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2004/11/29

【JC回顧】オグリを彷彿とさせたコスモバルクの変貌

決着時計2分24秒2。コース改修後のレコードを記録したキングカメハメハのダービーと比べてしまうと、1秒近く遅いタイムではある。だが、マグナーテンの刻んだ絶妙のミドルペースから、直線に入って力と力のぶつかり合いになったレース内容は、なかなか見応えがあり、歴代JCと比較しても遜色ない名勝負だったと思う。テイエムオペラオーが王者に君臨していた数年前よりも、日本馬のレベルは着実にアップしていることを改めて実感した。少なくとも上位に入線した馬に関しては、巷間言わるような「小粒」という評価は、当たっていない
Photo:(C)Horses.JP(この画像の無断転載・複製はご遠慮ください)

爆発的な瞬発力で他を圧倒したゼンノロブロイも強かったが、今日の注目は、なんと言ってもコスモバルクの変貌ぶりだろう。走破時計そのものは、ダービー7着時とほとんど同じ水準。しかし、レースの内容は、当時と比較し雲泥の差と言っていいほどの進境を示している。鬼門と言うべき第1コーナーを無事クリアすると、マグナーテンから数馬身離れた2番手で折り合い、勝負どころでもギリギリまで追い出しを我慢。鞍上の指示に忠実に応え、持てる力を存分に発揮しようとする姿勢は、これまでのバルクにはなかったことだ。
そんな気性面の進境が、戦前囁かれていた距離不安を克服し、ポリシーメーカーとの叩き合いでも渋太く差し返す粘りにつながった。じゃじゃ馬ダンスインザムードさえ手の内に入れてみせたルメール・マジックの面目躍如といったところだが、その影には、この馬の激しい気性の矯正に粘り強くとりくんだ厩舎陣営の努力があったことだろう。
長距離輸送と環境変化、レースに行けば激戦に次ぐ激戦と、並の馬なら壊れてしまうような厳しい条件のもとにあっても、馬体はさらに逞しさを増しており、この怪物が心身ともに充実期を迎えつつあることは明らかだ。次走・有馬記念に向けては大井競馬場に滞在し調整をすすめるプランのようだが、今のコンディションを維持することさえできれば、好勝負は可能だろう。天皇賞・JCで跳ね返されたタマモクロスという古馬王者の壁を、有馬記念で逆転してみせた4歳当時のオグリキャップの姿がオーバーラップしてくる・・・・といったら、誉めすぎだろうか。

以下、出走各馬の次走に向けてのメモを記す。

1着 ゼンノロブロイ
ベストの距離は2000メートルと思っていたが、2ハロンの延長も何のその。
ギリギリまで追い出しを我慢したペリエの好騎乗が、天皇賞(秋)とまったく変わらぬ凄まじいばかりの瞬発力を引き出して見せた。一瞬にして他馬を突き放してしまう非凡な脚力は、歴代JC王者と比較しても、上位に評価できるもの。
仮に次走以降、乱ペースや道悪など、この馬の決め手を殺ぐ要因が立ち塞がったとしても、目下の充実ぶりならもう大崩れは考えられない。タフなタイプで、故障の心配と無縁であることも心強い材料だ。当然、有馬記念の上位候補にランクされることになる。

3着 デルタブルース
馬体重マイナス14キロ。しかし、パドック映像で菊花賞当時の姿をあらためて眺めてみると、当時が太め残り、今回はむしろベスト体重での出走であるかのように思えてくる。中団から差す競馬でも渋太い脚を使えることがわかったのは収穫。順調なら来春、淀の天皇賞を勝利できる最有力候補にまで成長してきそう。

5着 ナリタセンチュリー
細めの造りだった天皇賞(秋)より、さらに馬体を減らしていたが、能力発揮には支障のない仕上がりだったとみたい。ゼンノロブロイをマークする作戦だったらしく中団から競馬をすすめていたが、一瞬の決め手という点で勝馬に見劣り、あっという間に突き放されてしまった。良い脚を長く使い台頭してくるタイプだけに、他馬をマークする戦法では持ち味が生きない。自分の競馬に徹してこそ、道は拓けるのだ。この馬を最もよく知る田島騎手の復帰を、激しく希望したい。

9着 ヒシミラクル
典型的な叩き良化型と言われ、今回もまだ復調途上という下馬評であったが、パドック映像をみて「おやっ?」と思った。きょろきょろと落ち着きがなかった天皇賞(秋)の気配と比べ、かなり本来の姿に近づきつつある印象を受けたのだ。レースに行っても、積極的に押して好位を取りに行く競馬。4角では外からコスモバルクに並びかけるガッツをみせ、見せ場をつくっていた。
元々、調教と実戦が一致しない、突然激走タイプの穴馬だけに、下馬評だけを信じて評価を下げることは禁物。昨年春の大活躍が蘇るかどうかはわからないが、晩成型のサッカーボーイ産駒だけに、もうひと花どこかで咲かす場面があっても驚けない。

10着 ハーツクライ
ダービー2着の激走が評価され、いまだ出走してくるたびに人気を集めるが、自らレースの主導権を握れぬモロさを今回も露呈してしまった・・・・。さすがにG1レベルになると、追込一手の戦法だけでは簡単に通用しないのだ。サンデー産駒ではあるが、神戸新聞杯などを思い起こしても、スローペースのヨーイドンが得意とも言えないようだし、ハイペース待ちの他力本願タイプ?に過ぎないといったら、評価を下げすぎだろうか。

13着 ハイアーゲーム
青葉賞の勝ちっぷりと、マンハッタンカフェを彷彿とさせる血統構成から、いまだに人気が下がってこない。だが、胴が詰まり気味の体形ひとつをとってみても、この馬は明らかにマンハッタンとタイプが異なる。大器晩成型という雰囲気はあまり感じられず、むしろ3歳春にしてピークを迎えてしまった早稲のタイプかもしれない。いずれにせよ、G1レベルでは今後も過信禁物だと思う。

11月 29, 2004 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (25)

2004/11/28

【ジャパンC】フランスラインの結束を見逃すな!

凱旋門賞やBCくらいは知っているし、シービスケットも映画館で観た。けれど、自分の場合、海外競馬に造詣が深いわけでもなく、正直に白状すれば、外国馬のことはよくわからない。欧州のチャンピオンクラスがコロッと負けたかと思えば、格下と思われた香港の伏兵が大穴を開ける・・・・まさしくJCの歴史とは、そんな驚きの積み重ねであり、過去の戦績から一定の傾向・対策を導き出すことも難しいだろう。下馬評がアテにならないことは、先週のラクティの例を引き合いに出すまでもない。
Photo:(C)Horses.JP(この画像の無断転載・複製はご遠慮ください)

しかし、海外からやってくるのは、何も馬ばかりではない。「人」というファクターに注目しレースのことを考えてみると、俄然おもしろい構図が浮き上がってくるのではないか?
最近よく参考にしている「コースの鬼!」を再読してみると、JCの頁に「外国馬以上に外国人騎手が怖い。とくに内枠に外国人騎手のトップクラスが固まったらびっちりガードされて日本人騎手が外を回らされる構図が見えてしまう」という面白い指摘があった。なるほど、土曜の東京競馬をみていると、上位にやたらと外国人騎手が食い込むレースが目立っていた。おなじみのペリエばかりではなく、ボニヤルメールスミスとカタカナ騎手が日本人を押しのけて、どんどん掲示板に進出してくるのだ。腕に覚えのあるこの男たち、人気馬ばかりでなく、盲点になりがちな伏兵までも高い技術で制御し、あっと驚くような波乱を演出するのだから、侮れない。

ちなみに、土曜の東京競馬に出走したすべての外国人騎手の単勝・複勝を100円づつ買い続けてみると、こんな馬券成績になるはずだ。


レース購入1着2着3着単勝的中複勝的中
2R  800円スミスペリエ田中勝920円280円
3R 1000円村田 ルメール江田510円
4R  400円ルメール柴田善勝浦190円140円
5R  600円北村宏ボニヤ吉田410円
6R  600円中館岡部北村宏
7R  400円木幡ペリエ五十冬160円
8R  800円スミスボニヤペリエ250円820円
9R  400円蛯名小野ルメール120円
10R 1000円五十雄ペリエパスキエ2210円
11R 1200円田中勝小野パスキエ430円
12R  600円北村宏二本柳ペリエ210円
合計 7800円3回 6回5回1360円5290円

1日トータルでの合計回収率は85%。単勝回収値こそ35とイマイチだが、複勝回収値では136とプラス収支を計上できた。個々の馬の能力比較を全く無視、さらには1レースあたりでの単勝多点買いもあり、という一見無茶な買い方だが、外国人騎手に注目するだけで、これほどの成績を残すことができるとは、ちょっとした驚きである。
ちなみに、第10レースでは1位に入線したルメール騎乗のハウズトリックス(10番人気)が失格降着になっているが、仮にこの馬が着順通り優勝したとすれば、外国人騎手購入時の馬券回収率はさらに向上する。合計回収率104%(単勝回収値115、複勝回収値93・・・・ちなみに10レースの複勝配当は最も低位なオッズを採用した)。何と1日を通じてプラス収支になってしまうのだ。

ところで、表中の黄色の箇所はイギリス水色の箇所はフランスからの参戦騎手を表示しているが、水色表示がやたらと目立つのが気になる。ペリエ・ルメール・ボニヤの短期免許組に、JC騎乗のため今週来日したパスキエ。さらに日曜日には、ジャルネ騎手がこれに加わり、何とフランス騎手だけで5人を数えることになる。このうち、JC(ターフ)には、ボニヤを除く4名が騎乗する。もうここまでくると、立派な軍団と呼んでも差し支えないのではないか。

JRA・HPなどで公開されている情報から、これらフランス勢5人に関するプロフィール・データを調べてみた。03年リーディングの成績が判明しているのは、以下の3名。もうすっかり日本でも、おなじみの顔ぶれだが、本国でもしっかりと好成績を残している。リーディング順位での対応関係や年齢から連想してみると、さしずめルメールはフランスの福永祐一ボニヤは四位洋文といったところだろうか。

オリビエ・ペリエ   31歳
 03年成績746戦109勝(仏リーディング4位
クリストフ・ルメール 25歳
 03年成績750戦 75勝(仏リーディング7位
ダヴィ・ボニヤ    31歳
 03年戦績760戦 73勝(仏リーディング9位
 
その他2名に関しては、こんなプロフィール。いずれも一流騎手であることには、間違いがなさそうだ。
ティエリー・ジャルネ 37歳
 04年戦績 78勝(6位)
ステファン・パスキエ 26歳
 04年戦績 90勝(4位)

フランス軍団が、他国から来日する外国人との比較でアドバンテージを有しているのは、やはり日本の競馬を知り尽くしたペリエの存在が大きい。彼が、リーダー格になって、ルメール、ボニヤらと相互に緊密な情報交換を行っているのは想像に難くないし、日本の調教師との関係でも他のフランス人騎手との橋渡し役を務めているようである。
サウスニアRHのホームページなどを見ていても、土曜のメイン、ペリエからパスキエに乗り替わったスターリーヘヴン(高市厩舎)について、ペリエが「最近になって腕をあげてきた騎手」とパスキエを調教師に紹介するエピソードがあった。ところがレースになると、ペリエがバスキエをいやらしく突っつき回したようで、軍団内部の人間関係がどうなのか?よくわからなくなるが(笑)それでもペリエが日本で築き上げた人脈・情報網の恩恵に他のフランス騎手が浴しているのは間違いない。

さて、そのフランス軍団、JC(ターフ)に騎乗してくるのは、以下の顔ぶれである。

 ペリエ  ゼンノロブロイ   美浦・藤沢和雄厩舎
 ルメール コスモバルク    道営・田部和則厩舎
 バスキエ ポリシーメーカー  仏国・ルルーシ厩舎
 ジャルネ リュヌドール    仏国・ギブソン厩舎

ペリエ・ルメール・バスキエの3人が比較的先行力のあるタイプに騎乗。さらには、ゼンノロブロイと同厩の藤沢厩舎からは、マグナーテン岡部騎手鞍上でエントリーしていることが注目される。
おそらく、ペリエは岡部騎手をペースメーカーに、好位を確保することを心がけるだろうし、ペリエのラインに繋がるルメール・バスキエも、ゼンノロブロイの位置を目安にしてガッチリと好位を固めてくる戦法だろう。岡部騎手のほうも、ゼンノロブロイの距離適性を十分承知しているので、前半からスタミナを消耗するような無茶なペースで飛ばしていくことはない。コスモバルクが暴走する展開にでもならないかぎり、レースは淡々としたペースで流れていくと想定できるのではないか?

