スウィングするのに、理屈はいらない
日曜の競馬がハネてから新宿の街に繰り出し、CDを物色してきた。南口・高島屋のHMVで、久しぶりにジャズのコーナーをのぞいてみる。
店内に足を踏み入れ、今さらながら驚かされたのは、ジャズの売り場って、こんなに狭かったのか?!ということ。総面積600坪といわれる超大型店の片隅にひっそりと隔離され、ほんの申しわけ程度の空間が用意されているだけだ・・・・品揃えそのものは悪くなくても、これじゃあまりに寂しすぎる。そういえば、昨秋には、上原ひろみや山中千尋など「人気者」が相次いで新譜をリリースしてきたおかげで、業界的にもそれなりに盛り上がっていたが、年も改まった今となっては、これといった話題もない。売り場のディスプレイも何となく目玉を欠いて、散漫なムードが漂っていた。
だが、こんな姿こそが、現代の音楽マーケットにおけるこのジャンルの地位を正確に投影した縮図なのかもしれない。不謹慎ながら、ギャンブルの世界におけるマーケットの規模になぞらえてみると、メガセールスを記録するJ-POPは大衆娯楽の王様パチンコで、洋楽ポップスが中央競馬。クラシックは根強いファンに支えられる競艇といったところになるのだろうが、ジャズに関していうと、ひょっとしたら「ばんえい競馬」と同じぐらいのマイナーな市場規模じゃないかという気がしてくる。北海道の「ばんえい」とジャズ・・・・マーケットのスケール比較だけでなく、時代に取り残されつつあるとでも言おうか、どことなく斜陽のイメージが漂う点でも、案外、共通点は少なくない。
ジャズの世界にとって致命的なのは、今だに40~50年も前に録音された名盤を「これこそ必聴!」といわんばかりに、崇め奉っていることだ。もちろん、マイルスやパーカーの歴史的名演を聴く楽しさを否定するつもりはないけれど、コンテンポラリーな演奏を隅に押しのけるかのように、いつまでも「定番」ばかりがCD屋のディスプレイを飾っているというのは、やはり尋常じゃない。クラシックだって、いつも話題を集めるのは、新しい世代の演奏家による新しい演奏だ。ひと昔前に比べれば、ブルーノートやプレスティッジの廉価版を入手しやすい環境が整ったとはいえ、若い世代にとっては、ずいぶんと敷居の高いジャンルというイメージを与えているのではないか?「必修科目」が多いというのは、それだけでも入門を志す者にとって、一種の苦痛である。
などと偉そうに述べてしまったけれど、正直に白状すると、自分だってジャズのことを正確に勉強し、理解しているわけでも何でもない。時代を問わず、何げに気に入ったミュージシャンや、こいつはイイや!と思ったものを直感的に乱聴しているだけである。ジャケット買いというのも、結構好きだ。でも、○○ジャーナルのような専門誌を読みたいと思ったこともないし、コルトレーンとか、セロニアス・モンクとか、何となく小難しそうな人たちは今でも食わず嫌いである(汗) オーネット・コールマンなんて、1回聴いただけだけれど、もうたくさんだと思っている。
要するに、もっと肩の力を抜いて楽しもうよ!ということ。山中千尋の背中の筋肉や、上原ひろみの電気カンフーワールドからジャズに入門したって、いいじゃないかと考えている。スウィング・ガールズからエリントンの世界にワープするのも、全然OKだ。「遠くの偉人より近くの凡人(笑)」 最初はこんなスタンスで、付き合っていくのが、一番いいという気がする。
HMVの店頭で、結局、自分が手にしたのは、ジャズのレコード選びに関していつも参考にしているkenyama's blogさんも絶賛するロブ・アフルベーク・トリオ『The Very Thought Of You』(君を想いて)である。
インドネシア生まれでオランダ移住後、活躍したという無名ピアニストが日本人プロデューサーの企画に乗って、昨年録音したトリオ作品なのだが、一言で評すなら、とても明快な演奏。小難しい理屈は分からなくても、すぐに音楽世界に没入していくことができる。かつてオランダ国内で「ミスターブギー」の異名をとったというアフルベークのピアノは、良い意味での俗っぽさがたっぷりで、それがまた新鮮なのだ。
思わず身体が動いてしまうようなノリノリのタッチに乗せられると、アルコールのほうもどんどん進んでいく(笑) それもありだと思う自分がちょっと怖いが、とりあえずいいじゃないか、ということでお茶を濁します。
1月 23, 2006 日記・コラム・つぶやき, 音楽 | Permalink
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コメント
山城様
おはようございます。Rob Agerbeek、いいですよね。お酒をがんがん飲んで、ノリノリに楽しめます。
ジャズが、バンエイ競馬だというのは、ちょっと可哀想な(どっちが?)気もします。せめて競輪やオートレース(失礼か?)だといいのすが。
では。
kenyama
投稿 kenyama | 2006/01/23 6:58:36
kenyamaさん、こんばんわ。
>ジャズが、バンエイ競馬だというのは、ちょっと可哀想な(どっちが?)気もします。せめて競輪やオートレース(失礼か?)だといいのすが。
単純に市場規模から類推するなら、おそらく「J・POP : ジャズ」=「パチンコ : オートレース」ぐらいなのでしょうね。
しかし、ここはジャンルそのものの味わいの深さに敬意を評して、あえて「ばんえい」に例えてみました(汗)
kenyamaさんお薦めの「黒猫」も、一緒に買ってきました。これから聴いてみます。楽しみです。
投稿 山城守 | 2006/01/23 23:00:23