« スタジオ演劇「そのまま!」をみた | トップページ | 【京王杯スプリングC】高松宮記念組不振の理由を考える »

2005/05/10

【NHKマイルC回顧】傑出したセンスと決め手が勝因に

winner_fukunaga祐一、楽勝じゃん・・・・!」 
東京競馬場・新スタンド前、ゴールまであと100メートルの地点。直線でアッという間に抜け出し先頭に立った桃色の勝負服が目の前を通過していくと、思わず絶句するかのように誰かの叫び声が後ろで響いた。どうやらラインクラフトを軽視をした馬券を買ってしまった人らしい。さらに2~3馬身後方から必死に追いかけきたのは黄色い勝負服の牝馬。

まるで桜花賞の再現だペールギュントも、マイネルハーティーもやってこない。そんな場面をまったく想定していなかったのか?冒頭の絶句に続く誰かの声は、遂に聞こえてこなかった・・・・

ディープサマービッグプラネットがお互いの出方を探り合ううちに、伏兵エイシンヴァイデンがペースを握って、前半1000メートルの通過タイムが59秒台。例年なら57秒台のハイラップが当たり前のこのレースにしては、異例ともいうべきスローペースになった。前半58秒フラットの桜花賞を経験しているラインクラフトにとっては、拍子抜けするようなゆるい流れだったのかもしれない。
流れが速ければもう少し後ろの位置取りも考えていた」という福永騎手。それでも、スローになればなったで、スンナリと理想の位置を確保できるセンスが、この馬の真骨頂である。発馬直後にすかさず先行勢の直後・4番手につけると、まったくロス無く道中を運び、直線では最内から一気に鋭伸。3ハロン33秒6と出走馬中最速の上がりを繰り出し、後続を完封してしまった。

あまりにも鮮やかな勝利を評し、馬場の内目を通る馬が止まらないトラックバイアスが働いていたのでは?といぶかる声もあるかもしれない。だが、9レースでは馬場のど真ん中から伸びてきた馬の差し切りが決まっているし、福永騎手も「馬場の外目がいいのはわかっていた」と発言している。すなわち、この日の馬場は、基本的に内・外の有利不利が少ない条件であったとみるべきだ。それだけに勝馬の決め手とセンスの高さは、この時期の3歳馬としては、牡馬・牝馬を問わず傑出していると素直に評価できる。馬群が比較的密集していた分、その他の有力どころが勝負所でスムーズさを欠いたことを思えば、鞍上の好騎乗も勝利に大きく貢献したといえるだろう。

それにしても勝馬を含む上位3頭がいずれも、マイルを越える距離の出走経験を持たない馬たちで占められたことは、今年のレースの特殊性を象徴している。通常、スタミナ寄りの持続性能が要求されるといわれる府中の千六コースだが、スローペースに落ち着いた今年は、むしろ千四に近い決め手比べの競馬になったといえる。特にゴール前で尻尾を振る仕草をみせ苦しがっていたデアリングハートや、前と脚勢が同じになってしまったアイルラヴァゲインは、本格的マイラーというよりも千二~千四の距離がより向いているのでは?という印象を強くした。また、前走・ニュージーランドT上位組は、結局見せ場すら作れなかった。これでは、桜花賞等その他の路線との比較で、レースレベルそのもののが劣っていたという誹りを受けても、やむを得ないだろう。

以下、各馬の次走以降に向けてのメモを少々。

1着 ラインクラフト・2着 デアリングハート
line_craft_and_daring_heart
フィリーズR、桜花賞に続き、またしてもワンセットで上位へ。オークスに向かったシーザリオの存在を度外視すれば、この2頭、何となくオペラオー・ドトウ的なムードすら漂うコンビに成長してきたといえるかも(笑)
力関係なら対戦成績4戦4勝のラインクラフトが優位であることは当然だが、デアリングハート自身、この好敵手をかなり強く意識しているフシがある。今回の戦いも、パドックからはじまっていた。時折、物見もしながら落ち着いて周回を重ねるラインクラフト。その直後から、ライバルに対する闘志をむき出しにして、デアリングがグイグイ迫っていくといった感じ。「いつかあなたを倒してみせるわ・・・」 まるでスポ根ドラマの登場人物がつぶやくそんな台詞が聞こえてきそうな雰囲気だった。
レースでも、デアリングハートの手綱をとる後藤騎手は、終始ラインクラフトをマークする位置取りで競馬をすすめる。牡馬勢との力関係はわからなくても、ラインクラフトを倒さないかぎり上位進出はあり得ないこの馬にとっては、これしかないという戦法だろう。スローペースになった今回は、結果的にその策がズバリ奏功した。しかし、目標としていた打倒ラインクラフトは、今回も果たせずじまいである。4角を回す際の内・外コース取りの差もあっただろうが、ゴール前の脚勢をみるかぎり、現時点の力差はかなりハッキリしていると言わざるを得ない。
しかし、これ以降も両者が同じレースに出走してくるなら、そのライバル関係には大いに注目しておきたい。反面、デアリングハートの場合、ひょっとして好敵手がいないレースになると、抜け殻のように力を発揮できないタイプという可能性もあるが。

