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2006/01/31

なぜかウインズ新白河

wins_shinshirakawa1冬の東京開催・初日を迎えた先週の週末。普段の自分なら、土曜日からわがホームグラウンドというべき府中の馬場に足を運んでいるところなのだが、あいにく今年は仕事の都合が折り合わない。金曜日から東北方面に泊まりがけの出張が入って、どうしてもナマ観戦がままならなくなってしまったのだ。とはいえ、土曜日に馬券を買う時間そのものは許されている。そこで行ってみたのが、東北最南端・福島県は西白河郡西郷村(にしごうむら)に位置するJRAの場外馬券発売所・ウインズ新白河である。

新白河といえば、関東在住の人ばかりか、福島競馬場を主戦場にしている福島北部・宮城県あたりの競馬ファンにとっても、案外と馴染みの薄い場所である。白河ラーメンは確かによく知られているけれど、周辺にこれといった名所旧跡や観光地があるわけでもなく、特別な用件でもないかぎり、わざわざこの地に向かう人は少ないだろう。実際に新幹線の駅舎に降り立ってみると、人通りも少なくがらんとした感じで、駅周辺には数件のビジネスホテルが点在するだけ。ハッキリ言って、殺風景な場所という印象を禁じ得なかった。

だが、その殺風景な西口駅前に降りたって左手を向くと、すぐにウインズに向かうゲートと歩道が用意されているのが素晴らしい。開放的なアプローチを歩いて3分も行けば、もう玄関前に到着である。
府中や中山の場合、最寄駅(府中本町・船橋法典)に到着してからも、延々と長い歩道を行軍することを強いられることを思えば、このアクセスの良さは特筆ものだ。仮に大宮駅を起点にするなら、徒歩時間を含めてもわずか1時間強でウインズに入場できることになる。これは府中・中山に行くのと時間的にもほとんど変わらない計算なのだから、あらためて日本も狭くなったものだと感慨を覚えてしまう。

館内に足を踏み入れてみる。「白河の白を基調としたモダンな建物」という触れ込みの館内は、すでにオープンから約7年の月日を経たものの、いまだ真新しく清潔そのものだ。発売所フロアは1階部分と、ロフト形式の2階だけなのだが、建物自体、地上5階建のビルと同じくらいの高さがあるので、天井がとても高く開放感いっぱいである。
壁面には大型スクリーンが配され、その前には十分な数の椅子も用意されている。全体的には、ウインズ石和などのJRAの郊外型発売所と共通する造りなのだが、土曜日で人出が少なかったせいか、場内にはよりゆったりとした雰囲気が漂っていた。自分が入場したのは、ちょうど第4レースが行われている頃。つまり午前中も後半という時間帯だったのだが、その時点になっても、まだ余裕をもって座席を確保することができたのは嬉しい。椅子はちょっとしたソファ風のつくりになっており、座り心地も上々である。

ただし、そんなまったりムードが館内を支配しているせいか、あるいは、来場している福島県南部の人々が、概ねおっとりとした気性の持ち主であるためなのか?ここは、いわゆる鉄火場のイメージとは無縁という感である。とにかく、ファンがおとなしいのだ。入場者もまばらな午前中、しかも小倉のレースを実況中のスクリーンに向かって、「藤岡、藤岡っ!差せっ!」などと叫んでいると、完全に周囲から浮き上がってしまう危険がある。メインレースが近づくと、そこそこ血中馬券濃度の高い人々もやって来るようで、周りから声援らしき声も聞こえてくるが、如何せん、怒号渦巻く首都圏の場外馬券売場とは、ほど遠いレベルである。旅打ち者の心得として、ここはあくまでも上品に競馬を楽しむためのスペースと割り切っておくべきだろう。
そういえば、場内を散歩しているうちに、ふと気がついたことがある。ウインズ新白河では、飲食コーナーも含め、一滴もアルコール類の販売をしていなかったのだ。これが、物静かな観客気質を生んでいる一番の原因かも?と一瞬いぶかったが、よく考えれば、来場者の大半は自動車のハンドルを握ってここにやって来ている。「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」を主催者自ら顧客に推奨している以上、それもやむを得ない仕儀といえるのかもしれない。

さて、肝心の馬券成績はというと、小倉5レースに出走していたわが出資馬モダンアーティストの複勝馬券があと一歩届かなかったり(4着)、東京9レースでステキシンスケクンをキルトクールしたり、東京新聞杯ではヨシトミ大先生の勝負弱さに泣かされたりと、苦しい展開が続いた。けれど、京都メインで空気の読めない本田騎手を頭に固定した3連単的中(222倍)をやっと引っかけることができ、終わってみればほぼチャラパー。不慣れな環境で、ほぼ半日打ち続けたことを思えば、我ながら悪くない結果を残すことができ、幸いだった。

wins_shinshirakawa_newsちなみに、最終レースも終わってウインズを後にするとき、インフォメーション近くのカウンターでこんなものを発見。タイトルは「新白河ニュース」・・・・パッと見では、お役所が発行する市政だよりのような紙面なのだが、よくみるとウインズ新白河オリジナルによるPR紙だった。メイン記事は原良馬氏が寄稿している根岸Sの前宣伝予想である。見出し横のリード部分には「ひと波乱、ふた波乱ありそうなムードです」とファンの射幸心を煽るうたい文句が・・・・(笑) こんなささやかな企業努力、自分は嫌いじゃありません。これからもガンバって、ひとりでも多くの馬券オヤジたちをウインズ新白河に引きずり込んでもらたいものである。

1月 31, 2006 旅打ちコラム, 日記・コラム・つぶやき | | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/01/29

【根岸S】府中千四、止まらぬ逃げ馬・苦しい先行馬

tosho_gear_at_musashino_s東京千四を舞台に争われるダート重賞・根岸ステークス。コース改修後、過去2年の結果を脚質という切り口から振り返ってみると、昨年は逃げ・先行勢によるワンツーフィニッシュ、一昨年は道中後方に位置していた組が台頭する差し競馬と、まったく対照的な決着パターンが示されている。いずれにせよ、わずか2戦しか蓄積のないデータで、レースの傾向を断じることはできないだろう。そこで今回は、コース改修後に行われたダート千四の全レースを対象に、脚質からその傾向を占ってみることにした。

府中コースといえば、ゴール前500メートルもの直線が待ち受けるコース形態から、一般に「差しが届く」という印象があるけれど、すべてのクラスを対象に脚質別成績分布(03年改修以降)を調べてみると、その結果は下表のとおり。実は、千三と同様に千四でも、逃げ・先行有利の傾向が出ていることが、ハッキリと示されている。

tokyo_d1400_type_all

こんな傾向が生まれる背景を、的確に分析しているのが、坂井千明元騎手の著作「コースの達人」だ。坂井氏によるなら、東京ダート千四は、スタートから最初のコーナーまで400メートルもほぼ平坦なバックストレッチを走るため、前半からレースはハイラップで動く。だが、それでいて逃げ・先行馬だけが苦しいわけでもない。直線に入ると上がりのかかるバテ合戦になって、結局、差し馬のキレも殺される・・・・こんなレースがたびたび繰り返される結果、先行力とスタミナにまさる馬同士の前残り決着が、どうしても多くなるというのだ。

だが、クラスが変われば、当然レースの流れも違ってくる。上級条件下級条件では、脚質による決着パターンに何らかの変化が出てくる可能性もあるだろう。そこで次に、それぞれの脚質についてクラス別の成績を検証していくことにした。
すると、確かに特徴的な傾向が浮かび上がってくる。上級条件になればなるほど、道中好位に位置している「先行馬」が苦戦を強いられるケースが増えてくるのである。準オープン以上にクラスが上がると、先行馬の連対率は1000万下以下との比較で、ほぼ半減してしまう・・・・この事実には、注意を払っておく必要がありそうだ。

■東京ダ千四 道中「先行馬」のクラス別成績(03年~)
tokyo_d1400_type_senkou







一方、これとは対照的に、先手を取った「逃げ馬」の場合はクラスが上がっても、ほとんどその成績に変動がないという興味深い傾向が示されている。直後を追走する先行勢が苦しくなり、差し馬もキレを殺される反面、先頭を走る逃げ馬は意外と止まらない・・・・それが府中千四・上級条件における基本的な決着パターンになっているらしい。クラスを問わずこのコースは「行ったもん勝ち」の舞台だったのだ。レース数が限られるとはいえ、準オープン以上でも逃げ馬の連対率は下級条件を超える50%台の水準を記録しているのだから、恐れ入る。

■東京ダ千四 道中「逃げ馬」のクラス別成績(03年~)
tokyo_d1400_type_nige







では、差し・追込馬はどうか?先行勢が苦しくなれば、当然それに替わって台頭するのは道中「中団」「後方」に位置する馬たちという構図が想定されるわけだが、これらのタイプを積極的に狙えるか?といえば、案外そうでもない。「中団」「後方」の脚質が、上級条件で記録している連対率は、ともに20%を下回る水準だ。正確に表現するなら、先行馬と差し馬が拮抗するというべきで、どちらにしても逃げ馬の優位を脅かすほどの勢いは感じられない。また、「中団」「後方」組の単回値・複回値の水準が100%を下回る低位の数字であることにも注目しておきたい。このことは、実績の裏づけがなければ差しが届く可能性は小さく、人気薄の突っ込みはありえないという傾向を示唆している。

