feb_s発馬直後にメイショウボーラーを挑発する小技で超ハイペースを誘発し、ゴール前では差し返す渋太さも発揮した小波乱の立役者。盛岡競馬場・南部杯専用馬?と侮ってしまったが、こうして写真を眺めてみると、なるほど、どこといって悪い所が見えない好仕上げである。かつては外から被されると競馬をやめてしまう脆さがあったが、今ではそんな形になっても音をあげない精神的逞しさも身に付けた。右回りコースでの信頼度はひと息でも、得意の条件なら、まだまだ若い者には負けない。こちらも、川崎・JBCマイルの有力候補の一角だろう。

4着 ブルーコンコルド(幸)
blue_concorde_at_feb_s普段からかなり太めに見えてしまうタイプ。それでも、前走・ガーネットSはさすがに重め残しで、歩を進めるたびに腹回りのお肉がたっぷんたっぷんと揺れてしまうほどの状態だった。果たしてそれからどこまで絞れるか?それが今回の焦点だったわけだが、パドックに登場してきた姿は、名古屋JBCとほぼ同様の状態にまで仕上がっていたと思う。
そんな上積みが奏功し、直線カネヒキリとほぼ同じタイミングで仕掛けられると、鋭い反応を披露。あわや2着か?と思いきや、結局ラストでは前2頭と同じ脚色になってしまった。この馬にとってのベスト距離はやはり千四。そんな印象をあらためて強くする結果だったが、短距離重賞戦線なら常に最上位の評価を与えるべき存在である。その事実は、しっかりと記憶にとどめておきたい。

11着 リミットレスビッド(バルジュー)
limitless_bid_at_feb_sパドックでの具合の良さだけなら、カネヒキリと比べてもまったく遜色がなかった。また、短距離戦並の前傾ラップが苦手なタイプとも思えない。なのに、こんな不本意な着順に終わってしまったのは不可解の一言。あえて理由を探すなら、屋根が合わなかったということだろうか?「追える」という点では定評のあるバルジュー騎手だが、残念ながらこの馬の良さを引き出すことはできなかったようだ。
パトロールフィルムで検証してみても、道中から内に行ってみたり、外に出してカネヒキリをマークしてみたりと、何だか落ち着きがない。ペースを考えるなら、最内枠から出たなりの位置でラチ沿いを通ってジッと我慢しているのが、ベストの戦法だったと思うのだが・・・・いずれにせよ、力があることは確かな馬。今回の敗戦は度外視して、距離千二~千四の重賞で引き続き注目しておきたい1頭である。

2月 20, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (5) | トラックバック (7)

2006/02/19

【フェブラリーS】展開・適性から考えるカネヒキリの取捨

kane_hekili_at_jc_dirt_05アドマイヤドンメイショウボーラー。過去2年、1番人気の支持を集めた実力馬が順当に勝利を収めているフェブラリーステークスだが、レース映像であらためて振り返ってみると、両者はそれぞれに全く異質のレースだったという印象が強い。
かたやスタートからゴールまで馬群が密集するスローペース(04年)、かたや逃げ馬が単騎で後続を離して飛ばすハイペース(05年)。確かに馬場状態の差(04年は良・05年は不良)もあったが、前半1000メートル通過タイムでペースの緩急を比較すると、両年で何と3秒も時計が違っているのだから、驚きだ。しかも、スローで差し馬が台頭し、ハイペースになると逃げ馬が残るという結果・・・・なるほど、このあたりに一般的な競馬の定石とは少々異なる府中ダート千六の特徴がよく示されている。
はたして、今年のペースが04年型(スロー)に落ち着くのか?それても05年型(ハイ)が繰り返されるのか?それを知ることは、レース結果を占ううえで、最重要ファクターといっても過言でないだろう。

まずは一般的な傾向を掴むための手がかりとして、過去5年間のフェブラリーS(中山代替開催だった03年を除く)の道中通過ラップをグラフ化し、比較してみた。
グラフの見方を少々補足すると、縦軸の数値は1ハロン12秒を基準とし、これを指数0.0に換算。ラップがそれよりも速ければデータはマイナス(上方向)に、遅ければプラス(下方向)に表示されるという方式を採っている。

feb_s_lap_line_graph

一目瞭然なのは、04年のペースが他年に比べ明らかに異質であるということだ。
3ハロン目から早くもペースのゆるみが顕在化し、道中で3度も12秒台のラップが記録されるという年は他になく、実際にレース映像を確認しても、逃げ馬不在・馬群密集という典型的スローペースの様相が現れていた。
だが、これはやはり「例外」と位置づけるべき現象だろう。05年を含む残り3度のレースでは、いずれも6ハロン目まで12秒を切る淀みないラップが連続しており、後半に行けば行くほどペースが落ちるという前傾ラップの特徴がよく示されている。ちなみにこの傾向は、同じ東京ダート千六を舞台に争われる秋のG3戦・武蔵野Sにも共通しているようで、サンライズバッカスカネヒキリを負かした昨秋のレースも、グラフの波形は同年のフェブラリーSと酷似しているあたりが興味深い。ともに逃げ馬が単騎で後続を離して先行していた競馬であった。

musashino_s_lap_line_graph

さて、ここで問題になるのは、昨年のフェブラリーステークス・武蔵野Sで先頭を走っていたメイショウボーラートウショウギアがともに参戦してくる今年の大一番のペース予測である。両者の近況や重めと言われる馬場状態を考慮するなら、さすがに超ハイペースの再現までは想定しづらいが、それでも04年のようなスローに陥ってしまう心配はないだろう