これに対し、武豊・柴田善・横山典ら日本勢の有力どころはいずれも後方から行かざるを得ない脚質だし、英国・愛国勢も大外枠を引いてしまった。こうなると、外を回されるこれらに対し、好位のインをガッチリ固めているフランス軍団は終始レースの主導権を握れる分、俄然有利といえそう。直線先に抜け出すのは、ゼンノロブロイか?コスモバルクか?ポリシーメーカー・リュヌドールが勝ち負けできるほど甘いレースではないと思うが、勝利の栄冠は、フランス人騎手の頭上に輝く公算が高いと考える。

結論
◎コスモバルク
○ゼンノロブロイ
△ナリタセンチュリー
△デルタブルース
注ハーツクライ
注ホオキパウェーブ
注ハイアーゲーム

エリザベス女王杯・マイルCSの結果をみても、天皇賞(秋)上位組のレベルが高かったことは一目瞭然。常識的には、古馬の実績ナンバーワン・ゼンノロブロイを本命にすべきなのだろうが、天皇賞以上に底力が試される2ハロンの距離延長はやはり課題になる。もちろん大崩れは考えられないが、ロブロイの持ち味である決め手に若干のかげりが生じるなら、3歳の大将格=コスモバルクにもチャンスは十分と判断したい。

バルクの課題は、控える策で折り合いがつくかどうかの一点のみ。先週、じゃじゃ馬ダンスインザムードを手なづけてみせたルメールの手腕がこの課題をクリアするなら、能力で距離も克服してくれるだろう。55キロの斤量利は大きいはずで、直線ロブロイと叩き合う展開に持ち込めれば、しめたものだ。

ナリタセンチュリーは、能力的にゼンノロブロイと遜色なく、ここでも勝ち負けできるレベルにまで成長していると思うが、この馬を最もよく知る田島騎手からの乗り替わりはやはり不安材料。後方から、外外を回される不利に泣く可能性は高く、本命にはちょっと推せない。
以下では、菊花賞馬を筆頭とする3歳の有力どころが連下候補。

外国勢で上位進出の可能性を残すパワーズコートは、BCターフ3着といっても、小回りの競馬場で先行利に恵まれた印象もある。本格的コースの府中で即通用となると??右に左に斜光しまくる悪い癖があるようなので、他馬の迷惑にならなければよいのだが・・・・。

おまけ
JCダートの予想
◎アドマイヤドン
○タイムパラドックス
△ユートピア
△ナイキアディライト
△シロキタゴッドラン
△クーリンガー

こちらも、日本勢上位独占を期待。
馬券的には、◎○のワイド1点か、◎○軸の三連複を予定。

11月 28, 2004 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (9) | トラックバック (48)

2004/11/26

「バッテリー」~13歳の地図はハードボイルドワンダーランド

4043721021.09.LZZZZZZZ.jpgこんなものを買った。-ムダ遣い日記-さんの書評をみて、面白そうだなと思っていた文庫本である。出張の途中ふらりと立ち寄った書店で「バッテリー」「バッテリーⅡ」の2冊を思わず衝動買いしてしまった。
こんな傑作を読んでこなかったのかと猛烈に反省-北上次郎」「これは本当に児童書なのか!?」という刺激的な宣伝文句に煽られ、期待して頁をめくってみたが、帰り道の新幹線ではやくも1巻目を読了。2巻目も読み出したらもう止まらない状態である。なるほど、これは傑作です馬券オヤジの北上次郎氏(=藤代三郎氏)を唸らせるだけのことはある。宣伝文句に偽りはなかった。

舞台は、岡山・広島県境に位置する山間の地方都市。中学入学を目前に控えた主人公・原田巧が、春休みにこの町に引っ越してきたところから物語は始まる。まだ13歳の少年なのに、プライドの強さで周囲との軋轢も厭わない主人公は、卓越したピッチャーたりうる天賦の才に恵まれいる。この年齢にして、身体的にも精神的にも、投手として成熟し完成されているのだ。そんな巧が、同級生のキャッチャー(永倉豪)と出会い、バッテリーを組む。キャッチャーは大きな身体に似つかわしくないほど、他者の気持ちを思いやる繊細な心根をもった少年だ。好対照の性格でも、意気投合した二人は、短くも印象的な春休みの体験(第1巻)を経て、中学校野球部の門を叩くが、そこで思いも寄らぬ現実と直面していく(第2巻)

こんなふうに紹介していくと、水島伸司の痛快野球マンガみたいなストーリーと思われるかもしれないが(笑)物語の手触りは全く異なる。全体を通底しているのは、児童文学とは思えぬほど、ドライでハードボイルドな感触だ。以下に引用する主人公=巧の世界観を表現した文章に、そんな感触がよくあらわれていると思う。

野球というのは、もっとかわいてサラサラしたものだと巧は思っている。どこにどんな球を投げこんだら、バッターをひとり打ちとれるか。どんなスイングをして一球を打ちかえすか。どんなダッシュをして飛んできた球をとらえるか。そういった技術を高めていく。高い技術をからませてひとつの試合を造っていく。色あざやかな糸で美しい布を織るように、丁重に造りあげていく。そこには、さみしいだろうとか気を悪くしたかななんて心づかいは無用だと思う。ごちゃごちゃした感情はいらないのだ。むしろ邪魔になる。 ~「バッテリー」角川文庫版より引用   

合理主義的でムダがない。反面、人間的な温かみのようなものはバッサリと切り捨てられており、人によっては傲慢という印象を与えてしまうかもしれない。でも、スポーツに対する見識として、もう何も付け加えることがないほど完成されていると思うし、自分自身、こんな物の見方は決して嫌いではない。何よりも、精神主義的な臭いがまったくしないところが快い。

弱冠13歳にして、このようなストイックな思想を形成し、その裏づけとなる身体能力・才能までも備えてしまった主人公が、学校教育や日常という現実と衝突を繰り返していく。思うに任せぬ状況に直面しながら臆することなく、己を信じる気持ちだけを拠り所に正面突破を試みる姿を描いた物語は、型破りで新鮮である。
天才投手といえど、素顔は中学1年生になったばかりの少年。迷ったり、傷ついたり、跳ね返されたり、仲間に助けられたりと、青春小説ならではの紆余曲折も、もちろんある。主人公を囲む仲間の少年や先輩・大人たちを見渡しても、いいヤツもいれば、悪いヤツもいる。現実は、なかなか手強く、思うに任せない。
しかし、巧自身は性懲りもなく、自らの確信をバネにして何度も立ち上がってくる。ハードボイルドなスタンスに揺るぎは感じられず、単なる少年の成長物語に収束していかないところが、この小説のひと味違う醍醐味だ。

作者のあさの氏がみずから「Ⅱ」の文庫版あとがきで述べているように、「自助の覚悟=自らを引き受けて屹立すること」という物語のテーマを、しっかり感じ取っていきたい。願わくば、それが読者の自分にとって、○○歳の地図をハードボイルドに突き進むための羅針盤となってくれることを!

<追記>
「バッテリーⅡ」の続編「Ⅲ」「Ⅳ」「V」は、教育画劇から単行本で発行されています。  12月には、角川から「Ⅲ」が文庫版として発売される予定ですね。

11月 26, 2004 日記・コラム・つぶやき, 書籍・雑誌 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2004/11/23

Bank Band「沿志奏逢」 限りなき欲望と対峙するコンセプトアルバム

11月11日付の記事でレビューした井上陽水のトリビュートアルバム。個性的なカバー曲が居並ぶなかでひときわ異彩を放っていたのが「限りない欲望」を演奏したBank Bandである。バンクバンド?聞き慣れない名前だな、と思っていたら、聞こえてきたのはミスチルの櫻井和寿が歌うインパクトのあるヴォーカル。そう、このバンドは、櫻井とプロデューサーの小林武史を中心に特別編成された5人編成のユニットだったのだ。
「バンクバンド」という名前は、そのものズバリ「銀行バンド」という意味らしい。とはいっても、銀行馬券のようにガチガチに堅い楽曲を演奏しましょうというのではない(あたりまえか・・・・笑)

櫻井和寿、小林武史、坂本龍一の3人が資金を拠出し設立した非営利組織=「ap bank」の維持資金を捻出するために活動するバンド、というのがBank Band結成の目的であり、命名の由来でもある。ap bankは、自然エネルギーや様々な環境事業に対し、低金利で融資を行うことを目的とした機関。貸金業法による登録も済ませ、既に事業を開始しているという。ミュージシャンによるチャリティ活動の類なら珍しいものではないけど、一過性のイベントに終わることなく、事業体として組織的・継続的な活動を志向しているというのがなかなか興味深い。

B0002ZMB0A.09.LZZZZZZZ.jpgそのBank Bandが10月に発表したカバーソング・アルバム「沿志奏逢(そうしそうあい)」 夏の青空を思わせる背景色に、黄色い花はつけた大きなキュウリの実を乗っけたイラストがCDジャケットを飾っている。ベルベット・アンダーグラウンドのバナナ(アンディ・ウォーホール作)に似ているけれど、あくまで胡瓜というところがポイントである。小林武史いわく、ウォーホールが大量消費社会を逆手に取ったアイディアで製作したバナナに対し、家庭菜園で取れたキュウリを対置することで「大量消費社会のままでいいわけがないし、その想いも含めて」メッセージを表現したのだという。こんな逸話が象徴するように、アルバムの中身のほうも単なるカバー集に終始することなく、「未来、人間、環境」という一貫したメッセージのもとに、曲目が選ばれ、構成されたコンセプトアルバムに仕上がっている。