■東京ダ千四 道中「中団馬」のクラス別成績(03年~)
tokyo_d1400_type_chudan_sashi

■東京ダ千四 道中「後方馬」のクラス別成績(03年~)
tokyo_d1400_type_oikomi







結局のところ、データから狙えるという結論が得られるのは「逃げ馬」のみ・・・・こんなタイプは、重賞・オープンクラスになると往々にして、人気の盲点になりがちである。となれば、相手選びは少々手広くいっても十分馬券になりうるだろう。逃げ・先行馬同士の行った行った。あるいは頭1騎を残して好位グループが壊滅した後の差し・追込馬の台頭・・・・多様な可能性を考慮しながら、予想を楽しんでみるのも一興だろう。

<結論>
◎トウショウギア
○リミットレスビット
▲タイキエニグマ
△サンライズバッカス
△メイショウボーラー
△マイティスプリング
△テイエムアクション

ダート路線に転向してから2戦連続で逃げているシルヴァーゼットのハナもあるか?と考えたが、府中の長い直線に一抹の不安を残す今回は無理をしないと判断。となれば、逃げを主張するのは、このコースと抜群の相性を誇るトウショウギアだろう。なにせこの馬、タイム比較だけなら、条件級在籍当時から何度もオープンレベルに匹敵する時計を叩き出していた怪物である。普通に走ってくれば、たとえこの相手でも大きく突き放してしまうほどのポテンシャルを秘めた存在というべきだろう。

これに続くのは、レベルが高いといわれる明け4歳・ダート勢でカネヒキリに次ぐ実績を残してきたサンライズバッカス。だが、強い他馬のマークに徹してこそ、100%以上の能力を発揮できるこの馬にとって、目標不在の今回は展開が鬼門になるかもしれない。そこで、ここは同じ差しタイプから、ガーネットSで鋭い決め手を発揮したリミットレスビット、同コースのブラジルCで鬼神の如き追込をみせているタイキエニグマを、上位にとってみた。

実績ナンバーワンのメイショウボーラーは、59キロの酷量との戦いがやはり課題だろう。これだけの斤量を課されると、冬場の重いダートでスタミナを消耗する可能性が高く、楽観は許されない。以下では、連勝の勢いに乗るマイティスプリングと、腰は甘いが直線の坂が終わってからのひと伸びを期待できるテイエムアクションあたりへ。

キルトクールは、アグネスジェダイ
この枠順では、発馬直後直後から揉まれこむ展開が必至で、府中千四・上級条件「先行馬」不利のセオリーにはまってしまいそうだ。

1月 29, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (2) | トラックバック (13)

2006/01/27

ポリーマグー、お前は誰だ?!

B00005HRBC60年代のパリを舞台に、時代の寵児となったファッションモデル「ポリー・マグー」・・・・彼女とTVディレクター、東欧某国の王子らが織りなす騒動をコミカルに描いた映画「ポリー・マグーお前は誰だ?」は、知る人ぞ知るカルト的作品だ。およそ40年も前のモノクローム映画なのに、今でもときおりファッション雑誌に取り上げられたり、リバイバル上映されるなど、なぜか人気がある。いわゆるオシャレ系の人々から根強い支持を集めているらしいのだが、一介の馬券オヤジにすぎぬ自分のような人間にとっては、あまり縁のない世界のお話と思っていた。
ところが、そんなオシャレな映画から名前を拝借した、当ブログのひとくち出資馬がいる。
今週の日曜日東京第5レースの牝馬限定・新馬戦(芝1600)にエントリーしているポリーマグーがそれだ。

昨年秋、サウスニア会員限定・追加募集馬として、唐突にラインナップに加えられたこの馬。だが、正直に言えば、募集当時の評判はあまり芳しいものではなかった。父はタバスコキャット。日本競馬にあまり良績がないストームキャット系である。おそらくそんな頼りない血統背景が不人気の理由だったのだろうが、母系をみると祖母に83年のJC優勝馬・スタネーラ(愛国)がいる。けっして悪い血筋ではない
おそらく命名者は、米国直系の父に欧州系の母という血統の組み合わせからヒントを得て、アメリカ人監督の手による小粋なフランス映画の名を思いついたのだろう。これも悪いアイディアではない

polly_maggoo_uma■ポリーマグー 牝3
(当ブログひとくち出資馬)
馬主:サウスニアRH
美浦・岩戸孝樹厩舎所属
父  タバスコキャット
母父 Caerleon
1月29日(日)東京5レース
新馬戦(牝馬限定)芝千六に出走





それからおよそ5か月。早めに美浦入厩を果たし調整を積んできたポリーマグーは、途中、目の外傷から小休止を余儀なくされたものの、その1点を除けば概ね順調にデビューに向けた足取りを歩んできたといってよい。馬っぷりの良さ攻め馬の動きもマズマズで、今週号の週刊競馬ブックでは、「注目新馬紹介」のコーナーに取り上げられたほどである。
もちろん課題がないわけではない。岩戸調教師が具体的に指摘しているのは、「テンションが高くなりがちな気性」「ゲートからのスタートダッシュ」「直線でモタれるなどの若さを残している点」の3点だ。だが、これらはデビュー戦を迎える新馬なら、どんな馬にも共通する課題といえるし、ここはむしろ「体は出来ています」と師が語る仕上がりの良さに期待すべきだろう。おそらく、初戦からいきなり動いていける可能性は高い

さて、これなら初戦から通用するかも?と思っていたら、実は同レースにとんでもない強敵がエントリーしていることに気がついた。秋華賞馬エアメサイアの全妹・エアマグダラ(父サンデーサイレンス)である。とはいえ、こちらは伊藤正師自身が「姉とは違ったタイプ」「先のことを考え初戦は余裕を持った仕上げで臨む」と語っているように、まだエンジン全開とまではいかない模様。これなら我がポリーマグーにとっても、つけいるチャンスはありそうだ。
断然の1番人気を背負う良血を負かす金星をあげ、「ポリ-マグー、お前は誰だ?!」と観衆を騒然とさせる、愛馬のデビュー劇を期待してみようか?

ちなみに、土曜日の小倉5レース(ダート千七)では、もう1頭の当ブログひとくち出資馬モダンアーティスト(角居厩舎)も出走を予定しスタンバイ。だが、こちらは大型馬の休み明け・しかも昇級初戦となるだけに、厩舎のコメントも勝負気配が薄い。馬券の対象としては見送りが賢明だろう。ここを叩いての連闘を予定しているようだが、狙えるのはもう少しクラスに慣れてから、ということになりそうだ。

1月 27, 2006 ひとくち馬主日記 | | コメント (4) | トラックバック (2)

2006/01/25

【データは囁く】ヨシトミ大先生と上手につきあう方法

sibata_yoshitomi_daisensei日曜中山の重賞競走・アメリカJCC(G2)で、およそ2年ぶりの復活Vを成し遂げたシルクフェイマス。なるほど、パドック映像から判断するかぎり今回は確かに復調ムードが感じられたし、もともとこのメンバーに入れば、実績断然の存在だった。こんな風にあっさり勝たれてしまっても、思わず納得するばかりである。だが、当ブログの前日予想では、この実績馬の評価をあえて下げ、無印のキルトクールに指名していた。理由は言わずもがな。「屋根」が気に入らなかったからである。

柴田善臣騎手39歳。いまや押しも押されぬトップジョッキーの一人に数えられながら、それでいて、どこか頼りなさを感じさせる乗り役だ。ここ一番の勝負弱さと、今だに東北訛りがぬけない朴訥としたキャラ・・・・それらがあいまってファンの間では、いささかの揶揄をこめた「大先生」のニックネームがすっかり定着している。たしかにその風貌だけでなく、騎乗スタイルからも勝負師という雰囲気は感じられないし、この人から馬券を買って大儲けしたという話も、あまり聞かない。

だが、いったいどうしたことか?AJC杯でシルクフェイマス(5番人気)に騎乗したヨシトミ騎手は、まるで別人のように大胆不敵な手綱捌きをみせ、重賞勝ちを手中に収めてしまった。勇猛果敢な先手主張、後続を幻惑するペース配分、ゴール前での勝負強さ・・・・どれをとっても、「大先生」のイメージとは似つかわしくない大胆かつ完璧な騎乗である。さすがは関東のトップ騎手というべきか。
とはいえ、こんな手綱捌きを目の前でみせられても、来週からすぐ馬券的に信頼できるとはとても断言できない・・・・それが大方のファンが感じている偽らざる心境だろう。ヨシトミ騎手の「大先生」たる所以である。

そこで、実際に過去3年分の成績を対象として、ヨシトミ騎手に関するデータを洗ってみた。ひょっとしたら、大先生と仲良く付き合っていくコツを発見できるかも?そんなささやかな願いをこめて・・・・