7着 ビッグプラネット
big_planet_nhkパドックのなかでも、最も馬体の良さが目立っていたのがこの馬。筋肉質で見栄えのする馬体からは、とても450キロ台の馬とは思えないほど雄大な印象を受ける。デビュー後わずか2戦にして重賞を制している素質は、やはり伊達ではないと感じた。
その一方で、終始カリカリしながら周回していたように、燃える気性が能力発揮の妨げになっているのも事実だろう。今回はレースにいって、うまく2~3番手に控える競馬ができたかに見えたが、直線では上がり勝負に対応しきれず失速してしまった。やはりまだ、余計な力みが残っているということなのだろう。
とはいえ、そのスケールの大きさは、かなりの将来性を感じさせてくれるもの。気性面での課題が無事克服できるなら、先行力を武器に重賞戦線でも上位常連にまで成長していきそうだ。

5月 10, 2005 競馬予想・回顧アーカイブ |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/33923/4061603

この記事へのトラックバック一覧です: 【NHKマイルC回顧】傑出したセンスと決め手が勝因に:

» NHKマイルC回顧 トラックバック JRA攻略百年構想
 まさか桜花賞の1、3着馬でワンツーしてしまうとは思わなかったが、終わってみれば別に意外な感じでもなかった。3冠馬の出る年は世代レベルが低いと言われたりするが、桜2着のシーザリオが寒竹賞で後のスプリングSや若葉Sの勝ち馬を下していることも含めて、今年の牡... 続きを読む

受信: 2005/05/10 1:10:13

» ラインクラフトがGI連覇達成,NHKマイルカップの回顧 トラックバック Sonomama! x2 blog
ラインクラフトが桜花賞に続いてGI連覇を達成。マイルでは牡馬,牝馬を問わずに同世代最強であることを証明しました。展開に助けられた部分はあるものの,流れに左右されずにレースができる安定感が同世代では大きな強み。今後は古馬相手にどこまで通用するかが楽しみです。   鉄ウ本 1着 ー△△ ラインクラフト 2着 ーーー デアリングハート 3着 ーー▲ アイルラヴァゲイン 4着 ー▲◎ ペールギュント 5着 ー△ー セイウンニムカウ (鉄人は予想無し) 勝ちタイム1:33.6 上がり3F... 続きを読む

受信: 2005/05/10 1:29:41

» NHKマイルC・回顧 〜 ・・・ 〜 トラックバック 気の向くままに思うまま
何も語る事はございません。ラインクラフトを見くびり過ぎていました。春はこの馬にヤラレた感が強いです。まだ終わってませんが。つーか、上がりで33秒台を使えない馬はお話しにならないというレース。レベルが低かったわけでもなさそうですが、牝馬が1・2フィニッシュって... 続きを読む

受信: 2005/05/10 1:34:53

» NHKマイルC 結果 トラックバック Racing Blog 2005
NHKマイルCは予想したとおり前半の流れが楽な展開で、後方組は為すすべがなかった。逃げると思われたディープサマーが、距離の不安もあっただろう、無理には逃げず、ビッグプラネットも全く行く気はなかったようだ。間隙を縫って先頭に躍り出たのはエイシンヴァイデン、この... 続きを読む

受信: 2005/05/10 1:43:16

» 万券ゲットだが トラックバック ウマと株の日々
                                            有馬記念以来の... 続きを読む

受信: 2005/05/10 3:30:05

» 新たな歴史-NHKマイルC結果 トラックバック [的]競馬ニュース的ブログ
エイシヴァイデンが逃げ、ビッグプラネットが3番手、ラインクラフトが4番手の内、アイルラヴァゲイン中団、 続きを読む

受信: 2005/05/10 5:29:56

» 女は強かった_| ̄|○(マイルC回顧) トラックバック 失われた時を求めて
NHKマイルCをゴール前で観て来ました、どのくらい入っていますかネ、あれで10万 続きを読む

受信: 2005/05/10 9:36:15

» 女は強かった_| ̄|○(マイルC回顧) トラックバック 失われた時を求めて
NHKマイルCをゴール前で観て来ました、どのくらい入っていますかネ、あれで10万 続きを読む

受信: 2005/05/10 9:38:13

» NHKマイルカップを回顧(静かで,大きな「異変」) トラックバック 最高10点,穴だらけ
今年で「第10回」という節目を迎えていたNHKマイルカップ。創設初期の「○外ダービー」というイメージから大きく変わりつつあるNHKマイルカップでしたが,そんなNHKマイルカップの10年目の優勝馬となったのは,桜花賞優勝馬のラインクラフト。ついにクラシックを制している馬が,既にGⅠを制している馬がNHKマイルカップを制すことになりました。 また,2着には桜花賞3着馬のデアリングハートが入り,NHKマイルカップ史上初めて... 続きを読む

