« 【宝塚記念】持久力比べになっても、強いのはあの馬 | トップページ | 【書評】競馬よ!夢とロマンを取り戻せ »

2005/06/28

【宝塚記念回顧】波乱を生み出した極限の持久力勝負

タップダンスシチーを筆頭に、コスモバルク、シルクフェイマス、ビッグゴールドと先行勢が総崩れ。好位から押し上げたゼンノロブロイもひと押しを欠いて、差し馬同士による波乱のワンツー決着となった今年の宝塚記念。
各馬の着順を眺めるかぎり、典型的なハイペースによる前崩れ?とも思えるが、前半1000メートルの通過タイムは59秒9。これならオープンクラスでは平均ペースといえる水準だし、むしろ昨年より1秒以上も遅くなっている。それにもかかわらずこの結果とは・・・・。正直、レース直後にはキツネにつままれたような心境であった。だが、疑問を解く鍵は、やはり各ハロンのラップ推移のなかにある。昨年と今年のレース展開を比較するために、再び折れ線グラフを作成し、検討を加えてみよう。

takarazuka_kinen_laps4


















予想の時点に想定していたとおり、今年も発馬から概ね6ハロン目の地点でペースアップが始まっている。「持久力勝負型」の展開という意味で昨年との違いはない。だが、注目すべきは6ハロン目と8ハロン目のポイントだ。この2箇所でやや流れが緩んだ昨年と対照的に、今年はグンとペースが上がっている。このため先行勢にとっては、後半1200メートルまったく息を入れる余地のない、シビアな流れになっていたことがわかる。まさに極限の持久力比べ。これが、ゴール前の波乱を生み出す大きな伏線となった。

ビデオ映像と照らし合わせ確認してみると、6ハロン目は向正面でタップダンスコスモバルクを追いかけている箇所だ。楽に追いつくかに見えたタップダンスだが、コスモバルクもペースを上げ先行争いの帰趨は3角以降に持ち込まれる。さらに、8ハロン目(3角過ぎ)。両者は遂に馬体を併せ併走していくが、外から被され気味のバルクもまだ先頭を譲ろうとしない。結局、タップダンスがバルクを交わし先頭に浮上したのは、残り600のハロン棒付近になっていた。3コーナー付近で早々と先頭を奪って悠々とコーナーを通過できた昨年に比べれば、王者にとってもちょっと勝手の違う展開だったと言えるかもしれない。見方を変えれば、あっさり白旗を揚げた昨年のローエングリンと比較し、コスモバルクが抵抗勢力としてそれなりに渋太い存在だったと評価することもできるだろう。ただし、それがゆえに自身も自滅の道を選ばざるを得なかったわけだが・・・・。

一方、ゼンノロブロイは、手応えを失ったコスモバルクの斜行に進路を塞がれ、不本意なブレーキを踏む形に。それでも直線に入って体勢を立て直してきたが、この馬のセールス・ポイントというべき爆発的な瞬発力を発揮するには至らなかった。
神戸新聞杯や有馬記念のラップから、持久力勝負の展開でも速い上がりを駆使して対応できるとみていたが、さすがにここまで速いラップが連続する緊密な流れになると、減速状態から一気にトップスピードにまでギアを上げるのは難しい。結局、中団から勢いをつけて息の長い末脚を駆使してきた上位2頭の後塵を拝する不本意な結果に終わってしまった。
競馬に「たら・れば」は禁物ではあるが、残り3ハロン目の地点で先行勢のペースはやや落ち着いていただけに、そこで一気に最内から抜け出す戦法を取っていたなら、結果もまた違っていた可能性はある。

sweep_tosho_at_yasuda勝ったスイープトウショウ
前が崩れる展開が有利に働いたのも事実だが、安田記念の激走を再現するかのように、牡馬最強クラスを力でねじ伏せてみせた。この強さをもはやフロック視することはできず、4歳春にして、ようやく本格化を迎えたという評価こそが適切だろう。


ちなみに写真は、安田記念出走時のパドックで撮影したもの。こうしてポートレートを眺めてみても、胸前あたりの筋肉の隆起、トモの張りの素晴らしさが目を引く。当時はかの精鋭大師の直前を周回していたせいで目立たなかったが、ここにきての馬体の充実は著しいものがある。気性面の成長も大きく、ゲートで大暴れしていた3歳の頃が嘘のようだ。

牝馬としては39年ぶりの優勝とのことだが、本当に力のある馬なら性別のハンデなど無きに等しいことは、エアグルーヴやヒシアマゾン、ファビラスラフインといった歴代の女傑たちが既に証明している。今やこの馬も、それら先輩たちと肩を並べる域にまで到達したということなのかもしれない。

6月 28, 2005 競馬予想・回顧アーカイブ |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/33923/4738499