基本はあくまでも緩急の差が小さい前傾ラップ。5ハロン目あたりまで11秒台が連続すると想定するなら、前半1000メートル通過タイムはおそらく58秒後半~59秒台前半の範疇におさまってくるはずだ。このペースだと、マイル戦を中心に使われてきた組なら難なく追走できても、中距離の流れに慣れた馬はちょっと追走に苦しむ展開になるのかもしれない。レースの上がりタイムは36秒台半ばというところだろうか?

直線、逃げ馬がバテ気味になりながら粘るところを、36秒台前半の脚で交わせる好位・中団差しグループによる上位争い。ひとまずはそんな展開を前提に、出走各馬の適性・戦力比較をすすめてみたいと思う。
極端な展開が想定できない以上、極端な脚質の馬よりも、常識的な位置で競馬を進める馬を狙ってみるのが、やはりセオリーだ。

<結論>
◎リミットレスビッド
○カネヒキリ
▲ブルーコンコルド
△シーキングザダイヤ
△ヴァーミリアン
△メイショウボーラー
△サンライズバッカス

前日売り単勝オッズ3.0倍・・・・その実績を考えれば、圧倒的1番人気に推されてもおかしくないはずのカネヒキリの評価が微妙である。何やら芝コースからの発馬という不安材料が過度に強調されている気がするけれど、ユニコーンSや武蔵野Sで記録している前半戦のタイム(AVE3Fの数値)を考慮すれば、その点をさほど不安視する必要はないだろう。このメンバーでそれなりに速いペースになっても、好位外の位置取りを確保するのは、それほど難しくはないはずだ。
カネヒキリにとって、むしろ死角になりうるのは、直線に入ってからの争いである。武蔵野SとJCダートの推定3ハロンはともに36秒2。この数値自体、決して悪いレベルではないけれど、どこかジリっぽさを払拭できないところが気になる。ほどよくスピードを持続できても、瞬時に繰り出せるスピードの絶対値はけっして高くない。そんなタイプだけに、何かに出し抜けを食わされる形になると、意外な脆さを露呈してしまう危険性があると思うのだ。怖いのは、シーキングザダイヤのような同タイプの堅実型より、数値に表れない一瞬のキレを武器に台頭してくるタイプだろう。

limitless_bid_at_negshi_sたとえば、短距離重賞を連勝中のリミットレスビッド。気がつけばあっという間に馬群を抜け出しているその瞬発力はやはり魅力で、短距離寄りの前傾ラップが見込める今回は、ペースもバッチリはまりそう。距離延長で「折り合い」が課題と陣営が公言しているだけに、この枠順はむしろ恵まれた感がある。あるいは太めだった前走からの上積みが最も大きそうなブルーコンコルド。距離が1ハロン長いという印象は確かにあるけれど、外からの猛追がJCダート王者を慌てさせる場面まで一応想定しておきたい。
以下では、比較的好位で競馬をすすめられる馬たちを上位候補としてみたが、3連複・3連単を買うなら、これ以外の有力どころもできる限り、手広く押さえておく必要がありそうだ。

キルトクールは、タガノゲルニカ
連勝の勢いはあっても、典型的なダート中距離型だけに、マイルG1の前傾ラップでは、テンから追走が苦しくなるだろう。

2月 19, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (6) | トラックバック (23)

2006/02/14

【馬券日記】ガンバレ!がけっぷち騎手

feb_12_tokyo_12_race_baken2月5日、日曜日・東京開催6日目
トリノで開幕を迎えた冬季オリンピックが世間の耳目を集めているらしいが、馬券オヤジの管理人にとって、そんな話題は当然アウト・オブ・眼中だ。土曜競馬でこっぴどくヤラれた記憶を4回転ジャンプの遠心力でエイヤっと振り払い、今日も意気揚々と府中の競馬場に繰り出す。見上げる空には、眩しいばかりの冬の青空が広がっていた。

さて、本日の馬券作戦で最も重視しようと考えていたこと。それは、前回エントリで取り上げた競馬本「政治騎手」の教えを実践し、高額配当獲得に挑戦してみようというものである。ヘタクソ(と世間から侮られている騎手)を敢えて買うべし!という馬券作戦が、果たしてどの程度通用するものなのか?まずは何事も、身をもって体験してみないことには始まらない。

