« 金曜日は盛岡クラスターカップ(G3) | トップページ | 【クラスターC】スピード争いならディバインシルバー »

2004/08/10

『ららら科學の子』

4163222006.09.LZZZZZZZ.jpg最近手にとって読み始めた、一冊。
新潟市内の紀伊国屋で、本を物色していたとき、思わず目に留まったのが、この紫色の装丁だった。銀色に輝く帯には三島由紀夫賞受賞の大文字の明朝体が誇らしげに踊っている。三島賞というのが、どれくらい権威のある賞なのかよくわからないけど、『ららら科學の子』という、いかにも何かを語り出しそうなタイトルとセットになると、なかなかのインパクトである。

作者は矢作俊彦。日本のハードボイルド小説の第一人者として知られているみたいだけれど、自分にとっては、10数年前、『スズキさんの休息と遍歴―またはかくも誇らかなるドーシーボーの騎行』という一風変わった自動車旅行小説を連載していた雑誌NAVIで出会った頃からの、お気に入りの作家である。

60年代の末、殺人未遂の容疑に問われ、中国に逃亡した主人公(50歳の少年・・・・?)が、密入国の危険を冒し30年ぶりに日本に戻ってくる。そんな浦島太郎のような「彼」がみた21世紀の日本を舞台に、親友のやくざ組織、ちょっと不思議な女子高生(初登場の場面では早朝の吉野家で牛皿を肴にしてビールを飲んでいる。感動!)、幼くして生き別れ、行方しれずになった妹などが登場し、物語は進行していく。
このように風変わりな舞台装置や小道具を設定しながら、ニッポンの「今」を克明かつ批評的に描写していくというのは、「スズキさん」以来の作者お得意の手法だ。だが、けっして批判的ではなく、あくまで「批評的」であるというのが、ハードボイルド出身の作者ならではのスタイルであり、体質なのだろう。そんな感覚を思いっきり単純化して言うと、「かっこいい」ということになると思う。

矢作の小説というのは、面白うてやがて哀しき冒険小説のようなものだと思っている。以前読んだ作品(「あ・じゃ・ぱ!」)では、けっこう壮大なスケールで活劇調の場面も描かれてはいたが、血湧き肉踊るというよりも、やはり面白うてやがて哀しきという喩えがよく似合っていた。まだ読み始めたばかりのこの作品、いったいこれからどんな冒険が待っているのかな?ラストがけっこう良いらしいので、楽しみである。

ちなみに、『ららら科學の子』というタイトルは、鉄腕アトムの主題歌からの着想。装丁カバーをはずしたうす紫色の表紙には、中国語に翻訳されたアトムの漫画がしっかりとレイアウトされています。

8月 10, 2004 日記・コラム・つぶやき, 書籍・雑誌 |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/33923/1167458

この記事へのトラックバック一覧です: 『ららら科學の子』:

コメント

コメントを書く