この記事へのトラックバック一覧です: 【宝塚記念回顧】波乱を生み出した極限の持久力勝負:

» 宝塚記念の結果分析 ☆スイープトウショウ!? トラックバック 競馬リーフ Keiba-Leaf@   
▼宝塚記念のラップタイムは次の通りです。 12.9 - 11.1 - 11.2 - 12.3 - 12.4 - 11.8 - 12.0 - 11.7 - 12.1 - 11.8 - 12.2 ▼ちなみに昨年の宝塚記念のラップタイムがこれです。 12.6 - 10.7 - 11.0 - 12.1 - 12.1 - 12.5 - 11.9 - 12.1 - 12.0 - 11.4 - 12.7  今年はシルクフェイマスが好スタートから先頭に立ってし... 続きを読む

受信: 2005/06/28 0:41:10

» 【宝塚記念回顧】地方の革命児は宝塚の破壊者に トラックバック Brain Squall 【ケイバノタワゴト】
【宝塚記念】(阪神)??女帝誕生!スイープトウショウが春のグランプリを制す 阪神... 続きを読む

受信: 2005/06/28 0:50:03

» スイープトウショウ 素晴らしい切れ味! トラックバック NEO Sense of Horse Life
宝塚記念 2005中央 スイープトウショウ(1着)、左 ゼンノロブロイ(3)、リンカーン(4)、少し離れて右 コスモバルク(12)写真提供:Sponichi Annex宝塚記念の回顧です。スイープトウショウの凄い切れ味の末脚!2強を完封!う〜〜ん、素晴らしかったです。牡馬に全然引... 続きを読む

受信: 2005/06/28 0:53:25

» 宝塚記念・回顧 トラックバック 気の向くままに思うまま
穴を開けるとしたらこの馬だと思い、▲スイープトウショウとしていましたが、まさかその通りになるとは。 でも、他の馬がボロボロだったので意味なし。 馬券買いに行かなくてよかったです、今日は。   それにしても◎コスモバルクはもう限界という説がアチコチから... 続きを読む

受信: 2005/06/28 1:58:08

» 宝塚記念回顧~そして競馬は続く トラックバック TADAのDATA
単勝11番人気のスイープトウショウが鮮やかな差しきり勝ちを収めた第46回宝塚記念 続きを読む

受信: 2005/06/28 2:27:14

» スイープトウショウちゃんすごい!「宝塚記念」結果・・・ トラックバック めかりんだいありぃ
いやー、タップどこいっちゃったんでしょうねえ。 ガックシ。 テンション低いとやっぱ、当たんないわ。 今年の春のG1はシックスセンスのおかげだったんだから。 なんかいやな予感はあったわけですよ。 調教、みんな褒めてたけど、ロブロイのほうが良く見えた・・・ 3連複の軸にするならロブロイだったね。 8歳の見えない疲れがあったのか。 先週もニホンピロサートの2連覇に期待して撃沈。 宝塚も2連覇難しいのね。... 続きを読む

受信: 2005/06/28 14:52:56

» 宝塚記念回顧 トラックバック 失われた時を求めて
う~ン、何とも面白いレースでした、3連単で17万ですか、つきませんねぇwって、ス 続きを読む

受信: 2005/06/28 20:32:10

» 押さえだけど的中! 宝塚記念回顧 トラックバック Re:F's blogroom
IPAT当日投票内容照会結果 受付番号:0211 受付時刻:10:05 受付ベット数:20 受付内容 件数 場名 レース 式別 馬組 金額 的中 (1) 阪神(日) 11R 3連複 フォーメーション 馬1:06,15馬2:01,04,06,09,11,15馬3:01,04,09,11 各100円(計1,600円) 的中 (2) 阪神(日) 11R 3連複 フォーメーシ... 続きを読む

受信: 2005/06/28 21:33:04

» 『宝塚記念【GI】』の回顧と戯言〜昨年の有馬記念の反動〜 トラックバック 駿平のこの馬に注目!!
もうすぐ暑〜い夏が到来!その前にまたもでるか夢馬券!大荒れ必死の福島競馬場!!!温泉に浸かって夢馬券を予想しよう!飯坂温泉 季粋の宿 新松葉飯坂温泉 喜久屋旅館<福島県>飯坂温泉 飯坂ホテル聚楽「結果論ではありますが・・・」Vol.57(宝塚記念)まずはポーン...... 続きを読む

受信: 2005/06/28 23:55:22

» 宝塚記念 回顧とか 蛇足とか トラックバック 役に立たない?競馬分析blog
【ラップ】 1000m通過59秒9は、近年と比較して、59秒5を切った03年や04年比べたら緩いものの、00年、01年よりは時計が速い。さほど特別なものではないだろう。しかしながら、3角通過順位が「先頭から6番手まで」だった馬のレース結果を... 続きを読む