アルバムのハイライトは、やはり「限りない欲望」(井上陽水)から「マイホームタウン」(浜田省吾)へと曲が連なっていく中盤戦だろうか。人々にとって宿命のごとき欲望が、経済・産業を発展させていく。パワーショベルで丘が削られ、赤茶けた工業地帯の町にニュータウンができる。そこで生まれた育った若者たちは、希望のない仕事(人々の欲望が形を変え、高度化したものと言い換えても良い)に追われ、いつの日にか町を出て行くことを夢見ている・・・・というストーリー。鬼気迫るばかりの迫力で演奏される「限りない欲望」から、一転して淡々と奏でられる「マイホームタウン」へと、動から静の展開が印象に残る。
思えば、浜田省吾が歌っていたホームタウンって、我々世代が育った高度成長ニッポンの原風景なんだよなあ。そんな場所から紆余曲折を経て今日に至った後、いったいどんな未来が紡ぎ出されていくのか?そんな未来に対し、ただ傍観しているのではなく、意志を持って対峙していこうじゃないか!というのが、このアルバムの初めから終わりまでを貫くメッセージだと思う。けして悲壮な覚悟というわけではなく、出逢いや希望、歓喜といった明るい言葉をモチーフに選曲された演奏を通じ、それが表現されているのがよい。演奏の水準は、文句なくハイレベル。全曲スタジオ録音とは思えぬ、緊張感あふれる力演が続く。

それから、このアルバムにはライナーノートに記載された11曲に加え、最後にもう1曲シークレットトラックなるものが収録されている。どうやら2通りの曲目があり、そのどちらが当たるかは購入してからのお楽しみという趣向らしいのだが、自分が購入した盤には、吉田拓郎の「イメージの詩」のカバー(スタジオライブ?)が入っていた。
これが何と演奏時間8分を超える大作・・・・!
古い船を今動かせるのは、古い水夫じゃないだろう」もう30年以上も前の、フォーク歌手が歌っていたメッセージソングだ。これが新しい演奏に乗って、生々しく心に響いてくるから不思議。聴いているうちに、何だかやる気がわいてきた。力のある音楽とは、人を動かすものなのだ
(ちなみに、シークレットトラックのもう1つの曲目は、浜田省吾の「僕と彼女と週末に」らしい)

11月 23, 2004 日記・コラム・つぶやき, 音楽 | | コメント (3) | トラックバック (1)

2004/11/21

【マイルCS】デュランダルを負かせる馬を探す

土曜午後10時の時点で確認したマイルCSの前売りオッズ、単勝1番人気は、前年の覇者デュランダル(2.6倍)。以下、ファインモーション(5.0倍)、ラクティ(6.4倍)、ダンスインザムード(7.2倍)と続いている。堂々の1番人気に推されたデュランダル、その実力の高さは過去のG1戦線において証明済みであり、多くのファンが連覇を期待するのも当然と言えるだろう。
Photo:(C)Horses.JP(この画像の無断転載・複製はご遠慮ください)

惜しくも2着に終わったスプリンターズSの内容を振り返ってみても、能力の非凡さは明らかだ。決して得意とは思えぬ道悪馬場で3角から早めにスパートし、上がり3ハロンタイムは、出走馬のなかで唯一35秒台を記録・・・・。差しきったときの印象があまりにも鮮烈なせいか、「切れ味」勝負のタイプと思われているが、末脚の「持続力」という点でも超一級であることを裏づける「負けてなお強し」の一戦だったと思う。

そのデュランダルが昨年のマイルCS、良馬場で記録した末脚はさらに凄まじいものだった。ゴールまで残り3ハロン(3~4角)の地点では、逃げるギャラントアローから2.2秒も離された後方に位置していたが、そこから上がり33.5秒の驚異的末脚を繰り出し、全馬をまとめて差しきっている。計算上、先頭から14~15馬身離されていても、十分間に合うことになるのだから、先行勢もたまったものではない。

しかし、その昨年のマイルCSのラップを、同じBコースで施行された過去2回と比較してみて、気がついたことがある。先行勢にとっては胸突き八丁の勝負どころといえるラスト3ハロン目が11.2秒と極端に速く、直線に入ってからのゴール前400メートルでは、逆に12秒台の時計が2ハロン連続しているのだ。逃げて4着に粘ったギャラントアローも、ラストはさすがに失速気味で上がり3ハロン36秒も要している。強力な先行馬が揃い、典型的なハイペースに陥ったこと・・・・それが、昨年のマイルCSの結果を大きく左右した要因であったいえるだろう。

【参考】マイルCS 過去3年 Bコース施行
 01年 12.5-11.0-11.9-11.9-11.5-11.6-11.4-11.4 勝馬ゼンノエルシド
 02年 12.3-10.6-11.3-11.8-11.8-11.6-11.5-11.9 勝馬トウカイポイント
 03年 12.4-10.7-11.3-11.6-11.6-11.2-12.1-12.4 勝馬デュランダル

今年も、昨年と同様のハイペースになれば、先行する有力どころはみな、デュランダルの餌食になるほかない。しかし、これを逆から考えてみると、ペースが少々緩んでくれさえすれば、先行各馬にも、チャンスは生まれてくると言えるのではないか?
仮に、01・02年と同じような凸凹の少ないフラットなラップに耐え、34秒台の上がりを使える先行馬がいるなら、これを後方から差し切るには32秒台の末脚が要求されるわけで、さすがのデュランダルといえど苦しくなるだろう。

問題は、今年のペースをどうみるかである。
先手を主張するのは、やはり最内枠を引いた幸騎手のギャラントアローだろう。外枠のマイネルモルゲンが引っかかり気味に前に出て行く可能性もあるが、よほどの暴走にならない限り、幸騎手がハナを譲る展開になるとは考えにくい。
そのギャラントアロー、昨年同様スワンSをステップにしたローテーションから参戦してきたが、昨年は1着・今年は大敗と前哨戦の成績は対照的である。ギャラントアローが逃げた昨年と今年のスワンSについて、前半1000メートルのタイムでペースを比較してみた。

【参考】前哨戦スワンSの前半1000メートルタイム比較
 03年 スワンS 56.7秒 (→マイルCS 57.6秒)
 04年 スワンS 58.0秒 (→マイルCS  ?)

逃げ切った昨年よりも、失速した今年のほうが1秒以上も遅い。また、例年、千四のスワンSに対して、千六のマイルCSでは前半1000メートル通過タイムが1秒近く遅くなる傾向もある。こうしてみていくと、今年のマイルCSが昨年同様の極端なハイペースに陥るとは、ちょっと考えづらいのではないか?

仮に前半1000メートル通過58秒前後の流れになるなら、01年・02年のマイルCSのほうが今年の決着を占ううえで、より重要な参考データということになる。打倒デュランダルを前提に予想を組み立てるなら、これらの年に好走していたゼンノエルシドトウカイポイントエイシンプレストンのようなタイプを中心に検討をすすめるべきだ。狙ってみたいは、マイル~中距離戦線で、緊密なラップに耐え、ラストもシッカリとした脚を使えるタイプ。トウカイポイントが勝利した2年前の中山記念のような、レースで好走実績のあるタイプを探してみる必要がある。

結論
◎ダンスインザムード
○ラクティ
▲デュランダル
△マイネルモルゲン
△テレグノシス
△ファインモーション

3歳牝馬ながら、上記のイメージにピッタリなのがダンスインザムード
時計の掛かる稍重馬場に淀みないペースという厳しい競馬で、1分59秒1を叩きだした天皇賞(秋)は、やはり内容が濃い。おそらく良馬場なら、上がり34秒台前半の決め手を駆使できていたことだろう。当日の馬場状態を思い起こすと、確かに内有利のトラックバイアスに恵まれた点は否定しないが、それはあくまで外を通った各馬との比較の問題。この名牝の評価を下げる理由には値しない。
ネックと思われる気性の問題は・・・・パドックを見てもよくわからないので、あえて目をつむります。とりあえず仮説として考えられるのは、凡走したオークスと秋華賞は共にスタンド前からの発走、好走した桜花賞・天皇賞(秋)・アメリカンオークスはそれ以外の場所からの発走であったということ。今回は、2コーナー奥に設けられた引き込み線からの発走なので、悪くないと思うのだが・・・・

ほかには国内勢で、これと同じタイプの馬が見あたらない。そこで、対抗には史上最強と噂される海外の刺客○ラクティを選んでみた。詳細なデータがないので断言はできないが、引っかかり気味の気性・好位差しの脚質というのは良い材料だと思う。歴戦の実績から、あっさり◎を突き放しても文句はいえないし、限りなく本命に近い注目馬として好走を期待します。

11月 21, 2004 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (4) | トラックバック (36)

2004/11/20

【サウスニア】愛馬、東へ西へ・・・・

golden_will_at_miho.jpg◆ゴールデンウィル (牡・3歳)
盛岡・櫻田厩舎移籍決定!

 父Sadler's Wells
 母父Mr.Prospector
 近日中に遠野・馬の里へ
  移動予定



再ファンド制度による地方移籍に向け、放牧先で待機していた未完の大器(?)ゴールデンウィル。このたび転籍先が、盛岡競馬・櫻田勝男厩舎に正式決定しました。
櫻田厩舎といえば、岩手競馬を代表する強豪厩舎ですね。昨年は56勝をあげ見事リーディングトレーナーの栄誉に輝いていますし、今年も先週時点で36勝をあげ7位の成績。一昨年のJRAマイルCSを制覇したトウカイポイントも、元はといえば、この厩舎の所属馬でした。うむ、なかなか良い移籍先が見つかりました。
厩舎の主戦騎手は佐々木忍(昨年リーディング7位)。JRAへの遠征実績はなく、同世代のトップスター(村上忍・村松学)と比べてしまうと、いささか地味な印象ですが、かの岩手の怪物デンゲキヒーローの主戦ジョッキーであり、侮れません。岩手デビューの際には、おそらく彼がゴールデンウィルの手綱を握ってくれることでしょう。

元々、地方に移籍するなら、小回りのローカルコースよりも、広々としたオーロパークのトラックでこそ本領を発揮できるのでは?と期待していたわが愛馬。JRA復帰というお手軽な目標もいいけど、せっかく岩手にやってきたのだから、ここはじっくり腰を据えて第2のトーホウエンペラーをめざし、頑張ってもらうのもいいかな?
盛岡到着早々、遠野にある競走馬育成施設「馬の里(うまのさと)」に調整に出され、初陣は来年春になりそうだけど、パンとしてくれば、すぐにでもA級条件まで出世できそうな器です(カームには負けない・・・・笑)岩手競馬ファンのみなさま、是非ご注目を!

