« 無線LAN、行き当たりばったり(後編) | トップページ | 【阪神大賞典】コース実績ならサクラセンチュリー上位 »

2005/03/17

草の根競馬-もう一つの可能性を考える

local_race今週号の週刊競馬ブック。コラム一筆啓上に、山野浩一氏「地方競馬の機構上の問題」と題して、興味深い意見を寄稿していた。山野氏いわく、地方競馬の全国組織NARとは競馬に対しても相応の理解を持つ農水省に連なる組織、一方で地方競馬そのものを主催しているのは総務省が管轄する各地方自治体。総務省も自治体も、文化としての競馬存続を考えるような立場にはなく、競馬廃止の問題に対して農水省やNARはまったく手が出せない・・・・この競馬運営に関わる機構上の不統一というか、ゆがみのようなものが、現在の地方競馬の苦境をもたらしている一因になっているのではないかと。 (※写真は水沢競馬場:本文とは無関係です)

なるほど、競馬という「ソフトウェア」にそもそも理解・関心をもたない主催者ならば、「ハードウェア」としての事業の効率(結果)のみに目がいってしまうのも、当然というべきかもしれない。
財政競馬のタテマエから、金の卵を生めなくなった鶏は一刻も早く処分すべきという、各地の自治体の姿勢がまさにこれである。老朽化した競馬場にテコ入れするよりも、ショッピングセンターにでも転用したほうが手っ取り早く税収を期待できるし、住民からのウケもよいのだろう。そんな流れに歯止めをかける手立てを見いだせないまま、今年も、各地の地方競馬場は存廃の瀬戸際まで追いつめられることになっていく・・・・・
しかし、その一方で山野氏は、こんな面白いエピソードも紹介している。

戦中には正式な馬券発売すら認められていない地方競馬が全国で百ヵ所以上も開催されていた。どこも年に数日だけの開催だったが、競馬開催日はなかなかの賑わいを見せていた。こうした環境は外国の地方競馬のあり方に似ている。当時は軍馬供給を目的として農林省管轄の帝国馬匹協会の下で各地の畜産組合(今なら畜産農協のような存在だろう)によって開催されていたものだった。そこには一貫した競馬に取り組む組織体系があったことは確かだろう。  ~週刊競馬ブック・一筆啓上 山野浩一氏のコラムより引用~  

文字通りの草競馬である。映画「シー・ビスケット」でも描かれているような、生き生きとした馬追いの光景。それが全国各地で活況を呈し、人々の関心を集めいていた時代があったのだという。軍用供給云々という大義名分があったからこそ実現できた仕組みかもしれないが、それはおそらく当時でもタテマエのお話。実際に人々を惹きつけていたのは、生身の馬が全力で駆けるレースの迫力であり、馬券の楽しさであったことだろう(たとえ正式発売が認められていなくても、それに類する馬券的な仕組みは何らかの形で存在していたのではないか?)また、年に数日という開催頻度から想像してみると、それは日常的に開催される競馬というよりも、非日常的なお祭りに近い雰囲気で盛り上がっていたのかもしれない。
そんな各地の草競馬が、地元の畜産組合というマイナーな組織によって運営され、農林省所管の団体のもと、ゆるやかなネットワークを形成していたというところも面白い。
地方自治体による財政競馬という、がんじがらめのタテマエに縛られた今の地方競馬とは異なる、地域密着型のお祭りレース・・・・競馬のもう一つの可能性を感じさせてくれる夢のあるお話ではないか。

そんなことを考えていたところに飛び込んできたのが、群馬県伊勢崎市の境町トレセンで3月20日(日曜日)行われるという模擬レースのニュースだった。

高崎・宇都宮の北関東競馬廃止後、調教師たちを中心にしたグループが運営会社「レーシングホースクラブ伊勢崎」を設立し、競馬再興をめざして活動を展開しているという。当日、馬券は発売されないけれど、茂呂菊次郎、内田利雄騎手といった北関東の名手たちも参加してレースのほか、調教師による馬の見方教室など様々なイベントが行われる。まさに「草の根競馬」「お祭りレース」である。
JRAと自治体以外の組織による競馬主催を認めていない今の仕組みのもとで、競馬再興をめざし活動をつづけていくには、様々な障害があると思うが、こうして2度目になる模擬レース開催にこぎつけたことは素晴らしい。関係者の皆さまには、素直に敬意を表したいと思う。