勝負レースに選んだのは、最終12レース。1000万下条件の牝馬限定・ダート1400メートル戦である。一見するかぎり出走メンバーのレベルはどんぐりの背比べ。低調な顔ぶればかりが目立つ馬柱だが、そこで芳醇な匂いを放つ「ヘタクソ騎手」の名を発見してしまったのだ。

5枠9番 センノクニャーズ ▲52 鈴木(乗替)

鈴木慶太騎手、22歳
今年でデビュー4年目の年を迎える美浦の若手ジョッキーだ。平地競走で記録している通算成績は、274戦を消化してわずかに5勝。平均しても1年に1勝をあげることができるかどうかという微妙というペースである。今シーズンは辛うじて1勝をマークしているが、いまだ低空飛行を脱する兆しは見えない。そうこうするうちに、減量の特典がなくなる審判の日(06年3月)が近づいている・・・・「政治騎手」の著者の言葉を借りるなら、彼こそ、フェイドアウト寸前、筋金入りの「がけっぷち騎手」という評価になる。

だが、そんな鈴木騎手を「アンチャン」「ヘタクソ」と侮ることなかれ。「政治騎手」の著者も彼を高く評して、このように語っているのだ。

だが、この「がけっぷち」な状況が、馬券に活用できます。つまり今の彼にとっては、平場の一戦一戦が「生き残りをかけた真剣勝負」。しかも彼は、私が見る限り「熱いハートを持った騎手」。どんなレースでも腐らず諦めず乗ってきます。・・・(中略)・・・・その素顔は「わずかでも可能性のある馬なら、ジッとこらえてロスを減らし上位に押し上げるという「平場の決め打ち系」騎手なのです。
樋野竜司「馬券術 政治騎手」より引用~

なるほど。言われてみれば、平場戦を中心にわけのわからない激走馬が波乱を演出するとき、手綱をとっていたのが鈴木騎手だったということは、1度や2度ではない。
3年前の鎌倉特別ではサクラティガーを駆って鮮やかな逃げ切りを収めてみたり、昨夏の新潟ではヤマニンスプラウトによる豪快な追いこみを披露したりと、ハマッったときの破壊力はかなり強烈である。記録より記憶に残るジョッキーと言ったら、誉めすぎだろうか?
問題は、そんな「がけっぷち騎手」を、いったいどのようなタイミングで狙い打てばいいのかということだ。たまに馬柱でその名をみかけても、馬場掃除専用と評すしかないオンボロ馬に騎乗していることが少なくない騎手だけに、この判断はきわめて重要といえる。
その点、この日の騎乗馬・センノクニャーズは、以下のファクター分析からかなり魅力的な存在に思えた。

■ポイント1
前走・佐藤聖也騎手からの乗り替わり。この「アンチャン」の成績も鈴木騎手とどっこいどっこいなのだが、技量というポイントで判断するなら、「熱いハートをもった男」鈴木騎手のほうが期待値は高そう。

■ポイント2
3走前・東京ダートコース(千六)で勝ち鞍がある。

■ポイント3
高レベル評価だった前走で追込み、出走馬中第2位の上がりタイムを記録!

課題があるとするなら、馬柱に掲載されている過去5走のすべてにおいて「出遅れ」の前歴が記録されていたことだ(汗)。だが、これとて鈴木騎手乗り替わりによる「がけっぷち」魂の注入によりうまく好発を決めることができれば、かえって面白い材料に転化するネタになるように思える。パドックを周回するこの馬の気配もけっして悪くは映らないし、爆弾級の穴馬に「平場の決め打ち系」が乗ってくるとなれば、これはもう買うしかないだろう。

さて、そうはいっても、さすがにこの人気薄から単勝系の馬券で勝負するほど、自分は強心臓の人間ではない。じっくりと時間をかけパドックを凝視し深慮をめぐらした結果、購入を判断したのは、センノクニャーズと他の有力馬の2頭軸による三連複を中心に買ってみるという作戦である。前日予想の時点で本命と考えていたアマビリータの腹が巻き上がっており気配がひと息なのは誤算だったが、ここはとにかく手広く馬券を抑えるのが肝要と割り切るしかない。人気のピクシーダストゴットザビートあたりとの組み合わせを中心にバラバラと小額多点買いの馬券を購入してみた。夢を追って、3連単のフォーメーションにも、ちょっと手を出してみる・・・・これで、うまくいけば100万円獲得の目も出てきたというわけである。そうこうするうちに、最終レースのファンファーレが場内に響き渡る。