◆オフィサー    (牡・2歳)栗東・森厩舎所属
 父Fusaichi Pegasus  母父Irish River
 11月20日(土)東京3R2歳未勝利(芝2000m)出走予定

三たび東京競馬場に参戦し、3度目の正直を目指すことになったオフィサー。今回の舞台は中距離戦で、これといった逃げ馬も見あたらないため、いかにもスローペースになりそうなメンバー構成です。初戦の内容から折り合いに一抹の不安はあるけど、まともに走ってくれれば、ここでは能力が一枚抜けています
おりしも、土曜日の東京競馬場は、前日・前々日の雨模様で渋った馬場が、どんどん回復していくコンディションになりそう。ここは、「タップダンスシチーの法則」が効いてくると思われるので、鞍上オリビエ・ペリエは心強い材料です。
グリーンチャンネル・明日のレース分析の最後のコーナーで、荘司典子さんから名前を読んでもらえる幸運に恵まれたわが愛馬。初勝利を期待です

◆シトラスフレーバー(牝・3歳)名古屋・山本厩舎所属
 父ラムタラ      母父アフリート
 11月30日(火)地方競馬登録抹消予定
 通算成績 
  中央1戦0勝(4着1回)
  地方3戦0勝(2着3回)

先週の名古屋競馬のレースでゴール前発症した故障は、レントゲン検査の結果、左前浅屈腱の一部断裂であることが判明。結局、地方競馬における競走馬登録を抹消することとなりました。残念です・・・・。
生涯成績4戦0勝。9月のデビューからわずか2か月少々の短い競走生活でしたが、中央・地方を通じ掲示板を一度も外さなかったのが、ひとくち馬主としての密かな誇りでした。お疲れさま・・・・。幸い怪我の程度は致命的に重いものではないようですし、牝馬ですから、ぜひ繁殖に上がってもらい、よい子を出して欲しいものです。

11月 20, 2004 ひとくち馬主日記, 岩手競馬 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2004/11/19

土岐麻子~オヤジ心を翻弄する可憐な良血

standards_on_the_sofa.jpg最近、競馬系ブログで静かなブーム?を呼んでいるアルバム「土岐麻子ジャズを歌う」・・・・こんなものを買った。-ムダ遣い日記-さんのサイドバーに貼られているジャケット写真がちょっと気になっては居たのだけれど、Jalan Straight View通信さんのエントリがこのアルバムを取り上げるに至って、ついに私も購入を決意。家に帰って、さっそく2回も聴いてしまいました。いやあ、評判にたがわず、これは良い

「ジャスを歌う」というちょっと構えたタイトルとは裏腹に、その仕上がりは、明るく爽やか、そして何より自然体です。ジャス・ボーカリストにありがちなディープなイメージとは似ても似つかぬ可愛らしい声質と、ほとんどビブラートなしで歌ってしまう独特の歌唱法が印象に残りますが、一度聴くと病みつきになりそうな歌声・・・・。少女のようでいて、どこか中性的な趣も感じられるところがまた面白く、チェット・ベイカーなどにドラッグをやめさせ、性転換手術を施したら、案外こんな歌い方になるのかもしれません(笑)

アルバムでは、コール・ポーターなど本格的ジャスナンバーからスタンダードの「星に願いを」、さらにはマイケル・ジャクソンストーンズなど幅広いジャンルから名曲がカバーされていますが、スティービー・ワンダーの「アナザースター」が秀逸。「ふぉーゆぅー」という最初の一声を聴いただけで、たいていのオヤジがイチコロ状態に陥ることは確実です。まさにオヤジ殺しの1枚ですね。

こんな可憐な土岐さんを牝馬にたとえるなら(失礼!)、素質の高さで人気を集め、桜花賞まで一気に連勝で制覇しちゃうような名牝でしょう。お父さんは有名なサックス奏者なので、まさに良血、サンデー産駒かもしれません(笑)しっかりとしたバックの演奏を向こうに回し、軽やかな歌声を奏でながらも、主役の座は譲らないといった芯の強さ(=気性の激しさ?)も感じられるので、タイプとしてはやはり、ダンスインザムードかな。

ジャズのカバーアルバムのリリースが2枚続いた土岐さん、これからはダンスインザムードがアメリカ遠征や古馬挑戦で新たな可能性にチャレンジしているように、ひとつの枠にとらわれることなく幅広いジャンルに挑戦し、ボーカリストとしての可能性を広げていくことを期待したいものです。

ちなみに、自分が贔屓にしている若手ジャス・ミュージシャンというと、ピアニストの山中千尋がいるけど、こちらは小柄な体躯から、他を圧倒する強靱なスピードを発揮してくるスイープトウショウのようなタイプです。

11月 19, 2004 音楽 | | コメント (2) | トラックバック (5)

2004/11/16

エ女王杯 スローペースで考えたスイープトウショウの可能性

■レース結果
第29回エリザベス女王杯 結果 G1・京都・芝2200


予想馬番馬名騎手タイム上がり3F残り3F位置
12アドマイヤグルーヴ武豊2.13.633.81.6秒差
オースミハルカ川島2.13.734.90.6秒差
17エルノヴァペリエ2.13.933.42.3秒差
14エリモピクシー福永2.13.933.62.1秒差
スイープトウショウ池添2.13.933.22.5秒差
 オースミコスモ本田2.14.134.61.5秒差
 レクレドール渡辺2.14.133.92.0秒差
 10メイショウバトラー武幸2.14.236.0
15スティルインラブ2.14.234.61.5秒差
 10メモリーキアヌ秋山2.14.335.20.9秒差

■レース回顧
 ハロン毎のラップタイム
 12.6-11.2-12.4-12.5-12.3-12.6-12.5-12.1-11.6-11.6-12.2

メイショウバトラーオースミハルカの先行2騎による隊列争いは、初角までにあっさり決着し、淡々としたスローペース。流れは緩いが隊列は長いという、府中牝馬ステークスの再現を見るかのようなレース展開になった。
結局、勝敗を決したのは、道中の位置取りの適否と、鞍上の判断・指示に的確に対応できる機敏なセンスの有無。これだけのスローになると、先行する有力どころも上がり3ハロンを34秒台でまとめてくるというのは、事前に予見していたとおりで、先行勢から2秒以上も離され後方を追走していた追込馬たちに、やはり勝機はなかった

見事2連覇を達成したアドマイヤグルーヴと、自分が本命に推したスティルインラブ。道中は先行勢を前に見ながら相前後する中団の位置取りを進んでいたが、勝負所からの反応という点で見事に明暗を分ける結果になった。
天皇賞から中1週というハードなローテーションでもしっかりと状態を維持してきたアドマイヤは強かったし、スティルインラブは昨年のパフォーマンスを発揮できるコンディションになかったということだろう。この2頭に関して、これ以上書くことはあまりない・・・・。

次走以降に向けてここで注目しておきたいのは、やはりスイープトウショウの存在だ。今回記録した推定上がり3ハロンタイムは33秒2。数字だけをみる限り、秋華賞さえ上回る驚異的な鬼脚を使っているといえる。ただし、問題なのは、残り3ハロンの地点で先頭のメイショウバトラーから2.5秒、2番手を行くオースミハルカからでも1.9秒も離された絶望的に位置から、追い上げを試みなければならなかった点である。

返し馬に向かう際に馬場入場を嫌がったこと、ゲート入りも嫌って発馬で出遅れたことなど、気性面のウィークポイントを「敗因」と指摘する声もあるようだ。だが、そのようなファクターは陣営にとって、既に折り込み済みだろう。仮に出遅れがなかったとしても、池添騎手はやはり後方待機の戦法で、同じような位置取りを選択していた可能性が高いのではないか?

・・・・追い込み馬の宿命といえばそれまでだけど、直線を向いた時には大分、前とは差があった。勝った馬とはそのあたりの差もあったと思う。距離自体は問題ないと思うんだけどね。 ~ 週刊競馬ブック 池添騎手のコメントから引用 

後方待機の戦法が、末の爆発力を増幅する原動力になっていることは確かだろう。しかし、G1で上位人気を占める馬が常に展開に泣かされる危険(=宿命?)を抱えているようでは、安心して単勝候補に指名することは難しい。
ちなみにこの馬、今回以上にスローペースだったオークスでは先行するダイワエルシエーロから約1秒以内という中団の位置から競馬をし、2着に好走した経験もあるのだ。今回もし、アドマイヤグルーヴに近い位置どりから、直線勝負に賭けるレースを試みていたら、結果はどうだったであろうか?
G1という大舞台だけに冒険は難しいのかもしれないが、まだまだ可能性を秘めた3歳馬。「宿命」という考えにとらわれ、ワンパターンの戦法に固執するだけでなく、ベストの結果を残すための努力を惜しむべきではないと思う。

11月 16, 2004 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (2) | トラックバック (5)

2004/11/14

【エリザベス女王杯】スローペースの歴史は繰り返す

かつて3歳(旧年齢表記4歳)牝馬限定戦の当時は「荒れるエリ女」と呼ばれ、数々の大波乱を演出してきたエリザベス女王杯。しかし、96年の秋華賞創設に伴い、古馬混合・2200mという現在の条件に変更されて以降は、人気馬が順当に能力を発揮し平穏な決着に終わる年が多く、レースの性格はすっかり様変わりした感がある。基本的には本命戦。上位馬の脚質をみても、先行馬・差し馬による決着がパターンになっており、逃げ・追込など極端な脚質の馬が連対圏に食い込む余地は少ない。
とはいえ、過去8年のレース結果を振り返ると、逃げ馬がまったく凡走を繰り返しているわけではない。発馬から初角までの距離がたっぷりある外周りコースのため、隊列がすんなり決まるとペースもスローに落ち着いてしまうことが多く、そんな年には、速い上がりを駆使した逃げ馬が決まって掲示板を賑わしている。
Photo:(C)Horses.JP(この画像の無断転載・複製はご遠慮ください)

たとえば、98年(勝馬メジロドーベル)にレースを先導していたナギサ。スンナリと先手を取って前半1000メートル通過62.0のスローペースに持ち込むと、ラスト3ハロンで、34.3という速い上がりで粘り込み、4着に踏ん張っている。
こんなパターンで4~5着に食い込んだ逃げ馬が、過去8年のうち1年おきに出現している。そのいずれもが、母父にノーザンダンサーの血を受け継いでいる共通点があることは、なかなか興味深い事実だ。

■エリザベス女王杯 スローペース・速い上がりで好走した逃げ馬

年 馬名           血統      着順1000m通過上がり3F
96シーズグレイス  サンデー×Nテースト  4着 63.134.4
98ナギサ      マークオブD×ノーザリー 4着 62.034.3
00トゥザヴィクトリーサンデー×ヌレイエフ  4着 60.634.5
02ユウキャラット  Wチケット×Nディクテイター5着 60.834.5

さて、逃げ馬がこれだけ速い上がりを使ってくると、後方から追い込む有力馬も安閑と構えているわけにはいかない。これらの年に逃げ馬を負かし連対した実績馬は、いずれもゴール前3ハロンの勝負所には、先頭から0.6秒以内の位置にまで追い上げ、ラストは34秒台前半~33秒という究極の決め手を繰り出している。ペースの緩急に応じ自在に動ける器用さと強力な末脚を兼備したタイプであることが、上位進出の絶対条件となっているのだ。

■エリザベス女王杯 スローペースで連対した有力馬

年 馬名           血統     着順 残3F位置 上がり3F
96ダンスパートナー サンデー×ニジンスキー1着 0.3秒差34.0
96ヒシアマゾン   シアトリカル×ノノアルコ 2着※0.1秒差34.2
98メジロドーベル  Mライアン×パーソロン 1着 0.3秒差33.5
98ランフォザドリームRシャダイ×スルーザD2着 0.0秒差34.0
00ファレノプシス  BT×ストームキャット 1着 0.3秒差33.6
00フサイチエアデールサンデー×ミスプロ 2着 0.1秒差33.9
02ファインモーションデインイル×トロイ  1着 0.4秒差33.2
02ダイヤモンドビコーサンデー×アリダー 2着 0.6秒差33.4

