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2005/09/21

【ダービーグランプリ観戦記】オーロパークは雷神一色

kane_hekili_at_oro_dg盛岡競馬場で岩手競馬専門誌テシオの最新号「ダービーグランプリ&南部杯特集」を購入し、ページを括ってみると驚いた。例年ならこの時期の特集号は、両G1出走を控えた有力馬の近況やレース展望に紙面の大半を割くはずなのに、今年はかなり様相が異なっていたのだ。ひとことで言うならカネヒキリ一色・・・・「カネヒキリの全貌を探る」と題されたダービーグランプリの特集記事は、ハワイの雷神の名を冠したこの3歳王者の生い立ちや秋の展望に関する調教師や牧場関係者の談話で埋め尽くされ、メイプルエイトも、ドンクールも、アグネスジェダイも登場しない。まさしく一点集中型、異例の特報体制である。

だが、一種の賭けともいえる地元専門誌の思い切った紙面づくりは、秋初戦を岩手の地で迎える新王者に集まったファンの熱い期待を、かなりの程度正確に反映したものだったようにも思える。場内に銅像が展示されていたわけではないけれど(笑)この日の盛岡競馬場は、まさしくカネヒキリ一色ムードに染め上げられた感があった。
噂の強豪をひと目見ようと、開門前の早い時間帯から続々と競馬場に人々がやってくる。ファンの関心は、カネヒキリがどれほどの強さを見せてくれるのか?という一点に、やはり集中していたようだ。正直なところ、今年のダービーGPは、馬券的に興味をそそられるような要素はほとんどないレースである。それでも、強い馬が後生の語りぐさになるような強い競馬をみせて勝つ、それを目撃することに意義があると、多くの人たちが考え、競馬場に足を運んできたのだ。

そんな期待が少しづつ高まるなか、いよいよメインレースのパドックにカネヒキリが悠然と姿を現す。その瞬間、パドックを包囲した観衆から一斉に熱い視線が注がれ、ひと呼吸おいて声にならないため息がさざ波のように伝搬していった。「こいつはモノが違う・・・・」 堂々とした立ち振る舞いはまさしく王者の風格以外の何物でもなかった。目の肥えた岩手の競馬ファンをも唸らせるような、このパドックを目撃できただけでも、わざわざ盛岡まで足を運んだ意味があったというもの。そんな愛馬の勇姿を、金子オーナーと角居調教師が真正面からニコニコと見守っていた。

実際にオーロパークに居合わせた一人として、率直な感想を述べさせてもらえば、この日の盛岡を支配していたのは、日本ダービー当日、同じ勝負服・同じ鞍上の芝王者に注がれていた好奇の視線とは似て非なるムードだった。えっ、どこが違うのかって?それは競馬に対する愛があるのかないのか?ということですよ!(^^; 場内の混雑度の違いはひとまず置くとしても、演出されたお祭り気分のなかでどこか殺伐としていたあの日の府中と、この日の盛岡を包む空気とでは、明らかに温度が違っているようにも感じられた。自分の目で強い馬の真価を確かめること。それも競馬の醍醐味であることを、岩手の競馬ファンは知っているのだ。

レース内容に関しては、既に各所で詳細を報じるレポートが公にされているので、あらためてつけ加えるべきことはないが、以下では、次走以降にむけた有力各馬のインプレッションを少々続けてみたい。

1着 カネヒキリ(武豊)
kane_hekili_with_take_at_oro_dgパドックの最前列に近くに陣取って、デジカメのピントを合わせようとしても、この馬の場合それがなかなか難しい。大きなストライドでパドックの外周一杯をノッシノッシと歩いてくるので、被写体がファインダーからはみ出して、どうしてもピンぼけ気味になってしまうのだ。そんな堂々たる歩様と馬格の雄大さは、春の最終戦、ジャパンダートダービーで目の当たりにしたときから、何ら変わっていない。王者はこの秋も健在という印象を強くした。
ただし、秋初戦ということもあり、馬体の仕上げ具合そのものは、いくぶん余裕を持たせたものだった。2分3秒8の好タイムで駆けていながら、2着馬との差が意外に小さかったのは、自身の状態がまだ100%のレベルに達していなかったことの影響かと思われる。この日のレースぶりも、普通にコースを1周してきただけという内容だったが、本気を出してエンジン全開なら、同世代のライバルたちとの差は、ますます拡がってしまうのだろう。
あえて死角を探すなら、テシオのインタビューに答え角居調教師が発言しているように、緩急のある流れへの対応が苦手ではないか?ということ。この日は、2着馬を除く先行勢が策におぼれ自滅してしまった感があったが、力のある他馬がラインを組んで包囲網を形成するような展開になったとき、それを突破できるほどの力を発揮できるのかどうかが注目される。そうした意味でも、今後この馬の好敵手たりうる資格を有するのは、JRAのヤワな同期生よりも、南関東の強豪古馬たちではないかと思われるのだ。
初の手合わせはJBCか?ジャパンカップダートか?対戦がいまから楽しみである。