受信: 2005/05/10 17:44:32

» 5連複があったらな〜NHKマイルC(G1)回顧。 トラックバック お馬な日々
NHKマイルC当日。前週の天皇賞・春同様に仕事でした。残されるのは馬券の結果とレースリプレイだけの予定でした。 しかし、レースを観る事が出来たのです。 決して仮病で早退したわけでもなく、GW最終日に来客数がとても多かった為に昼休みを貰えたのが15時半。 急いでマンガ喫茶に出掛け、レースをリアルタイムで観られたのです。 サンデーサイレンス産駒のペールギュントが1番人気でしたが、私の馬券に絡む今年のサンデー... 続きを読む

受信: 2005/05/10 22:59:35

» ピックアップエントリー第2回 トラックバック トラナビ
回顧なくして成長なし!第2回はNHKマイルC回顧特集。 続きを読む

受信: 2005/05/11 0:11:10

» ◆侘び助ism◆『第10回NHKマイルカップ(GI)』結果◆ トラックバック 侘び助・・・
さてさて、遅ればせながら 先週の結果でも・・・ユーイチはイイねぇ〜・・・爽やかでっ・・・ですが・・・!?『春のG1天下一キルトクール武道会』の投票忘れてました!(+_+)・・・ハァ〜、まぁ下の方なんすけどねっ(=_=)サクッと、ツラ〜っと自分の結果でも。。。... 続きを読む

受信: 2005/05/11 6:40:42

» 「競馬場」でブログ検索してみました。 トラックバック 日刊カタログ
「 競馬場 」の検索結果で、「そのまま、そのままっ!! .. 」さんを紹介させていただきました。つながり系サイトです。 続きを読む

受信: 2005/05/12 11:46:46

コメント

レースセンスも「強さ」であると、改めて感じたレースでしたね。それにしても、あれだけのスローペースの割には勝ち時計は一応このレースの水準には達しているわけで、上位1~3着馬くらいまでは、これからも期待できそうな気がしています。

投稿: BIRD | 2005/05/10 2:13:41

相変わらず読みやすくて説得力のあるレース回顧、感服しております。

日曜は家でテレビ観戦だったため、てっきり馬場は内が有利だとばかり思っていました。
前日もインがやや伸びていましたし、外に出したアイルラヴァゲインの伸びがやや鈍ったようにも見えたので。
馬場の助けがないなら、ラインクラフトはやっぱりかなり強いと考えるべきなんでしょうね・・・。

投稿: kemkem | 2005/05/10 3:48:01

久しぶりにコメントしますが,山城さんのレース回顧は理路整然としていて,とても読み応えがあるなと思います。

さて今回のレース,着順に関しては割と納得している部分が多いのですが,内容が「?」です。特に3着に来たアイルラヴァゲインにはぶったまげました。イメージとしては1999年のシンボリインディみたいな感じでしたが,3着までマイル超の距離でレースをせず,しかもアイルラヴァゲインに至ってはマイルの連対すらないという始末。結果としては,スタミナ的に1400メートルをフルで走れればOKという感じがしました。

ただ,ラインクラフトは素直に強かったと思います。今後は秋華賞に出るみたいな話もありますが,牝馬相手の2000メートルまでならば勝機は十分と思う一方で,デュランダルの後継者がいっこうに出てくる気配のない短距離界の頂点を目指してほしいなと思います。

あとは,ビッグプラネット。現状としてはスピード,素質を持て余しているように思います。ちゃんと成長してくれれば,世代のトップに君臨しても不思議ではない気がします。

投稿: 真流 | 2005/05/10 18:11:57

BIRDさん、コメントありがとうございます。
ラインクラフト。鞍上の意のままに動ける強さが最大限生かされた競馬でしたね。
オークスに出走しても十分対応できると、個人的には思っていましたが、シーザリオとの鞍上の兼ね合いもありましたし、NHKマイル出走は確かに英断なのでしょう。

投稿: 山城守 | 2005/05/11 6:49:09

kemkemさん、コメントありがとうございます。
確かにインを通る馬が止まらない馬場だったと思いますが、東京コースだと雨上がりに出現する例の現象が出ていたとまではいえないかな?オーバーシードされたイタリアンライグラスの草丈が伸びている印象を受けましたが、かなり時計が速いので、内外を問わず野芝の根付きも順調なのではないかと思います。
いずれにせよ、内有利の馬場で上位に食い込んだ昨年の天皇賞(秋)1~3着馬が、それ以降大活躍したことを思い起こせば、NHKマイル上位馬にも、今後注目が必要ですね。

投稿: 山城守 | 2005/05/11 6:55:43

真流さん、コメントありがとうございます。
確かに今年のNHKマイル、スローペースが影響して、「千六の力比べ」というよりも、「千四の瞬発力勝負」の様相を呈していたと思います。2~3着馬は本質的に千四ベストの馬という印象ですし・・・・。とはいえ、ラインクラフトに関しては、距離・展開を問わずかなり柔軟性が高そうな馬ですから、これ以降もG1戦線で活躍できるだけの器でしょう。
あとはビッグプラネット。決め手比べの展開になっては、現状あれが精一杯でしょう。馬体をみるかぎり、G1の1つや2つ取れそうな素材だと感じましたが、気性の成長も含め、長い目で見ていきたい1頭です。

投稿: 山城守 | 2005/05/11 7:04:12

コメントを書く