【※】「残り3F位置」とは、ゴール前3ハロン地点での先頭からのタイム差。また、
96年ヒシアマゾンは2位入線後、7着に降着の扱いとなっている。

以上の傾向を念頭に置き、今年の出馬表を眺めてみると、去年のスマイルトゥモローのように何が何でも飛ばしていくというタイプは見あたらない。昨年は、そのスマイルトゥモローを追いかける不本意な競馬を強いられたメイショウバトラーが、単騎を主張できる組み合わせとみた。同型のオースミハルカは控える策で好結果を残しているし、距離に不安もあるため、無理に競りかけてくることはないだろう。1コーナーまでに隊列が決まって道中は淡々としたスローペースに落ち着く可能性が濃厚だ。くしくも、メイショウバトラーの母父はノーザンダンサー系のダイナガリバー「スローペースの歴史」は、1年ごとに今年も繰り返されることになる
さて、そのメイショウバトラーは、前走・府中牝馬ステークスで上がり3ハロン34.6の脚を使っている。オースミハルカも34.2の上がりをマークしているが、両馬とも今回は1キロの斤量増であること、さらには距離延長の影響なども考慮すると、今回の上がり3ハロンは34秒台半ばが一応の目安になるだろう。

これら先行2騎を凌ぐ速い上がりを駆使できる可能性のある有力馬をチェックしていくと、以下の各馬の末脚をリストアップすることができる。

スイープトウショウ   秋華賞   1着55キロ・上がり3F33.9
スティルインラブ    府中牝馬S 3着57キロ・上がり3F33.9
エリモピクシー     府中牝馬S 4着55キロ・上がり3F33.3
エルノヴァ       府中牝馬S 5着55キロ・上がり3F33.8
アドマイヤグルーヴ  マーメイドS1着57キロ・上がり3F34.3
ヤマニンアラバスタ  オークス  3着55キロ・上がり3F34.5
オースミコスモ     中山牝馬S 1着55キロ・上がり3F34.4
グローリアスデイズ  フローラS 2着54キロ・上がり3F34.2

末脚の威力という点では、秋華賞で大外一気を決めたスイープトウショウの豪脚がやはり最右翼。しかし、スローペース必至とみられる今回、前走同様の後方待機策が通用するかどうかは、慎重に検討する必要がありそうだ。
もし先行勢が上がり34秒台半ばの脚を使って粘りこみをはかるなら、その後ろから追い上げる馬は、計算上残り600メートル地点(京都外回りなら3~4角中間)で0.5秒差前後の位置まで追い上げていないと苦しい。秋華賞のゴール前3ハロン地点、スイープトウショウが位置していたのは、先頭から1秒差の後方3番手だった。今回もこれと同じような位置取りから勝ちきるには、33秒5前後の末脚が要求されることになる・・・・。さらには距離延長、初の古馬混合戦と、3歳女王に課せられるハードルはけっして低いものではなく、単勝を買って応援するにはちょっと勇気が要る本命馬といえるのではないか?

結論
◎スティルインラブ
○スイープトウショウ
△アドマイヤグルーヴ
注メイショウバトラー
注オースミハルカ
注エリモピクシー
注エルノヴァ

ペースの緩急に応じ自在に動ける器用さ」と「強力な末脚」という2点を兼ね備えているという点で、昨年の三冠牝馬の復活に期待してみた。スローペースで縦長の隊列になった府中牝馬ステークスでは、残り3ハロン地点で先頭から0.9秒離されていたため、差して届かずの結果に終わったが、復調の手応えは十分に感じさせるレース内容。好位から満を持して差してきたオークスや秋華賞の競馬ができるまで調子が戻っているなら、斤量減・距離延長を味方に、前走1~2着馬を逆転できるだろう。

アドマイヤグルーヴは、天皇賞(秋)で大きく馬体を絞ってきた(輸送減かも?)が、中1週でどこまで調子を維持できているかが課題。10月以降2戦を消化して連対を果たした例は過去8年をみるかぎり皆無であり、押せ押せのローテーションが鬼門になるのでは?という嫌な予感がする。

以下では、エリモピクシー・エルノヴァを注の扱いとしたが、いずれも「器用さ」という点に課題を残している。スイープトウショウを上回るようなラストの爆発力を期待できるかどうかは未知数だが、クラシック上位組有利の過去の傾向からは、過信禁物と評価すべきかもしれない。

11月 14, 2004 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (41)

2004/11/13

【福島記念】コース設定の変遷から考えてみる

秋の福島といえば、どうしても荒れ馬場のイメージがつきまとう。開催が進むにつれ、芝のコンディションはどんどん悪化し、福島記念を迎える頃には、内も外もすっかりボコボコの状態に。レースのほうもそんな悪条件を反映して、個々の能力差よりも、馬場の良いところを通れたかどうかが結果を左右することが多かったように思う。事前に予見しようもない大穴決着の連発に、予想もすっかりお手上げというのが、正直な感想であった。
Photo:(C)Horses.JP(この画像の無断転載・複製はご遠慮ください)

しかし、ここ数年の福島記念の戦績をみるかぎり、そんな事情にも少々変化が出てきているようだ。まず注目すべきは、00年を境に逃げ馬の好走例が無くなっていること。これに変わり、差し馬や後方からマクリ気味に脚を使ってくるタイプの台頭が目立つようになった。この変化の原因は何だろう?考えていくうちに、ある事実に気がついた。00年以降、福島記念はすべて仮柵を設けた「Cコース」で行われていたのだ。コース設定の変化が、レース結果に影響を与えているのだろうか?仮説を検証するために、最近7年間の福島・秋開催のコース設定について、その変遷をたどってみることにした。

■秋の福島開催 コース設定の変遷


1週2週3週4週5週6週7週8週福島記念
978週目(日)Bコース
988週目(日)Bコース
998週目(日)Aコース
008週目(土)Cコース
014週目(土)Cコース
027週目(日)Cコース
034週目(日)Cコース

なるほど、確かに00年を境にしてコースローテーションの考え方が変わっている。2か月間ぶっ通しでBコースを酷使し続けた97年や、A→Bと仮柵を移動した後、再びAコースに戻しグリーンベルトを出現させてしまった99年のように、無茶な管理方法はもう取られていない。2~3週の短い期間でA→B→Cとローテーションを回し、仮柵を移動しながら、馬場状態悪化による影響を最小限に抑えようというのが、00年以降の考え方らしい。
さらには、従来の「8週2開催」が「4週1開催」に短縮された結果、馬場状態の悪化も、かつてほど酷いものではなくなってきている。馬場の良し悪しがレース結果に与える影響も、しだいに常識の範疇で予見できるものになりつつあると思う。最終週に施行される福島記念も、馬場の内外による有利不利より、出走馬の能力・適性の比較というオーソドックスな予想手順で対処できる、常識にかかったレースに変わりつつあるのではないか。

そんなことを考えつつ、福島記念がCコースで施行されるようになった00年以降のレース結果について、まず脚質別成績を調べてみた。

■福島記念 脚質別連対実績(00年~03年)


脚質 着順分布 単回値複回値
逃げ 0- 0- 0- 5  0   0
先行 3- 0- 0-11 106   39
差し 1- 3- 3-17  94  208
追込 0- 0- 1-17  0   18
マクリ0- 1- 0- 1  0  140

とりあえず「逃げ馬不利」の傾向だけは、はっきりとしている。
スパイラルカーブの採用以降、3~4角がかなりの高速コーナーと化し、先行馬にとって息を入れづらい展開になりがちなことが、その一因と考えられるだろう。また、内外の馬場状態にあまり差のない状況では、差し馬も早め早めに進出できる。そんな展開で、後続の格好の目標にされていることも、逃げ馬不利の傾向に拍車をかけていると言えるのではないか。

次に、ハンデによる成績を調べてみると、こんな感じになっていた。

■福島記念 ハンデ別の成績(00年~03年)


斤量    着順分布 連対率単回値複回値
~51kg0- 0- 0- 7 0%  0   0 
51.5kg~53kg1- 0- 1-21 4%  98  51 
53.5kg~55kg0- 3- 3-13 16%  0  218 
55.5kg~57kg2- 0- 0- 8 20% 109  40 
57.5kg~59kg1- 1- 0- 2 50% 100  107 

基本的には、重いハンデを課せられた実績馬がそれなりの成績を残しているレースである。
軽ハンデ(53キロ以下)の伏兵による一発という可能性は、あまり考慮する必要がないようだ。
トップハンデを背負った実績馬の凡走例も、01年と02年にみられるが、01年(ミッキーダンス57.5キロ)は勝負どころの不利が影響、02年もトップハンデの斤量が56キロと例年に比べ低レベルだったことから、敗因ははっきりしているともいえる。
57キロ以上を背負う実績馬が出走してくれば、特別な事情がないかぎり上位候補として敬意を払っておくべきだろう。


結論
◎コイントス      57キロ
○ダンツジャッジ   58キロ
▲アサカディフィート  57キロ
☆トキノコジロー    52キロ

ハンデ57キロ以上の馬が4頭もおり、例年に比べ高いレベルでの争いが期待できそうなメンバー構成である。このうち、マイネルアムンゼン(58キロ)は、例年この時期に良績を残していない「季節労働者」であることから軽視したが、他の3頭に関しては、首位候補としての資格を十分備えているとみたい。
中心は、阪神大賞典2着の実績を誇るコイントス。叩き2戦目の上積み込みでG3ハンデ戦なら堂々と主役を張れる器と考える。展開に応じ自在の戦術を駆使できる岡部騎手が鞍上というのも心強い材料だ。
トップハンデを背負うダンツジャッジは、鉄砲もきくタイプではあるが、どちらかといえばマイル~千八が適距離であることを考慮し、2番手評価とした。

ハンデ上位組とは、別の視点から注目したいのが、中央転厩初戦・芝初戦となるトキノコジロー。初モノ尽くしだけに、52キロというハンデの適否さえ判断しづらいが、南関東3歳勢のトップクラスの1角を占めていた実績馬だけに、ひょっとしたらひょっとする可能性はある。ダービーGP(盛岡)でみせた皮膚の薄い馬体の造りは、芝のレースでも十分対応できることを予感させるものだった。

11月 13, 2004 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (12)

2004/11/11

『YOSUI TORIBUTE』 第1回 陽水記念(G1)出走!