たとえば、1番人気に推されたときの連対率52%(単回値63・複回値79)。この成績自体は、武豊騎手(1番人気の連対率54.7%)と比較してもまったく遜色のないもので、関東リーディング上位にふさわしい立派な数字だ。
だが、その中身を仔細に検討すると、ヨシトミ騎手の場合、やはり大一番での勝負弱さが数字に出てきてしまう。クラス別の成績比較では、上級条件のレースでも満遍なく勝ち鞍を計上する武豊と対照的に、ヨシトミ騎手は重賞レースでの信頼度低下が顕著という、好ましからざる傾向がはっきりと示されている。1番人気で強いといっても、大半の勝ち鞍を下級条件の平場戦で稼ぎ出しているのは、紛れもない事実だったのだ。これではやみくもに大先生から馬券を買っても、儲からないのは道理だろう。

■武豊騎手 クラス別成績 (03年1月~)take_hikaku_seiseki2


■柴田善騎手 クラス別成績 (03年1月~)daisensei_seiseki2


では、ヨシトミ騎手は馬券的にまったく信頼の置けない騎手なのか?といえば、実はそうでもない。様々な角度からその成績に光を当ててみると、意外に思えるようなスイートスポットが発見できるのだから、データマイニングは面白い。

たとえば、AJC杯のシルクフェイマスと同様、5番人気という微妙なポジションに置かれたとき、大先生は意外と燃える!という傾向があらわれているのだ。次のデータをみてほしい。準オープン以上の上級条件での単回値・複回値には、思わず目を見張るものがある。
ちなみにこの傾向は、6番人気の場合もほぼ共通しているようだ。中位人気の伏兵に騎乗するとき、大先生の勝負弱さはなぜか払拭され、むしろ上級条件でこそ絶好の狙い目になってくるといえるのだ。

■柴田善騎手 5番人気馬に騎乗時のクラス別成績)daisensei_5_ninnki_seiseki










どこまでも気弱なヨシトミ騎手のキャラを考えると、おそらく上位人気のプレッシャーから解放され、のびのびと競馬ができるというのが、好走理由なのだろう。

もう一つ、注目しておく必要があるのは、大先生が芝のレースで10番人気以下のノーマークの馬に乗ってくる場合だ。ここまで人気薄になると、さすがに単の目までは期待できないが、複勝率は10.3%。人気とのバランスを考えれば、悪くない数値と評価できる。複勝回収値をみると129と100超になるが、三連単・三連複換算なら、回収値はさらにアップすることだろう。ノーマークの気楽さから、大胆さを増すヨシトミ騎手は、ときとして思わぬ大波乱を演出する傾向があるようだ。

■柴田善騎手 10番人気以下の馬に騎乗時の成績
 連対率 2.4% 複勝率10.3%
 単回値    0 複回値  129

特にマイル戦に騎乗してきたときには、目をつむって押さえておく必要がある。
そんな条件のもとで、ヨシトミ騎手の複勝回収率は、何と294円にまで跳ね上がってしまうのだ。「人気薄・柴田善は3着づけで買い」「特に芝のマイルで要注意」そんな傾向と対策が、明確に存在していることをデータはひそかに囁いている。
平場でグリグリの1番人気を狙うより、長い目でみて大先生と上手につきあうコツが、そんなところに隠されている。こいつは是非とも、覚えておきたい教訓である。

1月 25, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (11) | トラックバック (7)

2006/01/23

スウィングするのに、理屈はいらない

the_very_thought_of_you日曜の競馬がハネてから新宿の街に繰り出し、CDを物色してきた。南口・高島屋のHMVで、久しぶりにジャズのコーナーをのぞいてみる。
店内に足を踏み入れ、今さらながら驚かされたのは、ジャズの売り場って、こんなに狭かったのか?!ということ。総面積600坪といわれる超大型店の片隅にひっそりと隔離され、ほんの申しわけ程度の空間が用意されているだけだ・・・・品揃えそのものは悪くなくても、これじゃあまりに寂しすぎる。そういえば、昨秋には、上原ひろみ山中千尋など「人気者」が相次いで新譜をリリースしてきたおかげで、業界的にもそれなりに盛り上がっていたが、年も改まった今となっては、これといった話題もない。売り場のディスプレイも何となく目玉を欠いて、散漫なムードが漂っていた。
だが、こんな姿こそが、現代の音楽マーケットにおけるこのジャンルの地位を正確に投影した縮図なのかもしれない。不謹慎ながら、ギャンブルの世界におけるマーケットの規模になぞらえてみると、メガセールスを記録するJ-POPは大衆娯楽の王様パチンコで、洋楽ポップスが中央競馬クラシックは根強いファンに支えられる競艇といったところになるのだろうが、ジャズに関していうと、ひょっとしたら「ばんえい競馬」と同じぐらいのマイナーな市場規模じゃないかという気がしてくる。北海道の「ばんえい」とジャズ・・・・マーケットのスケール比較だけでなく、時代に取り残されつつあるとでも言おうか、どことなく斜陽のイメージが漂う点でも、案外、共通点は少なくない。

ジャズの世界にとって致命的なのは、今だに40~50年も前に録音された名盤を「これこそ必聴!」といわんばかりに、崇め奉っていることだ。もちろん、マイルスパーカーの歴史的名演を聴く楽しさを否定するつもりはないけれど、コンテンポラリーな演奏を隅に押しのけるかのように、いつまでも「定番」ばかりがCD屋のディスプレイを飾っているというのは、やはり尋常じゃない。クラシックだって、いつも話題を集めるのは、新しい世代の演奏家による新しい演奏だ。ひと昔前に比べれば、ブルーノートやプレスティッジの廉価版を入手しやすい環境が整ったとはいえ、若い世代にとっては、ずいぶんと敷居の高いジャンルというイメージを与えているのではないか?「必修科目」が多いというのは、それだけでも入門を志す者にとって、一種の苦痛である。

などと偉そうに述べてしまったけれど、正直に白状すると、自分だってジャズのことを正確に勉強し、理解しているわけでも何でもない。時代を問わず、何げに気に入ったミュージシャンや、こいつはイイや!と思ったものを直感的に乱聴しているだけである。ジャケット買いというのも、結構好きだ。でも、○○ジャーナルのような専門誌を読みたいと思ったこともないし、コルトレーンとか、セロニアス・モンクとか、何となく小難しそうな人たちは今でも食わず嫌いである(汗) オーネット・コールマンなんて、1回聴いただけだけれど、もうたくさんだと思っている。

要するに、もっと肩の力を抜いて楽しもうよ!ということ。山中千尋の背中の筋肉や、上原ひろみの電気カンフーワールドからジャズに入門したって、いいじゃないかと考えている。スウィング・ガールズからエリントンの世界にワープするのも、全然OKだ。「遠くの偉人より近くの凡人(笑)」 最初はこんなスタンスで、付き合っていくのが、一番いいという気がする。

HMVの店頭で、結局、自分が手にしたのは、ジャズのレコード選びに関していつも参考にしているkenyama's blogさんも絶賛するロブ・アフルベーク・トリオ『The Very Thought Of You』(君を想いて)である。
インドネシア生まれでオランダ移住後、活躍したという無名ピアニストが日本人プロデューサーの企画に乗って、昨年録音したトリオ作品なのだが、一言で評すなら、とても明快な演奏。小難しい理屈は分からなくても、すぐに音楽世界に没入していくことができる。かつてオランダ国内で「ミスターブギー」の異名をとったというアフルベークのピアノは、良い意味での俗っぽさがたっぷりで、それがまた新鮮なのだ。
思わず身体が動いてしまうようなノリノリのタッチに乗せられると、アルコールのほうもどんどん進んでいく(笑) それもありだと思う自分がちょっと怖いが、とりあえずいいじゃないか、ということでお茶を濁します。

1月 23, 2006 日記・コラム・つぶやき, 音楽 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/01/22

【アメリカJCC】馬場状態をしっかり確認したい

nakayama_shogatsu_baba都心部で10センチ近くの積雪を記録した関東地方の「大雪」も、夜にはどうやら峠を越したらしい。土曜開催中止という異例の事態に追いこまれた中山も、おそらく人海戦術で除雪作業を進めているはずで、何とか日曜日の開催にこぎつけることができそうだ。JRAの公式サイトにも、「明日の中山競馬は現在のところ開催を行う予定です」との発表が掲載されている。
とはいえ、この雪が芝コースの状態にどのような影響を及ぼすのか?こればかりは、蓋を開けてみないことには何ともいえず、前日予想者の立場からすると、厄介な問題である。まさか「ダート変更」にはならないと思うが、道悪競馬に近い馬場状態も、一応、想定しておく必要がありそうだ。

ところで、元JRA騎手・坂井千明騎手は、昨秋発表した著書「坂井千明のコースの達人」のなかで、「稍重」「重・不良」の馬場状態に関し、興味深い見解を示している。

稍重といっても、前日に雨が降って徐々に回復して稍重になるパターンと、直前に雨が降って稍重になる場合とでは違いがあるのです。徐々に回復する場合は、水が下に浸透していきますから、表面の芝はほぼ乾いた状態になる。ですから、すべる馬場というよりは下の部分がぬかるんでいるので、力のいる馬場になるわけです。一方、直前に雨が降った場合は芝の部分が濡れているわけですから、非常にすべりやすい状態にあります。稍重のといっても、状況によってまったく違うわけです。・・・・(中略)・・・・ ちなみに、これは重・不良のときにも同じことがいえますね。前日に雨が降って、当日止んでいれば水たまりがない限り、力のいる馬場に。直前に雨が降るか、もしくはレース中に雨が降っている場合はすべりやすい馬場になっているわけです。
~「坂井千明のコースの達人」より引用~  