<関連サイト>
■境町トレセン 模擬レース案内サイト(地方競馬に行こう!さん)
■新競馬場誕生へ! レーシングホースクラブ伊勢崎(馬券日記オケラセラさん)
■「新高崎競馬応援企画」(WEEKEND DREEMさん)
■新高崎競馬応援団さん

今後は、馬券発売をともなう本格的競馬の再開をどうやって実現していくかが課題になるだろう。ひとまず主催者からの運営委託という形をとるなら、法的にはそのこと自体可能なはず。
問題は、地域密着の草の根競馬という「実績」を積み重ねていくこと、さらにはそんな競馬文化に理解を示す「主催者」が現れるかどうか、それに尽きる。
正直、JRAや地方自治体にそれを期待するのは現実的でないという気がする。
個人的には、山野氏が指摘するように地方競馬の主催権を地方自治体から、農水省管轄のNARに戻すこと、さらにはNARを通じた各地の草の根競馬振興と、意欲ある運営者への委託を可能とするシステムを成立させていくことが、「もう一つの競馬の可能性」をより現実に近づける必須条件ではないかと思っているのだが・・・・。草の根といっても、最後は政治の力が必要なのかと考えると、ちょっと悔しいけど仕方がない。

個人的には、所用で伊勢崎まで足を運ぶことは叶わないが、20日の模擬レース、当サイトでもしっかり注目させていただきます!

3月 17, 2005 岩手競馬, 日記・コラム・つぶやき |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/33923/3337859

この記事へのトラックバック一覧です: 草の根競馬-もう一つの可能性を考える:

» ニホンピロウイナー急死 トラックバック 失われた時を求めて
「【競馬】ニホンピロウイナー急死、歴史的マイラー」とでました、25歳ですかちょっ 続きを読む

受信: 2005/03/17 23:59:25

» 新競馬場誕生へ! レーシングホースクラブ伊勢崎 トラックバック 馬券日記 オケラセラ@馬耳東風
去年暮れに廃止になった群馬・高崎競馬場。 その調教施設を利用して、新競馬場をつくろうという動きが始まっています。 伊勢崎市にある境町トレーニングセンターは 馬... 続きを読む

受信: 2005/03/18 1:15:45

» 3/20新高崎競馬第二回模擬レース 茂呂、赤見、内田利、三井騎手参加予定 池袋、境町から送迎バス有り。 トラックバック 地方競馬に行こう!
境町競馬第二回模擬レースイベント、まとめページはこちら。 2003年3月3日足利競馬、2004年12月31日高崎競馬、2005年3月14日宇都宮競馬、北関東競馬... 続きを読む

受信: 2005/03/18 1:48:39

» 『模擬レース』に宇都宮所属の内田・三井騎手も騎乗予定!(速報) トラックバック 新高崎競馬応援団――3月20日模擬レース開催!「新高崎競馬ファンクラブ」募集のお知らせ 会費無料
3月20日の『第2回 模擬レース』の騎乗予定騎手が決定しました。高崎からは、もちろん茂呂騎手、高崎競馬最後のレース勝利騎手である赤見騎手が騎乗予定です。久しぶり... 続きを読む

受信: 2005/03/18 3:11:22

» 新高崎競馬情報:第2回模擬レース「レーシングホースクラブ伊勢... トラックバック ahorsewithnoname
3月8日付けの記事でも取り上げましたが、旧高崎競馬(昨年末廃止)に代わる新しい競馬の創設を模索する新高崎競馬応援団さんが高崎競馬境町トレーニングセンター(群馬県... 続きを読む