1970年代から30年以上に渡って、数多くの名曲たちを世に送り出し、今なお第一線で活躍し続ける井上陽水。今回それらの名曲を、現在邦楽シーンで活躍する豪華アーティストがカバー!その名も『井上陽水の名曲の数々をいろんなアーティストが唄うアルバム(仮)』! ~HMV ジャパニーズポップスニュースから引用

B0002Y4M1M.09.LZZZZZZZ.jpg正式タイトルは、『YOSUI TORIBUTE』。11月10日ついに発売されましたね♪ さっそく購入して2度聴いてみたところですが、原曲の素晴らしさと参加アーティストの個性がほどよくミックスされ、味わい深い1枚に仕上がっています。ちなみにこのアルバム。発売前から「誰が何を歌うのか?」と各方面で話題を集めていましたが、そのあたりの経緯に関しては、Jalan Straight View通信さんの各エントリを読むと、一段と興味が増すと思います。

さて、アルバムに対する本格的解説は、他のblogさんにお任せすることにして、競馬サイトの「そのまま、そのままっ!」では、こんな感じで遊んでみることにします。出馬表を作成し曲名をカタカナ表記してみると、小田切さん所有馬による限定レースみたいになっちゃいました(笑)評価の印は、単純に管理人の第1印象(好み)によるもので、曲の優劣を意味するものではありません。

第1回 陽水記念(G1)出馬表
オープン・招待競走・国際・小倉芝2000
馬番曲名         歌 手評価
ユメノナカヘ      トライ×
ヒガシヘニシヘ     布袋寅
ココロモヨウ      平原綾 
リバーサイドホテル   奥田民
イッソセレナーデ    小野リ×
カギリナイヨクボウ   桜井和
カナリア        バーキ
カサガナイ       ウーア×
イツノマニカショウジョハ持田香×
10トマドウペリカン    松任谷
11シロイイチニチ     玉置浩
12ワインレッドノココロ  ダブル×
13ジェラシー       一青窈
14ショウネンジダイ    忌野清

以下、出走各曲に対する短評です。

1 夢の中へ TRICERATOPS
70年代陽水の代表曲ともいうべき、アップテンポナンバー。正統派ロックユニットによる演奏で、スピード感豊かなロックンロールに生まれ変わった。軽快な先行力を生かし逃げ宣言か?アルバムのトップを飾るにふさわしい好演!

2 東へ西へ 布袋寅泰
2曲目もロック調のアレンジ。しかし曲想はガラリと一変しており、唸るように重厚なギターサウンドが強調される。ちょっとぶっきらぼうで、生硬な感じのする布袋のボーカルも、なるほどこの曲なら悪くない。ベストの条件というべき、選曲には思わず脱帽。

3 心もよう 平原綾香
今季、ホルストの惑星(ジュピター)でブレイクしたお姉さんが歌う心もよう。叙情的な雰囲気が漂う原曲でも、この人が歌うと、雄大な惑星の風景など(笑)をつい連想してしまうから、ちょっと不思議。

4 リバーサイドホテル 奥田民生
いい意味で期待を裏切られた1曲。なんとアレンジは、ニューオリンズファンク風の味付け。亜熱帯の夜のひと夏の経験(笑)?といった曲想で、原曲とは別の意味で怪しいムードが漂う。セカンドラインのリズムに乗せズンズンと奥田が歌う、バーボン・ストリートのリバーサイドホテル。最高です。

5 いっそセレナーデ  小野リサ
ねっとり暑苦しいルイジアナから、涼風そよぐブラジルの海岸へ。清涼感あふれるボサノヴァの好演だが、この人が歌うとどんな曲でも、同じ歌に聞こえてしまう感が・・・・。

6 限りない欲望    Bank Band
バンクバンドって誰?と思っていたら、ミスチルの桜井和寿小林武史による特別編成ユニットでした(知らなかった・・・・)10月発売のアルバムで既発表の曲らしい。しかし、説得力にあふれ、凄みさえ漂う桜井のヴォーカルと、鬼気迫るバンドの演奏はまさに圧巻。背中のあたりがゾクゾクします

7 カナリア      ジェーン・バーキン
仏国から参戦してきた女性シンガーが可愛らしく歌う、キュートな1曲。
この人に関してはあまり知らないので(汗)、Jalan Straight View通信さんのエントリもご参考に・・・・。

8 傘がない      UA
何年か前に発表されたアロハオールスターズのオムニバスに収録されていたのと、同じ演奏。陽気な曲が多かった当時のアルバムではちょっと浮いていた感があったが、適条件のここに入ると違和感なく聞ける。やはり力のある歌い手であることを、再認識するばかり。

9 いつのまにか少女は 持田香織
原曲は「夢の中へ」のB面に収録されていたという、70年代の知られざる名曲。
明るく楽しいELTとは、ひと味違う一面を垣間見せる持田のキャラに注目だが、情感豊かな歌声には素直に魅了されてしまいます。

10 とまどうペリカン 松任谷由実
女王健在!をアピールするゴージャスな1曲(笑)まさに、どこから聴いても完璧なユーミンワールド。そんな世界では、気弱なペリカンもあまり戸惑ってる感じはしないけれど、原曲に対するリスペクトはしっかりと伝わってきます。このアルバムのハイライトともいうべき力演。

11 白い1日     玉置浩二
ユーミンワールドの毒気にあてられ、気持ちが真っ白になっていると、あれ?もう演奏が終わっていました(笑)

12 ワインレッドの心 DOUBLE
その玉置浩二の安全地帯でおなじみのこの曲をカバーするのは、新潟出身のR&BシンガーDOUBLE。もともとは姉妹デュオだったらしいのだが、姉の死去により現在は妹ひとりによるソロ活動を展開中。ううむ、思わず応援したくなるプロフィール!はじめて聴きましたが、なかなか良いです。けっしてソウルフルじゃないけど、ゴージャスだ。

13 ジェラシー    一青窈
けれん味ないストレートな歌いっぷり。だが、G1級のメンバーに入ると、やはり小粒な印象は免れない。まだまだ良くなる余地を秘めた好素材なのだが。

14 少年時代     忌野清志郎
期待通りの快演。文句ない仕上がりです!陽水の少年時代は「大人が振り返る、あの夏の日のおもひで」、一方、清志郎が歌っているのは「リアルタイムで駆け回る悪ガキの夏休み」といった感じ。でも、どちらも素敵な世界だな・・・・

しばらくは、通勤途中の愛聴盤として、手放せなくなりそうです。

11月 11, 2004 音楽 | | コメント (3) | トラックバック (1)

2004/11/10

【サウスニア】悪いニュース、良いニュース

あと一歩!惜しいところまでは行くものの、なかなか勝ち上がれないサウスニアの愛馬たち。火曜日も名古屋競馬に転籍中のシトラスフレーバー(牝・3歳)がレースに出走しましたが、結果はちょっと残念なことに・・・・

cytrus_flavour_nagoya2.jpg◆シトラスフレーバー (牝・3歳)
 名古屋・山本厩舎所属

 父ラムタラ  母父アフリート
 
JRA復帰を目標に、これまで2戦を消化し連続2着。キャリアの浅さが響いたり、他馬の目標にされる不利が重なって、踏ん張りきれない競馬を続けていますが、慣れない環境に移籍してわずか1か月にしては悪くない成績を残していると思います。また、出走のたびにグリグリの1番人気に支持されるので、出資者としてもちょっと鼻が高い気分になれます(^^;

さて、今回が3度目の正直、さすがにソロソロ片目が開いてもいい頃合です。
出走したのは、11月9日(火)名古屋第3レース・C14組ダート1400m。これまで手綱を取ってきた上松瀬竜一騎手が残念ながら引退となったため、今回は倉地学騎手に鞍上をスイッチしています。単勝人気は1.1倍の一本被りでした。

しかし、結果は今回も2着に終わってしまったわけです(TT)
まあ、それだけなら仕方がないけれど、気になるのはレース後、倉地騎手が下馬してしまったこと。「ゴール前で左前の球節が沈むような走りになりましたので、大事を取って・・・・」という理由らしいのですが、大丈夫かな?心配の種が、また増えてしまいました。
現時点で入手できる情報(サウスニアのHP)からは、「触診の結果では、骨や筋、腱に大きな異常はなさそうな様子」であること、詳細はレントゲン検査の結果待ってということくらいしかわかりません。とにかく大事に至らず、無事に競走生活を続行できることを祈っています。

一方で良いニュースもありました。
先日の記事・コメントで2戦目(東京芝1600未勝利戦)の様子をレポートしたオフィサー(牡・2歳)が、好タイムの僅差2着を評価され、グリーンチャンネル「先週の結果分析」で番組推奨馬に選ばれるという名誉に浴したのです。これなら、いよいよ初勝利も間近では?と期待が高まりますが、まずは出走できることが勝利の最低条件。シトラスともども、無事に次走を迎えてくれることを、あせらず待ちたいと思います。

これ以外の愛馬の近況など(いずれもサウスニア所属)
 ゴールデンウィル 牡3 未出走・地方転籍予定 栃木県で放牧中
 ルミナスオレンジ  牝2 未出走・育成中。デビューはかなり先?
 モダンダンス02  牡2 未出走・育成中。何とか2歳入厩を・・・

新年度2歳馬募集のラインナップも発表されましたね。今年も2頭程度の出資を前提に、じっくりと検討してみるつもりです。

11月 10, 2004 ひとくち馬主日記 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004/11/07

【アルゼンチン共和国杯】「連動説」を検証してみると・・・

天皇賞(秋)の回顧で取り上げた東京競馬場のトラックバイアスについて、興味深い話が載っていた「コースの鬼!」を、今週あらためて一読してみた。アルゼンチン共和国杯(以下AR共和国杯)の舞台となる東京芝2500mについて書かれた頁をみると、またしてもなかなか面白い考え方が示されている。同じコース設定で行われているG2ハンデ戦=目黒記念とAR共和国杯の好走馬には、連動傾向が見られる?!というのだ・・。もし、この説が本当ならば、今年のAR共和国杯の本命・対抗も、チャクラトレジャーということになるが、果たしてその真偽のほどは、どうだろう?
Photo:(C)Horses.JP(この画像の無断転載・複製はご遠慮ください)

そこで、両G2戦の連動傾向の有無について、Target Frontier JVを利用し検証してみることにした。分析の対象としたデータは、AR共和国杯が現在の開催時期(11月開催1週目)に移行した97年以降のレースである。

まず、AR共和国杯で上位に入線した馬(1~3着)の、目黒記念出走時の成績を検出してみると「0-3-0-14」。AR共和国杯と目黒記念の双方で上位の実績を残していたのは、タイキエルドラドマチカネキンノホシアクティブバイオの3頭だが、このうち、同じ年の目黒記念→AR共和国杯で好走実績が連動していたのは、マチカネキンノホシのケースのみだった(00年目黒記念2着→共和国杯1着)

目黒記念上位馬(1~3着)が、同じ年のAR共和国杯に出走したときの成績についても調べてみたが、結果は以下のとおり。はっきりいって、ほとんど連動していなかった(苦笑)これらのデータをみるかぎり、目黒記念とAR共和国杯が連動すると単純に結論づけることは、むしろ危険な判断と言わざるを得ないだろう。

■目黒記念上位馬の同年AR共和国杯成績(97年以降)

 年 対象馬      目黒記念成績 AR共和国杯
97年ツクバシンフォニー2着(56キロ) 5着(58キロ)
99年ローゼンカバリー 1着(58キロ) 8着(59キロ)
99年アイシャルテイオー2着(54キロ)15着(54キロ)
00年マチカネキンノホシ2着(57キロ) 1着(57.5キロ)
02年アクティブバイオ 2着(56キロ) 7着(57キロ)
03年メジロランバート 3着(54キロ)10着(55キロ)

それでは逆に、AR共和国杯と連動性が高いレースには、どんなものがあるのだろう?こうした関心から、準オープン以上のレースを対象にデータを洗い直してみると、AR共和国杯上位馬には、以下のレースの好走馬が多いという相関関係が明らかになってきた。