この見方に照らしてみると、日曜日の中山・芝コースは前日が雪・・・・したがって、「下の部分」(路盤?)に多量の水分を含んで力のいる馬場になっている可能性がありうる。ただし、コース中の水分量は、前日の除雪がどの時間帯までに片づいたかという事情にも左右されるはずで、雪の止んだ直後の段階で作業を完了していれば、影響は案外、軽微にとどまるのかもしれない。

もともと水はけの良さには定評のある中山コース。先週と同様、メインの重賞が行われる時間帯には、おそらく「稍重」程度まで回復する可能性が高いといえ、馬場状態の変化には十分注意して馬券作戦を組み立てたいところだ。

<結論>
◎フサイチアウステル
○グラスボンバー
△ハイアーゲーム
△ユキノサンロイヤル
注コスモインペリアル
注オペラシチー

それなりに力のいる馬場状態を前提に予想するなら、ゴール前のキレよりも、前々の位置で競馬を進められるパワーに恵まれたタイプを中心視したい。
フサイチアウステルは、同コースのセントライト記念を正攻法で攻め、2着している実績が強調材料。道悪競馬に関しては、一度稍重を経験しており5着と凡走しているが(阪神・三田特別)、レース中にも雨が降り注いでいたこのレースは、坂井元騎手のいう「すべりやすい馬場状態」だったと推測される。むしろその走法から、「力の要る馬場」は歓迎のクチだろう。G2にしては相手が軽いここなら、実績不足の心配はなく、コースとの相性抜群の藤田騎手(過去4年間で連対33%)というのも悪くない。

グラスボンバーは、やはり前日の雨で「力のいる」稍重馬場だったオールカマーを制した実績が光る。当時は、超スローペースに恵まれた印象もあったが、道中うまくタメを効かすレースができれば、ここでも上位争いだろう。あえて不安材料を探せば、昨秋の福島記念のように力でねじ伏せる競馬に出たとき。本来の適距離はマイル~千八のタイプだけに、スタミナの消耗には気をつけてもらいたい。

以下では、ハイアーゲーム。正直に言うと、道悪適性はよくわからないけれど、内田博幸騎手なので消すわけにはいかないだろう(笑)。カシオペアSで武豊騎手がみせたような、向正面からの奇襲がはまれば、まさかの復活劇があるかも。一方、ユキノサンロイヤルは、道悪不問型。昨年のこのレースでも見せ場をつくっており、長く良い脚を使える強みを生かせれば、といったところか?

キルトクールは、シルクフェイマス
八分までデキアップ」と陣営はいうけれど、今回の鬼門は屋根(笑)
過去4年間、柴田善大先生が中山・芝2200で記録している成績は勝率2.7%・連対率13%と、他の条件に比べても大幅に信頼度がダウンする。しかもこの条件の準オープン以上のクラスで馬券に絡んだ前例はない・・・・データは「目をつむってキレ!」と囁いているが、はたして?!

1月 22, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (1) | トラックバック (21)

2006/01/20

「サイマー!」 筋金入りの馬券オヤジ、かく語りき

4087478912菊池寛、山口瞳、宮本輝に高橋源一郎・・・・競馬が大好きで、実際に競馬を素材にした作品を残している著名作家は多いが、現役でその筆頭格にあげられるのは、やはり浅田次郎氏だろう。
競馬歴30年以上。現在も東京競馬場のスタンドを間近に望む場所に居を構え、直木賞を受賞する直前まで四半世紀の間、ほぼ毎週休むことなく競馬場のスタンドに通い詰めていたという。流行作家になった現在は、さすがにかつてのペースで競馬場通いを続けるのは難しいのでは?と想像するのだが、それでも昨年の南部杯当日には、ゲストとして盛岡競馬場に登場するなど、いまだ馬券に関してはバリバリの現役である。「パドック重視」「レート厳守」など、長年のキャリアのなかで培ってきた馬券のスタイルをしっかりと持っているのも魅力で、まさしく筋金入りの馬券オヤジである。

サイマー!」は、その浅田氏が5年前に発表した競馬エッセイ集の文庫化したもの。
競馬ものといっても、主に馬券とのつきあい方をテーマに取り上げた幻冬舎アウトロー文庫の著作とは異なり、こちらは著者による全国・世界の競馬場巡りの記録といった趣だ。登場する競馬場は、地元・府中に始まり、なぜか小倉を除くJRA全競馬場。海外では、凱旋門賞の舞台となるロンシャン競馬場に始まりシャンティイの森香港・沙田、米国は東海岸のアケダクトケンタッキー・チャーチルダウンズドバイアスコットと、超ハードスケジュールに揉まれながら著者の旅が続く。国内、特にローカル旅打ちの部はまったりと、それとは対照的に海外競馬編では、現場ならではの臨場感を、巧みな筆致で見事に料理してみせるあたりが、本書の醍醐味だろう。

内容そのものは、適度な脱力感を漂わす肩のこらないエッセイである。文庫本の帯にある宣伝文句のように「読めば勇気と希望がわいてくる」というほどの力作とは思えないし、あるいは熟読すれば収支の向上が約束されるような馬券必勝本とも違う。だが、そこかしこに競馬歴30年のオヤジならではのウンチク・こだわりが散りばめられており、そのあたりが、やはり興味深い。

たとえば、「都市の中の異界である競馬場で、日常と同じ金銭感覚を維持している者のみが勝者たる資格を持つ」であるとか、「道を発見し、努力を惜しまぬ決意さえできれば、遊びはすべて人生にとって有効なものに姿を変える」とか、あるいは「いかに『運』を掴み、いかに少しでも長い間それを手の内に留めおくか。そのためには一に努力、二に才能、三に忍耐、すなわち『運』の存在を認めぬことこそが、『運』を支配する唯一の方法なのである」とか。ひょっとしたら、若い読者にとっては、このへんちょっと煙たく感じられるところなのかもしれない。
だが、命の次に大切なお金をやり取りする「遊び」を長く続けていくための教訓としてなら、素直に受けとめる価値はあると思う。なにせ30年に渡る苦闘のすえに、ロンシャンのパドックでシェイク・ムハンマド殿下と握手できるまでのステータスを手に入れた浅田氏が、身をもって体得した競馬とのつきあい方のエッセンスを吐露しているのである。うらやましく感じつつも、その数十分の一でいいから、ちょっとした覚悟をもって週末の競馬場に足を運んでみようかな?と、考える良いキッカケを与えてくれる。

また、もう一つ本書の美点をあげるなら、文庫本サイズながら写真家・久保吉輝氏の手による豪華なカラーグラビアが巻頭についていることだ。これが思いのほか秀逸で、浅田氏の文章と共鳴しながら、世界各地の競馬場のリアルな雰囲気をよく伝えている。「写真+紀行文」という構成は、開高健の「オーパ!」シリーズとも通じる雰囲気を感じさせるが、ひょっとしたら浅田氏もそんな路線を意識しているのかもしれない。
その久保氏撮影のグラビア。筆者が後書きで触れたサイレンススズカが天皇賞本場場に入場してきた時の一瞬の表情を捉えた「遺影」も良いが、個人的に言わせてもらうなら、キングジョージを勝利した直後?のデイラミとデットーリの勇姿を正面から撮った一枚がまた印象深い。ぬけるような夏空をバックに、馬上から観衆を見上げる同色の勝負服。「どうだ!」と言わんばかりの騎手の表情とは対照的に、堂々たる貫禄を漂わせる芦毛の優勝馬の涼しげな目元。デイラミの手綱を取りながら、サングラス越しに両者に鋭い視線を送るゴドルフィンのスタッフの姿もクールで、世界の競馬の懐の深さを、たった一枚の写真に凝縮したかのような傑作だと思う。

ところで、集英社文庫のサイトでは、「サイマー!」のさわりの部分を立ち読みすることができる粋なサービスを実施中である。とりあえず雰囲気だけでも試してみようかという方には、お薦めできます。

1月 20, 2006 書籍・雑誌 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2006/01/15

【京成杯】上がりは不要。スタミナと忍耐力がモノをいう

久方ぶりに雨の週末になった。
天気予報によると、どうやら日曜には空模様も回復に向かいそうだが、土曜・最終レース時点で重馬場まで渋化していた中山・芝コースが、果たしてどこまで回復するのか?気温の上がらない時期の降雨だけに、おそらく、馬場に与えるダメージは小さくないだろう。京成杯の行方を占ううえでは、やはりその点が気にかかる。不良馬場での力比べになった昨年ほどではなくとも、ある程度、道悪競馬の様相を呈するのも仕方がないと、覚悟しておいたほうがよいかもしれない。
となると、現時点で道悪適性も定かでない明け3歳馬同士の重賞だけに、どこに予想のポイントを置くべきか判断に迷う。
Photo:(C)Horses.JP(この画像の無断転載・複製はご遠慮ください)

たとえば、現在と同じ距離二千の条件に変更されて以降(99年~)の1番人気馬の戦績に注目してみると、年ごとに勝ったり負けたりを繰り返している。2年前には、あのキングカメハメハでさえ3着に負けたことのあるレースなのだから、一筋縄ではいかない。だが、その一方で、馬連万馬券までの波乱というのもなく、上位人気同士の決着に終わるというのが、基本パターンのようだ。では、上位の顔ぶれに何か共通する要素があるのかと思い調べてみると、前走・G1からの巻き返しあり、未勝利から連勝しての優勝もありと、確たる切り口を見つけづらい。ハッキリ言うなら、掴み所のない一戦という印象を受ける。