ゲートが開くと2頭ほど出遅れた馬の姿がターフビジョンに映し出された。青い帽子と緑の帽子?・・・・どうやら黄色い帽子の鈴木騎手は、無事発馬を決めることができたようだ。ひょっとしたらひょっとするかも?!と色めきだちながらあらためて場内の大画面を凝視する。だが、センノクニャーズの名がなかなか実況に登場してこない。どこにいるんだ?「出てこい鈴木慶太!」と思っていたら、何と、いつの間にやらその位置取りは後方2番手まで後退していた。ううむ、やはり控えてこそ味があるタイプなのか?と半信半疑の気分で見守るうちに、馬群は4コーナーの勝負所に差しかかってくる。前方の内ラチ沿いにみっしりと馬群が密集するなか、ここで鈴木騎手は不利を避け大外のコース取りを「決め打ち」する。

だが、結果的にはこのコース取りがセンノクニャーズの致命傷になってしまった。道中前後する位置取りを進んでいた藤田騎手が迷わず最内に進路をとって前との差を一気に縮めてくるのとは対照的に、外から懸命に追いこんでくる鈴木騎手。だが、追えども追えども前との差がいっこうに縮まらない・・・・長い長い府中の直線でも、ダート千四で大外差しを決めるのは、至難の技。結局、流れ込むようにして10着入線という不本意な着順に終わってしまった。競馬に「たられば」は禁物だけれど、結局、ゴール前では最内をすくった藤田騎手が後方から3着まで順位を上げてきたことを思えば、鈴木騎手にとっても、外を回した一瞬の判断ミスが惜しまれる騎乗だったと思う

だが、これも「決め打ち系の宿命」というべきか?思い切った判断が吉と出る日もあれば、凶と出る日もある。結果はともかく、自らのセールスポイントをアピールしてくれた鈴木騎手の手綱捌きは、それなりに観る者の印象に残った。
そしてまた、今回の凡走を誰よりも悔しく感じているのは「熱いハートをもった男」鈴木騎手自身にほかならないだろう。センノクニャーズの手綱を再び取れるかどうかはわからないが、チャンスがあればきっと捲土重来の一発をかましてくれるに違いない。減量恩典の無くなる直前まで、当ブログはこの若者の競馬に注目してみたいと思う。

へこたれるな!「がけっぷち騎手」
君の熱いハートをアピールするチャンスは、すぐに訪れるはずだ。

2月 14, 2006 府中日記, 日記・コラム・つぶやき | | コメント (6) | トラックバック (1)

2006/02/12

「馬券術 政治騎手」ヘタクソを買え!と推奨する個性的馬券本

馬券術 政治騎手」という本をご存じだろうか?
押しの強いカバーの意匠や、意味深な題名からは、まるで「極道記者」のような、アウトサイダー系競馬小説(?)の匂いが立ちのぼってくるが、その中身はというと、至極まっとうな馬券攻略法を解き明かしたものである。
自分が最近読了した競馬本のなかでも、特に印象に残った一冊だ。
その切り口は、騎手というファクターから高額配当馬券を狙い打ちするための、ノウハウを公開するというのもの。雑誌「競馬 最強の法則」に筆者が連載してきた内容の集大成である。騎手の実力を「政治力」「戦略力」「技術力」の3要素に分解してプロファイリングを試みるという手法がなかなか斬新なのだが、詳しい内容については読んでのお楽しみということで、ここでは敢えて触れない。興味がある方は、本書を購入する前に、筆者のホームページ(blog)をのぞき、その理論の一端に触れてみるのもいいだろう。

4584189153さて、自分がこの本を読んで最も感心したのは、「ヘタクソを買え!」と声を大にして主張しているそのポリシーである。一般的な競馬ファンにとって、騎手で馬券を買うというのは、たとえば「リーディング上位や外国人騎手に乗り変わったから買い」など、騎手の技量の高さに期待して・・・・というケースがほとんどだろう。優れた技量をもつ騎手なら、乗り馬を上位着順に持ってくる可能性は確かに向上する。だが、そんなとき往々にして悩ましいのは、多数の競馬ファンが同様の思考で同じ馬券を買ってしまうせいか、配当妙味が薄くなってしまうことである。たとえば、武豊騎手の単勝・複勝馬券を1年間黙って買い続けたらどうだろう?この方法で、絶対に年間プラス収支を計上できないのは、誰もが経験的に知っている事実である(ちなみに05年・武豊騎手のトータル単勝回収値は66円・複勝回収値は76円だった)

競馬で勝つための大原則は「常に多数派の逆をいく予想法を持っていること」。筆者はそう断言する。そのための一方策として、たとえば減量騎手など若手騎手(下っ端騎手)を狙えるタイミングを真剣に考えてみてはどうだろう?多くの馬券本が注目すらしていなかった、そんな視点を敢えて打ち出し、「アンチャンが激走し、一流騎手がヘグるのはのは何故か?」と問題提起してみせる。そんな大胆な発想こそが本書の真骨頂だ。