受信: 2005/03/18 3:20:26

» 試み-レーシングホースクラブ伊勢崎 トラックバック [的]競馬ニュース的ブログ
15日に宇都宮競馬が廃止になり、これで北関東の地方競馬の火が消えた。 そういう中に 続きを読む

受信: 2005/03/18 5:17:32

» 夢はかなえる為にある。 トラックバック ヨハンソンの徒然草
 新高崎競馬応援団が“レーシングホースクラブ伊勢崎発足記念”として行う第2回模擬レースの内容が正式に決定したようです。  まず、模擬レースは1鞍。  出... 続きを読む

受信: 2005/03/18 5:21:43

» 新高崎模擬レース出走予定馬及び予想 トラックバック 劇場の基本的には競馬日記blog版
新高崎競馬模擬レース「レーシングホースクラブ伊勢崎記念」の情報です。 出走馬と騎手が仮確定しました(変更ありうべし)。今のところ以下のとおりとなっています。 ... 続きを読む

受信: 2005/03/19 1:55:57

» 今日、第2回の模擬レース トラックバック F’s blogroom
 境町トレセン(旧高崎競馬トレセン)での模擬レースが、今日開催されます。私も行ければ行きたかったが、諸事情が絡んで行けないのがちょっと残念。  競馬ブック... 続きを読む

受信: 2005/03/20 8:35:23

コメント

ご無沙汰しています。トラックバックありがとうございました。
伊勢崎には1930年、競馬場が出来、戦時中まで続いていたらしいです。きっとご指摘のような競馬だったのでしょう。
75年の時を越え、再び伊勢崎に競馬が帰ってくる、しかも、日本競馬の古く新しい形として…、御記事を呼んで、そんな光景を思い浮かべました。

事後報告になってしまい、大変失礼ではありますが、まとめサイトのほうでもリンクをはらさせていただきました。もし不都合がありましたら、landslide@siren.ocn.ne.jpまでよろしくお願いします。

投稿: landslider@地方競馬へ行こう! | 2005/03/18 2:38:44

良い記事をありがとうございます。
これからも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

投稿: 新高崎競馬応援団 | 2005/03/18 3:15:02

landsliderさん、新高崎競馬応援団さん。コメントありがとうございます。拙ブログの当初記事では、模擬レースの日時を3月20日(土)と記していましたが、これは致命的な間違いですね。誤解を与えるような情報をアップして申し訳ありませんでした。

正しくは、「3月20日(日曜日)12時より」
記事本文のほうも訂正しておきました。
所用のため現地まで足を運ぶことがかないませんが、大いに盛り上がることを期待しております。

投稿: 山城守 | 2005/03/18 12:47:27

山城守さん いつも興味ある記事ありがとうございます。
亀レスですが、高崎は知事だか市長だかが「万策尽きた」と言ったとのことでしたが、事実はまだまだ努力が足りなかったようですね。正確には「我々の浅知恵では万策尽きた。」ということかもしれませんが・・・
これからも、笠松・高知・岩手・北海道と続々廃止への道程が続いているとの話を聞きます。いろいろ再建の方策はあろうかと思いますが、一つはライブドアなどと提携してネットを活用した購入機会の増大ということでしょうが、せっかく地方行政が関与してるんですから、たとえばパチンコ屋や風俗営業などの許可範囲を狭めて場外売り場周辺に限定し、ラスヴェガスのようにギャンブル地域を決めてしまうのも一つの方法かもしれません。そうすれば、地方競馬の意義が青少年の健全育成のためという屁理屈もつくことになり、行政が関与する意味合いも深まるかもしれません。

投稿: 雲國 齊 | 2005/03/25 22:27:00

雲國齋さん、コメントありがとうございます。
パチンコ屋の営業場所規制は、個人的には賛成です。しかし、かの業界と警察の関係から実現は難題?という気もしますね。
日本型カジノは、そろそろ国会に法案が提出されるらしいです。

投稿: 山城守 | 2005/03/27 13:34:38

コメントを書く