とはいえ、予想を進めるうえで、何らかの手がかりはほしいところ。限られたデータのなかから、馬券のヒントになりそうなネタを拾い集めていくうちに、ある事実に気がついた。京成杯が距離二千に延長されて以降、各年のペースはまちまちだが、35秒を切るような速い上がりの決着になった例がまだないのだ。この傾向は、同じ距離二千で行われる暮れの重賞・ラジオたんぱ杯と、まったく対照的といえる。

もちろん、その年の出走馬の質が低調だったり、昨年のように馬場状態が影響して、上がり時計が遅くなってしまった年もある。だが、背景はそれだけではない。各年のラップを注視していると、少なくとも近年のレースにおいては、向正面に入っても先行馬のペースが緩まない中山内回り・二千特有の淀みない流れが、この傾向に強く影響しているように思える。たとえば、良馬場でのレースだった03年は逃げ馬による前半1000メートル通過ラップが59秒4、04年に至っては58秒0を記録しているが、これらはいずれもまだ明け3歳になって間もない若駒にとって、過酷なペースといわざるを得ない。

難しいのは、同じようなハイペースであっても、04年のように逃げ馬が暴走気味に飛ばし失速した後、差し馬同士の決着に終わることもあれば、05年のように後続がなし崩し気味に脚を使わされた結果、逃げ馬が残ってしまうケースもあるということだ。だが、過去に先行した馬同士による「行った行った」の決着まではなく、たとえ逃げ馬が残るペースになっても、相手は力のある差し馬というのが、セオリーだろう。34秒台の速い上がりは要らないが、厳しい流れに対応できるスタミナと忍耐力は必須。前走・距離千四以下の競走に出走していた組や、休み明けで出てきた馬たちから、いまだ連対が出ていない事実も、このレースのそんな性格を裏づけるものと解釈できそうだ。

<結論>
◎ジャリスコライト
○ネヴァブション
△ニシノアンサー

朝日杯で、発馬直後に他馬と接触のアクシデント。それが着火点となり、道中では終始気難しさをのぞかせていたジャリスコライト。それでも、スローペースのヨーイドンしか経験していなかったこの馬が、マイルG1の厳しい流れを体感できたことは、それだけでも強調材料になったはず。
現時点で道悪適性は定かでないとはいえ、兄アグネスデジタルは重馬場の天皇賞(秋)を優勝、シェルゲームも重の巴賞を逃げ切った実績がある。血統からの不安は感じられないし、パドック映像をみても、腰からトモにかけての造りが惚れ惚れするほどシッカリしているこの馬にとって、馬場渋化はむしろ他との比較でプラス材料といえる可能性すらあるだろう。となれば、他との能力差は歴然としており、この馬以外に本命候補を考える余地はなさそう。

一本被りの人気を背負う馬を本命に据える以上、相手は極力絞っていきたい。
実績から支持を集めるのは、おそらくニシノアンサーの先行力と思われるが、この馬にしても、母ニシノファイナルが抱えていた距離の壁がやはり気にかかる。百日草特別・葉牡丹賞では速めのラップで飛ばしたとはいえ、本来なら前走のようにゆったりマイペースで運べればというのが、おそらく本音だ。ならば、母系のスタミナ色が濃いネヴァブションのほうが、ここではむしろ面白い。ジャリスコライトが前を掃除してしまえば、往々にしてこんなタイプが漁夫の利をさらってしまう展開になるのではないか。

キルトクールは、ディープウイング
昨年・年度代表馬の威光が効いて、ディープ○○という名がつく馬は、実力以上に人気を背負ってしまう宿命に置かれそう。未勝利戦当時、スーパーホーネットとアタマ差接戦を演じた実績があるといっても、休み明け苦戦という傾向・対策から、ここではちょっと買い被れない。

1月 15, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (18)

2006/01/11

再生の物語?はたまた馬券小説?文庫化された「輓馬」を読む

4167679639昨秋の東京国際映画祭でグランプリを受賞、夏には全国公開も予定される話題の映画「雪に願うこと」の原作小説「輓馬(ばんば)」が遂に文庫化された。小説の舞台となるのは、真冬の帯広で開催される「ばんえい競馬」・・・・競馬といっても、体重1トンにもなる巨漢の重種馬が鉄製の橇を引きながら、コースに設置された障害(坂)を乗り越えていく特殊な競技である。サラブレッドや競馬にまつわる話題をモチーフにした小説は数あれど、世界中でも北海道でしか見られないこのマイナーなジャンルを素材に取り上げた小説など、ほかにないだろう。それだけでも「ばんえい」そのものの存在と同じくらい稀少価値を帯びた物語といえる。もちろん、競馬ファンなら必読の一冊だ。
小説のあらすじに関しては、昨年この本のレビューをブログで取り上げた馬券日記オケラセラさんの紹介が、とても手際よくまとめられている。引用してみよう。

小説・輓馬は帯広競馬場が舞台。事業に失敗して命からがら故郷に還った男の挫折と再生の物語だ。主人公の矢崎は兄が調教師を務める厩舎を手伝うことになる。そこでの馬や厩務員たちとの交流を通じて、新たな人生に踏み出す気力を取り戻していく。
馬券日記 オケラセラさん
挫折と再生の物語 北の大地を舞台に「輓馬」映画化へから引用~

はい、これで全部です。
わずか数行の文章で、すべてを語り尽くせてしまうほど、シンプルな物語なのだ。ストーリー展開に起伏や意外性があるわけでないし、宮本輝の「優駿」のように登場人物の陰影を鮮やかに活写することで、読者を魅了してやまないというタイプの小説でもない。「輓馬」の物語は、小雪が舞い散る北海道の冬景色のように、静かに淡々と進行していく。じっくり読み進めるうちに、行間からしみ出してくるハートウォーミングな味わいを楽しむべき本なのだろう。

だが、どちらかといえば静かな全編のトーンとは裏腹に、熱い血のたぎりのようなものをガンガンと伝えてくる場面もある。たとえば、第3章で描かれるレースシーンは、やはりこの小説のハイライトといえるだろう。輓馬たちが巨体を躍動させ死闘を繰り広げる「ばんえい」の迫力を、余すところなく描ききる筆力は、白眉というほかない。

それにもう一つ、この小説の構成には注目すべき「しかけ」が施されている。
冒頭、主人公・矢崎が、競馬場で有り金すべてをはたいて馬券勝負を試みるシーンに、何と100頁以上ものボリュームが割かれているのだ(第1章・馬が笑う)。

故郷に帰った失意の男が厩舎の生活を体験するうちに、癒され再生していく・・・・それだけのお話を書くのなら、本来、不要と思われる競馬場のエピソードに、全体の3分の1もの紙幅を割くのは、明らかに構成上のバランスを欠いている。
また、このシーンには、競馬初心者の主人公をコーチする丹波という老人が登場してくるが、この人物など、その後のストーリー展開において、ほとんど何の役割も演じていない。つまり、単なる馬券オヤジによる狂言回しのようなものなのだが、彼の台詞を通じ、ばんえい競馬の「攻略法」が、異常なほど懇切丁寧に紹介されている。いわく「帯広の馬場にはロードヒーティングが施されているのだが、両端のコースは効きが悪く、凍っていることがあり、とくに朝方はその可能性が高い」とか、「第1レースで、1番枠をリーディング上位騎手が走るのなら、注目すべき」だとか(笑)
これはいったい何なのだろう?長く競馬場に足を運んでいる者同士で、密やかに共有されている秘密なのかだろうか?ちょっとマニアックに過ぎると思えるほど、瑣末なエピソードのオンパレードである。

もちろん、これら部分を通して、「ばんえい競馬」とはどんな競技なのか?を読者に理解してもらおうという狙いはあるのだろう。だが、作者・鳴海章氏が競馬場シーンにこめた「思い」は、それだけではあるまい。たとえば、道新・旭川支社のサイトで閲覧できる鳴海章氏の講演録を読んでみると、そんな「思い」が手に取るようにわかる。

旭川に来まして、きのう競馬場に寄りました。馬券を買ったのではなく、ばん馬振興の一助に、と寄付をしてきたのです(笑い)。  私の小説「輓馬(ばんば)」の映画化が決まり、本が売れましたが、みんな馬券に消えました。勝てないというのが、ばん馬の魅力のようです。特に中央競馬と違う、サラブレッドの知識がことごとく覆される面白さ。中央で馬券を買っている人たちにばん馬は本当に面白いよ、ということを知らせることも必要です。
北海道新聞旭川支社のサイトから引用~ 

そう。この人は、根っから馬券が好きな、我々と同じ人種だったのである。
そんな愛すべき人が、好きな「ばんえい競馬」を小説にするなら、たとえどんな展開になろうと、馬券の話に触れないわけにはいかない。謎の馬券オヤジ「丹波」は、何を隠そう鳴海氏自身の「分身」に他ならなかったのだ。