■AR共和国杯上位馬による好走例が多いレース(連対率25%以上)
 札幌日経オープン (札幌芝2600)
 万葉ステークス (京都芝3000)
 御堂筋ステークス (阪神芝2500または2200)
 日経賞     (中山芝2500)
 ダイヤモンドS (東京芝3200または3400)

やはりと言うべきか、いずれも2000mを超える長距離戦である。
また、距離というファクターから特に注目されるのは、芝2600m(函館・札幌・福島・小倉)での成績である。AR共和国杯上位馬が、この距離に出走していたときの成績は、何と連対率83.3%というハイアベレージ(8-2-1-1) ローカル場所の距離2600好走馬こそ、AR共和国杯上位候補として注目すべき存在と言えるのかもしれない。
今年に出走馬の顔ぶれに目を転じてみると、過去に距離2600という条件で好走実績を残しているのが、以下のメンバーである。

シャーディーナイス 02年福島1000万下 2着
グラスポジション  04年小倉 500万下 1着
ハッピールック   04年札幌日経オープン 1着など過去3勝

下級条件の好走履歴をそのまま信頼できるかどうかの判断は、ひとまず保留するにしても、ハッピールックの好成績が目を引く。

そんな同馬が今回鞍上に迎えるのは、名手オリビエ・ペリエ。今回は長丁場のレースだけに、ペース判断・折り合い・他馬との駆け引きなど、騎手の力量が成績に及ぼす影響も小さくないはずだ。馬だけでなく、鞍上の長距離適性というファクターについても、慎重に考察しておく必要があるだろう。
今年の出走騎手を対象に芝2500m以上の成績(02年以降)を確認してみると、確かに騎手の技量と成績がほぼ直結する傾向にあることがわかる。結局、「長距離戦は騎手で買え」ということか。

■AR共和国杯出走騎手の芝・長距離戦実績
(02年~ 芝2500m以上のレース)

騎手名  成績   連対率騎乗馬
O・ペリエ3- 2- 2- 350%ハッピールック
柴田善臣5- 8- 6-2133%グラスポジション
横山典弘6-10- 4-3430%レニングラード
蛯名正義9- 6- 1-3728%シャーディーナイス
後藤浩輝7- 5- 2-3027%チャクラ
中舘英二7- 7- 5-3426%スーパージーン
田中勝春7- 4- 4-3622%ニシノサブライム
渡辺薫彦3- 0- 2-1218%ナムラサンクス
勝浦正樹4- 2- 7-2615%スウィフトカレント
池添謙一2- 4- 4-3015%マーブルチーフ
小野次郎1- 3- 5-2811%エリモシャルマン
北村宏司2- 0- 3-19 8%トレジャー
小牧太 0- 1- 1-12 7%ダイタクバートラム
石神深一0- 0- 0- 8 0%テンジンムサシ

上記のファクターに加え、血統面についても付言するなら、母方がいわゆる主流血統外の血脈で構成されたタイプが良さそうである。過去7年の1~3着馬21頭中、9頭までがそんなタイプだった。

結論
◎ハッピールック
○グラスポジション
▲スーパージーン

長距離適性の高さから、◎○がやはり最上位候補。リアルシャダイ最後の傑作?グラスポジションは確かに魅力的な存在だが、今回が初の重賞挑戦であること、それに鞍上の力量差も考慮し、ハッピールックのほうを上位に取ってみた。
エンジンの掛かりが遅いスーパージーンは、東京コースでの仕掛けどころがポイントになりそう。後続を寄せつけぬ強い勝ち方をする可能性がある反面、取りこぼしの危険も小さくないかも。

もちろんハンデ戦だけに、伏兵の台頭にも注意は必要だ。
鞍上・血統・状態面のいずれかのファクターに弱さがあると思い評価を下げたが、以下の各馬も、長距離適性という点では一考の余地を残していると思う。直前気配次第では三連複のヒモ穴として一考してみるつもり。

レニングラード、ダイタクバートラム、シャーディーナイス
チャクラ、スウィフトカレント、ナムラサンクス・・・・

11月 7, 2004 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (2) | トラックバック (31)

2004/11/06

ペリエなら勝てるか?!

◆オフィサー (牡・2歳)栗東・森厩舎所属
 父Fusaichi Pegasus  母父Irish River
 11月7日(日)東京3R未勝利戦(芝1600)出走

デビュー戦の東京・芝1800では、6着と思わぬ苦杯をなめる結果に終わった、わがひとくち愛馬・オフィサー。捲土重来を期して、今週再び東京競馬場に登場である。鞍上には、かの天皇賞ジョッキー=オリビエ・ペリエを配してきた。

officer_debut.jpg

初戦の馬体重494キロ。ご覧のとおり、まだちょっと余裕を残しているが、なかなか好馬体の持ち主である。パドックの周回ぶりも堂々としたもので、同じレースに出走していた藤沢厩舎の良血サトノケンシロウ(勝馬)や、エモシオンの弟マイネルバイファル(2着馬)に比べても、まったく格負けした印象は感じられなかった。パドックを見た多くのファンも同じことを感じたせいだろうか?当初3番人気(4~5倍台)だった単勝オッズはみるみる急騰し、最終的にはマイネルバイファルを抜いて3.9倍台の2番人気でレースを迎えることになった。

ところが、肝心のレース内容は、まったくの不完全燃焼・・・・。ポンと好スタートを決めたまではよかったが、鞍上(勝浦騎手)が手綱を引いて控える構えを見せるとズルッと後退し、後方まで位置取りを下げてしまう。悪いことは重なるもので、そのあたりからレースの流れが極端に落ち着いてしまった。前半1000メートル通過が65.4秒の超スローペース、気性が勝った馬には辛い展開である。リズムに乗りきれないまま4コーナーを迎えると、直線はヨーイドンの瞬発力競走。これではさすがに分が悪い。

週刊競馬ブックの次走へのメモ欄を見ると「先団の外から、追ってサッパリ。鋭さ負けか」という辛辣な評価が下されていたが、実際にレースを観戦したかぎり、けっして力負けしたという印象は感じなかった。6着とはいえ、力を出し切っていない敗戦なのだから、悲観すべき結果ではない。やはり、この馬、控えて末脚を生かす策よりも、速い流れを先行していくような競馬が合っているのだろう。返し馬を見ても、先に行く馬を追いかけ、追い抜こうとするかのようなポーズを見せていたが、闘争心もかなり旺盛なタイプとみた。

迎える2戦目、舞台は芝のマイル戦、初戦から距離が200メートル短縮される。折り合い面を考えれば、これは間違いなくプラス材料だろう。相手関係もマイネルセプターシルクセレクトなど近走の2~3着経験馬が顔を揃え、それなりに骨っぽいが、初戦に比べれば大駒が抜けた分、いくぶん与しやすくなった印象だ。優勝請負人=ペリエを鞍上に迎え必勝態勢で臨む今回、初勝利の可能性は決して小さくないと思う。行けっ、オリビエ!

11月 6, 2004 ひとくち馬主日記 | | コメント (3) | トラックバック (2)

2004/11/04

「offt大郷」がオープン

offt_osato_outlook.jpg宮城県内では、第2の馬券売り場となるTCKの場外馬券発売所「offt大郷」(オフトおおさと)が、10月末にオープンしたので、JBCデイの水曜日、さっそく足を運んでみることにした。
ローカル高速道路を利用すれば、我が家からおよそ30分圏内の立地。仙台からもほど近いアクセスである。仙台・古川・石巻の各駅からは無料送迎バスも出ているようだ。

もともと、仙台近郊のこのエリアは、多摩川競艇の場外売り場・ボートピア大郷をはじめ、競輪場外車券のサテライト大和(今年3月オープン)、さらには岩手競馬のテレトラック三本木がひしめき合う公営ギャンブル激戦地区である。TCKも新たな場外売り場開設にあたっては、そのあたりの事情をふまえ戦略を練ってきたようで、近隣施設の集客力との相乗効果を狙いつつ、競合による共倒れは防ごうという狙いが、あちこちに垣間見えるのが興味深い。

まず、施設そのものが、舟券売り場のボートピア大郷と同じ敷地内に建設されていることに驚かされる。異なる公営ギャンブル施設が隣接して立地しているというのは、全国初のケースらしい。実際に訪れてみると、1000台以上は楽に収容できそうな広大な駐車場を擁する敷地の手前にボートピア、奥にofftの建物がどーんと立ち並んでいる。
これだけ近い場所に舟券売り場と馬券売り場があれば、両施設をハシゴする人も少なからずいることだろう。しかも競艇ファンなら、6艇立てとはいえ三連単・三連複の経験もあるわけだから、南関東の馬券・馬・騎手になじみの薄い宮城県のファンを新規開拓するには、実に手っ取り早い対象といえそうだ。また、大井や川崎がナイター開催の期間なら、昼間開催の競艇との直接的競合が避けられるという利点もある。

offt_osato_insideseat.jpgさらには、車で約30分離れた立地にあるテレトラック三本木との関係では、TCK側が「岩手競馬開催日は発売しません(特例日を除く)」と、早々に紳士協定を結ぶ姿勢を表明している。もともと岩手競馬は土・日・月の昼間開催が中心、大井は平日のナイター中心の日程なので、うまくやれば棲み分け可能という判断が双方の主催者にはあるのかもしれない。
ちなみに、2週間後の11月第2週の週末(JRAではエリ女開催ですね)には、テレトラックが水沢競馬、offtが大井トゥインクルの発馬を予定しているが、これも時間帯が異なるので競合しないという整理なのだろう。地方競馬同士の共倒れ、というか三連単の発売がない盛岡・水沢が大井のあおりを食う展開を心配していた岩手競馬ファンの立場からすれば、ほっと一安心といったところである。

さて、そのofft大郷。以下では実際に足を運んでみた感想、それから少々苦言なども述べておきたい。
オープン当日には約1000人を超すファンが詰めかけたようだが、祝日に当たるJBCデイには、ざっと見てもその倍近くの人々が出たり入ったりしていた。駐車場はほぼ満杯、建物のなかも当然オーバーフロー状態である。
この施設、中央に位置する大型スクリーンとその前に設けられた約400席の座席(快適そうなイス席である)を中心に設計されているため、それ以外のスペースにあまり余裕がない。JRAのウインズのように、発売所の前で立ちながらモニターを眺めるような空間がほとんど用意されていないのだ。結果、座席を確保できなかったファンは、かなり窮屈な思いを強いられることになってしまう。
offt_osato_inside_uriba.jpgまた、施設の規模に比べて発売窓口数がわずか17個と、かなり少ないことにも改善の余地がありそう。写真は夕方の4レース頃の時間に撮影したものだが、メインレースのG1までかなり間があるこの時点でも締切間近になると、ご覧の通り長蛇の列ができてしまうのだ。列の後方で締切を心配しながら、複雑な三連単の買い目と格闘するというのはちょっと疲れそうだし、仮に締め切りに間に合っても、マークカードの塗りまちがいとかトラブル発生も心配である。

まあ、通常の平日開催なら、こんなに混雑することもないだろうから、座席にもたれながらゆったりと競馬を楽しむことができるのだろう。しかし、祝祭日や交流G1開催日になれば再び、テレトラックでは発売されない三連単・三連複を求めて、ファンが殺到する事態も想定される。このあたり、発売窓口を増やすだけでも混雑緩和の改善効果は大きいと思われるので、主催者側に早急な対策を期待したいところである。