たとえば、先日小倉で初重賞制覇を成し遂げた関西の若手・川田将雅騎手
昨年は39勝をマークし、グリーンチャンネル「先週の結果分析」でも注目騎手として取り上げられるなど、その技量(本書の用語では戦略力)の高さは、一部のファンから密かに支持されていた存在である。だが、いざ馬券を買うとなると、キャリア3年目の若手をどれほど信頼していいものか?躊躇してしまうというのが多数派の心情だろう。少々腕が立つといっても、まだ駆け出しのアンチャンに過ぎないじゃないかと、考えてしまうわけだ。実際、彼が日頃、騎乗依頼を受ける乗り馬の質は決して高くはない(本書の用語では政治力が弱いという評価になる)。
だが、そんな心理が馬券マーケットを支配しているときにこそ、「多数派の逆をいく」妙味ある配当獲得のチャンスが生まれる。その実力が甘くみられているからこそ、ヒモ穴程度の能力評価が可能な馬に彼が乗っているなら、「迷わず買い」という馬券作戦が成立するのだ。なにせ十万・百万馬券は当たり前という3連単の時代である。アンチャンが期待に応えひと暴れしてくれるなら、馬券的にもメガトン級の破壊力を発揮する作戦になりうるだろう。

これ以外にも、昨年関東の大穴ジョッキーとしてブレイクした松岡騎手を筆頭に、石橋脩・丹内・津村・吉田隼人らが名を連ねる美浦「千明塾」の熟生たちについても、個々に詳細なプロファイリングを試みるなど、他の馬券本ではちょっとお目にかかれない個性的内容が満載である。もちろん、武豊・福永祐一・藤田伸二などトップ騎手たちの狙い方に関しても、独自の視点から丁寧な見解が示されており、「騎手馬券」に注目するファンなら、興味をそそられることは必定だ。

さて、本を読んだ以上、その成果を早く現場で試してみたくなるのは、人情というものだろう。日曜日の府中競馬場。当ブログ管理人は、実際に「ヘタクソ買い」(笑)を実践し馬券勝負に出てみた。その結果はいかに?続きは、次回のエントリで・・・・。

2月 12, 2006 日記・コラム・つぶやき, 書籍・雑誌 | | コメント (3) | トラックバック (2)

【ダイヤモンドS】騎手で買ってみたい長丁場のハンデ戦

diamond_s_winner_of__the_last_year冬の府中名物・ダイヤモンドS。大回り3400メートル、合計4度の坂越え・・・・そんなタフなコースを舞台に、名うてのステイヤーたちが覇を競う超長距離といえば聞こえは良いが、実際のところ、レースの重厚味は薄い。昨年なども、前走・条件組があっさり上位を独占したりと、どちらかといえば、典型的ハンデ重賞の趣が色濃く漂う一戦である。今年の出走メンバーを見渡しても、いかにも「帯に短し、たすきに流し」といった顔ぶれが揃ってしまった感がある。
微に入り細を穿つハンデ調整のおかげで、出走馬の力関係が平準化されるとなると、上位争いを占うには、各馬の実績・能力比較以外のファクターの重みづけまで、考慮しておく必要がありそうだ。

たとえば騎手・・・・昔から「長距離戦は騎手で買え」という格言があるけれど、長丁場・しかもハンデ戦となれば、屋根の技量の重要性は、格別にモノをいってくるだろう。超長距離独特のスローペースが想定されるなかで、位置取りや折り合いはもちろん、仕掛けのタイミングひとつとってみても、鞍上の技量・判断が、着順を大きく左右するのは必至だ。東京コースの場合、4つ以上のコーナーを回ってくる距離2300以上の条件を「長距離戦」とみなすことができるが、そんな条件下での各騎手の成績はどうなっているのだろうか?コース改修後となる03年以降の競馬を対象に、データを検索してみた。

■ダイヤモンドS出走騎手 東京芝2300以上の成績(03年~)

騎手着別度数連対率単回値複回値
佐藤哲三4-2-2-838%224168
ペリエ2-3-2-833%7277
藤田伸二3-5-1-1830%365211
柴田善臣9-8-3-4427%10564
後藤浩輝6-7-6-3624%47101
バルジュー2-0-2-620%66106
田中勝春5-4-1-4317%15655
内田博幸2-2-2-1515%2453
小林淳一2-1-1-2112%3644
吉田豊4-1-0-3712%6031
松岡正海1-1-1-209%15593
北村宏司2-0-1-316%7726
勝浦正樹0-1-3-323%089
松永幹夫0-0-1-70%035

基本的には、連対率上位の騎手を信頼すべきだが、ここで少し注意を要することがある。騎乗馬の人気によって、騎手の成績に変化の傾向が現れるケースがあるのだ。上位人気の支持を集めそれなりのプレッシャーを受けながら手綱を握るときと、人気薄の気楽な立場で乗れるとき。そんな状況に応じて、騎手の心境や乗り方が変わってくるのは当然と思うが、それがレース結果にも少なからぬ影響を及ぼすとなると、馬券を買う側からしても、ちょっと無関心ではいられない。