受信: 2005/06/29 0:15:36

» 宝塚記念回顧 スイープトウショウ差し切り勝ち トラックバック かねぴ〜主任の徒然記
昨日は競馬の宝塚記念がありました。春競馬の総決算の古馬最強馬決定戦といった位置付けですが、タップダンスシチーとゼンノロブロイの古馬2強対決ムードが濃厚なレースになりました。天皇賞後のヒシミラクルとザッツザプレンティの2頭の故障引退、外国招待馬や天皇賞馬スズカマンボの不出走、安田記念組の出走も1頭のみで、注目の2冠馬ディープインパクトの登録も無かった事で盛り上がりに欠けてしまったことも否めませんでした。 1... 続きを読む

受信: 2005/06/29 18:54:34

» 宝塚記念の回顧(勝負は潔く,また一つ勉強する) トラックバック 最高10点,穴だらけ
真夏のグランプリレースである宝塚記念。今年で46回目のレースとなりましたが,勝ったのは前走安田記念2着のスイープトウショウ。第7回のエイトクラウン以来,39年ぶりの牝馬の宝塚記念馬の誕生となりました。 2着には,2004年の日本ダービー2着馬ハーツクライ。京都新聞杯以降1年以上も勝ち鞍がない状態が続いていますが,今回の走りは日本ダービーを彷彿とさせるような活力溢れた走りだったと思います。一方,「2強」のタップダ�... 続きを読む

受信: 2005/06/30 23:12:36

コメント

今回の宝塚記念を見て,スイープトウショウはキングカメハメハやエルコンドルパサーに続く,ミスタープロスペクター系産駒の芝での超一流馬かなと思ったのですが,「ミスタープロスペクターの血を持つ馬は,緩みの無いペースに滅法強いのではないか」という思い,「芝の高速化は,ミスタープロスペクター系に有利」という思いも同時に持ちました。スイープトウショウ以前のエンドスウィープ産駒は,「早熟,スピード,ダート」が売りでしたが,考えてみればダートレースは基本的にワンペースで緩みが無いレースになりますし,短距離レースもまた然り。その意味では,今回のレースはスイープトウショウにとってお誂え向きだったのではとも思っています。

また,ゼンノロブロイが昨年の秋に中距離GⅠ3連勝できたのも,母の父からつながるミスタープロスペクターによるところが大きかったのではと思いました。キングカメハメハの日本ダービーの勝利は近年稀に見る異常なハイペースによるものでしたし,エルコンドルパサーにしても毎日王冠でサイレンススズカの逃げに臆するところ無く追走できていましたし,サイレンススズカも母の父ミスワキを介してミスタープロスペクターを持っていました。

このミスタープロスペクター,祖父には22戦21勝2着1回のネイティヴダンサーがいます。そのネイティヴダンサーをミスタープロスペクター同じように祖父に持つオグリキャップは1989年ジャパンカップでは勝ったホーリックスの2分22秒2とタイム差なしの2着に入ってきましたが,今回の宝塚記念を見て,ネイティヴダンサーの力があればこその劇走だったのではないかと考えるようになりました。と同時にネイティヴダンサーのプラスの力を強く受けている馬が,現代の日本の超高速競馬にマッチしているのではないかという思いが出てきています。

血統の話ばかりで申し訳ないですが,今回の宝塚記念はいろんな意味で指標となるレースだったのではと思いました。

投稿: 真流 | 2005/07/01 0:25:12

真流さん、たいへん興味深いコメント、ありがとうございます。
日本では短距離のダート血統という先入観が定着してしまったミスプロ系(特にフォーティナイナー一族)ですが、なるほど、配合次第では中長距離路線の大一番でも通用する大物が出てくるようですね。ミスワキやキングマンボに関しては、今までも例外扱いされる傾向がありましたが、ネイティヴダンサーまで遡るなら、もっといろんな可能性を語ることができそうです。
真流さんは「緩みの無いペース」への適合性という点に注目されていますが、私はあの末脚の持続力はいったいどこに由来しているのか?と考えていたところです。母父ダンシングブレーヴの特性?いやいや、確かにそれだけでは断言しきれないサムシングがありそうですね。

実は、芝の大レースにおけるミスプロの可能性に関しては、個人的にも密かに期待しているところがありまして、ひとくちクラブでも母父ミスタープロスペクターのサドラーズ産駒に大枚をはたいた経験があります。その馬、現在は転籍した岩手競馬の最下級条件でくすぶっていますが・・・・(爆)体質さえパンとしてくれば、ミスプロから補給される良質のスピード持続力でサドラーズの鈍重さをカバーしてくれるのでは?と、いまだに楽しみにしております。ではでは。

投稿: 山城守 | 2005/07/01 0:56:21

コメントを書く