2着 サンライズバッカス(佐藤哲)
sunrise_bacchus_with_tetsuzo_at_oro_dg黒っぽいばかりで見栄えのしない馬体、まるで貧乏揺すりを繰り返すような落ち着きない仕草、さらにはよく見ると舌がハミを越していた。威風堂々たるオーラに包まれた王者とは対照的に、どこまでも貧相な雰囲気を漂わすこの馬のパドックを見ていると、馬券を買おうという意欲までがどんどん萎えてしまう。
しかし、そんなこの馬にも美点があった。実戦にいっての折り合いに不安が無く、鞍上の意のままに動ける自在さが備わっているということだ。ゲート不安のあることの馬にとっては、大外枠も幸いしたのだろう。まずまずの発馬を決めると、カネヒキリの直後の位置をスンナリ確保し、お互いにやりあう先行勢を前に見ながら、じっと待機を決め込み勝機をうかがっていた。一本被りの大本命馬打倒に燃える佐藤哲三騎手の面目躍如。好騎乗だったと思う。
結果、カネヒキリとの着差が2馬身と1/2なら大健闘といえるのだろうが、王者が100%のデキではなかったこと、さらには先行勢が自滅した展開も考えるなら、それを額面どおり評価するのは、どんなものだろう?もちろん、未勝利戦からの連勝街道は力の裏づけがなければできない芸当だが、現状オープン特別~G3クラスという評価がひとまず妥当ではないかと思われる。

3着 ドンクール(後藤)
4着 コンゴウリキシオー(田中勝)
5着 アグネスジェダイ(菅原勲)
agnes_jedi_at_oro_dg完敗。強力な大本命馬を意識しすぎたあまり、これら先行各馬が道中から相互に牽制しあって、最後は自滅してしまった感がある。2着馬にかなり水を明けられた後、バラバラに入線してきたので、これら3頭同士の着差も大きかったが、見た目ほどの力差はない。
ドンクールはゆるゆるの造りだったエルムSからキッチリ馬体を絞って動ける態勢を整えてきたが、現時点の底がみえてしまった感じ。逆にコンゴウリキシオーは明らかに仕上げ途上だったが、近2走のダート挑戦の結果をみるかぎり、この路線でさらなる上積みを期待するのは酷だろう。
アグネスジェダイは、森調教師も姿を見せており、それなりの勝負気配が感じられた。入れ替わりの激しい展開をよく我慢したとは思うが、結局、息を入れながらの先行策に持ち込めず、ゴール前では歩いてしまった。馬体から受ける印象では、決して距離が長すぎるとも思えないのだが、現状では距離短縮に活路を見いだすのがベターなのだろう。巻き返しを待ちたい。

9月 21, 2005 岩手競馬, 旅打ちコラム, 競馬予想・回顧アーカイブ |

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コメント

盛岡競馬の年間売上っていくらでしたっけ?
ダービーGPが50億円売れれば、盛岡の収入はJRAへの手数料、ダービーGPの賞金を払っても手取り10億円、これって大きいですよね
これだけで一発赤解消じゃないの?
盛岡は確かあと南部杯があるし、、、
他の競馬場も似たり寄ったりじゃないんですか?
地方競馬補助金なんて無駄金の節約にもなります

投稿: マルセル | 2005/09/22 2:40:07

マルセルさん、返事が遅くなりました。
交流重賞のJRA発売問題。武豊騎手だけでなく、誰もが望んでいながら、いまだ実現の可能性すら見えない難題ですね。
電算システムに関する技術的課題か?それとも委託手数料をめぐるJRAと各主催者の鞘当てか?何が支障になっているのか、外野からは意外と見えづらいのがネックです。
現状では、どうしてもJRA側に積極性が乏しいという印象を受けてしまいますが、彼らからみれば、地方競馬主催者による「甘えの構図」にお付き合いする理由などないということでしょう。
ファンのニーズを掘り起こすという目的で、大同団結してほしいところですが。ではでは。

投稿: 山城守 | 2005/09/25 1:29:49

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