たとえば、今回上位人気を集めると想定される前走・アメリカJCC上位組ハイアーゲームフサイチアウステルの手綱をとる内田博幸騎手ペリエ騎手。この名手2人が上位人気の支持を集め、府中の長丁場に臨むとき、その結果は意外なほど対照的な傾向を示している。

■東京・芝2300以上 1~3番での成績(03年~)

騎手着別度数連対率単回値複回値
内田博幸2-0-1-150%122117
ペリエ1-2-1-533%3053

ペリエ騎手連対率33%。この数値自体、けっして悪いものではないが、気になるのは勝利数の少なさである。一昨年の秋・ゼンノロブロイのJCで記録したのが唯一の勝ち鞍・・・・集計の対象とした9戦中、実に7戦で1番人気の支持を受けていたことを思えば、名手にしては意外なほど取りこぼしが多いという印象を禁じ得ない。
これに対し、内田博騎手のほうは、この条件の該当する騎乗数こそ少ないが、確実に人気に応え、手堅い仕事を残している感がある。JRA競馬の準レギュラーとして定着化した03年以降、中央競馬のすべての条件で記録した成績が連対率19%・単勝回収値65・複勝回収値76。これに対し、府中・長丁場で人気馬に騎乗するときの成績は、平常時と比べ明らかに向上していることがわかる。
与えられた馬の着順をひとつでも上位に押し上げようと、常に全力を尽くす騎乗が評価され、JRA関係者のみならず、ファンからの信頼も厚い内田騎手。府中の長丁場・人気馬に騎乗している条件でこそ、狙い目といえるのかもしれない。

<結論>
◎ハイアーゲーム
○オペラシチー
▲フサイチアウステル
△ルーベンスメモリー
△ブリットレーン
△ハイフレンドトライ

昨年このレースの予想エントリでも指摘したとおり、本質的なステイヤー適性に疑問を感じるハイアーゲームだが、左回りコースがプラス材料であることは周知の事実。成長力はひと息でも、昨秋のカシオペアSを契機に少しづつ復調軌道に乗ってきたのは確かで、ハンデ56キロ・内田博幸騎手なら連軸程度の評価は必要だろう。
対するフサイチアウステルは長距離適性そのものに問題はなくても、スパッと切れる脚が使えないあたりがやはり気がかりな材料となる。府中コース初経験もプラス材料とはいえず、ハンデに恵まれても惜しい2着が精一杯か?という気がする。ならば、ここは府中の長丁場で抜群の好成績を記録している佐藤哲三騎手・オペラシチーのほうを上位に抜擢してみたい。

キルトクール指名馬は、メジロトンキニーズ
前走時の気配は確かに抜群。今回も軽ハンデが買われ、意外に上位人気を集める可能性があるけれど、如何せん吉田豊騎手の東京・長丁場実績がひと息。差し・追込脚質となると、さらに信頼度が低下してくるあたりが、泣きどころになりそう。

2月 12, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (12)

2006/02/07

今週のCM批評 「競馬へ連れてって!ウインズへ!」

wins_shinsirakawa3先週掲載したウインズ新白河訪問記を執筆しようと、JRAのサイトであれこれ情報を調べているうちに、ふと気がついたことがある。ページの真ん中に配された地図の真上、それもかなり目立つ場所に「WINS新白河のCMを見る」というボタンがデザインされているのだ。
場外馬券売り場のCM? 自分の場合、常日頃から地上波のテレビを見る習慣はないし、グリーンチャンネルでもウインズのコマーシャル映像など目にした記憶はない。馬券売上の長期低迷に歯止めがかからぬ冬の時代に、JRAは一般大衆にどのようなPR戦略を試みているのか?・・けっしてそのような小難しいことを考えていたわけではないのだが、誘い込まれるようにボタンをクリックしてみた。すると、いきなりモニターの画面上に、アイドル風のルックスをしたセクシーな女の子が登場してくる。

「ねえ~。いつまでも寝てないで。競馬へ連れてって!ウインズへ!」

どうやら、週末自宅のベッドを抜け出せない貴方に向かって、この女の子が一緒にウインズに行こうと誘いかけている設定らしい。ちょっと媚びを含んだ目線と、舌足らずな調子で語りかけてくる声。こんなお誘いに、思わず条件反射的に鼻の下が伸びてしまうのは、何も自分のような馬券オヤジだけではあるまい。

「ウインズ新白河は快適なんだよ」
「映像ホールのモニターは迫力の大画面だし」
「メリーゴーラウンドはロマンチックだし」
「インターから車で5分」「駅から徒歩3分なんだよ」