さらに作者の愛情が注がれる対象として描かれるのは、馬券だけではない。老朽化したスタンドに漂う空気と匂い・・・・地方競馬そのものを包む独特の雰囲気が、慈しむべき舞台装置として、「輓馬」の物語に確かな彩りを添えている。

帯広競馬場のスタンドにぼーっと座っていた。夕日を浴びながら、ふと感じたのは「匂(にお)い」だったんです。ほこりと水洗トイレに漂う鉄パイプの錆(さ)びた匂い、うどん、そば、ラーメンのつゆの匂いが渾然(こんぜん)としていた。その時、感じたんです。「ああ、駅だ」って。駅の雑踏の匂い。それが帯広競馬場にありました。「おれ帯広に帰ってきたんだなあ」って思いました。
北海道新聞旭川支社のサイトから引用~ 

時代の流れにとり残され、遠かず消滅してしまうかもしれない競馬場の風景と、そこに集う人々に対する深い共感。そんな想いが、この小説の骨格を支えている。そうである以上、100頁ものボリュームを割いて、第1章のシーンを描ききることは、作者にとって欠かすことのできない作業だったのだろう。そのせいだろうか?これを読むと、自分もついつい地方競馬に行きたくなってしまう。・・・・それだけでも、この小説のもくろみは見事に成功していると思えるし、そんな邪道な読み方までも許容してしまう懐の深さを感じる。

ところで、問題の第1章のタイトルとして名づけられている「馬が笑う」って何だ?と思った方。真相は、ぜひ本書を手にとって確かめてもらいたい。生物学的な真相はともあれ、「笑う馬」はいるのだ・・・・馬券作戦の参考になるかどうかはともかく、興味を惹かれる話題であることに違いはない。

1月 11, 2006 書籍・雑誌 | | コメント (2) | トラックバック (3)

2006/01/09

【シンザン記念】刻々と変化する芝を舞台に浮上する馬

kyoto_2005_11いきなり個人的な話で恐縮なのだが、正月早々馬券の調子がおかしい
特に京都競馬との相性が最悪である。開幕3日が経過した現時点で、芝のレースでは、まだ一度も的中馬券にありつけていないのだから、我ながら情けない。まあ、自分の場合、武豊騎乗の人気馬を平気でキルトクールするような無茶をよくやるので、これも自業自得か?と考えていたのだが、どうやら原因はそれだけではなかったようだ。これまで自分が無意識のうちに見落としていたポイントがある・・・・シンザン記念の予想に取り組むため、競馬新聞を広げ、馬柱に目を落としいるうちに、ハタとそのことに気がついた。
そう、今年の京都1月開催の芝では、Aコースが使われていたのだ

JRA全場のコース分析に関しては、コアな競馬ファンのバイブルともいえる「コースの鬼」の記述によるなら、例年、京都競馬場・芝におけるコース・ローテーションは、秋開催を起点に「A→B→C→D」と、順々に内側から芝を使い、開催が進むごとに仮柵を外に移動させる方法がとられてきた。他の競馬場のように、「B→A」や「C→A」のようなコースの戻しが無いことに、その特徴があったはずだ。
芝を内側から使い捨てつつ、秋→冬→春と開催を消化していくため、年間を通じグリーンベルトが発生する余地が少ない。したがって、直線が平坦なコースであっても、外回りのマイルや二千二百などでは、強い差し馬を狙うという馬券作戦が成立する。
これが、淀の芝・攻略法のセオリーだった。

ところが、今シーズンの芝の使い方は、これまでの方針が転換されたらしく、一度秋に使われたBコースから、正月開催に入って再びAコースに戻すという変則的ローテーションが採られている。しかも、JRA発表のコース情報によると、11月開催の終了後、洋芝の種を追い播きしたとのこと。雨天が続いた秋開催当時のダメージと、12月の冷え込みから、洋芝の生育は例年より若干劣っているというが、10月から約2ヶ月間温存されたAコースのラチ沿い(約4m)は、正月開催スタート時点で、疑似グリーンベルトというべき状態になっていたと想像できる。

なるほど、それなら京都金杯のワンツーが、道中ラチ沿いをキープしていた先行勢に占められる結果になったのも当然だし、能力的には一枚上のオレハマッテルゼが外からさっぱり伸びなかったのも納得できる。以降、2日目の土曜開催においても、今にして思えば、インのコース取りを選択した馬たちが有利に立ち回って、上位に残る決着パターンが繰り返されたように思える。たとえば、シンザン記念と同じ芝・外回りで争われた伏見特別では、まさにラチ沿いを通った馬同士による攻防という様相を呈していた。

だが、芝の成育が悪い厳冬期の開催では、こんな傾向も長続きしないようだ。
開催のスタートから僅か3日が経過したばかりの日曜日、特に午後のレースになると、芝の荒れが進行してきたせいか、前日までとは決着傾向が一変する。外から伸びる差し馬の台頭が目立つようになってきたのだ。

圧巻だったのは、日曜のメインに組まれた芝千四(外回り)の新春S。直線入口ではとても届きそうにない場所に位置していたメジロハンター大外から豪脚を繰り出し、先行勢をゴボウ抜きという派手な差し切り勝ちを演じたレースだ。メジロハンターの手綱を取っていたのは、武豊騎手。この事実には、やはり注目しておく必要があるだろう。
この日の武騎手は、1日7勝と大暴れ。芝・ダートを問わず、とにかく今はレースが「見えている」ようだ。思えば、初日の金杯では、ディアデラノビアを駆って終始インのコース取りに拘っていたが、一転して日曜日になるとフサイチジャンク(9R)メジロハンターで絶妙の外差しを決めてしまう。まさに臨機応変・変幻自在。刻々と変化する馬場の状態を知り尽くした、名手ならではのファインプレーには舌を巻くばかりである。

開催4日目の月曜日。どうやら芝コースの状態も、ようやく例年と同様の冬荒れの様相を呈してきたようだ。ならば、Aコース開催の変則ローテーションといえども、昨年までのシンザン記念と同様に、的確なコース取りを選択できる名手の手腕を信頼するのが、的中馬券を手中にするためのセオリーだろう。少なくとも、開催前半の傾向を盲信し、ラチ沿いのコース取りにこだわるような騎手・馬と心中する愚は避けたいものだ。

【結論】
◎ロジック
○イースター
▲リメインオブザサン
△エムエスワールド
△ディープエアー

過去10年のシンザン記念で6勝・2着1回・・・・このレースとの抜群の相性を誇る武豊騎手が、手綱を取るロジックが本命。500キロを超す雄大な馬格の持ち主だが、鞍上の意のまま動けるセンスの良さがある。昨年のペールギュント同様、一歩早く抜け出して、直線ではコースの外目を通る恩恵を存分に生かすことができそうだ。

年末のさざんかSで、そのロジックを負かしているイースターは、対照的にピッチ走法から鋭い決め手を繰り出すタイプ。適性から京都の外回りも悪くなさそうだが、不安材料は馬格の小ささにある(前走440キロ)。シンザン記念の負担重量設定が牡馬56キロの別定戦に変更されて以降(03年~)、このレースでは大型馬の活躍が目立つようになっており、馬体重450キロを下回る馬が馬券に絡んだ例はまだない。イースター自身、前走で56キロを克服しているのだから、斤量泣きするタイプとも思えないが、果たしてどこまでやれるものか?

この上位2頭による決着が有力と考えるが、これに次ぐのが、東スポ杯で強い相手を向こうに回し4着と健闘したリメインオブザサン。さらには、穴馬として激走する例が多いキャリア豊富な馬たちもマークしておきたい。

キルトクールは、ゴウゴウキリシマ。おそらく押し出され気味に先行すると思われるが、開催4日目の荒れ芝で、粘り込みまでは期待薄だろう。

1月 9, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (16)

2006/01/07

【ガーネットS】芝G1並みのハイペースに耐えて勝つ条件

blue_concord_at_jbc_spJRA全重賞のうち、唯一、ダート千二を舞台に争われる一戦。
フェブラリーSまで残すところ1か月強という開催日程から、G1の前哨戦と位置づけることもできるが、千二の距離とマイルとでは、やはり要求される適性が異なる。ここはむしろ、出走馬の純然たるスプリント適性を問うレースと考えるべきだろう。

さて、舞台となる中山・ダート千二は、芝ポケットからの発馬し、バックストレッチから4角出口までずっと下り坂が続く。このようなコース形態でレースが行われる以上、どのクラスにおいても、必然的にハイペースが誘発されるわけだが、重賞級の短距離走者が集う一戦となると、テンの速さもまた格別である。
ガーネットSがハンデ戦に変更された03年以降、レースの前半3ハロンで記録されたラップは、32.8秒(03年)32.8秒(04年)33.0秒(05年)というもの。芝のG1スプリンターズSでも、昨年カルストンライトオが前半3ハロンに記録しているのは「32.9」なのだから、これと比較しても、まったく劣ることない出色のラップである。
だが、他場と比較し重いといわれる中山の砂でこれだけ飛ばせば、さすがのオープン馬といえど、後半はバテる。ガーネットS・過去3年の後半3ハロンのレースラップは、37.7秒(03年)38.1秒(04年)37.1秒(05年)であり、各年とも典型的な前傾ラップだ。このように前・後半のラップがまったく対照的である事実は、4角からゴールまで続く直線の登り坂で、レースが我慢比べの様相を呈すことを示している。