ちなみにこの日の馬券。メインレースの混雑を回避するため、テレトラック三本木に移動してJBCを購入したけど、両G1はともにトリガミ(笑)なかなかうまくいかないものです。

11月 4, 2004 岩手競馬, 旅打ちコラム, 日記・コラム・つぶやき | | コメント (0) | トラックバック (2)

2004/11/03

【JBCクラシック】負けないドンの2着探し

ダート競馬の祭典・JBCクラシック(G1)
ここはやはり、王者アドマイヤドンの復活なるか?が最大の見どころ。そのアドマイヤドン、昨秋のJBCでスターキングマンを3馬身ちぎったのを最後に、能力差で後続を圧倒するようなレースぶりがすっかり影を潜めてしまった感がある。優勝したフェブラリーSにしても、帝王賞にしても、どこか辛勝といった印象がつきまとう。そんな王者の変貌に関して、山野浩一氏がこんな分析を残していたので、引用してみる。

フェブラリーSG1からうかがえたことだが、アドマイヤドンは大きく変わったように思う。以前はこんなにまでしてレースに勝とうとはせず、あっさりレースを投げ出してしまうことが多かった。逆にかなりズブくなって、そうした闘争心を引き出すのが容易でなくなったようでもある。 ~週刊競馬ブック8月22日号 全日本合同フリーハンデと春競馬回顧 より引用 

admire_don_at_nanbuhai2.jpgなるほど、同感である。
今にして思えば、ユートピアの逃げ切りを許した南部杯にしても、「レースを投げ出してしまった」というより、テン乗り武豊による「闘争心の引き出しがうまくいかなかった」という解釈が、適切かもしれない。その南部杯、パドックから出走直前まで気配を現地で見ていたが、王者の闘志にまだまだ衰えは感じられなかった(参考エントリはこちらへ)。ならば、この馬の気性を知り尽くした安藤勝己騎手に手綱が戻る今回は、今一度闘争心に火がともることを期待しても良いのではないか。負けない王者の復活劇を信じて、◎を打ちたい。

王者を包囲するのは、レベルの高い南関東の強豪たち。競馬ブログさんのエントリなどを参考に前日オッズを確認してみると、連戦連勝の上がり馬シャコーオープンが人気を集めているようだが、G1級の強敵とは初めての手合わせであり、脚質からも過信は禁物という気が・・・・。アジュディミツオーにしても、古馬との斤量差が縮まる前走ほどには強調しづらい。ならば、ここは素直に格上ナイキアディライトの先行力を信用すべきではないか。

JRA勢では、ユートピアに注目が集まるけれど、外から被されると脆い馬がこの枠順・・・・。ひとつ隣のナイキアディライト陣営が、「自分の競馬に徹してハナは譲らないつもり」と公言しているなかで、横山典も、さすがに今回は難しい競馬を強いられそう。
交流重賞でなかなか良績を残せないアンドゥオールは、地方の馬場が合わないというより、460キロそこそこまで減ってしまった馬体回復が課題だろう。最も死角が少ないのは、最近になってレース内容の自在さに進境がみられるタイムパラドックス。昨年のようにアドマイヤドンが独走する展開になれば、2着争いで漁夫の利をさらう幸運に恵まれる可能性はある。

結論
第4回JBCクラシック
 ◎アドマイヤドン
 ○ナイキアディライト
 ▲タイムパラドックス

【おまけ】
JBCスプリントは、人気のマイネルセレクトを素直に信頼。
能力比較から地方勢は苦しく、JRAの上位独占が濃厚か?

第4回JBCスプリント
 ◎マイネルセレクト
 ○アグネスウイング
 ▲ヒカルジルコニア
 △ディバインシルバー

11月 3, 2004 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (2) | トラックバック (14)

2004/11/02

ジャパンカップの注目馬?! ナリタセンチュリー

天皇賞(秋)、コースの内側を選んで通った馬たちが軒並み上位を独占するなか、ただ1頭大外から豪脚を伸ばし、見せ場を作っていたのがこの馬、ナリタセンチュリー(牡5)だ。
僅かに掲示板に及ばず6着という結果に終わったが、上がり3ハロンで記録したタイムは34.5。優勝馬ゼンノロブロイ(34.4)や、現役屈指の左回り巧者ツルマルボーイ(34.5)と比較しても、まったく遜色がない水準である。
いや、約1秒以上は外を通った馬に不利があったと推測されるトラックバイアスまで考慮に入れると、天皇賞で最も強力な脚力を示したのは、ナリタセンチュリーだったと評価しても、過言ではあるまい。
Photo:(C)Horses.JP
(この画像の無断転載・複製はご遠慮ください)

田島裕騎手 この馬も終いはかなりいい脚を使ってくれた。ただ、先行馬に有利な流れだったし、馬場もこの馬向きではなかった 週刊競馬ブック 天皇賞(秋)のレース後コメントより引用 

そもそも良馬場の芝2400という条件なら、ゼンノロブロイを大外から一気に差し切ってしまうほどの脚力の持ち主である。管理する藤沢則調教師も「本来は左回りがいい馬」「いい足が長く使える」と天皇賞のレース前に発言しており、次走、仮にジャパンカップに挑戦というローテーションなら、良馬場条件に狙ってみる価値はありそう。本格化した今なら、日本馬の大将格として期待できるのではないか?!

そのジャパンパップ。先日JRAから外国選出馬10頭が明らかにされたが、日本馬の顔ぶれに関しては、現時点で公式情報がない。とりあえず、競馬関連のニュースから有力馬の次走報をかき集めてみると、こんなメンバーが出走表明している模様である。

タップダンスシチー 牡7 宝塚記念G1 優勝
ゼンノロブロイ    牡4 天皇賞秋G1 優勝
デルタブルース   牡3 菊花賞 G1 優勝
コスモバルク     牡3 皐月賞 G1 2着
ハーツクライ     牡3 ダービーG1 2着
ホオキパウェーブ  牡3 菊花賞 G1 2着
ハイアーゲーム   牡3 青葉賞 G2 優勝

フルゲートは18頭。出走馬の優先順位は、以下のルールで決定されるようだ。

 ①最近1年の中央・地方・海外G1優勝馬(除2歳G1)
 ②最近1年の中央・地方・海外G1~G3で獲得した収得賞金順
 ③通算の収得賞金に最近1年間の収得賞金を加えた金額の多い順

ナリタセンチュリーがJC出走を表明した場合、ルール②の収得賞金で約4000万円は獲得しているはずなので、ホウキパウェーブやハイアーゲームよりも優先順位は上という位置づけになるだろう。外国馬全頭が参戦し、さらにはツルマルボーイなどがメンバーに加わってきても、これなら何とか出走資格を手にすることはできそうだ。

あえて課題を指摘するなら、京都大章典・天皇賞と激戦が続いているので、その反動が出ないかということ。これまでも使い込むと歩様が硬くなる傾向があったようなので、調教等をチェックし、状態を確認しておく必要はあるだろう。それでも、体質面がパンとして充実期を迎えた今なら、そんな心配も杞憂に終わる可能性が大きい。陣営が出走に踏み切るようなら、勝負になるとみてよいのではないか。

昨年に続いて、地味な苦労人ジョッキー(失礼!)がスポットライトを浴びる、そんな晴れ舞台を今から期待したい。がんばれ、田島裕騎手

【追記】
田島騎手のホームーページでは、BBSも大いに盛り上がっているみたいです

11月 2, 2004 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (0) | トラックバック (1)

2004/11/01

雨の翌日はタップダンスシチーの法則で・・・東京芝コース 秋の傾向と対策3

tokyo_baba_oct.jpg天皇賞(秋)の回顧記事のなかでも指摘した、東京・芝コースのトラックバイアスの一件。今後の馬券戦略を組み立てていくうえで、見過ごせないポイントだと思うので、もう少し検討を深めてみたい。
前夜からの雨で多量の水気を含んだあと、多くの馬に踏んづけられ、本来ならボコボコの状態になっているはずの芝の内側・・・・しかし、実際にはそこを選んで通った馬ばかりが上位に残っている。反面、馬場がよいはずの外を通った差し馬は軒並み失速・・・・。この現象、4コーナーを回る際の距離の損得だけでは、ちょっと説明できない。

そんな疑問を感じながら回顧記事をまとめ、他の競馬系ブログを巡回していたところ、Brain Squall 【競馬総合サイト】 さんのところで、この疑問に答える分析が明らかにされていた。

コースの鬼を買った人は知っていることだが、東京は先日の改修の際に水はけの悪い3、4コーナーの内側に排水溝を埋め込んである。そのため去年のJCや今日のように朝まで豪雨でも当日に晴れていると急激に内側が乾いて、やたら内側が伸びるようになることがある。~Brain Squall 【競馬総合サイト】 さん 【天皇賞秋回顧】少しは頭使って乗ってください より引用~ 

いや、まいった・・・・。自分も数ヶ月前に「コースの鬼」を買って一応読了したつもりだったのだが、この重要な記述をすっかり見落としていたのだ。あわてて、該当頁を探してみると、確かに水はけの悪い箇所にコースを横断する配水管を設置したとある。なるほど、これで先のトラックバイアスに関する疑問は氷解する。

この日の馬場状態に関するポイント。それは、前夜の雨で一時は不良まで悪化した馬場状態が、日中の天候に恵まれ、どんどん回復していったことである(天皇賞の時点では、結局、稍重の発表) 先の排水システムが、馬場回復を早める方向に作用していることは間違いないだろう。問題は、回復のプロセスがコース全体で均等に進行していない点にある。配水管は、水はけの悪い箇所=水のたまりやすい低い場所=コースの内側に設置され、その部分の水分を優先的に排出しているようだ。その結果、本来なら馬場の悪化しやすいコースの内側からいちはやく馬場が早く回復し、一種グリーンベルトに似た状況が生まれているのではないか、と考えられるのだ。

となると、前日・前夜に雨、レース当日は曇りまたは晴れという条件下では、疑似グリーンベルトを通れる逃げ・先行馬、または瞬発力で一気に馬群を捌ける差し馬を積極的に狙うという馬券作戦が成立する。狙い目のイメージは、昨年JCのタップダンスシチー、あるいは天皇賞のゼンノロブロイのようなタイプだ。
騎手で狙うなら、デムーロのようにインをこじ開ける根性と技術のある外人騎手や地方騎手。または、馬場状態に応じて自在な戦術を駆使できる武豊や岡部騎手のようなクレバーなタイプがいいだろう。関東騎手なら、インにこだわるコース取りを選択したときの後藤や江田照あたりが怖い。

ちなみにこの作戦、安田記念のようにレース当日の雨で、どんどん馬場が悪化していく局面では使えないことに留意する必要がある。降雨による含水量増加に排水システムの機能が追いつかないようだと、やはり馬場は内側から悪くなり、その結果、外を回すテレグノシスのようなタイプの差しが届いてしまうことがあるからだ。

天皇賞のハズレ馬券。授業料としてはちょっと高かった気がするけど、転んでもタダでは起きない根性がないと、やはり競馬ファンは続けられないだろう。みなさん、頑張りましょう。

11月 1, 2004 競馬予想・回顧アーカイブ | | コメント (3) | トラックバック (4)