と、相変わらず舌っ足らずな調子でも、ウインズ新白河のセールスポイントを恐ろしいほど的確かつ要領良く彼女が紹介した後、最後に「早く起きないとぉ、ひとりで行っちゃうから・・・・!」ときて、コマーシャルは終わる。見終わると、何だかキツネにつままれたような感じがするけれど、とりあえずウインズに行ってみようかな?という気分にはなってくる(笑)

競馬のコマーシャルといえば、中央・地方を問わず、疾走するサラブレッドの映像をバックに「」とか「ロマン」などのフレーズを散りばめる手法が定番だが、このCMにはほとんど馬の姿が登場しない(サブリミナル的にほんの2回ほど、チラリチラリと視界の隅をよぎるだけである)。確かに、実際にそこで馬が走るわけでもない場外馬券発売所という施設にとって、場内の雰囲気の良さやアメニティを強調したほうが、視聴者の来場意欲を喚起する効果は高いといえるだろう。まして、セクシーな女の子のお誘いとあれば、なおさらである(笑)

それにしても、福島県のローカル・ウインズの宣伝にしては妙に印象に残るCMだなと思っていたら、何とこの女の子は、高松・米子・石和・後楽園とほぼ全国をまたにかけ、世の馬券オヤジたちをウインズに誘い出そうと画策していることが判明した・・・orz
 (参考サイトはこちら)
彼女の名は大久保麻梨子さん。なるほど、けっこう人気のあるグラビアアイドルだったんですね。
この人を起用したウインズのCMには、「お誘い」バージョンのほかに、こんな色っぽいタイプもあるようだ。ううむ、ここまでくると悪くはないけど、さすがにウインズの宣伝としては成立していないような。

ところで、これら各ウインズへの「お誘い」を見較べていくと、ただ1箇所、麻梨子嬢の口から「快適なんだよ!」というフレーズが出てこなかった場所がある。
ウインズ後楽園・・・・言わずとしれた馬券オヤジの聖地・黄色いビルだ。確かにお世辞にも快適とは言い難い環境なんですけどねえ(笑) JRAも、わかっているなら、もう少し椅子の数を増やすとか、何とかしてほしいものである。

2月 7, 2006 日記・コラム・つぶやき | | コメント (4) | トラックバック (6)

2006/02/05

【共同通信杯】福永祐一はキラー武豊の呪縛を振り払えるのか?

fukunaga_u1昨年は、朝日杯2着の実績馬ストーミーカフェに課された負担重量58キロがどうなの?と、大いに話題を集めた共同通信杯。酷量をもろともせず鮮やかな逃げ切りを決めた大本命馬は、結局レース後に故障を発生。春シーズンを棒に振るという不本意な結果に終わってしまった。この教訓が効いたせいか?今年から、3歳GⅢ競走の別定重量に関するルールが見直され、牡馬の最高負担重量は57キロと上限が変更されている。JRAは、見直しの理由を「実績のある馬の出走の選択肢を広げる」ためと説明するが、その甲斐あって、厳寒期の府中に、早くも2歳王者が登場してきた。

朝日杯フューチュリティSの覇者フサイチリシャール。手綱を取るのは福永祐一騎手である。秋には、今回と同じ東京千八コースの東スポ杯を1分46秒9の好時計で走破した実績もある。単純比較してみると、昨年の共同通信杯勝ち時計(1分47秒8)を大幅に上回る水準なのだから、今回もマイペースでコースを半周してくれば、後続に影すら踏ませぬ圧勝という可能性はあるだろう。

とはいえ、これに対抗する面子も今年はなかなか強力だ。新潟2歳S優勝馬ショウナンタキオンに、ひいらぎ賞で爆発的な末脚を披露したマッチレスバロー。寒竹賞で京成杯3着馬ネヴァブションに先着しているマルタカアーサーなどなど。
だが、フサイチリシャールに待ったをかける可能性が最も高いのは、やはりアドマイヤムーンということになるだろう。暮れの阪神で僅差の2着に泣いたとはいえ、機動力と末脚の持続、さらには鋭い決め手を兼備した性能の高さは、現時点でクラシック候補の1角と目されるにふさわしい。さらに注目すべきは、今回武豊騎手に屋根をスイッチしてきたことだ。この起用策ひとつをとってみても、打倒2歳王者に燃える陣営の本気度がうかがわれる。

福永フサイチリシャールに、武豊アドマイヤムーン。どうやら一騎打ちムードが濃厚だが、両者はこれが初対決であり、その能力比較は「やってみなければわからない」というほかない。そこで、今回は両雄の手綱を取る騎手というファクターに注目して、あれこれ分析を試みることにした。

05年・JRAの芝レースで福永騎手と武豊騎手が直接対戦しているのは、延べ268回を数える。結果は下表のとおり。年間200勝を超える勝利数を収め、不動のリーディング首位を確保した武豊騎手が優位に立っているのは、当然といえるだろう。

■福永騎手と武豊騎手 芝・同一レース出走時の対戦成績(05年)