このように、まるで絵に描いたようなハイペースが毎年繰り返されるため、ハンデ戦変更以降、このレースを逃げ切った馬は1頭もいない。だが、その一方で前半からどの馬も脚を使わされるせいか、直線一気の差し・追込もなかなか決まりづらいようだ。各年の上位入賞馬は、前半戦ある程度のポジションで我慢が効き、そこから一気に動ける機動性を備えたタイプが多い。
たとえば、昨年、年齢を感じさせぬ豪快な伸び脚で大波乱を演出したエンゲルグレーセ。視覚的には直線だけで一気に台頭してきたように思えるが、この馬にしても、残り600メートルの地点では先頭から1.1秒という中団に位置していた。こんな事実からも、超ハイペースに耐えつつ前半戦で先頭からおよそ1秒以内の位置につけられるかどうかが、勝敗の分かれ目といえそうだ。

【結論】
◎ブルーコンコルド
○テイエムアクション
▲スターリーヘヴン
△オフィサー

昨年春の栗東Sから破竹の連勝街道をすすんで、秋にはG1制覇も成し遂げたブルーコンコルド。別次元の強さを誇示して快勝したJBCスプリントの印象はやはり鮮烈で、距離千二~千四のダートなら現役最強の存在というべきだろう。たとえ33秒台のハイラップでも、自力で動ける機動力を備えており、このレースの勝者のイメージに最も近いのは、やはりこの馬ということになる。一説によると59キロのハンデが微妙?という見方もあるようだが、04年ハンデ55キロを背負ってこのレースを2着した当時と比較すると、今では20キロ以上も目方が大きくなっている。馬体に「実が入った」今なら、もう酷量に泣く心配もあるまい。

これだけ強い馬がハンデを意識して早めに動いていく以上、前半から全力で飛ばしている先行勢にとっては、厳しい展開が想定される。2着候補として狙いを定めたいのは、コンコルドの後から連れて伸びる差し馬ということになるが、前述したとおり、前半ある程度の位置につけられるタイプに注目すべき。

テイエムアクションは、プロキオンSでブルーコンコルドをマークする戦法に徹し、結果、3着に終わったものの、初重賞挑戦としては上々の内容だった。当時、同斤(56キロ)だったコンコルドとの負担重量差も、今回は3キロまで拡大する。2着候補なら、やはりこの馬が筆頭だろう。休み明けが嫌われ人気を落とす可能性もあるが、11月から精力的に乗り込みを重ねており、鉄砲実績もある。そんな傾向には十分な注意を払っておきたい。

スターリーヘヴンは、前走・船橋の交流重賞クイーン賞が初ダート。結果、直線で勝馬に大きく離された4着入線に終わったが、この一戦だけでダートが不向きと決めつけるわけにいかない。地方の深い砂には苦しんでも、年末以降の一気に高速化傾向がすすんだ今の中山ダートなら、通用の素地はありうる。昨年のメイショウボーラーのように、芝路線からの転戦組が時として好走することもあるレースだけに、軽ハンデ・好枠と柴山騎手の手腕を味方に、台頭してくる場面まで警戒しておきたい。

前走・芝を凡走し再びダートに戻ってきたオフィサー(当ブログひとくち出資馬)は、ハンデに恵まれた。持ち時計や指数に注目するなら、この相手を向こうに回しても上位レベルで通用する。とはいえ、重賞レベルのハイペースで、前半戦どこまでついていけるか?が、やはりカギとなりそう。下手をすると先頭から2秒近くも離されてしまう危険がある(笑)また、前のエントリでも指摘したことだが、体調・精神面で年末時点からどれだけの変わり身を確認できるかも、馬券の取捨を占ううえでのチェックポイントだ。

キルトクール指名馬は、コパノフウジン
力関係の比較から、少なくともオフィサーが、同世代のこの馬に負けることはないだろう。馬主のコパさんには申し訳ないが、「ゴールドアップ!」の可能性はかなり低いとみた。

1月 7, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (7) | トラックバック (43)

2006/01/06

「再び弾けるか?」 オフィサー、ガーネットSに挑戦

ci_082今日は飛ばなかった」・・・・暮れの中山で遂に土がついた無敗の三冠馬を評して騎手がこう語った直後、裏開催の阪神競馬場でも「今日は弾けなかった・・・・」と、よく似たコメントが発せられた。発言の主は、四位洋文騎手。このとき手綱をとっていたのが、芝千二の準オープン戦・六甲アイランドSで、2番人気に推されていたオフィサー(当ブログひとくち出資馬)である。(写真は、サウスニアRH公式サイトより)

そのオフィサー。もともとダート短距離戦線で頭角を表してきた馬ではあるが、足抜きが良い高速馬場では、上がり34秒台の末脚を使うこともできる。それだけに、芝コースでも外差し有利のコンディションになれば、太刀打ちできるのでは?と期待されていたわけだが、終わってみれば、道中の行きっぷりも直線の伸びもひと息で、良いところを出せず終い。まったく為す術もないレースぶりで、10着と大敗を喫してしまった。

この日の敗因について、四位騎手は「適性の問題でしょうか。芝よりもダートのほうが良さそうです」というコメントを残している。だが、阪神で現地観戦してきた自分の目からすると、どうも原因はそれだけではなさそうだ

officer_ar_65_island_s端的に言うなら、この日パドックに姿を現したオフィサーは、気配がひと息。中間に短期放牧をはさんでプラス12キロと増えた馬体自体は数字はど太くなかったが、小さめのストライドでトボトボと周回を重ねる様子や、集中力を欠いたように嫌々をする仕草(写真)を繰り返していた姿は、けっして本調子と思えなかったのだ。愛馬に対して多少贔屓目のある出資者の視点からみても、見栄えだけなら、同世代マイネルアルビオンの気合い乗りや、プリュネルの均整の取れた馬体のほうが、断然良く見えたというのが正直なところだ。
嫌な予感はしていたのだが、心身とも競馬に全力投球できる体制がまだ整っていなかったオフィサーは、敗れるべくして敗れた。臨戦過程に誤算があったとすれば、目標としていた3週目のレースを除外されたこと、さらには、いったん正月開催に目標を切り替えながら、結局、年末出走に踏み切ったローテーションの方針転換に、肝心の仕上げが間に合わなかったということだろう。

さて、この敗戦から2週間が過ぎ、汚名返上をめざすオフィサーが、年明け早々再びダート戦線に戻ってくる。矛先を向けているのは、1月8日中山競馬場のハンデG3・ガーネットS(ダート千二)だ。京都の適鞍(羅生門S)を蹴って、あえて格上戦を選択するという意欲的な挑戦である。

木曜日に公にされた出走メンバー表をみるかぎり、ここでは別格の存在といえるG1馬ブルーコンコルド1頭を除けば、それほど骨っぽい相手はいない。重賞実績のあるアグネスウイング、トップオブワールド、ディバインシルバーにしても、近走良績を欠いていたり、久々の出走だったりする。53キロとハンデにも恵まれたオフィサーが、本来の力を出せるなら、持ち時計の比較でも2着は十分狙えそうな組み合わせだ。
陣営の思惑を邪推してみるなら、難敵(武豊ジョイフルハート)が立ち塞がる京都の適鞍よりも、2着狙いに徹すれば賞金加算も期待できる中山の重賞のほうが与しやすいとみての出走判断だろう。当初、騎乗を依頼していた横山典騎手が落馬負傷で乗れなくなったのは残念だが、ブラジルC2着時に手綱を取っていた江田照騎手が代役を務めてくれる。
ダート1200mという本馬に適した条件のもと、現時点でどこまでやれるのかを見てみたいと思います。この馬にとって、これがきっといい経験になることでしょう」このように語る森調教師のコメントから、正直、あまり勝負気配は伝わってこないが、悪くとも掲示板ぐらいは確保してくる腹づもりは、当然あっての重賞参戦だろう。

問題は前述したように、暮れ時点で本調子になかったオフィサーの状態を、陣営がどこまで立て直してくるかということに尽きる。
坂路調教の時計を確認すると、この中間もやや攻めが軽い。これをどう解釈すべきか?評価が分かれるところだが、長距離輸送を控えテンションを上げすぎないことを狙った調整という可能性もあるのかもしれない。いずれにせよ、馬券勝負におけるこの馬の取捨は、中山のパドックで当日気配を確認してからでも、遅くはない。

だが、挑戦する以上、ぜひとも納得のいく結果を残してもらいたい。また、出資者の端くれとして、心のどこかに、大金星を期待する気持ちもある。そんなわけで、今回はクラブに対し口取りの申込みも済ませ、久々にネクタイを締めて競馬場に向かいたいと考えている。さて、どうなりますことやら?