騎手着別度数勝率連対単回複回平均人気
福永祐一38-22-29-17914%22%81865番人気
武豊74-42-31-12128%43%74782番人気

だが、福永騎手の立場から少々エクスキューズを述べさせてもらえば、騎乗馬のレベル差もこの数値に影響を与えている可能性は否定できない。それが証拠に、武豊騎手の平均人気は2番人気。対する福永騎手の騎乗馬は、平均でも5番人気である。強い馬に乗る騎手が良い成績を収めるのは、当然のお話と言えないこともない。

それでは、福永騎手のほうが明らかに強い馬に乗っているときの両者の成績はどうなっているのか?おそらくは、共同通信杯でも福永フサイチリシャールのほうが1番人気の支持を集めるはず・・・・そこで、福永騎手が1番人気に推されたレースにおける武豊騎手との対戦成績を、次に抽出してみた。

■福永騎手が芝で1番人気時の武豊騎手との対戦成績(05年)

騎手着別度数勝率連対単回複回平均人気
福永祐一11-8-6-1031%54%62831番人気
武豊11-9-4-1131%57%1061033番人気

なるほど、この条件なら両騎手の成績は、勝利数・連対数において五分と五分。だが、ここでむしろ注目すべきは、「連対率」「単勝回収値」「複勝回収値」の各ファクターにおいて、武豊騎手の成績が通常時と比較しグンと信頼度を増していることだ。常日頃から人気を背負わされることが多い武豊騎手にとって、福永騎手が1番人気という場面は、気楽に乗れる反面、倒すべき目標が明確である分、本領を遺憾なく発揮できる場である。そんな仮説がこのデータから浮かび上がってくる。

さらに分析をすすめてみよう。フサイチリシャールと同様、福永騎手が逃げ・先行タイプの1番人気馬に騎乗しているときの、両者の対戦成績を比較すると、武豊騎手の「キラーぶり」がより一層鮮明になってくる。
勝率・連対率で、先行する福永騎手とほぼ互角の成績をおされめているのはもちろんだが、単勝回収値の高さが凄い。人気薄の武豊が、人気の福永に何度もひと泡吹かせてきた・・・・その事実をこれらの数値は雄弁に物語っている。
逆に福永騎手からすると、キラー武豊は、まさしく目の上のたんこぶと言うべき存在なのだろう。人気を集め勝利を目前にしたときほど、いやらしく自分の前に立ち塞がってくる厄介な先輩・・・・相手のほうが人気を背負うときには、まったく歯が立たないだけに、こんな苦手意識が彼にとってちょっとしたトラウマになっていても、おかしくないと思うのだ。

■上記条件で福永騎手が逃げた場合の対戦成績

騎手着別度数勝率連対単回複回平均人気
福永祐一2-0-0-167%67%126731番人気
武豊1-1-0-133%67%150932番人気

■上記条件で福永騎手が先行した場合の対戦成績

騎手着別度数勝率連率単回複回平均人気
福永祐一3-6-1-225%75%67961番人気
武豊6-2-0-450%67%154903番人気

ちなみに、福永騎手が「1番人気」「逃げ・先行タイプ」に騎乗していたとき、武豊騎手はどんな秘策をめぐらし打倒・福永を成し遂げてきたのか?その一端を知るため、上記条件における武豊騎手の道中位置取り別成績を以下に示してみた。先行して良し、差して良し。どんな戦法をとっても、しっかりと好成績を確保しているのが凄い。まさしくそんな変幻自在さに、名手の名手たる所以があるのだろう。

■上記2条件での武豊騎手戦法別成績

戦法着別度数勝率連対率
逃げ1-1-0-225%50%
先行3-1-0-075%100%
中団2-1-0-150%75%
後方1-0-0-233%33%
7-3-0-547%67%

<結論>
◎アドマイヤムーン
○フサイチリシャール
▲マッチレスバロー
△ショウナンタキオン

一連のデータをみるかぎり、武豊騎手にとって、人気の福永騎手はまさしく与しやすい目標なのだと、結論づけることができそう。相手が逃げてくれるなら格好のターゲットとしてマークできるし、控える競馬を試みるつもりなら自分が先に動いていく。アドマイヤムーン自身、気性に若さを残す現状とはいえ、鞍上の指示にこたえ動ける自在味がセールスポイントだ。武豊騎手へのスイッチは、間違いなくプラスに働くことだろう。
また、臨戦過程をみても、中間坂路で速い時計を2本しか計時していないフサイチに対し、CWコースで意欲的な調教を積んできたアドマイヤのほうに、今回は一日の長がある。レースに臨むモチベーションの差が、結果をわけることになるのではないか?

キルトクールは、マルタカアーサー
速い上がりが要求されそうな、展開で果たしてどこまでがんばれるか半信半疑。

2月 5, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (9) | トラックバック (21)