1月 6, 2006 ひとくち馬主日記 | | コメント (0) | トラックバック (4)

2006/01/05

【京都金杯】実績馬優勢の傾向を検証すると・・・・

ore_hamatteruzeii前走・条件戦、オープン特別など格下条件で出走していた組は苦戦」・・・・京都金杯がマイル戦に距離を短縮されて以降(00年~)、顕著にあらわれている傾向である。特に、前走オープン特別からここに参戦してくる馬の苦戦が目につくが、その戦績たるや、のべ35頭が出走し3着以上に入着した例がゼロという散々たるもの。ハンデ戦とはいえ、上位進出のためには重賞レベルの実績が必要ということだろう。この傾向を鵜呑みにするなら、今年の出走馬のうち9頭が、ほぼ自動的に消えることになる。

とはいえ、このデータのみに頼りきって、金杯の馬券作戦を組み立てることは、早計と言わざるを得ない。たとえば、昨年のワン・ツーを飾ったハットトリック、アルビレオは、ともに前走条件戦を勝ち上がって参戦してきた「格下馬」だった。そんな昨年の結果を踏まえるなら、少なくとも前走・格下条件からの参戦組=自動的に消しという結論を、容易に導くことはできない。この事実をどう解釈すべきだろうか?

両馬の戦績を検証してみると、まず気がつくのは、ともに京都マイル戦での好走歴があったということだ。ハットトリックは、前走の清水S(準OP・ハンデ戦)で55キロを背負って骨っぽい相手を力でねじ伏せる快勝劇を演じていたし、アルビレオも3走前のオグリキャップメモリアル(1000万下・別定戦)では、人気薄ながら馬場の真ん中から抜け出す横綱相撲で、2着オレハマッテルゼ以下、当時の有力どころを完封していた。この事実は、たとえ前走格下であったとしても、確かなコース適性を裏づける実績と勢いのある出走馬を軽視すべきではないという、教訓を示唆している。

また、過去に着外に沈んだ前走オープン特別組35頭に共通する傾向として、のべ29頭が前走と比較し負担重量減の恩典を与えられていたこと、また、のべ5頭は前走比較で斤量増減無しという条件に恵まれていたことには、注意を要する。すなわち、オープン馬であっても、ハンデキャッパーの視点から格下の烙印を押されたタイプは、例外なく苦戦という傾向がハッキリしている。このファクターは、馬券作戦を占ううえで、やはり重要というべきだろう。

マイル戦変更以降の傾向・対策として、もう一つ注意しておきたいことは、馬格に恵まれている出走馬のほうが、明らかに有利という事実だ。過去6年、馬体重500キロを超える出走馬の戦績が「3-2-0-7」(連対率41.7%)と好相性を示している一方で、460キロを下回る小柄なタイプは「0-1-2-19」(連対率4.6%)。また、牝馬の連対例は、過去に2頭を数えるが(00年キョウエイマーチ、01年エリモセントラル)ともに、馬体重460キロ以上での出走だった。
ちなみに、450キロを下回る小柄の馬で、唯一馬券に絡んだ実績を残しているのは、03年のローズバド(3着・馬体重430キロ・ハンデ55キロ)である。小柄な牝馬がキレを生かして台頭するという図式が描きづらい重賞といえるが、ローズバドとよく似たタイプのディアデラノビアが、果たしてどこまでやれるだろうか?鞍上・武豊は魅力だし、心情的に応援したいものの、ちょっと本命には推しづらいタイプなのかもしれない。

結論
◎オレハマッテルゼ
○キネティクス
▲ディアデラノビア
△ニューベリー
注マイネルハーティー
注アルビレオ
注グレイトジャーニー

京都マイル戦の実績と、前走との斤量比較から浮上してくるのは、やはり人気のオレハマッテルゼ。未だ重賞勝ちがないのに、57キロのハンデは少々見込まれたという気もするが、ハンデキャッパーの視点からみても、昨年の京王杯2着という勲章は価値が高かったということだろう。前走オープン特別組でも、ここはその実績に敬意を表しておきたい。
相手選びはかなり難解だ。とりあえず昨秋のマイルCSでデュランダル(8着)から0.1秒差の戦績を残しているキネティクスをピックアップしてみたが、瞬発力の高さを武器に果たしてどこまでやれるものか?
以下では、オークス以来久々でも、角居調教師が「いきなりから楽しみにしている」と公言するディアデラノビアと、京都マイルに好相性を示してきたニューベリーに注目してみたい。
新年初のキルトクール指名馬は、ペールギュント
シンザン記念を制すなど京都マイルに実績を残しているとはいえ、近走の不振はやはりいただけない。たとえ重賞優勝馬でも、前走・オープン特別+今回斤量減は、格下の烙印を押されたもの判断する。

1月 5, 2006 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (2) | トラックバック (14)

2006/01/02

浦和競馬に行こう!ミスターピンクが呼んでいる

mrあけましておめでとうございます。
いろいろあった05年でしたが、当ブログ管理人は、大晦日のTCKで1年の打ち納め。この日の大井競馬場は、大賞典当日ほどではなくても、かなりの活況を呈しており、師走らしい慌ただしさのなかでも、最後の最後まで手に汗握る熱戦を堪能することができました。熱戦があれば、そこにファンが集う。競馬を愛する人々の熱気にふれ、良い年越しができたと思います。
こうして、お正月を迎えたわけですが、全国各地の競馬場では、早くも元旦から熱戦の火蓋が切られています。2日にも、北は帯広ばんえいから南は九州・荒尾まで、全国10場での競馬開催が予定されていますが、自分も南関東・浦和競馬場に足を伸ばし、今年の打ち始めを楽しんできたいと思っています。

さて、正月の浦和開催ですが、今年はいつもとちょっと違う競馬を楽しむことができそうです。注目すべきは、全国をまたにかけ活躍する千両役者・ミスターピンクこと内田利雄騎手が登場していること。すでに「地方競馬に行こう!」さんも、元旦のエントリでこの話題を紹介していますね。
NARの公式サイトに、今回の短期騎乗に関する情報が掲載されているので、以下に引用してみます。

内田利雄・安藤光彰騎手が南関東で騎乗へ
関東地方公営競馬協議会は、内田利雄騎手(44歳)および安藤光彰騎手(46歳)の南関東地区における期間限定騎乗決定を発表した。
内田騎手は浦和の村田貴広厩舎で平成18年1月1日から3月3日の間、安藤騎手は大井の高橋三郎厩舎で1月10日から3月10日までの間、期間限定で騎乗することになる。“Mr. PINK”の愛称でよく知られる内田利雄騎手は、元宇都宮の3,000勝ジョッキー。今年は短期所属替により岩手競馬(6月~8月)、笠松競馬(9月~12月)で大活躍した。
また、ハカタビッグワンなどとのコンビで有名な安藤光彰騎手は、レベルが高いと言われる笠松競馬で長年リーディング上位をキープし、その勝ち鞍は2,700を超える。
地方競馬を代表する名手2名が南関東で旋風を起こす!
地方競馬全国協会(NAR)公式サイトより引用~  

いやはや、「旋風を起こす!」ときましたか?!(笑)
昨年、内田騎手が「フリー宣言」を行い一石を投じるまで、事実上形骸化していた騎手免許の全国運用に対し、一貫して消極姿勢に立っていたNARまでが、こうして「推奨」の太鼓判を押してくれるのだから、時代は変わりましたね。
自ら先駆者となって、時代の扉をこじ開けてみせたミスターピンクの功績は、やはり大きかったのだと思います。

もう一人、南関での短期限定騎乗が予定されるアンミツこと安藤光彰騎手は、10日の船橋開催からの騎乗となりますが、ミスターピンクは、元日から新天地で早くもフル回転モードに突入しています。南関東競馬の公式サイトで、その活躍ぶりをチェックしてみました。
まずは、今年最初の競馬となった1日・浦和第1競走。内田騎手は大外枠からの発馬でしたが、スタート直後から果敢に先手を主張。すかさず好位を奪うと、直線は地元・繁田騎手を相手のマッチレースに持ち込み、いきなり初勝利を奪取してしまいました。昨年の岩手競馬初参戦の際にも、初戦で2着しファンの度肝を抜いたミスターピンク。「騎手は最初が肝心」と普段から公言しているようですが、挨拶替わりというには、あまりも強烈な一撃でした。その後も、第4競走で9番人気の伏兵を3着に持ってくるなど、その個性を、早くも強烈に印象づけてしまった感があります。

その内田騎手は、2日の浦和競馬でも、計6鞍に騎乗予定が入っていますね。
岩手競馬参戦当時も感じたことですが、ミスターピンクは一度波に乗ってしまうと、もう手がつけられないような「固め打ち」をしてしまう傾向があります。そうした意味で、その日1日の馬券作戦を占うためにも、午前中のレースから、じっくりとその手綱さばきに注目しておきたいところ。逃げて良し・追いこんで良しと変幻自在の戦法を取れる強みもあるので、たとえ人気薄に騎乗しているレースでも、軽視は禁物でしょう。
また、第2・第3・第6レースで実現する、南関のトップ・内田博幸騎手との「内田対決」にも要注目です。しかし、このどちらかの「内田騎手」の馬券で勝負するとき、ファンは直線で、どう叫んだらいいのでしょう?(笑) これは難問です。だって、「ぴんく~!」では叫んでいて恥ずかしくなるし、「ひろゆき~!」だと2ちゃんねるみたいですからね(笑)

メインレースの重賞「ニューイヤーカップ(G3)3歳オープン」では、JRA遠征時に好事家の話題を集めた珍名馬「キンタマーニ」も登場する浦和競馬2日目。1年の打ち始めにふさわしい熱戦を期待しています。

1月 2, 2006 岩手競馬, 日記・コラム・つぶやき | | コメント (7) | トラックバック (3)